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第2章 管理職昇任試験
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彼は、彼女が愛しているのは自分とのセックスなのでは、とその時から考えるようになった。彼女は周辺が暗くなると、性格が必ず急変した。まるで彼には彼女が別の人になったのではと思うくらいの別人になった。夜の彼女は彼にとって、ますます、魅力的な女性だった。彼はさらに彼女のとりこになっていく。彼女は彼の肉体を知ることにより、彼の体に夢中になった。
「あなた、思っていたとおりにすごいわぁー もう、だめよ、あなたなしではあたし…… 生きられないわ…… いい、あなた、あたしがしたいとき、こういうことがいつもできるようにしていてね…… ねぇ、できるでしょ? 健康管理に気をつけるだけ。あなただって、気持ちいいんだから、できるよね?」
彼女はこれでもかというほど、絶頂を繰り返し満足したあと、彼の顔を見つめながら目をうるませて必ず確認するように言う。別の人格、夜の潤子が独占出現をするようになっていた。彼にはそんな純子の病気のことは分からない。しかし、彼にも彼女がベストコンディションを維持するために、ストレスを掛けさせない気配りをしていることは分かっていた。最近、彼女が人事異動に関係しているのでは、という疑念を抱くようになっていた。何しろ、10年以上、異動をしたことがないのだからそう思っても仕方ない。
いくら純子が人事に手を回しストレスを受けない部署にとどまらせるなんて、ストレスを全く受けないようにするなんて、無理なことだ。生きていればストレスを受ける。ストレスを受けるからリラックスもできるというものだ。純子が裏工作をしているのではと思うことがストレスとなる。だから、あるとき、純子に聞いた。
「僕って異動したことないだろ?」
「そうね、でも、いろんな部署と関わってるんだから同じじゃないの?」
「いや、異動しないなんて変だと思わない?」
「うーん あたしのせいかな?」
「それ、どういうこと?」
「あたしって独り言を言うくせがあるの」
「それが何?」
「ときどきね、人事部長のところへ言ってね、あたしの旦那、異動しないでくれるから助かるわって、言うのが日課なの」
「あなた、思っていたとおりにすごいわぁー もう、だめよ、あなたなしではあたし…… 生きられないわ…… いい、あなた、あたしがしたいとき、こういうことがいつもできるようにしていてね…… ねぇ、できるでしょ? 健康管理に気をつけるだけ。あなただって、気持ちいいんだから、できるよね?」
彼女はこれでもかというほど、絶頂を繰り返し満足したあと、彼の顔を見つめながら目をうるませて必ず確認するように言う。別の人格、夜の潤子が独占出現をするようになっていた。彼にはそんな純子の病気のことは分からない。しかし、彼にも彼女がベストコンディションを維持するために、ストレスを掛けさせない気配りをしていることは分かっていた。最近、彼女が人事異動に関係しているのでは、という疑念を抱くようになっていた。何しろ、10年以上、異動をしたことがないのだからそう思っても仕方ない。
いくら純子が人事に手を回しストレスを受けない部署にとどまらせるなんて、ストレスを全く受けないようにするなんて、無理なことだ。生きていればストレスを受ける。ストレスを受けるからリラックスもできるというものだ。純子が裏工作をしているのではと思うことがストレスとなる。だから、あるとき、純子に聞いた。
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「いや、異動しないなんて変だと思わない?」
「うーん あたしのせいかな?」
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「あたしって独り言を言うくせがあるの」
「それが何?」
「ときどきね、人事部長のところへ言ってね、あたしの旦那、異動しないでくれるから助かるわって、言うのが日課なの」
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