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第40章 橋本のささやき
3話
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「じゃ、早く邪心を片付けて、さっさと、帰ろうね」
「アイアイッサー お姉様……」
櫻子は尚子が機嫌を良くしたようでほっとした。櫻子と尚子は正門を入ると、学園の中に入った。田所一人しかいないとはいえ、警備会社に頼んで警備員が配置されている。学園に通う女子生徒は美女そろいであり、変質者が忍び込むかもしれないから、セキュリティは厳重にしている。二人が正門から足を踏み入れると、詰め所にいた警備員2名が二人の前に駆けてきた。
「失礼ですが、お約束の方でしょうか?」
そう言って近づいた警備員は、二人を見て、驚いたように言った。
「あっ あなた方は、学園長夫人と、安田尚子様ではありませんか?」
櫻子は田所と別居状態であり、学園に来たのは久しぶりだった。尚子は卒業し、現在、東響大学に在籍している。彼女も久しぶりの母校への訪問であった。それでも、さすがに警備員たちは要人の顔を熟知していた。
「どうもご苦労さまでございます。夫の様子を見に来ただけよ。何しろ、教育熱心でここの寮に泊まりっきりで張り切っていますので…… 自宅に帰ってこないのよぉー あたし、寂しくて…… ねぇ、お分かりでしょ? だから、突然、顔を見せて、驚かしてあげようと、思っているの」
「…… ああ、なるほど」
警備員たちは顔を見合わせ、納得していた。
「もう、通っても、いいかしら?」
「はっ 大変失礼いたしました。では、学園長には連絡を入れませんので…… どうぞお通りくださいませ」
警備員は深く頭を下げたのを見て、櫻子と尚子は舌をペロリと出すと、学園長室に向かった。
「櫻子様、学園長はきょう学園にいるのですか? 」
「いるわ、それはあたしには分かるの。あの人、あたしのこと、怖がっているのよ。平八さんはあたしに超能力があることを知っていても、あたしを愛してくれていたから怖がったりはしなかったわ。でも、邪心にむしばまれてからは別人みたい。とにかく、あたしを避けているのよ。あたしが行くというと、なんだかんだ理由を付けて留守なの。だから、きょうは、お忍びって感じ? すっごく、驚くだろうなぁーフフフゥー」
「はぁー そうなんですねぇ そうよね、せっかく地球征服をもくろんで学園長になり、おじさんの体まで奪ったのに、桜子様に簡単に破壊されたら大変ですものねぇ でも、その恐怖もきょうでおしまいですねぇ」
尚子はあたしだっていまだに恐いんですもの、と桜子にうっかり言いそうになったが、言葉を飲み込んだ。
「そんな訳で、きょうは静かに計画を遂行するわ、あなたと橋本さんはそばで見届けてくれる?」
そんな話をしながら歩いていたら、学園長室の前に到着した。櫻子がドアをノックした。
「あっ? どなた? えっ?」
邪心・田所は明らかに動揺していた。来客があると警備員から連絡が入ることになっているのだろう。それを感じた櫻子は、くすりと笑ってドアノブを握って、わずかに開いて顔をのぞかした。
「平八さん、あ…… た…… し…… よぉー」
「アイアイッサー お姉様……」
櫻子は尚子が機嫌を良くしたようでほっとした。櫻子と尚子は正門を入ると、学園の中に入った。田所一人しかいないとはいえ、警備会社に頼んで警備員が配置されている。学園に通う女子生徒は美女そろいであり、変質者が忍び込むかもしれないから、セキュリティは厳重にしている。二人が正門から足を踏み入れると、詰め所にいた警備員2名が二人の前に駆けてきた。
「失礼ですが、お約束の方でしょうか?」
そう言って近づいた警備員は、二人を見て、驚いたように言った。
「あっ あなた方は、学園長夫人と、安田尚子様ではありませんか?」
櫻子は田所と別居状態であり、学園に来たのは久しぶりだった。尚子は卒業し、現在、東響大学に在籍している。彼女も久しぶりの母校への訪問であった。それでも、さすがに警備員たちは要人の顔を熟知していた。
「どうもご苦労さまでございます。夫の様子を見に来ただけよ。何しろ、教育熱心でここの寮に泊まりっきりで張り切っていますので…… 自宅に帰ってこないのよぉー あたし、寂しくて…… ねぇ、お分かりでしょ? だから、突然、顔を見せて、驚かしてあげようと、思っているの」
「…… ああ、なるほど」
警備員たちは顔を見合わせ、納得していた。
「もう、通っても、いいかしら?」
「はっ 大変失礼いたしました。では、学園長には連絡を入れませんので…… どうぞお通りくださいませ」
警備員は深く頭を下げたのを見て、櫻子と尚子は舌をペロリと出すと、学園長室に向かった。
「櫻子様、学園長はきょう学園にいるのですか? 」
「いるわ、それはあたしには分かるの。あの人、あたしのこと、怖がっているのよ。平八さんはあたしに超能力があることを知っていても、あたしを愛してくれていたから怖がったりはしなかったわ。でも、邪心にむしばまれてからは別人みたい。とにかく、あたしを避けているのよ。あたしが行くというと、なんだかんだ理由を付けて留守なの。だから、きょうは、お忍びって感じ? すっごく、驚くだろうなぁーフフフゥー」
「はぁー そうなんですねぇ そうよね、せっかく地球征服をもくろんで学園長になり、おじさんの体まで奪ったのに、桜子様に簡単に破壊されたら大変ですものねぇ でも、その恐怖もきょうでおしまいですねぇ」
尚子はあたしだっていまだに恐いんですもの、と桜子にうっかり言いそうになったが、言葉を飲み込んだ。
「そんな訳で、きょうは静かに計画を遂行するわ、あなたと橋本さんはそばで見届けてくれる?」
そんな話をしながら歩いていたら、学園長室の前に到着した。櫻子がドアをノックした。
「あっ? どなた? えっ?」
邪心・田所は明らかに動揺していた。来客があると警備員から連絡が入ることになっているのだろう。それを感じた櫻子は、くすりと笑ってドアノブを握って、わずかに開いて顔をのぞかした。
「平八さん、あ…… た…… し…… よぉー」
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