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指導者たち
140ー1 クラス対抗戦後期(1)ー1
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◇◇ 従者 エイト ◇◇
今日は待ちに待ったC級・B級魔術師資格取得試験だ。
明日はA級作業魔法師以上の試験が行われるため、学生は休みとなる。
試験結果がクラス対抗戦に組み込まれたことで、全学生が強制参加することになった。
貴族部や商学部の1年生は、筆記試験だけ挑戦する者が多いようだが、2年生以上は鬼気迫る感じで目が血走っている。
アコル様が卒業資格としてC級魔術師を加えられたので、何が何でも合格しなければと頑張っているのだ。
アコル様が覇王だと名乗られた直後は、納得して従う者と戸惑っている者とに分かれたが、多くのヘイズ侯爵派の学生が自主退学したり休学したため、学院内の意識は思っていたより早く、覇王様に恭順の意を表す者が主流となった。
あれだけアコル様を見下していた教師たちが、倒れ伏したことにより覇王様と呼ぶこと以外認められなくなり保身に走った結果、表向き学院内は覇王様が完全掌握した形になった。
そして今では、「俺は覇王様と同期なんだ」とか「覇王様とは学友ですの」とか「覇王様から直接ご指導いただいている」などと、学院の外で自慢できる立場だと気付き得意顔だ。
まあ、元々アコル様は身分で態度を変える学生ではなかったし、上位貴族に媚びることも、すり寄ることもなかった。
身分ではなく完全実力主義を掲げていたので、覇王としてのアコル様と懇意になりたいと思っても、実力がなければ話し掛けることさえできない。
そもそも、従者である俺や執行部が脇を固めているから、近付くことも出来ないだろう。
午前中はC級魔術師の筆記試験と、C級魔術師の実技試験を受ける。
学生の受験者が倍増したので、実技試験会場は2箇所に分けられ、学生は大演習場を使うことになった。
試験官は、魔法省の国家認定A級作業魔法師数人と、王立高学院魔法部の教授だ。
今日は特別に、魔法省大臣マリード侯爵も試験官として立ち会われる。
C級魔術師の実技試験に臨む学生を見ると、貴族部1・2年の男子学生の姿は少ないが、女子は全学部の多くの者が実技試験に挑戦するようだ。
今回合格できなくても、8月の試験には合格するんだという意気込みが素晴らしい。
一番気合が入っているのは、特務部の2年生だ。
新しくできた【魔獣討伐専門部隊】に就職するのだと、それこそ死に物狂いで魔法陣を発動させていた。
今回の実技試験も、従来通りに詠唱する魔法陣の発動方法でなければ合格できない。
アコル様が新しく構築された無詠唱で発動できる魔法陣は、基礎をしっかり学んでC級魔術師に合格した者だけが使用を認められることになった。
特務部の学生も、現在【魔獣討伐専門部隊 軍部】で働いている者も、それこそ必死で勉強した。
C級魔術師に合格さえすれば、魔法陣の暗記をしなくても無詠唱で魔法陣を発動できるのだ。
生き残るためにも、楽をするためにも、合格を勝ち取らねばならない。
俺たち執行部は全員いろいろな段取りがあるので、試験を受ける順番を始めの方にしてもらった。
俺が一番で次がラリエス、そしてルフナ王子の次がアコル様だ。
サクッと午前のC級魔術師試験に合格して、午後やってくる予定の第一王子マロウと、ヘイズ侯爵を出迎える準備をする。
この二人の対応は、王族である学院長がする予定だ。
予想を裏切らないマロウ王子とヘイズ侯爵は、何度もアコル様を王城に呼び出す書簡を送りつけてきているらしい。
当然ながら秘書の二人は、アコル様に見せることなく送り返している。
アホな二人に出会わないよう、午後から行うB級作業魔術師試験は二部制にしてあった。
執行部や【王立高学院特別部隊】のメンバーで、B級作業魔術師を受験する者は全員、昼食後直ぐにマキアート教授の研究室隣の演習場で試験に挑んだ。
そして二部からが、見学してもOKな一般人も含めた試験となる。
今回は第一王子と魔法省の大臣と副大臣を招いての試験だと公表されたので、受験者の付き添いが多く、試験開始前から大演習場の観覧席は大入り満員となった。
「マロウ王子は、何故あのように大人数の側近を連れて来たのでしょう?」
アコル様は、来賓席とは演習場を挟んで対面側のベンチ席後方で、隣に座っているマリード侯爵の長男でありノエル様の父親であるハシム様に質問された。
「アコル様、あの方は、上位貴族の側近の数が多い者が、次の王に相応しいという持論をお持ちだそうです。
優秀な側近……という訳ではなく、今のところ集めた者は、全員ヘイズ侯爵派ですね」
ハシム様が何処かバカにした感じの言い方をしているので、優秀さではなく、本当に数で勝負をしているようだ。
「それから今朝、娘のノエルに隣の席を空けておくという内容の手紙が、あの方から届いたそうです。
しかし娘は不敬にも、瞬時に手紙を破り捨て、午後から商業ギルド本部に出掛けてしまいました」
ハシム様は困った娘ですと言いなが、にっこり黒く微笑んだ。
「ノエル様は【王立高学院特別部隊】を率いるリーダーであり、隊服の責任者ですから、とてもお忙しいので必要のない面会は断って当然です。
C級魔術師にも合格されましたし、私の姉も商業ギルド本部に同行したので、今頃は各仕立て屋から提出された隊服見本を、大騒ぎで確認していると思います」
出来上がった隊服見本を見たり試着したりして、はしゃいでいる姿が俺には想像できる。
うちの姉ミレーヌは、マロウ王子を見ると扇子ではたきたくなると、物騒なことを言っていた。
商業ギルド本部に行ってくれて、俺は心底ホッとした。
今日は待ちに待ったC級・B級魔術師資格取得試験だ。
明日はA級作業魔法師以上の試験が行われるため、学生は休みとなる。
試験結果がクラス対抗戦に組み込まれたことで、全学生が強制参加することになった。
貴族部や商学部の1年生は、筆記試験だけ挑戦する者が多いようだが、2年生以上は鬼気迫る感じで目が血走っている。
アコル様が卒業資格としてC級魔術師を加えられたので、何が何でも合格しなければと頑張っているのだ。
アコル様が覇王だと名乗られた直後は、納得して従う者と戸惑っている者とに分かれたが、多くのヘイズ侯爵派の学生が自主退学したり休学したため、学院内の意識は思っていたより早く、覇王様に恭順の意を表す者が主流となった。
あれだけアコル様を見下していた教師たちが、倒れ伏したことにより覇王様と呼ぶこと以外認められなくなり保身に走った結果、表向き学院内は覇王様が完全掌握した形になった。
そして今では、「俺は覇王様と同期なんだ」とか「覇王様とは学友ですの」とか「覇王様から直接ご指導いただいている」などと、学院の外で自慢できる立場だと気付き得意顔だ。
まあ、元々アコル様は身分で態度を変える学生ではなかったし、上位貴族に媚びることも、すり寄ることもなかった。
身分ではなく完全実力主義を掲げていたので、覇王としてのアコル様と懇意になりたいと思っても、実力がなければ話し掛けることさえできない。
そもそも、従者である俺や執行部が脇を固めているから、近付くことも出来ないだろう。
午前中はC級魔術師の筆記試験と、C級魔術師の実技試験を受ける。
学生の受験者が倍増したので、実技試験会場は2箇所に分けられ、学生は大演習場を使うことになった。
試験官は、魔法省の国家認定A級作業魔法師数人と、王立高学院魔法部の教授だ。
今日は特別に、魔法省大臣マリード侯爵も試験官として立ち会われる。
C級魔術師の実技試験に臨む学生を見ると、貴族部1・2年の男子学生の姿は少ないが、女子は全学部の多くの者が実技試験に挑戦するようだ。
今回合格できなくても、8月の試験には合格するんだという意気込みが素晴らしい。
一番気合が入っているのは、特務部の2年生だ。
新しくできた【魔獣討伐専門部隊】に就職するのだと、それこそ死に物狂いで魔法陣を発動させていた。
今回の実技試験も、従来通りに詠唱する魔法陣の発動方法でなければ合格できない。
アコル様が新しく構築された無詠唱で発動できる魔法陣は、基礎をしっかり学んでC級魔術師に合格した者だけが使用を認められることになった。
特務部の学生も、現在【魔獣討伐専門部隊 軍部】で働いている者も、それこそ必死で勉強した。
C級魔術師に合格さえすれば、魔法陣の暗記をしなくても無詠唱で魔法陣を発動できるのだ。
生き残るためにも、楽をするためにも、合格を勝ち取らねばならない。
俺たち執行部は全員いろいろな段取りがあるので、試験を受ける順番を始めの方にしてもらった。
俺が一番で次がラリエス、そしてルフナ王子の次がアコル様だ。
サクッと午前のC級魔術師試験に合格して、午後やってくる予定の第一王子マロウと、ヘイズ侯爵を出迎える準備をする。
この二人の対応は、王族である学院長がする予定だ。
予想を裏切らないマロウ王子とヘイズ侯爵は、何度もアコル様を王城に呼び出す書簡を送りつけてきているらしい。
当然ながら秘書の二人は、アコル様に見せることなく送り返している。
アホな二人に出会わないよう、午後から行うB級作業魔術師試験は二部制にしてあった。
執行部や【王立高学院特別部隊】のメンバーで、B級作業魔術師を受験する者は全員、昼食後直ぐにマキアート教授の研究室隣の演習場で試験に挑んだ。
そして二部からが、見学してもOKな一般人も含めた試験となる。
今回は第一王子と魔法省の大臣と副大臣を招いての試験だと公表されたので、受験者の付き添いが多く、試験開始前から大演習場の観覧席は大入り満員となった。
「マロウ王子は、何故あのように大人数の側近を連れて来たのでしょう?」
アコル様は、来賓席とは演習場を挟んで対面側のベンチ席後方で、隣に座っているマリード侯爵の長男でありノエル様の父親であるハシム様に質問された。
「アコル様、あの方は、上位貴族の側近の数が多い者が、次の王に相応しいという持論をお持ちだそうです。
優秀な側近……という訳ではなく、今のところ集めた者は、全員ヘイズ侯爵派ですね」
ハシム様が何処かバカにした感じの言い方をしているので、優秀さではなく、本当に数で勝負をしているようだ。
「それから今朝、娘のノエルに隣の席を空けておくという内容の手紙が、あの方から届いたそうです。
しかし娘は不敬にも、瞬時に手紙を破り捨て、午後から商業ギルド本部に出掛けてしまいました」
ハシム様は困った娘ですと言いなが、にっこり黒く微笑んだ。
「ノエル様は【王立高学院特別部隊】を率いるリーダーであり、隊服の責任者ですから、とてもお忙しいので必要のない面会は断って当然です。
C級魔術師にも合格されましたし、私の姉も商業ギルド本部に同行したので、今頃は各仕立て屋から提出された隊服見本を、大騒ぎで確認していると思います」
出来上がった隊服見本を見たり試着したりして、はしゃいでいる姿が俺には想像できる。
うちの姉ミレーヌは、マロウ王子を見ると扇子ではたきたくなると、物騒なことを言っていた。
商業ギルド本部に行ってくれて、俺は心底ホッとした。
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