344 / 709
覇王の改革
186ー1 覇王と仲間たち(6)ー1
しおりを挟む
◇◇ 第二王子ログドル ◇◇
第五王子リーマスから覇王講座の受講を勧められた私は、勇気を出して弟のレイトル(第四王子)と一緒に王立高学院へと向かった。
久し振りの高学院に少しだけ心が弾む。
各領地の高位貴族や領主一族と机を並べるのかと思うと気が重いが、前向きに考えて頑張ろう。
覇王講座開始前に集められた体育館で、私たちは驚きの情報を聞いた。
叔父であるモーマット学院長によると、覇王様は【覇気】というものを無意識に放たれるそうで、悪意がある者は倒れ伏し、疑う者は腰を抜かし頭を上げられず、信じ従う者でも跪いてしまうのだという。
見るからにヘイズ侯爵派の上級役人たちは、覇王様のことを《平民あがりの王子》とか《自称覇王》だとか《虚言好きな第七王子》などと陰口を叩き、覇王講座に参加させられたことに対し不平不満を漏らしている。
中でも酷いのがデミル領や一般軍の役人たちで、国王が謁見さえ許していない者を王子だとは認められないと、完全に見下す物言いをしていた。
それでも覇王講座を開講しているのだから、国王は第七王子を覇王だと認めているのだろうと考える者の方が多いはずだ。
そして迎えた第一回目の魔法攻撃講座で、私は初めて弟でもある覇王様にお会いし、体が震えた。
覇王様が名乗られた瞬間、ヘイズ侯爵派や覇王様をバカにしていた役人たちが、一斉に地面に倒れ伏し動けなくなった。頭を上げられない者も多数いる。
感動と恐怖と歓喜が入り混じり、自分でも表現するのが難しい……恐らく畏怖の念だと思うのだが、底知れぬ力とオーラに魅了された。
恐怖で戸惑う受講者たちに構うことなく、覇王様はご自分で討伐された魔獣をマジックバッグから取り出された。
こともなさげに取り出されたアイススネークの変異種は、どう見ても10メートルを超えていて完全に化け物だった。
覇気ですっかり恐れをなした者たちは、変異種を見て再び恐怖で顔を引きつらせた。
私も変異種のあまりの大きさと異様さに絶句してしまった。
そして次に参加した妖精学講座では、領主や領主夫人まで居て驚いた。
講師として堂々と皆の前に立つリーマスを見て、とても嬉しい気持ちと羨ましい気持ちが入り混じり、早く自分も妖精と契約したいと強く思った。
危機管理指導講座では、講師である女子学生をバカにしていた役人たちが、逆に無能扱いされ成績を貼り出されて恥をかかされていた。
……覇王講座・・・なんて素晴らしいのだろう!
……本当に完全実力主義で、王子だろうが領主だろうが容赦しないなんて・・・
極め付けが攻撃魔法の訓練だった。
これまで学んできた魔法や魔法陣は全く役に立たず、プライドや固定観念を捨てなければ訓練について行くことさえできない有り様だった。
特に酷かったのが一般魔法省で働いていた魔術師たちで、「貴族部の女子学生如きに指導される必要などない」と豪語したのに、魔法攻撃対決で全く勝てなかった。
「女子学生の足元にも及ばないとは、本当に情けない!」と、講師をしていたマキアート教授に呆れられていた。
学生の中でも群を抜いていたのが、王立高学院特別部隊のメンバーであるルフナやマギ公爵家のエイト君、ワイコリーム公爵家のラリエス君で、王宮で働く魔法師よりも遥かに優れていた。
ルフナや従兄のトーブルの話では、全て覇王様の指導で上達したのだという。
私と弟のレイトルは彼等の姿に奮起し、必ずA級一般魔法師の資格を取ろうと誓いあった。
攻撃魔法を練習する日々の中、毎日が充実して、生きていることが楽しくなった。
そんな時、ライバンの森とリドミウムの森から魔獣の氾濫が始まってしまった。
弟のレイトルは、覇王様の命令でサーシム領に魔獣討伐行ってしまう。
次のサーシム領主になることが決まっているレイトルに、覇王様はいろいろな経験を積ませるおつもりなのだろう。
とても13歳とは思えない思考とカリスマ性、そして圧倒的な強さに私は心酔していく。
ようやくBランク冒険者と同等の攻撃魔法が放てるようになった頃、ヘイズ侯爵から王立高学院特別部隊に救済と救援要請が届いた。
私も一応王族の端くれ、皆が頑張っているのに遊んでいることなどできない。
学院長と王立高学院特別部隊の顧問であるハシム殿に、覇王軍としては無理だから、王立高学院特別部隊の一員として、一緒にヘイズ領へ行かせて欲しいとお願いしてみた。
渋る学院長に「医療班として経験して貰うくらいならいいのでは?」とリーマスが後押ししてくれ、ハシム殿も賛成してくれた。
急いで荷物を準備し、リーマスのマジックバックに収納してもらった。
……私も頑張ったら、マジックバッグを購入させて頂けるだろうか?
覇王軍を指揮するのはマギ公爵家のエイト君で、王立高学院特別部隊を指揮するのは姉のミレーヌさんだ。
学生なのに堂々と皆を率いて指示を出す姿に、凄いと感心しながら自分が恥ずかしくなった。
こうして学生が命懸けで戦っているのに、私はこれまで何をしていたのだろう……何もさせて貰えないと嘆くばかりで、この国の危機を全く見ていなかった。
そしてライバンの森が近付いた時、ヘイズ領に向かって溢れた魔獣が、王都に押し戻されてくるという信じられない報告が、魔獣討伐専門部隊を率いるワイコリーム公爵に届けられた。
いったいどうするのだろうと様子を窺っていると、ワイコリーム公爵が覇王軍と王立高学院特別部隊に、国務大臣として魔獣討伐を依頼していた。
本当に200頭を超える魔獣が王都を襲ったら、大変なことになるだろう。
ヘイズ侯爵の行動は許し難いが、厳しい現実を考えたら戦うしかない。
今回私は医療班の助手として参加している。
だから作戦会議にも参加できないし、最前線で魔獣と戦うこともできない。もどかしいが私には経験がない。
夜になり、学生や魔獣討伐専門部隊のメンバーは、訓練通りにかまくらを作り、自分たちの食事を準備する。手際の良さに感心してしまう。
食事が終わった頃に、マギ公爵が側近を連れ駆け付けてきたが、準備が不十分だと娘のミレーヌさんに叱られていた。
王宮で働く者は、私を含め役に立たない。
翌朝、とうとう魔獣の大群と対峙した。
覇王軍メンバーが遠距離攻撃を放ち、魔獣討伐専門部隊もそれに続く。
見事な連携と大規模攻撃魔法に「凄い!」と、私は感嘆の声を漏らす。
緊張しながらケガ人を待っていると、少しずつケガ人がやって来る。だが大したケガではない。
時々前衛を抜けて魔獣が近付いてきたが、私が出るまでもなく後衛を担当していたミレーヌさんが撃退した。
強い! 妖精と契約するとこれ程強い攻撃ができるのだ。
……本物の戦闘は凄い! 本当に命懸けだ。
……巨大な魔獣に怯むことなく攻撃できる学生を、心から尊敬する。
第五王子リーマスから覇王講座の受講を勧められた私は、勇気を出して弟のレイトル(第四王子)と一緒に王立高学院へと向かった。
久し振りの高学院に少しだけ心が弾む。
各領地の高位貴族や領主一族と机を並べるのかと思うと気が重いが、前向きに考えて頑張ろう。
覇王講座開始前に集められた体育館で、私たちは驚きの情報を聞いた。
叔父であるモーマット学院長によると、覇王様は【覇気】というものを無意識に放たれるそうで、悪意がある者は倒れ伏し、疑う者は腰を抜かし頭を上げられず、信じ従う者でも跪いてしまうのだという。
見るからにヘイズ侯爵派の上級役人たちは、覇王様のことを《平民あがりの王子》とか《自称覇王》だとか《虚言好きな第七王子》などと陰口を叩き、覇王講座に参加させられたことに対し不平不満を漏らしている。
中でも酷いのがデミル領や一般軍の役人たちで、国王が謁見さえ許していない者を王子だとは認められないと、完全に見下す物言いをしていた。
それでも覇王講座を開講しているのだから、国王は第七王子を覇王だと認めているのだろうと考える者の方が多いはずだ。
そして迎えた第一回目の魔法攻撃講座で、私は初めて弟でもある覇王様にお会いし、体が震えた。
覇王様が名乗られた瞬間、ヘイズ侯爵派や覇王様をバカにしていた役人たちが、一斉に地面に倒れ伏し動けなくなった。頭を上げられない者も多数いる。
感動と恐怖と歓喜が入り混じり、自分でも表現するのが難しい……恐らく畏怖の念だと思うのだが、底知れぬ力とオーラに魅了された。
恐怖で戸惑う受講者たちに構うことなく、覇王様はご自分で討伐された魔獣をマジックバッグから取り出された。
こともなさげに取り出されたアイススネークの変異種は、どう見ても10メートルを超えていて完全に化け物だった。
覇気ですっかり恐れをなした者たちは、変異種を見て再び恐怖で顔を引きつらせた。
私も変異種のあまりの大きさと異様さに絶句してしまった。
そして次に参加した妖精学講座では、領主や領主夫人まで居て驚いた。
講師として堂々と皆の前に立つリーマスを見て、とても嬉しい気持ちと羨ましい気持ちが入り混じり、早く自分も妖精と契約したいと強く思った。
危機管理指導講座では、講師である女子学生をバカにしていた役人たちが、逆に無能扱いされ成績を貼り出されて恥をかかされていた。
……覇王講座・・・なんて素晴らしいのだろう!
……本当に完全実力主義で、王子だろうが領主だろうが容赦しないなんて・・・
極め付けが攻撃魔法の訓練だった。
これまで学んできた魔法や魔法陣は全く役に立たず、プライドや固定観念を捨てなければ訓練について行くことさえできない有り様だった。
特に酷かったのが一般魔法省で働いていた魔術師たちで、「貴族部の女子学生如きに指導される必要などない」と豪語したのに、魔法攻撃対決で全く勝てなかった。
「女子学生の足元にも及ばないとは、本当に情けない!」と、講師をしていたマキアート教授に呆れられていた。
学生の中でも群を抜いていたのが、王立高学院特別部隊のメンバーであるルフナやマギ公爵家のエイト君、ワイコリーム公爵家のラリエス君で、王宮で働く魔法師よりも遥かに優れていた。
ルフナや従兄のトーブルの話では、全て覇王様の指導で上達したのだという。
私と弟のレイトルは彼等の姿に奮起し、必ずA級一般魔法師の資格を取ろうと誓いあった。
攻撃魔法を練習する日々の中、毎日が充実して、生きていることが楽しくなった。
そんな時、ライバンの森とリドミウムの森から魔獣の氾濫が始まってしまった。
弟のレイトルは、覇王様の命令でサーシム領に魔獣討伐行ってしまう。
次のサーシム領主になることが決まっているレイトルに、覇王様はいろいろな経験を積ませるおつもりなのだろう。
とても13歳とは思えない思考とカリスマ性、そして圧倒的な強さに私は心酔していく。
ようやくBランク冒険者と同等の攻撃魔法が放てるようになった頃、ヘイズ侯爵から王立高学院特別部隊に救済と救援要請が届いた。
私も一応王族の端くれ、皆が頑張っているのに遊んでいることなどできない。
学院長と王立高学院特別部隊の顧問であるハシム殿に、覇王軍としては無理だから、王立高学院特別部隊の一員として、一緒にヘイズ領へ行かせて欲しいとお願いしてみた。
渋る学院長に「医療班として経験して貰うくらいならいいのでは?」とリーマスが後押ししてくれ、ハシム殿も賛成してくれた。
急いで荷物を準備し、リーマスのマジックバックに収納してもらった。
……私も頑張ったら、マジックバッグを購入させて頂けるだろうか?
覇王軍を指揮するのはマギ公爵家のエイト君で、王立高学院特別部隊を指揮するのは姉のミレーヌさんだ。
学生なのに堂々と皆を率いて指示を出す姿に、凄いと感心しながら自分が恥ずかしくなった。
こうして学生が命懸けで戦っているのに、私はこれまで何をしていたのだろう……何もさせて貰えないと嘆くばかりで、この国の危機を全く見ていなかった。
そしてライバンの森が近付いた時、ヘイズ領に向かって溢れた魔獣が、王都に押し戻されてくるという信じられない報告が、魔獣討伐専門部隊を率いるワイコリーム公爵に届けられた。
いったいどうするのだろうと様子を窺っていると、ワイコリーム公爵が覇王軍と王立高学院特別部隊に、国務大臣として魔獣討伐を依頼していた。
本当に200頭を超える魔獣が王都を襲ったら、大変なことになるだろう。
ヘイズ侯爵の行動は許し難いが、厳しい現実を考えたら戦うしかない。
今回私は医療班の助手として参加している。
だから作戦会議にも参加できないし、最前線で魔獣と戦うこともできない。もどかしいが私には経験がない。
夜になり、学生や魔獣討伐専門部隊のメンバーは、訓練通りにかまくらを作り、自分たちの食事を準備する。手際の良さに感心してしまう。
食事が終わった頃に、マギ公爵が側近を連れ駆け付けてきたが、準備が不十分だと娘のミレーヌさんに叱られていた。
王宮で働く者は、私を含め役に立たない。
翌朝、とうとう魔獣の大群と対峙した。
覇王軍メンバーが遠距離攻撃を放ち、魔獣討伐専門部隊もそれに続く。
見事な連携と大規模攻撃魔法に「凄い!」と、私は感嘆の声を漏らす。
緊張しながらケガ人を待っていると、少しずつケガ人がやって来る。だが大したケガではない。
時々前衛を抜けて魔獣が近付いてきたが、私が出るまでもなく後衛を担当していたミレーヌさんが撃退した。
強い! 妖精と契約するとこれ程強い攻撃ができるのだ。
……本物の戦闘は凄い! 本当に命懸けだ。
……巨大な魔獣に怯むことなく攻撃できる学生を、心から尊敬する。
14
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
宮廷魔術師のお仕事日誌
らる鳥
ファンタジー
宮廷魔術師のお仕事って何だろう?
国王陛下の隣で偉そうに頷いてたら良いのかな。
けれども実際になってみた宮廷魔術師の仕事は思っていたのと全然違って……。
この話は冒険者から宮廷魔術師になった少年が色んな人や事件に振り回されながら、少しずつ成長していくお話です。
古めのファンタジーやTRPGなんかの雰囲気を思い出して書いてみました。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~
udonlevel2
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。
それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。
唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。
だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。
――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。
しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。
自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。
飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。
その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。
無断朗読・無断使用・無断転載禁止。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる