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第32章 純子の構想
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翌日の朝食の席で、純子はこれからも今までどおりの関係を続けていこう、と提案した。
慶子は慎之介が女と知った今、どう接したらいいのか分からなかった。同性を好きになったのは初めての経験だ。慶子は純子とは長い付き合いで飲んで騒いだり踊ったりすることは度々あったが、お互いの体を求め合うという雰囲気になったことがなかった。純子を抱きしめたいと思ったことはない。
進一に対する純子の性的嗜好を知り驚いた。社会貢献する潤子がどうして相手を虐待するようなことをするのか。相手が望むからなのだろう。
慶子は慎之介が自分の体を望んでいるのか知りたい。慎之介から望まれたら応えられのか応えが出せなかった。
朝食を済ました4人は普通に役所に出勤した。午前中、平穏に公務に従事した。
昼休み、純子は室長室の自席で植木が買ってきた弁当を食べ終えた。純子は慶子に電話を掛けた。
「ねえ、あたしのために、戸籍課から離婚届の用紙を持って来てくれる? そのついでに慶子さんも婚姻届の用紙ももらったらどうかしら? あなたも早く出したいでしょ? 散々悩んだんだし、突き進むしかないのよ。いい? こういうのは勢いが大事よ」
純子は進一と慶子が直ぐに婚姻届を出せるとは思っていない。ただ、前途多難の慶子に思いをめぐらし元気づけに言ってみただけだ。慶子の父親が進一との結婚を素直に承諾するとは思えない。小山内グループの承継者となる23歳の娘と50歳近い役所のうだつの上がらない万年係長との結婚は誰が見てもアンバランスだろう。せめて、部長クラスの役職だったら話は進んだかもしれない。などと、純子は進一の役職が係長であることに残念な気持ちになって涙ぐんだ。元はと言えば、純子が高橋人事部長を使って進一の昇進を妨害してきた経緯がある。純子は進一が優秀なことをすっかり失念している。
慶子は同じ係で進一を間近に見て進一の優秀さを知っていたし、純子も進一の優秀さを知っているから進一と結婚した。
*
慶子は慎之介が女と知った今、どう接したらいいのか分からなかった。同性を好きになったのは初めての経験だ。慶子は純子とは長い付き合いで飲んで騒いだり踊ったりすることは度々あったが、お互いの体を求め合うという雰囲気になったことがなかった。純子を抱きしめたいと思ったことはない。
進一に対する純子の性的嗜好を知り驚いた。社会貢献する潤子がどうして相手を虐待するようなことをするのか。相手が望むからなのだろう。
慶子は慎之介が自分の体を望んでいるのか知りたい。慎之介から望まれたら応えられのか応えが出せなかった。
朝食を済ました4人は普通に役所に出勤した。午前中、平穏に公務に従事した。
昼休み、純子は室長室の自席で植木が買ってきた弁当を食べ終えた。純子は慶子に電話を掛けた。
「ねえ、あたしのために、戸籍課から離婚届の用紙を持って来てくれる? そのついでに慶子さんも婚姻届の用紙ももらったらどうかしら? あなたも早く出したいでしょ? 散々悩んだんだし、突き進むしかないのよ。いい? こういうのは勢いが大事よ」
純子は進一と慶子が直ぐに婚姻届を出せるとは思っていない。ただ、前途多難の慶子に思いをめぐらし元気づけに言ってみただけだ。慶子の父親が進一との結婚を素直に承諾するとは思えない。小山内グループの承継者となる23歳の娘と50歳近い役所のうだつの上がらない万年係長との結婚は誰が見てもアンバランスだろう。せめて、部長クラスの役職だったら話は進んだかもしれない。などと、純子は進一の役職が係長であることに残念な気持ちになって涙ぐんだ。元はと言えば、純子が高橋人事部長を使って進一の昇進を妨害してきた経緯がある。純子は進一が優秀なことをすっかり失念している。
慶子は同じ係で進一を間近に見て進一の優秀さを知っていたし、純子も進一の優秀さを知っているから進一と結婚した。
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