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大商人への道
341ー2 改革(3)ー2
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午後2時から行われた【危機管理指導講座】を終えた学生と教師は、再び体育館に戻り掲示板に貼り出された決定事項を真剣な表情で確認する。
①全学生と全教師は、今日から2週間【危機管理指導講座】を受講し試験を受ける。その結果で実習先を決定する(教師を含む)。
講師は王立高学院特別部隊の隊長ノエル、副学院長エリザーテ、覇王軍財務担当ラノーブである。
②卒業試験中(5~7月)は、週5日、午前9時から午後4時までを実習時間とする。
また実習部署によっては、地方への出張や泊まりの実習あり。
③実習中に優秀と認められた者が希望すれば、覇王奨励金として10日間の実習に対し小金貨1枚を支給する。対象者は10人程度の予定。
金銭的な事情で学院生活が厳しい者は、商業ギルド・冒険者ギルドに就職を希望し認められれば、各ギルドから奨学金を受けることができる。
④全学部の学生は、実習の無い日に、覇王軍メンバーからC級魔術師程度の指導を無料で受けることができる。
⑤教師は普通の講義を行うことができないので、全員が学生と同様に実習先で学び、次年度の教本を作成すること。
教本の内容次第で、昇格または準男爵の爵位を与える可能性あり。
この決定に従えない者は、辞職することを認める。
「良かった。俺、家からの仕送りが止まったんで、休日の食費が無かったんだ。頑張って覇王奨励金を貰いたいよ」
「ああ俺もだ。俺はどうせ家には戻れないから、商業ギルドに就職したい」
仲の良さそうな経済学部の2人は、旧ワートン領の下級貴族の子息で、混乱しているであろう実家には何も期待できないと言いながらやる気を出す。
「兄さん、俺は勉強が苦手だから、総合学部でも治安維持活動に参加できるかなぁ? 俺は治安部で働きたい」
「お前は魔力量が多いから、覇王軍の人にC級魔術師の講義を受ければ大丈夫なんじゃないか? 俺は役人を目指すことに決めた」
旧ヘイズ領の下級貴族の兄弟が、前向きに就職を考えている。
「覇王様は、女性にも役人として働くことをお許しになるのね。
ヘイズ領の時もラレスト王国の時も、女性が役人になるのは良しとされず、いくら勉強をしても意味がなかったけど、これからは全力で勉強するわ」
「ええそうね。副学院長は憧れのエリザーテ様よ。美しいだけではなく聡明でお強くて、男にも容赦ないところが素敵よね。
私、死ぬ気で頑張って、新しくなった学園都市高学院で働くわ!」
総合学部と経済学部の女子学生は、日頃から男尊女卑の学院の考え方に不満を募らせていた。
2人は参加した救済活動で、ノエル様とエリザーテ様が王立高学院特別部隊の指揮を執る姿を見てから、すっかり心酔し崇拝するようになっていた。
「学院の教師である我々に実習を強要するとは、本当に貴族の常識を知らないようだ」
「ええ、逃げた学院長も言っていたではありませんか、覇王は卑しい平民出だと。卑しいからこそ、魔獣と戦うのがお好きなのでしょう」
旧ヘイズ領と旧ワートン領の伯爵家の三男である2人の教師は貴族主義で、実力主義の覇王や勇者とは価値観が根本的に違っていた。
だが直ぐに、実力主義の恐ろしさを思い知ることになる。
【危機管理指導講座】の試験結果は、全員の回答用紙が体育館に貼り出され、平均点以下だった2人は、学生に笑われ、実習先は貴族管理部と決まった。
コルランドル王国でいうところの、国務大臣的なポストである貴族管理部長に就任したのは、あのミレーヌ様である。
それはそれは厳しく正しい貴族の在り方を学ばされ、書類のミスでもあれば残業は当然で、連日女子学生から白い眼を向けられることになるだろう。
5月末には、教師2人が退職し、就職する気もなく真面目に実習しない学生8人が退学処分となった。
①全学生と全教師は、今日から2週間【危機管理指導講座】を受講し試験を受ける。その結果で実習先を決定する(教師を含む)。
講師は王立高学院特別部隊の隊長ノエル、副学院長エリザーテ、覇王軍財務担当ラノーブである。
②卒業試験中(5~7月)は、週5日、午前9時から午後4時までを実習時間とする。
また実習部署によっては、地方への出張や泊まりの実習あり。
③実習中に優秀と認められた者が希望すれば、覇王奨励金として10日間の実習に対し小金貨1枚を支給する。対象者は10人程度の予定。
金銭的な事情で学院生活が厳しい者は、商業ギルド・冒険者ギルドに就職を希望し認められれば、各ギルドから奨学金を受けることができる。
④全学部の学生は、実習の無い日に、覇王軍メンバーからC級魔術師程度の指導を無料で受けることができる。
⑤教師は普通の講義を行うことができないので、全員が学生と同様に実習先で学び、次年度の教本を作成すること。
教本の内容次第で、昇格または準男爵の爵位を与える可能性あり。
この決定に従えない者は、辞職することを認める。
「良かった。俺、家からの仕送りが止まったんで、休日の食費が無かったんだ。頑張って覇王奨励金を貰いたいよ」
「ああ俺もだ。俺はどうせ家には戻れないから、商業ギルドに就職したい」
仲の良さそうな経済学部の2人は、旧ワートン領の下級貴族の子息で、混乱しているであろう実家には何も期待できないと言いながらやる気を出す。
「兄さん、俺は勉強が苦手だから、総合学部でも治安維持活動に参加できるかなぁ? 俺は治安部で働きたい」
「お前は魔力量が多いから、覇王軍の人にC級魔術師の講義を受ければ大丈夫なんじゃないか? 俺は役人を目指すことに決めた」
旧ヘイズ領の下級貴族の兄弟が、前向きに就職を考えている。
「覇王様は、女性にも役人として働くことをお許しになるのね。
ヘイズ領の時もラレスト王国の時も、女性が役人になるのは良しとされず、いくら勉強をしても意味がなかったけど、これからは全力で勉強するわ」
「ええそうね。副学院長は憧れのエリザーテ様よ。美しいだけではなく聡明でお強くて、男にも容赦ないところが素敵よね。
私、死ぬ気で頑張って、新しくなった学園都市高学院で働くわ!」
総合学部と経済学部の女子学生は、日頃から男尊女卑の学院の考え方に不満を募らせていた。
2人は参加した救済活動で、ノエル様とエリザーテ様が王立高学院特別部隊の指揮を執る姿を見てから、すっかり心酔し崇拝するようになっていた。
「学院の教師である我々に実習を強要するとは、本当に貴族の常識を知らないようだ」
「ええ、逃げた学院長も言っていたではありませんか、覇王は卑しい平民出だと。卑しいからこそ、魔獣と戦うのがお好きなのでしょう」
旧ヘイズ領と旧ワートン領の伯爵家の三男である2人の教師は貴族主義で、実力主義の覇王や勇者とは価値観が根本的に違っていた。
だが直ぐに、実力主義の恐ろしさを思い知ることになる。
【危機管理指導講座】の試験結果は、全員の回答用紙が体育館に貼り出され、平均点以下だった2人は、学生に笑われ、実習先は貴族管理部と決まった。
コルランドル王国でいうところの、国務大臣的なポストである貴族管理部長に就任したのは、あのミレーヌ様である。
それはそれは厳しく正しい貴族の在り方を学ばされ、書類のミスでもあれば残業は当然で、連日女子学生から白い眼を向けられることになるだろう。
5月末には、教師2人が退職し、就職する気もなく真面目に実習しない学生8人が退学処分となった。
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