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第7章 小山内慶子
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「そっ そうだよねぇ 仕方ないよねぇ。きみも迷惑だよね? では、せめて、マナーモードで、お願いします」
進一はいたってオトナの発言をしてこらえた、とほめたたえた。
彼女には、退社、間際の微妙な時間帯、相変わらずのデートのお誘い電話が毎日、引っ切りなしで掛かってくる。彼はそれがとても気になって仕方ない。慶子の動向がやたら気になってしまう。仕事で机に向かっているときも、気が付けば彼女を見ていたりする。ときどき、彼女も電話応対で顔を上げたりするときがある。彼は彼女をいつも見ているものだから、彼女と目が偶然、合ってしまうことがある。すると、彼女は例のあの魔性の笑顔を向け、電話応対しながら、進一にチラチラ視線を送ってくる。いつかはウインクなどをおくびにも出さないでしてきた。彼は慌てて視線をそらし知らん顔をする。しかし、すぐ、その後、慶子の顔を見たくてさりげなく視線を戻したりしてしまう。つまり、いつも慶子の笑顔を見ていたい、と思うようになっていた。慶子の笑顔フェチになっていた。いかん、いかん、と進一は首を左右に振る。
慶子は、女子大卒の採用で今年度で2年目である。ショートのヘアースタイル、数本だけ、部分的にピンク色に髪を染めている。目がくりっとして、丸顔、ほおがふっくらして、笑うと両方のほおにエクボができる。笑顔の中のエクボは最高に癒やされてしまう。癒やされてしまうから見てしまうのか。見るから癒やされるのか。そうだ、パンダを見るのと同じなんだよ、これは。そう、進一は慶子を特別な思いで見てはいない、と自分に言い聞かせる。これは新人の部下を指導する上で、とても大切な見守り行動である。決して、彼女を女として見ようとしているのではない。暇さえあれば、妄想の中で全裸の彼女を抱いている。もともと、彼は変質的な妄想などする男ではなかった、と自らに言い聞かせ、妄想の原因は妻の性癖のせいにしようとする。
進一はいたってオトナの発言をしてこらえた、とほめたたえた。
彼女には、退社、間際の微妙な時間帯、相変わらずのデートのお誘い電話が毎日、引っ切りなしで掛かってくる。彼はそれがとても気になって仕方ない。慶子の動向がやたら気になってしまう。仕事で机に向かっているときも、気が付けば彼女を見ていたりする。ときどき、彼女も電話応対で顔を上げたりするときがある。彼は彼女をいつも見ているものだから、彼女と目が偶然、合ってしまうことがある。すると、彼女は例のあの魔性の笑顔を向け、電話応対しながら、進一にチラチラ視線を送ってくる。いつかはウインクなどをおくびにも出さないでしてきた。彼は慌てて視線をそらし知らん顔をする。しかし、すぐ、その後、慶子の顔を見たくてさりげなく視線を戻したりしてしまう。つまり、いつも慶子の笑顔を見ていたい、と思うようになっていた。慶子の笑顔フェチになっていた。いかん、いかん、と進一は首を左右に振る。
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