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決戦開始
253ー1 覇王、激流を生む(1)ー1
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◇◇ アルファス国王 ◇◇
魔獣討伐から帰ってきたら、とてつもない大きな案件が待っていた。
ワートン公爵死亡と領都の崩壊、そしてワートン領貴族の暴挙だ。
マギ公爵とログドルから報告を受けた私は、3分近く脳の動きが停止してしまった。
領都ワートンの崩壊については、起こり得ることだと考えていたので、とうとう最悪な事態になってしまったと、ワートン公爵に対する怒りが増した。
ワートン公爵の死亡に関して言えば、王である私の命を二度も狙ったのだ。同情する気持ちなど欠片もない。
だが、ワートン領の民に罪はない。
トーマスが王命として王立高学院特別部隊に救済要請してくれたので、ワートン領民の怒りは、国王に向けられてはいないようで胸を撫で下ろした。
マギ公爵によると、ワートン公爵は日頃から領民に信用されておらず、領主が救済などしてくれるはずがないと、領都民たちは冷静に考えていたらしい。
だから、いざという時のために、自分たちで非常時に必要な物を備えていたという。
しかも今回は、商業ギルド本部からの指示と、貸与された大型のマジックバッグがあったことで、王立高学院特別部隊は直ぐに必要な物資を用意できた。
足らない物も多かったようだが、覇王様の先見の明に深く感謝するばかりだ。
王命で出動したのだから、出動料金を急いで払わねばならない。
大問題だったのが、大恩人である覇王様や王立高学院特別部隊の学生に対し、ワートン領の貴族が信じられない不敬と蛮行を行ったことだ。
これはもう考慮する必要もなく、王として厳罰に処すことは決定だ。
今回の蛮行に関係した貴族は全員、爵位剥奪と領地の没収をする。
魔法攻撃をした伯爵は死罪。暴力を振るった子爵夫妻は領地なしだったので、爵位剥奪のうえ5年間の労役を科す。
最も重い罪に問うべきは、教え子を売った王立高学院の教授だ。
当然爵位は剝奪するが、5年間の労役か、労役を免除する代わりに罰金として金貨50枚を払わせる。
また、罪状を記した札を立て、王都の下級地区で晒し者にする。己の罪を反省するには、最低三日は必要だろう。
「王様、宰相や大臣たちに対する処罰は如何されますか?」
まだ怒りが治まらない様子のマギ公爵が問う。
「特別に処分はしない。だが、覇王様のご指示通り、サナへ侯爵は3年間、ワートン領の領主代行をしてもらう。ログドル、3年後はお前が領主だ。
外務大臣たちも、ワートン領の立て直しのため、役人として現地で働かせる。
人手不足は深刻だが、王宮の大改革は私の仕事だ」
「王様、それは左遷という処罰……いえ、3年後に私が領主となるまで、しっかり働いていただきましょう。サナへ領の嫡男は28歳ですから問題ないでしょう」
覇王様から【覇王探求部会】の責任者に指名されたログドルは、見違えるように逞しくなった。
本来は能力のある王子だったのに、私のせいで力を出せなかったのだ。
「さて、空席となる大臣や副大臣の指名を急がねばならない。
マリード侯爵を宰相とし、魔法省大臣はトーマス。レイム公爵は法務大臣だ。
マギ公爵、国庫は益々厳しくなるが、財務大臣を受けてくれ」
私が手に持っているのは、覇王様から渡された人事案だ。
優秀な人材を適材適所に据えるのは、国王の最も重要な仕事だ。
これから覇王様は、覇王権限を行使されるとワイコリーム公爵とハシム一般軍大臣が言っていた。
……だが、外務大臣と産業大臣に指名できる者が居ただろうか・・・
魔獣討伐から帰ってきたら、とてつもない大きな案件が待っていた。
ワートン公爵死亡と領都の崩壊、そしてワートン領貴族の暴挙だ。
マギ公爵とログドルから報告を受けた私は、3分近く脳の動きが停止してしまった。
領都ワートンの崩壊については、起こり得ることだと考えていたので、とうとう最悪な事態になってしまったと、ワートン公爵に対する怒りが増した。
ワートン公爵の死亡に関して言えば、王である私の命を二度も狙ったのだ。同情する気持ちなど欠片もない。
だが、ワートン領の民に罪はない。
トーマスが王命として王立高学院特別部隊に救済要請してくれたので、ワートン領民の怒りは、国王に向けられてはいないようで胸を撫で下ろした。
マギ公爵によると、ワートン公爵は日頃から領民に信用されておらず、領主が救済などしてくれるはずがないと、領都民たちは冷静に考えていたらしい。
だから、いざという時のために、自分たちで非常時に必要な物を備えていたという。
しかも今回は、商業ギルド本部からの指示と、貸与された大型のマジックバッグがあったことで、王立高学院特別部隊は直ぐに必要な物資を用意できた。
足らない物も多かったようだが、覇王様の先見の明に深く感謝するばかりだ。
王命で出動したのだから、出動料金を急いで払わねばならない。
大問題だったのが、大恩人である覇王様や王立高学院特別部隊の学生に対し、ワートン領の貴族が信じられない不敬と蛮行を行ったことだ。
これはもう考慮する必要もなく、王として厳罰に処すことは決定だ。
今回の蛮行に関係した貴族は全員、爵位剥奪と領地の没収をする。
魔法攻撃をした伯爵は死罪。暴力を振るった子爵夫妻は領地なしだったので、爵位剥奪のうえ5年間の労役を科す。
最も重い罪に問うべきは、教え子を売った王立高学院の教授だ。
当然爵位は剝奪するが、5年間の労役か、労役を免除する代わりに罰金として金貨50枚を払わせる。
また、罪状を記した札を立て、王都の下級地区で晒し者にする。己の罪を反省するには、最低三日は必要だろう。
「王様、宰相や大臣たちに対する処罰は如何されますか?」
まだ怒りが治まらない様子のマギ公爵が問う。
「特別に処分はしない。だが、覇王様のご指示通り、サナへ侯爵は3年間、ワートン領の領主代行をしてもらう。ログドル、3年後はお前が領主だ。
外務大臣たちも、ワートン領の立て直しのため、役人として現地で働かせる。
人手不足は深刻だが、王宮の大改革は私の仕事だ」
「王様、それは左遷という処罰……いえ、3年後に私が領主となるまで、しっかり働いていただきましょう。サナへ領の嫡男は28歳ですから問題ないでしょう」
覇王様から【覇王探求部会】の責任者に指名されたログドルは、見違えるように逞しくなった。
本来は能力のある王子だったのに、私のせいで力を出せなかったのだ。
「さて、空席となる大臣や副大臣の指名を急がねばならない。
マリード侯爵を宰相とし、魔法省大臣はトーマス。レイム公爵は法務大臣だ。
マギ公爵、国庫は益々厳しくなるが、財務大臣を受けてくれ」
私が手に持っているのは、覇王様から渡された人事案だ。
優秀な人材を適材適所に据えるのは、国王の最も重要な仕事だ。
これから覇王様は、覇王権限を行使されるとワイコリーム公爵とハシム一般軍大臣が言っていた。
……だが、外務大臣と産業大臣に指名できる者が居ただろうか・・・
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