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決戦開始
256ー2 覇王、激流を生む(4)ー2
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ちょっと混乱したけど、その後は無事に面接も済んで、覇王軍本部の事務に4人、王立高学院特別部隊の事務に4人を採用することになった。
怒り心頭のノエル様とスフレさんは、凄い勢いで今回のことを学院長に報告しに行った。
学院長が直ぐに調べさせた結果、あの令嬢が学院に入れたのは、王族の馬車で来たからだと判明した。
今回の件は、これで終わったかのように思っていたが、それは大きな間違いだったと後日気付く。
12月も中旬になり、調査に出ていた覇王軍メンバーや冒険者たちが王都に戻ってきた。
調査結果をサッと見たところ、やはり山や森の魔力量は、場所によって大きな違いがあった。
異常に魔力量の多かった地点に、魔獣の上位種や変異種が生息していることが判明した。
そのデータは、俺が最も欲しかったものであり、魔獣大氾濫の謎を解明する大きな一歩になるだろう。
最も大きな収穫だったのは、空の魔石を魔力量の多い場所に埋めると、魔力が再び注入されると分かったことだ。
再注入された魔力量は少ないが、紛れもなく歴史を覆すほどの大発見だった。
このデータを元に、これからもっと調査と実験を繰り返すことになるだろう。
もしも空の魔石で、もっと山や森から魔力を吸収出来たら、魔獣の誕生を阻めるかもしれないのだ。
……これからは、時間との勝負だ。
今回の調査に協力してくれた全員を【覇王探求部会】の正式な部会員と承認し、あと半年調査を続行してくれたら、希望者を叙爵すると約束した。
そんな心躍る大発見に、高学院の教授も学生も歓喜した。
正式な発表は半年後くらいになるだろうが、魔法部の教授が気合を入れて論文を書くそうだ。
……【覇王探求部会】を発足して本当に良かったと、俺はこっそり泣いちゃったね。
また古代魔術具も新たに2台が起動できるようになっていて、研究の協力者たちの意気も上がっている。
学生の中にも、次第に魔術具に興味を持つ者が増えてきて、技術者を目指したいという声を聞くようになった。
久し振りに時間が取れた俺は、覇王の執務室にやって来た宰相マリード侯爵、ワイコリーム公爵、マギ公爵から、頭の痛い話を聞かされていた。
ヘイズ領でなりを潜めていた王弟シーブルが、ヘイズ領とワートン領で不満を抱く貴族たちに、貴族としての当然の権利を奪い、魔獣と戦えと強要する愚行は、全て覇王が仕組んだ陰謀なのだと、扇動を開始したというのだ。
国王がその動きに気付いた12月頭には、旧デミル領の貴族までもが、覇王に恨みを募らせ、無能な国王は覇王の言いなりだと反感を抱くようになっていた。
このままではコルランドル王国の貴族に未来はないと口にする貴族たちを、ワイコリーム公爵は【反国王派】と名付けていた。
政治や国内の状況をよく知らない婦人たちを煽っているのは、トーブル先輩の母親だった。
しかし、それだけではヘイズ領、旧ワートン領、旧デミル領の貴族が結束するはずがないと、新しく宰相になったマリード侯爵は焦りを滲ませる。
【反国王派】がどうやって連絡を取り合っているのかが不明で、誰が王弟シーブルに手を貸しているのかが分からないらしい。
でも俺は、やつれたトーブル先輩がかわいそうで、暫くは表立って【反国王派】と対立する気はないと告げ、国王を中心に動いて欲しいと頼んだ。
「冬期休暇は城に帰りたくない。何より、会ったこともない、訳の分からない婚約者に会いたくない。無理矢理婚約させられるくらいなら、教会に匿って貰いたい」
涙を浮かべて話すトーブル先輩の気持ちが分かるだけに、一緒に話を聞いていたラリエスやエイトは、父親であるシーブル様を理解できないと憤った。
怒り心頭のノエル様とスフレさんは、凄い勢いで今回のことを学院長に報告しに行った。
学院長が直ぐに調べさせた結果、あの令嬢が学院に入れたのは、王族の馬車で来たからだと判明した。
今回の件は、これで終わったかのように思っていたが、それは大きな間違いだったと後日気付く。
12月も中旬になり、調査に出ていた覇王軍メンバーや冒険者たちが王都に戻ってきた。
調査結果をサッと見たところ、やはり山や森の魔力量は、場所によって大きな違いがあった。
異常に魔力量の多かった地点に、魔獣の上位種や変異種が生息していることが判明した。
そのデータは、俺が最も欲しかったものであり、魔獣大氾濫の謎を解明する大きな一歩になるだろう。
最も大きな収穫だったのは、空の魔石を魔力量の多い場所に埋めると、魔力が再び注入されると分かったことだ。
再注入された魔力量は少ないが、紛れもなく歴史を覆すほどの大発見だった。
このデータを元に、これからもっと調査と実験を繰り返すことになるだろう。
もしも空の魔石で、もっと山や森から魔力を吸収出来たら、魔獣の誕生を阻めるかもしれないのだ。
……これからは、時間との勝負だ。
今回の調査に協力してくれた全員を【覇王探求部会】の正式な部会員と承認し、あと半年調査を続行してくれたら、希望者を叙爵すると約束した。
そんな心躍る大発見に、高学院の教授も学生も歓喜した。
正式な発表は半年後くらいになるだろうが、魔法部の教授が気合を入れて論文を書くそうだ。
……【覇王探求部会】を発足して本当に良かったと、俺はこっそり泣いちゃったね。
また古代魔術具も新たに2台が起動できるようになっていて、研究の協力者たちの意気も上がっている。
学生の中にも、次第に魔術具に興味を持つ者が増えてきて、技術者を目指したいという声を聞くようになった。
久し振りに時間が取れた俺は、覇王の執務室にやって来た宰相マリード侯爵、ワイコリーム公爵、マギ公爵から、頭の痛い話を聞かされていた。
ヘイズ領でなりを潜めていた王弟シーブルが、ヘイズ領とワートン領で不満を抱く貴族たちに、貴族としての当然の権利を奪い、魔獣と戦えと強要する愚行は、全て覇王が仕組んだ陰謀なのだと、扇動を開始したというのだ。
国王がその動きに気付いた12月頭には、旧デミル領の貴族までもが、覇王に恨みを募らせ、無能な国王は覇王の言いなりだと反感を抱くようになっていた。
このままではコルランドル王国の貴族に未来はないと口にする貴族たちを、ワイコリーム公爵は【反国王派】と名付けていた。
政治や国内の状況をよく知らない婦人たちを煽っているのは、トーブル先輩の母親だった。
しかし、それだけではヘイズ領、旧ワートン領、旧デミル領の貴族が結束するはずがないと、新しく宰相になったマリード侯爵は焦りを滲ませる。
【反国王派】がどうやって連絡を取り合っているのかが不明で、誰が王弟シーブルに手を貸しているのかが分からないらしい。
でも俺は、やつれたトーブル先輩がかわいそうで、暫くは表立って【反国王派】と対立する気はないと告げ、国王を中心に動いて欲しいと頼んだ。
「冬期休暇は城に帰りたくない。何より、会ったこともない、訳の分からない婚約者に会いたくない。無理矢理婚約させられるくらいなら、教会に匿って貰いたい」
涙を浮かべて話すトーブル先輩の気持ちが分かるだけに、一緒に話を聞いていたラリエスやエイトは、父親であるシーブル様を理解できないと憤った。
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