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絶望と希望
302ー2 本当の脅威(5)ー2
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『アコル様、ラリエスから報告です。
リドミウム領の南に向かった亀の変異種は、村を半壊させ、町に突入したところで動きを止めました。
町に入る手前で、ラリエスたちが何度も炎の攻撃をしたようです。
でも、死んだわけではないので、移動すべきか迷っています。
それと、リドミウムの森で動きを止めていた亀の変異種たちが、魔獣を襲い始めました。
森から魔獣がどんどん逃げ出しています』
状況確認に向かったユテが戻ってきて、リドミウム領の混乱が拡大していると伝えた。
次から次へと問題が勃発する。
今回のように広範囲が危機的状況に陥ると、どうしても戦力を分散せざるを得ない。
そのため、一気に解決するのは難しく、全ての状況を把握するのも困難になる。
「森から溢れた魔獣も何とかしたいけど、それは冒険者や覇王軍第二部隊に任せるしかない。
で、領都リドミウムの城壁前に現れた亀の変異種はどうなった?」
『はいアコル様、責任者のゲイルによると、砲撃を仕掛けようとすると口から酸を吐くので、土魔法を使って城壁の前で胴体をひっくり返したそうです。
金属を溶かす古代魔術具を使い、城壁の上から腹側に、ドロドロに溶けた高温の液体を落とし、腹に穴をあけ胴体を焼いて討伐したそうです』
「カルタック教授も容赦ないな。でも、覇王探求部会のメンバーを同行させておいて正解でしたね」
予想外の討伐方法を聞いたルフナ王子は、感心しながらもえげつない作戦だと言って肩を震わせる。
「その作戦は他の場所では使えないが、裏返しにするのはいい方法かもしれない。
ユテ、悪いけど、マサルーノ先輩には亀を土魔法でひっくり返して、ラリエスには上空から巨大で鋭利な氷を腹に落とせと伝えてくれる?」
『了解です』
ユテを再びラリエスたちの所へ使いに出し、今度こそカルタック教授から回収してきた魔術具を準備する。
グレードラゴンの洗脳が解けるかどうか、先ずは上から下に向かって魔術具を起動させよう。
レイム領に向かっている2頭は、素材を使える状態で回収したい。
ここまで各地で被害が拡大すると、間違いなくマジックバッグが大量に必要となるだろうから、翼だって無駄にはできない。
古代魔術具でも、防御魔法の魔術具やポーション作りの魔術具は、ドラゴンの魔石でないと長時間の起動が難しい。
間もなくレイム領の上空に差し掛かるという所で、2頭のグレードラゴンに追いついた。
この2頭も、俺たちが近付いていることに気付けないようだ。
直ぐにグレードラゴンの上空に移動し、できるだけ距離を縮めて魔術具を起動させる。
この魔術具は、ブラックドラゴンが洗脳する時に出す、凄く不快な金属音のような鳴き声と違い、やや低いボーボーという音を出すのが特徴だ。
不快な音ではないものの、自分に向けられると耳鳴りがして、暫く聴力が落ちる。
「よし、実験開始」
俺の掛け声で、ルフナ王子が魔術具を起動させる。
時間にして3分、普通に飛行していたグレードラゴンが、突然クルクルと旋回を開始した。
いつものようにギョェーッと鳴いて、辺りをきょろきょろと見回し始める。
「洗脳が解けたようですアコル様」
「良かった。急いで討伐し他のドラゴンを追うぞ」
「了解です」
上に居るランドルに気付く寸前、俺とルフナ王子はグレードラゴンに向け氷の攻撃を放つ。
鋭利な氷の塊は翼に穴をあけ、ランドルに気付いたグレードラゴンは懸命に逃げようとする。
徐々に落下していくグレードラゴンを追いながら、素材のことを考え地上に落下する直前にエアーカッターで止めを刺した。
マジックバッグに素材を回収するため、ランドルの籠から地上に飛び降りた時、王都に使いに出した賢者妖精ロルフが戻ってきた。
『主、先程グレードラゴン3頭が王都に飛来し、2頭が飛び回って建物を壊し始めた。
1頭は王都の上空を通り過ぎ、元学院長が領主をしているコルラド領に向かうのをワシが確認した。
サナへ領の冒険者ギルドから入った緊急連絡によると、領都サナへにも3頭のグレードラゴンが飛来し、2頭が領都で暴れているようじゃ。
1頭は暫くしてマリード領の方に飛び去っていったらしいぞ』
リドミウム領の南に向かった亀の変異種は、村を半壊させ、町に突入したところで動きを止めました。
町に入る手前で、ラリエスたちが何度も炎の攻撃をしたようです。
でも、死んだわけではないので、移動すべきか迷っています。
それと、リドミウムの森で動きを止めていた亀の変異種たちが、魔獣を襲い始めました。
森から魔獣がどんどん逃げ出しています』
状況確認に向かったユテが戻ってきて、リドミウム領の混乱が拡大していると伝えた。
次から次へと問題が勃発する。
今回のように広範囲が危機的状況に陥ると、どうしても戦力を分散せざるを得ない。
そのため、一気に解決するのは難しく、全ての状況を把握するのも困難になる。
「森から溢れた魔獣も何とかしたいけど、それは冒険者や覇王軍第二部隊に任せるしかない。
で、領都リドミウムの城壁前に現れた亀の変異種はどうなった?」
『はいアコル様、責任者のゲイルによると、砲撃を仕掛けようとすると口から酸を吐くので、土魔法を使って城壁の前で胴体をひっくり返したそうです。
金属を溶かす古代魔術具を使い、城壁の上から腹側に、ドロドロに溶けた高温の液体を落とし、腹に穴をあけ胴体を焼いて討伐したそうです』
「カルタック教授も容赦ないな。でも、覇王探求部会のメンバーを同行させておいて正解でしたね」
予想外の討伐方法を聞いたルフナ王子は、感心しながらもえげつない作戦だと言って肩を震わせる。
「その作戦は他の場所では使えないが、裏返しにするのはいい方法かもしれない。
ユテ、悪いけど、マサルーノ先輩には亀を土魔法でひっくり返して、ラリエスには上空から巨大で鋭利な氷を腹に落とせと伝えてくれる?」
『了解です』
ユテを再びラリエスたちの所へ使いに出し、今度こそカルタック教授から回収してきた魔術具を準備する。
グレードラゴンの洗脳が解けるかどうか、先ずは上から下に向かって魔術具を起動させよう。
レイム領に向かっている2頭は、素材を使える状態で回収したい。
ここまで各地で被害が拡大すると、間違いなくマジックバッグが大量に必要となるだろうから、翼だって無駄にはできない。
古代魔術具でも、防御魔法の魔術具やポーション作りの魔術具は、ドラゴンの魔石でないと長時間の起動が難しい。
間もなくレイム領の上空に差し掛かるという所で、2頭のグレードラゴンに追いついた。
この2頭も、俺たちが近付いていることに気付けないようだ。
直ぐにグレードラゴンの上空に移動し、できるだけ距離を縮めて魔術具を起動させる。
この魔術具は、ブラックドラゴンが洗脳する時に出す、凄く不快な金属音のような鳴き声と違い、やや低いボーボーという音を出すのが特徴だ。
不快な音ではないものの、自分に向けられると耳鳴りがして、暫く聴力が落ちる。
「よし、実験開始」
俺の掛け声で、ルフナ王子が魔術具を起動させる。
時間にして3分、普通に飛行していたグレードラゴンが、突然クルクルと旋回を開始した。
いつものようにギョェーッと鳴いて、辺りをきょろきょろと見回し始める。
「洗脳が解けたようですアコル様」
「良かった。急いで討伐し他のドラゴンを追うぞ」
「了解です」
上に居るランドルに気付く寸前、俺とルフナ王子はグレードラゴンに向け氷の攻撃を放つ。
鋭利な氷の塊は翼に穴をあけ、ランドルに気付いたグレードラゴンは懸命に逃げようとする。
徐々に落下していくグレードラゴンを追いながら、素材のことを考え地上に落下する直前にエアーカッターで止めを刺した。
マジックバッグに素材を回収するため、ランドルの籠から地上に飛び降りた時、王都に使いに出した賢者妖精ロルフが戻ってきた。
『主、先程グレードラゴン3頭が王都に飛来し、2頭が飛び回って建物を壊し始めた。
1頭は王都の上空を通り過ぎ、元学院長が領主をしているコルラド領に向かうのをワシが確認した。
サナへ領の冒険者ギルドから入った緊急連絡によると、領都サナへにも3頭のグレードラゴンが飛来し、2頭が領都で暴れているようじゃ。
1頭は暫くしてマリード領の方に飛び去っていったらしいぞ』
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