窓野枠 短編傑作集 7

窓野枠

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愛の大盛り

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「愛の大盛りがほしくなった」駅前に開店した愛ショップに行ってみた。店に入った僕は店員さんに声を掛ける。「僕に一杯の愛をください」愛想よく頷いた店員さんは紙袋に愛と思われるものを大きなスプーンを使って入れ始めた。やがて、その愛は紙袋一杯になり、こぼれ始めた。愛とおぼしき一欠片ひとかけらが、床にこぼれ落ちた。 「こぼれました、もったいないですよ」と僕は店員さんに言った。店員さんは笑いながら、僕を裏庭に案内してくれた。そこには、大きな山があった。店員さんは言う。「大きくて富士山みたく見えますが、あれは富士山なんかではありません。愛の山なんです。 愛の山は永遠に不滅です」僕は安心して袋を店員さんから受け取る。袋はとても軽くて暖かだった。僕は袋に顔を近づけ思い切り吸ってみた。
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