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決戦開始

262ー2 心理対抗戦(3)ー2

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「明日の夜? ああ、それはいいタイミングかも知れないな。よし、折角だから主要メンバーも連れて行くか」

 俺はエイトに出席すると伝え、主要メンバーに王宮へ行こうと声を掛けることにした。

 服装は俺たちの正装である、覇王軍または王立高学院特別部隊の隊服でいいだろう。
 俺、そんなパーティー用の正装なんて持ってないから。
 ひらひらしたドレスなんか着なくても、うちの女性陣はみんな綺麗だ。


「エクレア、学院長と王妃様に伝言を頼むよ」

『ええ、いいわよ。何かいい情報があったのね』

姿を消したまま話を聞いていたエクレアが、嬉しそうに返事をする。エクレアは華やかな場所も好きらしい。

「ああ、おそらく明日の朝、犯人が自らやって来るだろうが、顔を合わせるのは夜になりそうだ」

 皆から集めた情報の中に、今回の事件のキーワードが紛れていた。
 事件の解決は、学院長と王妃に任せれば間違いないだろうけど、折角のチャンスだから、トーブル先輩を助けよう。

 俺は食後のお茶をゆっくり飲みながら、作戦を走り書きした紙を2枚エクレアに渡し、妖精言葉で指示を伝えた。
 
 ……よし、できるだけ派手に登場してやろう。


 ◇◇ フィナンシェ学院長 ◇◇

「それは本当のことですかエクレア様?」と、王妃様の声に怒気が……

「それではやはり、狂言だったのですね」と私も声を上げてしまいました。

 今日は学院が休みだったので、私は一日王宮に居たのですが、夕方近くには、リーマス王子がトーブルさんを襲わせたという噂が、王宮中で囁かれていたのです。
 そんな馬鹿なことある訳がないと、私は王妃様に断言していたのですが、間違いなかったようですわ。

「急に湧いて出た怪しげな娘が、大きな顔をして王族と同等の待遇を求めてきた時は、開いた口が塞がらなかったけれど、本当に頭の中はカラだったのですね。
 侍女長が、正式な婚約式を終えていないと、王族待遇はできないと何度説明しても、理解できなかったと言っていたのも頷けるわ」

王妃様は扇を素早く取り出され、シャッと素早く広げると、フフフと不敵に笑いながら先日の話をされました。
 私同様、かなりご立腹の様子ですわ。

『ええそうよ。だから学院長、明日は朝から夜まで、部外者が学院に立ち入ることを禁止して欲しいの。
 それから、明日の王妃主催のパーティーに、アコルは仲間を連れて参加する予定よ。

 きっと、二度とトーブルに不幸なことが起こらないよう、手を打つんじゃないかしら。
 あたしのアコルは、売られた喧嘩は買う主義だから』

エクレアちゃんは全身を七色に輝かせながら、美しい顔で黒く微笑みます。

「了解しました。明日は早朝から正門の前で待機しておきます。
 本物の王族と偽物の違いを、教えて差し上げねばなりませんわ。わたくし、教育者であり学院長ですから」

 私だって覇王様同様、売られた喧嘩は買う主義だわ。負ける気だってないわよ。

「楽しそうですわねフィナンシェさん。
 それでは、今回の件で心を痛めた私は、二度と同じことが起こらないよう、万全の警備体制を敷いて、王立高学院に王宮警備隊を配置しておきましょう。
 を、決して通すなと厳命して」

シュタッと扇をたたみ、王妃様はにこやかに宣言されました。

 ……あぁ、王妃様とは本当に気が合うわ。


 翌朝、期待を裏切らないその不審者は、王宮専用馬車に乗って堂々と正門前に現れました。
 ですが、正門で仁王立ちしている王宮警備隊を見て、馬車の御者は正門から先に進もうとしません。

「どうして進まないの! 早く入りなさい」と、金切り声が響きます。 
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