233 / 709
魔王と覇王
130ー2 対立する思考(1)ー2
しおりを挟む
◇◇ マルク人事部長 ◇◇
いよいよアコル様から命じられた【覇王便り】の印刷を開始する。
印刷するのはモンブラン商会傘下のエイドリック印刷で、息子のイーサンはアコル様のクラスメートだ。情報が洩れる心配はない。
印刷内容を見た店主のエイドリックは、息子から聞いていた学友が覇王様だと知り絶句したが、直ぐに光栄なことですと言って喜んだ。
俺はアコルという少年を、前々から異質で特異な子供だと思っていたけど、まさかの王子で覇王様だ。
ブラックカード持ちの冒険者だと聞いた時も耳を疑ったが、1年で自分の店をレッドカードにした話には、開いた口が塞がらなかった。
確かに覇王様が、第一王子のように悪評高く弱かったら絶望的だ。
他の王子と比べて考えれば、文句の付け様もない程に理想的な覇王様だと思う。
ただ、10歳の頃から知っているだけに、俺には多少戸惑いもある。
思い返せば、本店に来るなり事件に巻き込まれ、あっさり自分で解決した。
妖精と契約したことで旅に出て、帰ってくるなり王立高学院の入試で最高点を取った。
そして入学後は、平民の身分のまま怒濤の如く高学院改革を開始した。
救済活動を指揮し、妖精学講座で教鞭を執り、王立高学院特別部隊を立ち上げた。
……冷静に考えれば、ただの平民に出来ることじゃないし、どれも普通の貴族の思考からかけ離れていた。全ては覇王として、必要な下準備だったのだ。
最も驚くのが、覇王の活動資金を自分で調達できることだ。
そもそもあのマジックバッグは、全属性がないと作れないらしい。
学院の教授二人が挑戦したが、魔法陣がうまく起動しないばかりか、ごっそり魔力を吸い取られ意識を失いかけたという。恐ろしい話だ。
国の資金を動かさないから文句も出ないし、勝手に活動できる。
だが、国金を使わず覇王様個人が全てを負担するのは納得できない。
それだけ国に資金が無いのか、出さないと分かっているのか、どちらにしても他国が聞いたら呆れる話だ。
下手をしたら、こんな無責任な国に覇王様を置いておけないってことになり兼ねない。
アコル様は、全てを自分でやろうとするので危ういところがある。
様々な手配は周囲を巻き込んで協力させていらっしゃるが、肝心な部分で国の重要人物が関わっていないところが心配だ。
確かに王宮と関われば、大きな顔をされ四の五の言われ、動くのに時間がかかる上に、覇王様の指示に従うかどうかも分からないというデメリットもある。
だが、トーマス王子や学院長だけでは、王宮内を纏めることは出来ないだろう。
国務大臣であるワイコリーム公爵が覇王様の側近になられたようだが、ワイコリーム公爵は政治経験がまだ浅い。
……下手をすると、覇王様は国と対立してしまうかもしれない。
……いや、だからこその民心か・・・
刷り上がった【覇王便り】を確認し、支店の商会員や傘下の商店や商団を使って、上級地区以外の王都中の掲示板や各ギルドに、手分けして貼っていかねばならない。
俺が担当するのは各ギルドの窓口だ。
情報操作は俺が得意とする分野であり、俺を指名してくださったアコル様の期待に添えるよう、全力でことにあたり民心を覇王様に向けて見せる。
【 覇 王 便 り 】
今代の覇王アコル様は、王立高学院の学生である。
覇王アコル様は、民をドラゴンや魔獣から救うため、初代覇王様の遺言通り、王子として王宮の外でお生まれになり、平民として成長された。
覇王アコル様は、【王立高学院特別部隊】をつくり、この度新たに【覇王軍】をつくられる。
【王立高学院特別部隊】も【覇王軍】も、民を救う活動をすることが目的であるため、王城や上級地区が魔獣に襲われたとしても、救済活動をすることはない。
王族や上級貴族は、その身分に相応しい魔力量や資金を持っており、自らを守る魔法攻撃や魔法陣を使うことが出来る。
よって、救済の必要はないと断言された。
王都がドラゴンや魔獣に襲撃された時は、【王立高学院特別部隊】の指示に従い退避し、余力のある者は救済活動を手伝って欲しいと望まれている。
覇王アコル様は生まれて間もなく、悪意ある者によって孤児院に捨てられ、命を狙われた。
心優しき善意の養父母に引き取られ、平民として育ったが、覇王としての資質を自ら開花させ、Sランク冒険者として何度も魔獣の変異種を討伐されている。
覇王アコル様は、仲間と力を合わせてドラゴンや魔獣を倒し、多くの民を救いたいと願っておられる。
***** 覇王様を応援する有志の会 *****
何度読んでも、王族や上位貴族は、自分の身は自分で守れ!という内容だ。
これから一波乱も二波乱もあるだろう。
覇王様を応援する有志の会のメンバーは、今のところ商業ギルドと冒険者ギルドの責任者とモンブラン商会だが、この【覇王便り】を見たら、有志の会に入りたがる商会や有力者が、うちの商会や、覇王様の執務室に押し寄せるだろう。
自分が優先的に助かりたい者や、名誉を得たいと考える者、また、利に聡い者は時代の流れに遅れを取らないよう動き始めるはずだ。
王都民を味方につけ協力させた場合、物資も人も直ぐに集まるし、平民として育ったアコル様の人気は絶大なものになるだろう。
覇王様が、トップダウンで決定することが出来るメリットは大きい。
あの整った容姿とカリスマ性をもってすれば、王都民はアコル様を絶対に支持してくれる。
そのための布石は救済活動で打ってある。
話は逸れるが、うちの会頭はアコル様と初めて会った時、「私は彼の中に王の気を見た」と仰り、来年高学院を受験したら合格するだろうと、10歳の少年だったアコル様を評価しておられた。
今にして思えば、さすが【鬼の心眼持ち】と言われる会頭だと納得できる。
モンブラン商会が得た利益は計り知れない。
さて、ここからが私の腕の見せ所だ。
【覇王便り】に加えて、様々な噂を王都中にばら撒いていこう。
①今代の覇王様は、父親を魔獣の変異種に殺され、母親や妹を助けるため9歳の時に商団で働き始めた親孝行者である。
②最高得点で入学したけど、高学院では平民として在学されている。
③ミルクナの町でスノーウルフの変異種を討伐し、ドナセ大河に現れた10メートル越えのアイススネークの変異種も討伐した、ブラックカード持ちの冒険者である。
④懸命に働いて貯めた自分のお金を、サナへ領の救済活動で使われた【王立高学院特別部隊】のリーダーでもある。
⑤覇王アコル様は、国王より身分が上の覇王だから、王や王権には全く興味もなく、コルランドル王国以外の国に、魔獣の大氾濫が起こることを懸念されている。
これくらいの噂をばら撒いておけば、覇王様を国王に!とかって騒ぎそうな下級貴族や中級貴族を、ある程度は牽制できるだろう。
あの連中は、自分の爵位を上げるためなら、なり振り構わないところがある。
図々しくも、覇王様にお味方しますとか、覇王様のお力になりますとか言って、面会を求めたり手紙を送ってきたりする姿が目に浮かぶ。
まあ覇王様の秘書は、うちの商会の庶務課の選り抜きだし、面会希望者を最初に選別するのは、うちの商会の警備隊長だから問題ないだろう。
ベニエとシャルロットの二人なら、アコル様に害する者や、利を得ようと近付く貴族を蹴散らしてくれるだろう。
なにせアコル様がうちの商会に来られた時から、可愛い弟認定していたからな。嫁に行くのが一段と遅れそうだが、笑って問題ないですわと言いそうだ。
よし、今日中に【覇王便り】を貼り終え、噂を拡げた頃合いを見て、高学院に報告に行こう。
覇王様の執務室で、アコル様にお会いするのが楽しみだ。
いよいよアコル様から命じられた【覇王便り】の印刷を開始する。
印刷するのはモンブラン商会傘下のエイドリック印刷で、息子のイーサンはアコル様のクラスメートだ。情報が洩れる心配はない。
印刷内容を見た店主のエイドリックは、息子から聞いていた学友が覇王様だと知り絶句したが、直ぐに光栄なことですと言って喜んだ。
俺はアコルという少年を、前々から異質で特異な子供だと思っていたけど、まさかの王子で覇王様だ。
ブラックカード持ちの冒険者だと聞いた時も耳を疑ったが、1年で自分の店をレッドカードにした話には、開いた口が塞がらなかった。
確かに覇王様が、第一王子のように悪評高く弱かったら絶望的だ。
他の王子と比べて考えれば、文句の付け様もない程に理想的な覇王様だと思う。
ただ、10歳の頃から知っているだけに、俺には多少戸惑いもある。
思い返せば、本店に来るなり事件に巻き込まれ、あっさり自分で解決した。
妖精と契約したことで旅に出て、帰ってくるなり王立高学院の入試で最高点を取った。
そして入学後は、平民の身分のまま怒濤の如く高学院改革を開始した。
救済活動を指揮し、妖精学講座で教鞭を執り、王立高学院特別部隊を立ち上げた。
……冷静に考えれば、ただの平民に出来ることじゃないし、どれも普通の貴族の思考からかけ離れていた。全ては覇王として、必要な下準備だったのだ。
最も驚くのが、覇王の活動資金を自分で調達できることだ。
そもそもあのマジックバッグは、全属性がないと作れないらしい。
学院の教授二人が挑戦したが、魔法陣がうまく起動しないばかりか、ごっそり魔力を吸い取られ意識を失いかけたという。恐ろしい話だ。
国の資金を動かさないから文句も出ないし、勝手に活動できる。
だが、国金を使わず覇王様個人が全てを負担するのは納得できない。
それだけ国に資金が無いのか、出さないと分かっているのか、どちらにしても他国が聞いたら呆れる話だ。
下手をしたら、こんな無責任な国に覇王様を置いておけないってことになり兼ねない。
アコル様は、全てを自分でやろうとするので危ういところがある。
様々な手配は周囲を巻き込んで協力させていらっしゃるが、肝心な部分で国の重要人物が関わっていないところが心配だ。
確かに王宮と関われば、大きな顔をされ四の五の言われ、動くのに時間がかかる上に、覇王様の指示に従うかどうかも分からないというデメリットもある。
だが、トーマス王子や学院長だけでは、王宮内を纏めることは出来ないだろう。
国務大臣であるワイコリーム公爵が覇王様の側近になられたようだが、ワイコリーム公爵は政治経験がまだ浅い。
……下手をすると、覇王様は国と対立してしまうかもしれない。
……いや、だからこその民心か・・・
刷り上がった【覇王便り】を確認し、支店の商会員や傘下の商店や商団を使って、上級地区以外の王都中の掲示板や各ギルドに、手分けして貼っていかねばならない。
俺が担当するのは各ギルドの窓口だ。
情報操作は俺が得意とする分野であり、俺を指名してくださったアコル様の期待に添えるよう、全力でことにあたり民心を覇王様に向けて見せる。
【 覇 王 便 り 】
今代の覇王アコル様は、王立高学院の学生である。
覇王アコル様は、民をドラゴンや魔獣から救うため、初代覇王様の遺言通り、王子として王宮の外でお生まれになり、平民として成長された。
覇王アコル様は、【王立高学院特別部隊】をつくり、この度新たに【覇王軍】をつくられる。
【王立高学院特別部隊】も【覇王軍】も、民を救う活動をすることが目的であるため、王城や上級地区が魔獣に襲われたとしても、救済活動をすることはない。
王族や上級貴族は、その身分に相応しい魔力量や資金を持っており、自らを守る魔法攻撃や魔法陣を使うことが出来る。
よって、救済の必要はないと断言された。
王都がドラゴンや魔獣に襲撃された時は、【王立高学院特別部隊】の指示に従い退避し、余力のある者は救済活動を手伝って欲しいと望まれている。
覇王アコル様は生まれて間もなく、悪意ある者によって孤児院に捨てられ、命を狙われた。
心優しき善意の養父母に引き取られ、平民として育ったが、覇王としての資質を自ら開花させ、Sランク冒険者として何度も魔獣の変異種を討伐されている。
覇王アコル様は、仲間と力を合わせてドラゴンや魔獣を倒し、多くの民を救いたいと願っておられる。
***** 覇王様を応援する有志の会 *****
何度読んでも、王族や上位貴族は、自分の身は自分で守れ!という内容だ。
これから一波乱も二波乱もあるだろう。
覇王様を応援する有志の会のメンバーは、今のところ商業ギルドと冒険者ギルドの責任者とモンブラン商会だが、この【覇王便り】を見たら、有志の会に入りたがる商会や有力者が、うちの商会や、覇王様の執務室に押し寄せるだろう。
自分が優先的に助かりたい者や、名誉を得たいと考える者、また、利に聡い者は時代の流れに遅れを取らないよう動き始めるはずだ。
王都民を味方につけ協力させた場合、物資も人も直ぐに集まるし、平民として育ったアコル様の人気は絶大なものになるだろう。
覇王様が、トップダウンで決定することが出来るメリットは大きい。
あの整った容姿とカリスマ性をもってすれば、王都民はアコル様を絶対に支持してくれる。
そのための布石は救済活動で打ってある。
話は逸れるが、うちの会頭はアコル様と初めて会った時、「私は彼の中に王の気を見た」と仰り、来年高学院を受験したら合格するだろうと、10歳の少年だったアコル様を評価しておられた。
今にして思えば、さすが【鬼の心眼持ち】と言われる会頭だと納得できる。
モンブラン商会が得た利益は計り知れない。
さて、ここからが私の腕の見せ所だ。
【覇王便り】に加えて、様々な噂を王都中にばら撒いていこう。
①今代の覇王様は、父親を魔獣の変異種に殺され、母親や妹を助けるため9歳の時に商団で働き始めた親孝行者である。
②最高得点で入学したけど、高学院では平民として在学されている。
③ミルクナの町でスノーウルフの変異種を討伐し、ドナセ大河に現れた10メートル越えのアイススネークの変異種も討伐した、ブラックカード持ちの冒険者である。
④懸命に働いて貯めた自分のお金を、サナへ領の救済活動で使われた【王立高学院特別部隊】のリーダーでもある。
⑤覇王アコル様は、国王より身分が上の覇王だから、王や王権には全く興味もなく、コルランドル王国以外の国に、魔獣の大氾濫が起こることを懸念されている。
これくらいの噂をばら撒いておけば、覇王様を国王に!とかって騒ぎそうな下級貴族や中級貴族を、ある程度は牽制できるだろう。
あの連中は、自分の爵位を上げるためなら、なり振り構わないところがある。
図々しくも、覇王様にお味方しますとか、覇王様のお力になりますとか言って、面会を求めたり手紙を送ってきたりする姿が目に浮かぶ。
まあ覇王様の秘書は、うちの商会の庶務課の選り抜きだし、面会希望者を最初に選別するのは、うちの商会の警備隊長だから問題ないだろう。
ベニエとシャルロットの二人なら、アコル様に害する者や、利を得ようと近付く貴族を蹴散らしてくれるだろう。
なにせアコル様がうちの商会に来られた時から、可愛い弟認定していたからな。嫁に行くのが一段と遅れそうだが、笑って問題ないですわと言いそうだ。
よし、今日中に【覇王便り】を貼り終え、噂を拡げた頃合いを見て、高学院に報告に行こう。
覇王様の執務室で、アコル様にお会いするのが楽しみだ。
5
お気に入りに追加
312
あなたにおすすめの小説
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~
灯乃
ファンタジー
幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。
「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」
「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」
最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~
クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。
だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。
リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。
だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。
あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。
そして身体の所有権が俺に移る。
リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。
よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。
お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。
お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう!
味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。
絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ!
そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる