47 / 134
第21章 学園
2話
しおりを挟む
櫻子は園長と思われる紳士の前にゆっくり腰をくねらせながら、一歩ずつゆっくり歩く。彼が座る机の前で、腰に右手を当て、口を半開きにしてから、唾液が絡んだ怪しく光るベロで唇をゆっくりなめ回した。足を交互に組み替え、右足を前に出し、コートの裾から白くて細い足を差し出した。コートの間からはみ出した腿の前ボタンを下から1個ずつ、外していく。それはゆっくり、ゆっくりと、ただ、黙ったまま。学園長も黙ったまま、櫻子の全身をつま先から頭頂部までゆっくり、なめるようにその様子を見守る。園長は前ボタンを外す櫻子の体からやがて現れるふくよかな乳房を固唾の飲んで見守った。その間、30秒ほど、空気の張り詰めた時間が過ぎた。閉じていた園長の口が時間とともに、櫻子の開けた口と同じくらいに開き始めた。ぽかんと開けた園長の口から奥歯が見えたとき、すっかり顔の表情はにやけていた。櫻子は自分の全身をなめ回す学園長を見て、ついに、エロじじいに成り下がった、とほくそ笑んだ。あたしの魅力で悩殺してやったわ。これから園長はあたしのものよ。そうなると、櫻子は確信した。やがて、にやけた学園長が正気に戻ったように、顔を正常に正すと、やっと言葉を発した。
「長旅、御苦労様でしたね、櫻子さん」
櫻子に向けられた暖かな笑顔を崩すことなく、学園長が椅子から立ち上がり、櫻子のほうにゆっくり近づいてきた。
「何? 長旅って? 櫻子って? どういうこと? このおじいさんも、超能力者なの?」
学園長の初めての一言に驚いた櫻子は、園長の歩みを遮るように言った。
「学園長さん、きょうからあなたとバトンタッチよ、この学園はあたしが引き継ぐの…… あたしの新しい学校を造るの…… あなたは隠居してくださるかしら?」
そう言った櫻子は、歩み寄る学園長を突き放すように学園長の左肩に、櫻子の右手を置いて近づくのを阻止した。そのまま、右手を引き、学園長から遠ざかり、傍らに置かれた豪華な革張りのソファーのところまで来た。おもむろに、着ていたコートを颯爽と脱ぐ。厚手のコートの下から薄手のクリーム色のワンピースが現れた。春先というのに透けたタイトな生地の服で、均整の取れた彼女の美しい体を強調する出で立ちだ。櫻子はコートをテーブルの上に置いて、ソファーに静かに座る。白くて若々しい肌を強調した太ももが見えるように、スカートの裾がまくれ上がるように、意図的に座り、片足を高く上げてから片側の太ももに乗せてクロスさせた。
「先生、さあ、お隣、よろしくてよ……」
ソファーに浅く座った櫻子は、片手で櫻子の隣のすぐ空いているスペースを手で示し、その場所へ座るよう学園長に促した。櫻子のナイスバディーに見とれていた学園長は、櫻子をまた改めてつま先から頭頂部に掛けて見つめた後、電灯にまとわりつく蛾のように、ゆらゆらとソファーに近づいた。学園長が隣に腰を下ろし、両手を自分の太ももの上に置いた。櫻子は学園長の右手の上に自分の左手を重ねた。すると、櫻子の手に、学園長が手をさらに重ねてきた。学園長がほほ笑みながら言った。
「若い人の手はすべすべでいいですね」
学園長は太ももに乗せてきた櫻子の手を両手で挟み込み固定してから自由を奪うと、慈しむようになでた。聖人君子と思っていた学園長らしからぬ行動に、櫻子は少し驚いた。
「先生、では、運命共同体と言うことでいいのかしら?」
櫻子がそう言いながら、隣に座る学園長の顔を下からのぞき込む。所詮、こいつもあたしの体でふぬけ同然になるのだ。櫻子は学園長の本性を垣間見た思いだった。
「きみのような美人と、これから働けるなんて幸せです。ああ、もちろん、全権委譲はあなたのこれからの成果を見てからお願いします。当面は、学園長代行という肩書きでお願いします…… それにしても、こんな気持ちがこの年齢になった今も、まだ、自分にあったんだと思うと、うれしいです。ああ、体の芯からパワーがよみがえってくる気がします……」
学園長は櫻子の手をきつく握りながら、櫻子を見つめていた。櫻子は手を握られたら、速攻、押し倒され、ソファーの上でエッチするのか、と思ったが、学園長はただ、櫻子の全身を何度となく見つめていた。櫻子は自分がそんなにも美しいのか、と思ってまんざらでもなかった。
「長旅、御苦労様でしたね、櫻子さん」
櫻子に向けられた暖かな笑顔を崩すことなく、学園長が椅子から立ち上がり、櫻子のほうにゆっくり近づいてきた。
「何? 長旅って? 櫻子って? どういうこと? このおじいさんも、超能力者なの?」
学園長の初めての一言に驚いた櫻子は、園長の歩みを遮るように言った。
「学園長さん、きょうからあなたとバトンタッチよ、この学園はあたしが引き継ぐの…… あたしの新しい学校を造るの…… あなたは隠居してくださるかしら?」
そう言った櫻子は、歩み寄る学園長を突き放すように学園長の左肩に、櫻子の右手を置いて近づくのを阻止した。そのまま、右手を引き、学園長から遠ざかり、傍らに置かれた豪華な革張りのソファーのところまで来た。おもむろに、着ていたコートを颯爽と脱ぐ。厚手のコートの下から薄手のクリーム色のワンピースが現れた。春先というのに透けたタイトな生地の服で、均整の取れた彼女の美しい体を強調する出で立ちだ。櫻子はコートをテーブルの上に置いて、ソファーに静かに座る。白くて若々しい肌を強調した太ももが見えるように、スカートの裾がまくれ上がるように、意図的に座り、片足を高く上げてから片側の太ももに乗せてクロスさせた。
「先生、さあ、お隣、よろしくてよ……」
ソファーに浅く座った櫻子は、片手で櫻子の隣のすぐ空いているスペースを手で示し、その場所へ座るよう学園長に促した。櫻子のナイスバディーに見とれていた学園長は、櫻子をまた改めてつま先から頭頂部に掛けて見つめた後、電灯にまとわりつく蛾のように、ゆらゆらとソファーに近づいた。学園長が隣に腰を下ろし、両手を自分の太ももの上に置いた。櫻子は学園長の右手の上に自分の左手を重ねた。すると、櫻子の手に、学園長が手をさらに重ねてきた。学園長がほほ笑みながら言った。
「若い人の手はすべすべでいいですね」
学園長は太ももに乗せてきた櫻子の手を両手で挟み込み固定してから自由を奪うと、慈しむようになでた。聖人君子と思っていた学園長らしからぬ行動に、櫻子は少し驚いた。
「先生、では、運命共同体と言うことでいいのかしら?」
櫻子がそう言いながら、隣に座る学園長の顔を下からのぞき込む。所詮、こいつもあたしの体でふぬけ同然になるのだ。櫻子は学園長の本性を垣間見た思いだった。
「きみのような美人と、これから働けるなんて幸せです。ああ、もちろん、全権委譲はあなたのこれからの成果を見てからお願いします。当面は、学園長代行という肩書きでお願いします…… それにしても、こんな気持ちがこの年齢になった今も、まだ、自分にあったんだと思うと、うれしいです。ああ、体の芯からパワーがよみがえってくる気がします……」
学園長は櫻子の手をきつく握りながら、櫻子を見つめていた。櫻子は手を握られたら、速攻、押し倒され、ソファーの上でエッチするのか、と思ったが、学園長はただ、櫻子の全身を何度となく見つめていた。櫻子は自分がそんなにも美しいのか、と思ってまんざらでもなかった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
喜劇・魔切の渡し
多谷昇太
大衆娯楽
これは演劇の舞台用に書いたシナリオです。時は現代で場所はあの「矢切の渡し」で有名な葛飾・柴又となります。ヒロインは和子。チャキチャキの江戸っ子娘で、某商事会社のOLです。一方で和子はお米という名の年配の女性が起こした某新興宗教にかぶれていてその教団の熱心な信者でもあります。50年配の父・良夫と母・為子がおり和子はその一人娘です。教団の教え通りにまっすぐ生きようと常日頃から努力しているのですが、何しろ江戸っ子なものですから自分を云うのに「あちし」とか云い、どうかすると「べらんめえ」調子までもが出てしまいます。ところで、いきなりの設定で恐縮ですがこの正しいことに生一本な和子を何とか鬱屈させよう、悪の道に誘い込もうとする〝悪魔〟がなぜか登場致します。和子のような純な魂は悪魔にとっては非常に垂涎を誘われるようで、色々な仕掛けをしては何とか悪の道に誘おうと躍起になる分けです。ところが…です。この悪魔を常日頃から監視し、もし和子のような善なる、光指向の人間を悪魔がたぶらかそうとするならば、その事あるごとに〝天使〟が現れてこれを邪魔(邪天?)致します。天使、悪魔とも年齢は4、50ぐらいですがなぜか悪魔が都会風で、天使はかっぺ丸出しの田舎者という設定となります。あ、そうだ。申し遅れましたがこれは「喜劇」です。随所に笑いを誘うような趣向を凝らしており、お楽しみいただけると思いますが、しかし作者の指向としましては単なる喜劇に留まらず、現代社会における諸々の問題点とシビアなる諸相をそこに込めて、これを弾劾し、正してみようと、大それたことを考えてもいるのです。さあ、それでは「喜劇・魔切の渡し」をお楽しみください。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
窓野枠 短編傑作集 4
窓野枠
大衆娯楽
日常、何処にでもありそうな、なさそうな、そんなショートショートを書き綴りました。窓野枠 オリジナル作品となります。「クスッ」と笑える作風に仕上げているつもりです。この本の作品20編をお読みになりましたら、次巻も、閲覧のほど、よろしくお願いいたします。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
最近の女子高生は思想が強い ~雇用・利子および女子高生の一般りろん~
輪島ライ
大衆娯楽
東京都千代田区にある私立ケインズ女子高校は本来の意味でリベラルな学校で、在学生には寛容の精神と資本主義思想が教え込まれている。
社会派ドタバタポリティカルコメディ、ここでも開幕!!
※この作品は「小説家になろう」「アルファポリス」「カクヨム」「エブリスタ」に投稿しています。
※これは架空の物語です。過去、あるいは現在において、たまたま実在する人物、出来事と類似していても、それは偶然に過ぎません。
※姉妹作「天然女子高生のためのそーかつ」を並行連載中です。(内容に一部重複があります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる