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第35章 現代の安田邸
16話
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ナルミはその場から後ろ歩きしながら、部屋の外へ出て行った。
「お母さんって、すごく理解のある方なんだねぇ。驚いたよ」
「うん、でも、これからするあたしたちと同じ事をお母さんにしないでね……」
「何言ってるの、もちろんだよ。僕らだってこれから結ばれるか分からないんだからね」
「じゃ、今、する?」
尚子がそう言うと、進一は尚子を抱きしめた。
「現実の世界だよね?」
お互いの言葉が重なった。
「今すぐ、試そうか?」
また、二人の言葉が重なった。二人は見つめ合って、進一と尚子は、現実の世界で、初めて結ばれた。 蜃気楼の女と交わった男は、セックスに秀でた超能力者となる。だから、 蜃気楼の女は、自分を喜ばしてくれる男を大切にする理由がある。
しかし、能力を得た男がこの超能力を使うには、肌が密着していないと使えないという限定的な超能力である。だから、尚子の父、安田仁はアラビアーナ国から日本に帰国してから、秘密の部屋でナルミと性行為をしていたが、ナルミ以外の女に超能力を使うことはなかった。この超能力の破壊的なエネルギーは、半径10メートルという範囲でしか効果がなかった。それも、エクスタシーを与えるレベルを大きくすることで昇天させる、という殺人的なパワーを持っていた。そのすさまじいパワーを安田仁とナルミは初めて交わったとき、感極まって最大レベルで愛し合ってしまった。その超能力は半径5メートル以内にいた仲間、家族を昇天させてしまった。ナルミは仲間を失い、失意のどん底にいたが、愛し合う生涯のパートナーを得た喜びもあり、複雑な心境だった。
安田は今までにない官能を与えてくれたナルミを放って置けなかった。彼は、ナルミを日本へ連れ帰ると、自邸に秘密の部屋を作り、毎晩のように、ナルミと愛をむさぼった。
この安田が会得した超能力は、日本の政財界を牛耳るには役に立った。本人はそのことに気付いていなかったが。握手を社交的にすることで、安田の超能力は手から相手に対し、官能を送り込むことができた。だから、大抵の財界人たちは、安田にとても好意を抱いた。安田はその能力を知らなかった。ナルミはそのことを夫には話さなかった。
なぜなら、本来、パートナーは拉致し、監禁し、5人グループの中で共有する男として、女たちに限定的に奉仕することが、男の仕事であり、 蜃気楼のルールだった。強じんな体に鍛えていたアラビアーナの女たちは、男の繰り出す官能の嵐に耐えることができた。安田にその能力を使わせると、日本のか弱い女はすぐに昇天し、心臓に負荷が掛かり、数秒で腹上死してしまう。そうならないよう、ナルミは安田をうまく調教した。安田にむちを持たせ、ナルミを打つことでエクスタシーを得る変態性を獲得させた。安田はむちを打っても強靱な体を持ったナルミでなければ女を殺してしまう。だから、ナルミでなければ、エクスタシーに達せない男になっていた。
そのアラビアーナの女たちの歴史を考えると、安田尚子はあまりにも大切に育てられたため、肉体はまさに華奢であった。彼女は生来の数千年に一度生まれるかどうかの超能力者だったがために、肉体を使うことはなく、精神的な命令を相手の脳に働きかけることで何でも自分の思うとおりのことができた。知能指数(IQ)180の彼女は、両親にも能力を隠してきた。同じ能力を持っている両親すら、尚子の並外れた超能力の前では赤ん坊同然だった。
では、山野櫻子と安田尚子は、どちらがより強い超能力を備えているのか。二人は超能力の種類が違うから比較はできない。生物には個性がある。早く走れるもの、泳げるもの、飛べるもの、いろいろな個性がある。超能力者も同じである。二人はお互いの超能力を熟知している。だから、競うことはしない。そんな争いになったら、さすがに二人にもどんな結果になるのか、予想が付かない。共倒れかもしれない。だいたい、争いは起きない。なぜなら、二人はお互いの心も体も愛していたから。そして、彼女たち、 蜃気楼の女には、嫉妬、と言う感情はない。基本、心が通じ合えれば、誰でも愛せる民族的な特性があった。虐げられた民族が長い歴史を重ねたすえに得た特性だった。
「お母さんって、すごく理解のある方なんだねぇ。驚いたよ」
「うん、でも、これからするあたしたちと同じ事をお母さんにしないでね……」
「何言ってるの、もちろんだよ。僕らだってこれから結ばれるか分からないんだからね」
「じゃ、今、する?」
尚子がそう言うと、進一は尚子を抱きしめた。
「現実の世界だよね?」
お互いの言葉が重なった。
「今すぐ、試そうか?」
また、二人の言葉が重なった。二人は見つめ合って、進一と尚子は、現実の世界で、初めて結ばれた。 蜃気楼の女と交わった男は、セックスに秀でた超能力者となる。だから、 蜃気楼の女は、自分を喜ばしてくれる男を大切にする理由がある。
しかし、能力を得た男がこの超能力を使うには、肌が密着していないと使えないという限定的な超能力である。だから、尚子の父、安田仁はアラビアーナ国から日本に帰国してから、秘密の部屋でナルミと性行為をしていたが、ナルミ以外の女に超能力を使うことはなかった。この超能力の破壊的なエネルギーは、半径10メートルという範囲でしか効果がなかった。それも、エクスタシーを与えるレベルを大きくすることで昇天させる、という殺人的なパワーを持っていた。そのすさまじいパワーを安田仁とナルミは初めて交わったとき、感極まって最大レベルで愛し合ってしまった。その超能力は半径5メートル以内にいた仲間、家族を昇天させてしまった。ナルミは仲間を失い、失意のどん底にいたが、愛し合う生涯のパートナーを得た喜びもあり、複雑な心境だった。
安田は今までにない官能を与えてくれたナルミを放って置けなかった。彼は、ナルミを日本へ連れ帰ると、自邸に秘密の部屋を作り、毎晩のように、ナルミと愛をむさぼった。
この安田が会得した超能力は、日本の政財界を牛耳るには役に立った。本人はそのことに気付いていなかったが。握手を社交的にすることで、安田の超能力は手から相手に対し、官能を送り込むことができた。だから、大抵の財界人たちは、安田にとても好意を抱いた。安田はその能力を知らなかった。ナルミはそのことを夫には話さなかった。
なぜなら、本来、パートナーは拉致し、監禁し、5人グループの中で共有する男として、女たちに限定的に奉仕することが、男の仕事であり、 蜃気楼のルールだった。強じんな体に鍛えていたアラビアーナの女たちは、男の繰り出す官能の嵐に耐えることができた。安田にその能力を使わせると、日本のか弱い女はすぐに昇天し、心臓に負荷が掛かり、数秒で腹上死してしまう。そうならないよう、ナルミは安田をうまく調教した。安田にむちを持たせ、ナルミを打つことでエクスタシーを得る変態性を獲得させた。安田はむちを打っても強靱な体を持ったナルミでなければ女を殺してしまう。だから、ナルミでなければ、エクスタシーに達せない男になっていた。
そのアラビアーナの女たちの歴史を考えると、安田尚子はあまりにも大切に育てられたため、肉体はまさに華奢であった。彼女は生来の数千年に一度生まれるかどうかの超能力者だったがために、肉体を使うことはなく、精神的な命令を相手の脳に働きかけることで何でも自分の思うとおりのことができた。知能指数(IQ)180の彼女は、両親にも能力を隠してきた。同じ能力を持っている両親すら、尚子の並外れた超能力の前では赤ん坊同然だった。
では、山野櫻子と安田尚子は、どちらがより強い超能力を備えているのか。二人は超能力の種類が違うから比較はできない。生物には個性がある。早く走れるもの、泳げるもの、飛べるもの、いろいろな個性がある。超能力者も同じである。二人はお互いの超能力を熟知している。だから、競うことはしない。そんな争いになったら、さすがに二人にもどんな結果になるのか、予想が付かない。共倒れかもしれない。だいたい、争いは起きない。なぜなら、二人はお互いの心も体も愛していたから。そして、彼女たち、 蜃気楼の女には、嫉妬、と言う感情はない。基本、心が通じ合えれば、誰でも愛せる民族的な特性があった。虐げられた民族が長い歴史を重ねたすえに得た特性だった。
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