281 / 709
戦いの始まり
154ー2 新たな魔獣の氾濫(7)ー2
しおりを挟む
「私は覇王アコル様の契約妖精エクレア。もしかしてトワは、ドラゴンと話せるの? もしもそうだったら、アコル様とも契約できるかしら?」
エクレアはいつもより強く七色に輝きながら、予想外というかとんでもないことを訊いた。
「我は……昔の力を失くしている。できるか分からない。魔力少ない。ラリエスの魔力……奪うかもしれない。今の我は、光のドラゴン……護れない」
長いこと誰とも契約せず、守るべき主やドラゴンに出会えなかった様子のトワは、すっかり魔力を失っているようで、守護すべきドラゴンを護れないと悲しそうに打ち明けた。
それなら私の魔力を分ければいいと、ラリエスは貰った深紅のドラゴンの心臓の化石を握って魔力を流そうとしたので、俺は慌ててそれを止めた。
「待てラリエス、それじゃあダメだ。ここまで弱っていたら、ラリエスの魔力が枯渇する可能性がある。ちょっと待ってろ」
俺はそう言って、自分のマジックバッグの中に保管してある魔石を思い浮かべた。
そして、ピッタリな魔石があったことを思い出し、「出でよアイススネークの変異種の魔石!」と唱えて、雪のように真っ白に輝く、俺の拳の倍はある大きさの魔石を取り出した。
「これをトワにやろう。この魔石から魔力を吸収してみろ」
全盛期はかなり高い魔力を持っていたはずだから、トワの魔力を貯める器は大きいはずだ。
だから器を満たそうとすると、ラリエスの魔力は枯渇するだろう。
トワは目を見開き、目の前に差し出された大きな魔石を食い入るように見て、本当にいいの?って確認するような視線をエクレアに向けた。
「この魔石ならきっと200くらいの魔力が取り込めるわね。それでも、ここまで弱っていたら、全部は取り込めないと思うわ。
覇王であるアコル様が許可したんだから大丈夫。その魔石はあなたの物よ」
エクレアはにっこりと微笑み、落ち着いて魔力を吸収しなさいねと指示を出した。
トワはそれはそれは嬉しそうに涙を零しながら、俺の掌の上の魔石を大事そうに抱え込んだ。
「アコル様、冒険者たちが到着しました」と、壁の外からボンテンクが声を掛けてきた。
そうだった、これから謎の変異種とホーンブルの群を偵察に行くんだった。
「ラリエスと俺は手が離せなくなったから、ボンテンクとギルマスに指揮を任せる。
もしも敵が襲ってくるようなら、決して無理をするな。1時間以上先に進んでも遭遇しなかったら戻ってこい」
「承知しました」とボンテンクが答えて、俺の話を聞いていたギルマスも「任せてくれ」と大きな声で了解してくれた。
この場に金色のドラゴンが居ることは、南門の見張りが見ていたから知っているはずだけど、ゲイルあたりが金色のドラゴンは味方だと説明してくれたのだろう。
だから冒険者たちは誰も騒がず、中を覗こうともしない。
俺の指示を受け入れ、皆は元気よく出発してくれた。
トワが魔石から魔力を吸収している間、俺とラリエスは北地区の様子を知らせに来たサブギルマスから、被災者たちと街の状況を聞いていた。
エクレアは、覇王である俺のことや契約者であるラリエスについて、出会ってからのあれこれを含めてトワに説明している。
「やはり心配していた通りの体たらく。結局避難所の住民には炊き出しも行われず、救済品を渡した気配もないとは・・・マジックバッグを購入するための条件に違反しています。
【王立高学院特別部隊】に救済を依頼するには、購入したマジックバッグに救済品を用意しておくと、領主には約束させたはずです」
サブギルマスの話を聞いたラリエスは、怒りを通り越して覇王様に対する反意だと言い出した。
【危機管理指導講座】が終了して、まだ10日くらいしか経っていないとはいえ、炊き出しをしないという現状は受け入れがたい。
仮に救済品を準備できていなかったとしても、街の大半は被害に遭っていないのだから、いくらでも食料は調達できたはずだ。
「とりあえず昨日討伐した魔獣の肉を、冒険者ギルドから持って行き、Dランク以下の若い冒険者たちに焼かせています。
うちには大鍋の用意がないので、焼くだけという簡単なことしかできません。避難所には役人の姿さえありませんでした」
避難所の様子を見てきてくれたサブギルマスは、この町の役人は、こんな非常時でも午前8時にならないと働く気がないらしいと溜息を吐いた。
「サブギルマス、申し訳ありませんが、商業ギルドのギルマスかサブギルマスを呼んできてもらえますか?」
俺はサーシム領の役人が救済品を用意しているかどうかを確認するため、商業ギルドのギルマスを呼び出すことにした。
サブギルマスは、直ぐに連れてきますと了承し城壁の中に戻っていった。
最悪の場合、商業ギルドに救済品を準備させることになるだろうが、【王立高学院特別部隊】は銅貨1枚たりともお金を出す気はない。
ここは領主の本気を見せて貰って、信用する価値もないと判断したら、2度とサーシム領には救援にも救済にも来ないと、領民の前で宣言することにしよう。
覇王である俺がサーシム領を見捨てることになれば、冒険者ギルドも商業ギルドも撤退するかもしれない。
そうなれば、冒険者や商人はサーシム領から出ていくだろう。
果たして、そのことに気付ける側近や役人が居るかどうか・・・
「ここまで王の権威が失墜していたとは・・・」
ワイコリーム公爵家の嫡男であるラリエスは、そう呟いて深く息を吐きだした。
ラリエスによると、先月国王は、真摯に魔獣の氾濫に備えない領主は、大臣や副大臣の職を罷免すると通達を出したそうだ。
それなのにサーシム侯爵の態度は、大臣を罷免されることを恐れていないとしか思えないと、呆れたように首を横に振る。
「そうじゃないさラリエス。
ドラゴンに襲われた領民を見殺しにしても、国王は大臣を副大臣にしただけで罷免出来なかった。
マジックバッグを購入しなければ【王立高学院特別部隊】は派遣されないと分かっていても、購入しなかった領主に罰も与えていない。
そもそも、自分を毒殺しようとした王妃さえ処罰していない。
領主たちは知っているのさ。国王は何もできないのだと」
「・・・・・」
俺の話を聞いたラリエスは、何も言葉を返さなかった。
エクレアはいつもより強く七色に輝きながら、予想外というかとんでもないことを訊いた。
「我は……昔の力を失くしている。できるか分からない。魔力少ない。ラリエスの魔力……奪うかもしれない。今の我は、光のドラゴン……護れない」
長いこと誰とも契約せず、守るべき主やドラゴンに出会えなかった様子のトワは、すっかり魔力を失っているようで、守護すべきドラゴンを護れないと悲しそうに打ち明けた。
それなら私の魔力を分ければいいと、ラリエスは貰った深紅のドラゴンの心臓の化石を握って魔力を流そうとしたので、俺は慌ててそれを止めた。
「待てラリエス、それじゃあダメだ。ここまで弱っていたら、ラリエスの魔力が枯渇する可能性がある。ちょっと待ってろ」
俺はそう言って、自分のマジックバッグの中に保管してある魔石を思い浮かべた。
そして、ピッタリな魔石があったことを思い出し、「出でよアイススネークの変異種の魔石!」と唱えて、雪のように真っ白に輝く、俺の拳の倍はある大きさの魔石を取り出した。
「これをトワにやろう。この魔石から魔力を吸収してみろ」
全盛期はかなり高い魔力を持っていたはずだから、トワの魔力を貯める器は大きいはずだ。
だから器を満たそうとすると、ラリエスの魔力は枯渇するだろう。
トワは目を見開き、目の前に差し出された大きな魔石を食い入るように見て、本当にいいの?って確認するような視線をエクレアに向けた。
「この魔石ならきっと200くらいの魔力が取り込めるわね。それでも、ここまで弱っていたら、全部は取り込めないと思うわ。
覇王であるアコル様が許可したんだから大丈夫。その魔石はあなたの物よ」
エクレアはにっこりと微笑み、落ち着いて魔力を吸収しなさいねと指示を出した。
トワはそれはそれは嬉しそうに涙を零しながら、俺の掌の上の魔石を大事そうに抱え込んだ。
「アコル様、冒険者たちが到着しました」と、壁の外からボンテンクが声を掛けてきた。
そうだった、これから謎の変異種とホーンブルの群を偵察に行くんだった。
「ラリエスと俺は手が離せなくなったから、ボンテンクとギルマスに指揮を任せる。
もしも敵が襲ってくるようなら、決して無理をするな。1時間以上先に進んでも遭遇しなかったら戻ってこい」
「承知しました」とボンテンクが答えて、俺の話を聞いていたギルマスも「任せてくれ」と大きな声で了解してくれた。
この場に金色のドラゴンが居ることは、南門の見張りが見ていたから知っているはずだけど、ゲイルあたりが金色のドラゴンは味方だと説明してくれたのだろう。
だから冒険者たちは誰も騒がず、中を覗こうともしない。
俺の指示を受け入れ、皆は元気よく出発してくれた。
トワが魔石から魔力を吸収している間、俺とラリエスは北地区の様子を知らせに来たサブギルマスから、被災者たちと街の状況を聞いていた。
エクレアは、覇王である俺のことや契約者であるラリエスについて、出会ってからのあれこれを含めてトワに説明している。
「やはり心配していた通りの体たらく。結局避難所の住民には炊き出しも行われず、救済品を渡した気配もないとは・・・マジックバッグを購入するための条件に違反しています。
【王立高学院特別部隊】に救済を依頼するには、購入したマジックバッグに救済品を用意しておくと、領主には約束させたはずです」
サブギルマスの話を聞いたラリエスは、怒りを通り越して覇王様に対する反意だと言い出した。
【危機管理指導講座】が終了して、まだ10日くらいしか経っていないとはいえ、炊き出しをしないという現状は受け入れがたい。
仮に救済品を準備できていなかったとしても、街の大半は被害に遭っていないのだから、いくらでも食料は調達できたはずだ。
「とりあえず昨日討伐した魔獣の肉を、冒険者ギルドから持って行き、Dランク以下の若い冒険者たちに焼かせています。
うちには大鍋の用意がないので、焼くだけという簡単なことしかできません。避難所には役人の姿さえありませんでした」
避難所の様子を見てきてくれたサブギルマスは、この町の役人は、こんな非常時でも午前8時にならないと働く気がないらしいと溜息を吐いた。
「サブギルマス、申し訳ありませんが、商業ギルドのギルマスかサブギルマスを呼んできてもらえますか?」
俺はサーシム領の役人が救済品を用意しているかどうかを確認するため、商業ギルドのギルマスを呼び出すことにした。
サブギルマスは、直ぐに連れてきますと了承し城壁の中に戻っていった。
最悪の場合、商業ギルドに救済品を準備させることになるだろうが、【王立高学院特別部隊】は銅貨1枚たりともお金を出す気はない。
ここは領主の本気を見せて貰って、信用する価値もないと判断したら、2度とサーシム領には救援にも救済にも来ないと、領民の前で宣言することにしよう。
覇王である俺がサーシム領を見捨てることになれば、冒険者ギルドも商業ギルドも撤退するかもしれない。
そうなれば、冒険者や商人はサーシム領から出ていくだろう。
果たして、そのことに気付ける側近や役人が居るかどうか・・・
「ここまで王の権威が失墜していたとは・・・」
ワイコリーム公爵家の嫡男であるラリエスは、そう呟いて深く息を吐きだした。
ラリエスによると、先月国王は、真摯に魔獣の氾濫に備えない領主は、大臣や副大臣の職を罷免すると通達を出したそうだ。
それなのにサーシム侯爵の態度は、大臣を罷免されることを恐れていないとしか思えないと、呆れたように首を横に振る。
「そうじゃないさラリエス。
ドラゴンに襲われた領民を見殺しにしても、国王は大臣を副大臣にしただけで罷免出来なかった。
マジックバッグを購入しなければ【王立高学院特別部隊】は派遣されないと分かっていても、購入しなかった領主に罰も与えていない。
そもそも、自分を毒殺しようとした王妃さえ処罰していない。
領主たちは知っているのさ。国王は何もできないのだと」
「・・・・・」
俺の話を聞いたラリエスは、何も言葉を返さなかった。
3
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
宮廷魔術師のお仕事日誌
らる鳥
ファンタジー
宮廷魔術師のお仕事って何だろう?
国王陛下の隣で偉そうに頷いてたら良いのかな。
けれども実際になってみた宮廷魔術師の仕事は思っていたのと全然違って……。
この話は冒険者から宮廷魔術師になった少年が色んな人や事件に振り回されながら、少しずつ成長していくお話です。
古めのファンタジーやTRPGなんかの雰囲気を思い出して書いてみました。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~
udonlevel2
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。
それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。
唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。
だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。
――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。
しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。
自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。
飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。
その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。
無断朗読・無断使用・無断転載禁止。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる