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大商人への道
354ー2 禍を転じて福と為す(1)ー2
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8月20日、救済活動のため5日遅れで卒業式が行われる。
王立高学院は、今回の大厄災で民を助けるため、覇王軍・王立高学院特別部隊を出動させた翌日、全学生を2日遅れで被災地に向かわせると決定した。
これまで先頭に立って学生や役人を指揮していた学生は大半が卒業してしまい、メインメンバーで残るのは2割にも満たない。
そこで、これからの活動を考慮し、俺は学院長や宰相と協議して、今回の救済活動に全学生を強制参加させることにした。
……表向きは国王の依頼になっているから、教師だって強制参加だよ。
自分には関係ないと現実を見なかった一部の学生たちも、魔獣に襲われる可能性が低く、国王命令なら仕方ないと渋々参加していた。
でも救済活動が終わる頃には、今年の卒業生の多くが、救援・救済活動中にパートナーを見付けたと知り、目の色を変えて頑張り始めたのには笑った。
今回は意図的に、パートナーを同じ被災地に出動させたんだよね。
しっかりラブラブなところを見せつけてくれたので、効果てきめんだったよ。
例外として救済活動の参加を免れたのは、卒業単位が足らず追試を受ける5名と、試験教官2人・学院長・医師2人だけだった。
重労働をしなくて済むと喜んだ学生5人は、残念ながら一週間びっちり高学院の地下室に溜まった水抜き作業をさせられた。
慣れない肉体労働をしたせいか実力か、商学部2年フロランタン商会のイバレンと、一般貴族部3年の男子2人は、追試に合格できず留年が確定した。
卒業式には、国賓として宰相と王妃が、前例はないが全領主も参列している。
マギ領・ワイコリーム領・マリード領・サナへ領には卒業する子女が居るしな。
学園都市の代表者はログドル王子で、サナへ領は嫡男が代理として来ていた。
大きな災害の直後だが、卒業生の保護者は9割が列席している。
……まあ今年は、覇王軍・王立高学院特別部隊に所属していた卒業生全員に、国王が功労を表彰し勲章を授与するから、這ってでも来たかったと思う。
……まあ、うちも母さんが来てるし、入学推薦人の会頭も列席している。
卒業生代表として挨拶したのは、魔法部主席の勇者ラリエスである。
相変わらずのキラキラした貴公子振りで、女子の熱い溜息が凄かった。
俺は魔法部と薬師コースを同時に卒業し、薬師部の成績優秀者だったが、覇王として王妃の隣に座っている。
来賓代表で挨拶した王妃は、この国を救ってくれたのは学生の皆さんですと感謝の言葉を述べ、国と学院を導いてくださったのは、覇王様と勇者様ですと言って深く頭を下げ、列席者もそれに倣った。
宰相は国王の代わり学生に勲章を授け、副学院長と各学部長を陞爵した。
本来なら卒業式後は、覇王軍と王立高学院特別部隊メンバーで打ち上げをするのだが、本日は卒業式や打ち上げよりも大事なイベントがある。
俺を支えてくれた大切な仲間が、結婚式を行うのだ。
大聖堂は壊れたままなので、高学院の体育館に神父を呼んで行われる。
これからも時代は混迷する可能性が高い。
だからこそ、命を懸けて戦う俺たちには、のんびりする時間がない。
どうせなら、同じ日に結婚式をしたらいいんじゃないかと、先月卒業準備で学院に帰った時に話が出て、親も集まる今日という日に決定していた。
結婚式を挙げるのは、サナへ侯爵家と決別したトゥーリス先輩とミレーヌ様、エイトとチェルシーさん、ゲイルとミレッテさん、ラノーブとスフレさんの4組だ。
他にもカップルはたくさんいるが、自領で親族も呼び、盛大に式を挙げたいそうだ。
俺に出来ることは何かと考え、新郎には学園都市に新居をプレゼントし、新婦にはウエディングドレスをプレゼントすることにした。
【薬種・命の輝き】の隣にある仕立て屋さんに、無理を言って超特急で仕上げてもらった。
女性陣はドレスなんか無くても大丈夫だと言っていたけど、うちの母さんから「あり得ないわよ!」とダメ出しを食らった。
デザインは似た感じになってしまったけど、レース生地や花冠、豪華なブーケで誤魔化・・・いや、個性を出した。
大勢の学生や仲間たち、家族や教師、そして妖精たちにも祝福され、笑顔いっぱいの忘れられない結婚式になった。
王立高学院は、今回の大厄災で民を助けるため、覇王軍・王立高学院特別部隊を出動させた翌日、全学生を2日遅れで被災地に向かわせると決定した。
これまで先頭に立って学生や役人を指揮していた学生は大半が卒業してしまい、メインメンバーで残るのは2割にも満たない。
そこで、これからの活動を考慮し、俺は学院長や宰相と協議して、今回の救済活動に全学生を強制参加させることにした。
……表向きは国王の依頼になっているから、教師だって強制参加だよ。
自分には関係ないと現実を見なかった一部の学生たちも、魔獣に襲われる可能性が低く、国王命令なら仕方ないと渋々参加していた。
でも救済活動が終わる頃には、今年の卒業生の多くが、救援・救済活動中にパートナーを見付けたと知り、目の色を変えて頑張り始めたのには笑った。
今回は意図的に、パートナーを同じ被災地に出動させたんだよね。
しっかりラブラブなところを見せつけてくれたので、効果てきめんだったよ。
例外として救済活動の参加を免れたのは、卒業単位が足らず追試を受ける5名と、試験教官2人・学院長・医師2人だけだった。
重労働をしなくて済むと喜んだ学生5人は、残念ながら一週間びっちり高学院の地下室に溜まった水抜き作業をさせられた。
慣れない肉体労働をしたせいか実力か、商学部2年フロランタン商会のイバレンと、一般貴族部3年の男子2人は、追試に合格できず留年が確定した。
卒業式には、国賓として宰相と王妃が、前例はないが全領主も参列している。
マギ領・ワイコリーム領・マリード領・サナへ領には卒業する子女が居るしな。
学園都市の代表者はログドル王子で、サナへ領は嫡男が代理として来ていた。
大きな災害の直後だが、卒業生の保護者は9割が列席している。
……まあ今年は、覇王軍・王立高学院特別部隊に所属していた卒業生全員に、国王が功労を表彰し勲章を授与するから、這ってでも来たかったと思う。
……まあ、うちも母さんが来てるし、入学推薦人の会頭も列席している。
卒業生代表として挨拶したのは、魔法部主席の勇者ラリエスである。
相変わらずのキラキラした貴公子振りで、女子の熱い溜息が凄かった。
俺は魔法部と薬師コースを同時に卒業し、薬師部の成績優秀者だったが、覇王として王妃の隣に座っている。
来賓代表で挨拶した王妃は、この国を救ってくれたのは学生の皆さんですと感謝の言葉を述べ、国と学院を導いてくださったのは、覇王様と勇者様ですと言って深く頭を下げ、列席者もそれに倣った。
宰相は国王の代わり学生に勲章を授け、副学院長と各学部長を陞爵した。
本来なら卒業式後は、覇王軍と王立高学院特別部隊メンバーで打ち上げをするのだが、本日は卒業式や打ち上げよりも大事なイベントがある。
俺を支えてくれた大切な仲間が、結婚式を行うのだ。
大聖堂は壊れたままなので、高学院の体育館に神父を呼んで行われる。
これからも時代は混迷する可能性が高い。
だからこそ、命を懸けて戦う俺たちには、のんびりする時間がない。
どうせなら、同じ日に結婚式をしたらいいんじゃないかと、先月卒業準備で学院に帰った時に話が出て、親も集まる今日という日に決定していた。
結婚式を挙げるのは、サナへ侯爵家と決別したトゥーリス先輩とミレーヌ様、エイトとチェルシーさん、ゲイルとミレッテさん、ラノーブとスフレさんの4組だ。
他にもカップルはたくさんいるが、自領で親族も呼び、盛大に式を挙げたいそうだ。
俺に出来ることは何かと考え、新郎には学園都市に新居をプレゼントし、新婦にはウエディングドレスをプレゼントすることにした。
【薬種・命の輝き】の隣にある仕立て屋さんに、無理を言って超特急で仕上げてもらった。
女性陣はドレスなんか無くても大丈夫だと言っていたけど、うちの母さんから「あり得ないわよ!」とダメ出しを食らった。
デザインは似た感じになってしまったけど、レース生地や花冠、豪華なブーケで誤魔化・・・いや、個性を出した。
大勢の学生や仲間たち、家族や教師、そして妖精たちにも祝福され、笑顔いっぱいの忘れられない結婚式になった。
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