165 / 709
商人魔王
96ー2 商人ですが何か?(3)ー2
しおりを挟む
そして午後1時、西地区の被災者の約半数を引き連れて、【王立高学院特別部隊】の全員が役場前に集結した。
連れてきた被災者は女性や子供や老人で、成人男性は炊き出しを食べ、引き続きご遺体の埋葬作業をしてくれている。
俺たちを襲撃した3人は、【私たちは副役場長と住民管理部長の命令で、救済活動に来ていた学生を襲撃し大ケガを負わせました】と書かれた立て札の横で、グルグル巻きにされ転がされていた。
「西地区の被災者の皆さん、これが最後の炊き出しです。
夕食は食べられないかもしれないので、しっかり食べてくださいね。
私たちは、皆さんを救うためにこの町に来ましたが、大事な仲間を暴漢に襲われてしまいました。
残念ですけど……この炊き出しを最後の救済活動とし、モカの町から撤退いたします」
それはそれは残念そうに大きな声で話し掛けているのは、美人のエリザーテさんだ。
「ごめんなさいね。全ては副役場長のせいなの」としっかり付け加える。
何事だろうかと役場前に集まってきたモカの町の住民は、超美人のエリザーテさんの話を聞いて足を止める。
そして立て札と縛られた3人をじっと見て、怒りで顔をしかめる。
「お姉ちゃん、あたしたちは今夜は何処で寝たらいいの?」
「もうご飯は食べられない? 僕、頑張って薪を集めるよ?」
「お父さんもお母さんも死んじゃった……お金もないのに帰っちゃうの?」
「暖かいスノーウルフの毛皮を貸してくれてありがとう。食べたらお返しします」
「毛布もお返ししなきゃいけませんよね? せめてこの子が凍えて死なないよう、もう少し貸して頂けないでしょうか?」
炊き出しのスープが配られる前に、【薬種 命の輝き】で店番をしていたラノーブや姉のシルクーネ先輩に、被災者たちが涙ながらに自分の惨状を訴えている。
「申し訳ありません。
簡易の家や食べ物、お貸しした毛皮や毛布、買い物をするための日当も、サナヘ侯爵様ではなく、モンブラン商会の傘下である【薬種 命の輝き】が大損しながら支援してきました。
ですが、その支援活動をしていた学生が、この男たちに襲われて斬られてしまいました。
【王立高学院特別部隊】は撤退しますが、これからはきっと、戻ってこられたシラミド男爵とサナへ侯爵が助けてくださるはずです」
シルクーネ先輩は、少し嫌味も織りまぜながら、残念ですと悲しそうにハンカチを目にあてる。
「しかも、この町の役人の使いだと名乗る男たちに、被災者の皆さんのために用意した利益なんてない商品まで、値引きして全部売れと脅されました」
ラノーブも、出来ることを頑張っていたけど、妨害されたり襲われたりしたら、これ以上活動を続けられませんと、悔しそうに下を向いた。
「いったいどういうことだ!」とか「副役場が襲わせただと?」とか「サナへ侯爵様は何をされていたんだ?」とかって怒鳴り声や囁く声が、あちらこちらから聞こえてくる。
「年末に支援しようとしていた役場長が襲われたのも、副役場長の差し金らしいぞ」と、ちょっと大き目な声をあげたのは、役場長の家の使用人さんだ。
死にそうになっていた役場長を助けたリーマス王子の依頼で、役場長の家の使用人さんたちは恩返しのために頑張ってくれている。
気付けば役場前には、大勢の人だかりができていた。
肝心のシラミド男爵もサナへ侯爵も、副役場長派の皆さんも、会議室に居たので外の喧騒には気付いていなかった。
超不機嫌なマギ公爵家のエイト君が、今回の事件の責任は誰がとるのかと問い質しており、はっきりした返事を貰えなければ、【王立高学院特別部隊】の学生は、今回のモカの町での様子や仕打ちを自分の親に報告し、正式に王様に抗議するとごねていたのだ。
「サナへ侯爵様、トーマス王子様、何故高位貴族の子息が居ると教えて頂けなかったのでしょうか?」
「要らぬ気を遣わせては申し訳ないからな副役場長」と、トーマス王子は心ここに在らずって感じで返事をする。
「襲撃犯は、公爵家の子息を襲った罪で捕まえ次第処刑いたします」と住民管理部長がきっぱりと答える。
「都合が悪いから口封じか?」と言いながら会議室に入って来たのはリーマス王子だ。
その後ろにノエル様、トゥーリス先輩、ミレーヌ様が続く。
「アコルのケガはどうだ? 酷いのか?」と心配顔で訊ねるのはトーマス王子。
「あれ、今更気になるのですか兄上?」と、リーマス王子は冷たく返した。
「被災者のために薬草採取をしていたのに……どういうことかしらねえ副役場長?
襲撃犯が副役場長と住民管理部長の指示で襲ったと言っているのだけれど?
襲われたアコル君は、自分たちが襲われた時、住民管理部長とサナへ侯爵の側近の姿を見掛けたらしいわ。
もしかして、サナへ侯爵様のご指示ですの?
弟のエイトを襲わせるとは、サナへ侯爵家は、マギ公爵家に思うところでもあるのかしら?」
ミレーヌ様がとんでもないことを言いだした。
学生襲撃事件を領主同士の対立にまで発展させて脅しているのだ。許す気は欠片もなさそうだ。
途端に顔色の悪くなるサナへ侯爵の側近と住民管理部長。
じろりとサナへ侯爵に睨まれ「私は関係ありません」と、側近は即座に弁明する。
「自領の民を救ってくれている恩人に、感謝するどころか平民と侮り貶めるとは、貴族として恥ずかしくないのかしら? 器の小さいこと」
「なんだと!無礼なことを言うな! 平民ごとき者の証言に何の意味がある!」
「無礼? ホーホッホ、嫌だわ、サナへ侯爵家は、マリード侯爵家にも思うところがあるのかしら?
そこのアナタ、アナタは侯爵令嬢である私の発言を無礼だと仰るのね。ふ~ん、そう」
ちょっとばっかし目が座っているノエル様は、完全に戦闘モードに入っている。
「なんだか心配だな。我がワイコリーム公爵家の側近は大丈夫だろうか?
腐った役人が居たら、領民に苦労を掛けることになるな」
続いて会議室に入って来たのは、俺と一緒に廊下で出番を待っていたワイコリーム公爵家のラリエス君だ。
この時点で、学生たちの正体というか身分を知らなかった副役場長派の人間も、サナへ侯爵家の側近も、取り返しのつかないことをしてしまったと、ようやく気付いて身震いを始めた。
「そろそろ気の毒な被災者のために、本気で働きたいと思ったんじゃないですか?
全てを失い救いを求める領民の声を、少しは訊く気になりましたかサナへ侯爵様、トーマス王子?
表に出て民の声を聞いてみてください。そして、【魔王】の裁きを始めましょう」
俺はそう言うと、痛たた……と背中を擦りながら、ちょっとふらついたりして、側近、副役場長派の皆さんを方を見て、【魔王】らしく黒く笑ってみせた。
連れてきた被災者は女性や子供や老人で、成人男性は炊き出しを食べ、引き続きご遺体の埋葬作業をしてくれている。
俺たちを襲撃した3人は、【私たちは副役場長と住民管理部長の命令で、救済活動に来ていた学生を襲撃し大ケガを負わせました】と書かれた立て札の横で、グルグル巻きにされ転がされていた。
「西地区の被災者の皆さん、これが最後の炊き出しです。
夕食は食べられないかもしれないので、しっかり食べてくださいね。
私たちは、皆さんを救うためにこの町に来ましたが、大事な仲間を暴漢に襲われてしまいました。
残念ですけど……この炊き出しを最後の救済活動とし、モカの町から撤退いたします」
それはそれは残念そうに大きな声で話し掛けているのは、美人のエリザーテさんだ。
「ごめんなさいね。全ては副役場長のせいなの」としっかり付け加える。
何事だろうかと役場前に集まってきたモカの町の住民は、超美人のエリザーテさんの話を聞いて足を止める。
そして立て札と縛られた3人をじっと見て、怒りで顔をしかめる。
「お姉ちゃん、あたしたちは今夜は何処で寝たらいいの?」
「もうご飯は食べられない? 僕、頑張って薪を集めるよ?」
「お父さんもお母さんも死んじゃった……お金もないのに帰っちゃうの?」
「暖かいスノーウルフの毛皮を貸してくれてありがとう。食べたらお返しします」
「毛布もお返ししなきゃいけませんよね? せめてこの子が凍えて死なないよう、もう少し貸して頂けないでしょうか?」
炊き出しのスープが配られる前に、【薬種 命の輝き】で店番をしていたラノーブや姉のシルクーネ先輩に、被災者たちが涙ながらに自分の惨状を訴えている。
「申し訳ありません。
簡易の家や食べ物、お貸しした毛皮や毛布、買い物をするための日当も、サナヘ侯爵様ではなく、モンブラン商会の傘下である【薬種 命の輝き】が大損しながら支援してきました。
ですが、その支援活動をしていた学生が、この男たちに襲われて斬られてしまいました。
【王立高学院特別部隊】は撤退しますが、これからはきっと、戻ってこられたシラミド男爵とサナへ侯爵が助けてくださるはずです」
シルクーネ先輩は、少し嫌味も織りまぜながら、残念ですと悲しそうにハンカチを目にあてる。
「しかも、この町の役人の使いだと名乗る男たちに、被災者の皆さんのために用意した利益なんてない商品まで、値引きして全部売れと脅されました」
ラノーブも、出来ることを頑張っていたけど、妨害されたり襲われたりしたら、これ以上活動を続けられませんと、悔しそうに下を向いた。
「いったいどういうことだ!」とか「副役場が襲わせただと?」とか「サナへ侯爵様は何をされていたんだ?」とかって怒鳴り声や囁く声が、あちらこちらから聞こえてくる。
「年末に支援しようとしていた役場長が襲われたのも、副役場長の差し金らしいぞ」と、ちょっと大き目な声をあげたのは、役場長の家の使用人さんだ。
死にそうになっていた役場長を助けたリーマス王子の依頼で、役場長の家の使用人さんたちは恩返しのために頑張ってくれている。
気付けば役場前には、大勢の人だかりができていた。
肝心のシラミド男爵もサナへ侯爵も、副役場長派の皆さんも、会議室に居たので外の喧騒には気付いていなかった。
超不機嫌なマギ公爵家のエイト君が、今回の事件の責任は誰がとるのかと問い質しており、はっきりした返事を貰えなければ、【王立高学院特別部隊】の学生は、今回のモカの町での様子や仕打ちを自分の親に報告し、正式に王様に抗議するとごねていたのだ。
「サナへ侯爵様、トーマス王子様、何故高位貴族の子息が居ると教えて頂けなかったのでしょうか?」
「要らぬ気を遣わせては申し訳ないからな副役場長」と、トーマス王子は心ここに在らずって感じで返事をする。
「襲撃犯は、公爵家の子息を襲った罪で捕まえ次第処刑いたします」と住民管理部長がきっぱりと答える。
「都合が悪いから口封じか?」と言いながら会議室に入って来たのはリーマス王子だ。
その後ろにノエル様、トゥーリス先輩、ミレーヌ様が続く。
「アコルのケガはどうだ? 酷いのか?」と心配顔で訊ねるのはトーマス王子。
「あれ、今更気になるのですか兄上?」と、リーマス王子は冷たく返した。
「被災者のために薬草採取をしていたのに……どういうことかしらねえ副役場長?
襲撃犯が副役場長と住民管理部長の指示で襲ったと言っているのだけれど?
襲われたアコル君は、自分たちが襲われた時、住民管理部長とサナへ侯爵の側近の姿を見掛けたらしいわ。
もしかして、サナへ侯爵様のご指示ですの?
弟のエイトを襲わせるとは、サナへ侯爵家は、マギ公爵家に思うところでもあるのかしら?」
ミレーヌ様がとんでもないことを言いだした。
学生襲撃事件を領主同士の対立にまで発展させて脅しているのだ。許す気は欠片もなさそうだ。
途端に顔色の悪くなるサナへ侯爵の側近と住民管理部長。
じろりとサナへ侯爵に睨まれ「私は関係ありません」と、側近は即座に弁明する。
「自領の民を救ってくれている恩人に、感謝するどころか平民と侮り貶めるとは、貴族として恥ずかしくないのかしら? 器の小さいこと」
「なんだと!無礼なことを言うな! 平民ごとき者の証言に何の意味がある!」
「無礼? ホーホッホ、嫌だわ、サナへ侯爵家は、マリード侯爵家にも思うところがあるのかしら?
そこのアナタ、アナタは侯爵令嬢である私の発言を無礼だと仰るのね。ふ~ん、そう」
ちょっとばっかし目が座っているノエル様は、完全に戦闘モードに入っている。
「なんだか心配だな。我がワイコリーム公爵家の側近は大丈夫だろうか?
腐った役人が居たら、領民に苦労を掛けることになるな」
続いて会議室に入って来たのは、俺と一緒に廊下で出番を待っていたワイコリーム公爵家のラリエス君だ。
この時点で、学生たちの正体というか身分を知らなかった副役場長派の人間も、サナへ侯爵家の側近も、取り返しのつかないことをしてしまったと、ようやく気付いて身震いを始めた。
「そろそろ気の毒な被災者のために、本気で働きたいと思ったんじゃないですか?
全てを失い救いを求める領民の声を、少しは訊く気になりましたかサナへ侯爵様、トーマス王子?
表に出て民の声を聞いてみてください。そして、【魔王】の裁きを始めましょう」
俺はそう言うと、痛たた……と背中を擦りながら、ちょっとふらついたりして、側近、副役場長派の皆さんを方を見て、【魔王】らしく黒く笑ってみせた。
2
お気に入りに追加
312
あなたにおすすめの小説
優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~
日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。
もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。
そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。
誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか?
そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。
アラフォー料理人が始める異世界スローライフ
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。
わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。
それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。
男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。
いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。
「僕は病弱なので面倒な政務は全部やってね」と言う婚約者にビンタくらわした私が聖女です
リオール
恋愛
これは聖女が阿呆な婚約者(王太子)との婚約を解消して、惚れた大魔法使い(見た目若いイケメン…年齢は桁が違う)と結ばれるために奮闘する話。
でも周囲は認めてくれないし、婚約者はどこまでも阿呆だし、好きな人は塩対応だし、婚約者はやっぱり阿呆だし(二度言う)
はたして聖女は自身の望みを叶えられるのだろうか?
それとも聖女として辛い道を選ぶのか?
※筆者注※
基本、コメディな雰囲気なので、苦手な方はご注意ください。
(たまにシリアスが入ります)
勢いで書き始めて、駆け足で終わってます(汗
虐げられた落ちこぼれ令嬢は、若き天才王子様に溺愛される~才能ある姉と比べられ無能扱いされていた私ですが、前世の記憶を思い出して覚醒しました~
日之影ソラ
恋愛
異能の強さで人間としての価値が決まる世界。国内でも有数の貴族に生まれた双子は、姉は才能あふれる天才で、妹は無能力者の役立たずだった。幼いころから比べられ、虐げられてきた妹リアリスは、いつしか何にも期待しないようになった。
十五歳の誕生日に突然強大な力に目覚めたリアリスだったが、前世の記憶とこれまでの経験を経て、力を隠して平穏に生きることにする。
さらに時がたち、十七歳になったリアリスは、変わらず両親や姉からは罵倒され惨めな扱いを受けていた。それでも平穏に暮らせるならと、気にしないでいた彼女だったが、とあるパーティーで運命の出会いを果たす。
異能の大天才、第六王子に力がばれてしまったリアリス。彼女の人生はどうなってしまうのか。
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
異世界転生令嬢、出奔する
猫野美羽
ファンタジー
※書籍化しました(2巻発売中です)
アリア・エランダル辺境伯令嬢(十才)は家族に疎まれ、使用人以下の暮らしに追いやられていた。
高熱を出して粗末な部屋で寝込んでいた時、唐突に思い出す。
自分が異世界に転生した、元日本人OLであったことを。
魂の管理人から授かったスキルを使い、思い入れも全くない、むしろ憎しみしか覚えない実家を出奔することを固く心に誓った。
この最強の『無限収納EX』スキルを使って、元々は私のものだった財産を根こそぎ奪ってやる!
外見だけは可憐な少女は逞しく異世界をサバイバルする。
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる