トライアングルパートナー

窓野枠

文字の大きさ
上 下
53 / 190
第9章 小山内家

2

しおりを挟む
 慶子は、卒業後、商社に入社すれば国際的な出会いだって多いはず。そう思っていたが、父親の根回しで東京のK区役所に採用された。公務員は採用試験に合格したものが名簿登載順に入るルールだ。超法規的なコネが通らない組織であるが、慶子の居住地であるK区に、父親が3億円寄付した結果なのか、試験を半強制的に受けさせられて採用が決まった。慶子は父親がウラで糸を引いた、と思っていた。しかし、慶子は小山内グループという肩書を背負う身なので、幼少時から英才教育を受けていた。彼女は、もともと、頭脳明せきで優秀なのだが、本人にはその自覚がない。父親の強制的な指示を幼少期から受けてきたので、自発性、積極性がない。何でも親の指図に従う毎日だ。自発的な行動はなかった、と言っても過言ではない。周囲の人々は慶子の能力に気が付かない。本人の能力とか関係なくチヤホヤしていたからに他ならない。実際、慶子は容姿が良くてかわいいのであるが、だれもがお世辞のように、かわいい、を連呼する。今の仕事も同じで、慶子は「コネで入った仕事」と思っている。いまいち、仕事に身が入らない。それでも、東京の役所であるから、官民を問わず、国際的にも交流がある人脈が得られるに違いない。父親はそういう強い人脈を期待して慶子を役所に入れた。そして、顧客が不特定多数の住民である。慶子の人生になんらかの糧になってくれるのではないかと考えた。
 しかるに、慶子は、未だ意中の人は見つけられず、彼女の華のOL生活は恋人不在のまま、2年目に突入していた。今頃は、彼氏と二人っきりで充実した生活を送っているはずだった。それが全く外れ、彼氏不在のまま、2年目に突入した。光陰矢の如し、あっという間に時は流れ、来月は師走である。彼女にとっての大イベントのクリスマスがやってくる。
「あーあ もう目の前にクリスマスが迫ってる。ど、どうしよう……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...