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13 ジゼル④
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会わないでおこうと決意すれば、結果を得るのは簡単だった。
ロードリックのお見舞いに行かず、中庭にも行かず、ただ粛々と病院に行って帰ればいい。この日もジゼルは治療を終えて、真っ直ぐ帰宅するつもりだった。
しかし会計を終えて立ち去ろうとしたその時、見知った人物に声をかけられてしまう。
「ジゼルさん。少しだけお時間よろしいですか?」
オドラン看護婦長は診察の際に接した中で、事務的に見えて実は心の温かい人だと感じさせてくれた人だ。話の内容には見当がつかなかったが、ジゼルは特に用事もなかったのでもちろんと頷いた。
案内されたのは例の中庭だった。落ち着かない気持ちがしたが、今更場所を変えようとは言い出せず、二人でベンチに腰掛けることになった。
オドランが近頃の治療はどうかと尋ねてきたので、気遣いへの礼を伝える。そう、治療の経過は悪くない。なんとなくだけれど、少しだけ傷跡が薄くなったような気がするのだ。
けれどこれは意味のあることなのだろうか。ジゼルは初恋を終わらせたばかりで、血を垂れ流す胸の傷は塞がる気配がないというのに。
「ですが前回くらいから、何となく元気がありませんね」
ジゼルは感情を表に出しているつもりはなかったので、言い当てられたことに驚いてしまった。
けれどその原因を説明する気にはなれない。オドランはジゼルが言い淀んだことに気付いたのか、それ以上の追求をしてくることはなかった。
「今日お誘いしたのは、謝らなければならないことがあるからなんです」
「謝ること、ですか?」
「ええ。入院患者のチェンバーズさん、ご存知ですね」
わかりやすく息をのんだジゼルに、有能な看護婦長は特に気に留めた様子を見せなかった。彼女の言うところによれば、話の流れでロードリックにジゼルが患者であることを明かしてしまったとのこと。
まさかそんなことを気にして謝ってくれるとは、やっぱりオドランは思いやりのある人なのだろう。
「いいんです、そんなこと。そもそも嘘をついた私が悪いのですから」
ジゼルは切なく微笑んで首を横に振った。今更嘘がバレたところで、前回の態度の最低ぶりを考えればどうでもいいことだ。
「ジゼルさん。チェンバーズさんがね、どうにも落ち込んだご様子なのです」
「え……」
「あなたに悪いことをしたから謝りたいけど、会う手段がないと。何だかもう一度胃に穴を開けてきそうな勢いなんですよ」
「そ、そんな!」
想像だにしないことを聞かされて、ジゼルは俄かに青ざめて立ち上がった。
変な女だと思われたか、もしくは怒りを買ってしまったかもくらいに考えていた。ロードリックの人柄を考えれば、ただ気にやむ方向へ進んでも何らおかしくは無かったのに。
「ジゼルさんがお嫌でないのなら、会いに行ってあげてくれませんか。ちゃんと退院して頂かないと私たちも困るので」
オドランは最後に小さく微笑んだ。何も答えを返せなかったジゼルに会釈をして、頼もしい背中が遠ざかっていく。
ジゼルはその場に立ちすくんだまま、まとまらない頭で考えてみた。
これ以上会ってどうなるのだろう。きっと叶わない想いに切り刻まれるだけ。絶対に釣り合わないような人であることを、思い知らされるだけなのに。
「お探ししましたぞ、ヴィクトリア様」
ジゼルはすっかり思考に没入していたので、いつの間にか背後から近寄ってきた者がいたことに気付いていなかった。
聞き覚えのある声に全身が泡立って、誤魔化すために自らの腕を押さえ込む。そうしてゆっくりと振り返った先には、やはり想像通りの人物が立っていた。
「アンブラー騎士団長……」
「お久しぶりです。随分と手間をかけさせて下さいましたなあ」
赤い騎士服を纏ったアンブラーは、ジゼルと目を合わせるや下卑た笑みを浮かべて見せた。周囲には数人の部下を従えていて、どの男も見たことのある顔ぶれだ。
突然の事態に頭が追いつかないのに、あの時の恐怖を思い出した体が勝手に震え出した。ジゼルの嫌悪を読み取ったのか、アンブラーはやれやれとばかりに肩をすくめた。
「ホプキンソン侯爵閣下が貴方をお探しです。どうやら嫁ぎ先が決まったようですよ。ここから遠く離れた辺境の貴族で、奥方を亡くされて後妻を必要としておられるのだとか。おめでとうございます、ヴィクトリア様」
あまりにも勝手な言い分に、ジゼルは思わず絶句してしまった。
何を言っているのだろう。今に至るまで探しもしなかったくせに、戻ってきて顔も知らぬ貴族に嫁げなどと。
——そんなの、どう考えたっておかしいわ。
ジゼルは瞳に決意を込めてアンブラーを見返した。以前はほんの少しの反抗心も見せなかった妾腹の娘が睨み返してきたことに、騎士団長は苛立ちを感じたようだった。
「私は、ヴィクトリアなどという名前ではありません」
「何ですと?」
「私はもう侯爵様とは一切関係のない人間です。どうかお引き取りください」
「……ほう。どうやらこの数年で随分と生意気になられたようだ」
低く唸ったアンブラーがジゼルの腕を掴む。加減などする気がないと言わんばかりの力に眉を顰めたところで、横合いから飛びかかってくる影があった。
「な、なんだ……!? 猫かっ!?」
オズワルドは勇敢にもアンブラーの腕に噛み付いていた。どうやら騎士服を貫通して歯が食い込んでいるらしく、大袈裟なまでの悲鳴が上がる。
「ぎゃああああ! くそっ、こいつ……! 離せ、畜生めが!」
「オズワルド、だめ!」
いけない、そんな小さな体で無茶をしては。拘束を解かれたジゼルは必死にオズワルドに手を伸ばしたのだが、アンブラーが脚を振り上げる方が一拍早かった。
悲痛な声をあげてキジトラの体が宙を舞う。ポトリと地面に落ちて動かなくなったその姿に、ジゼルは自身が大剣で斬られたような錯覚を受けた。
——そんな。そんな……!
自分のせいで起きた悲劇なのだと自覚すれば、両眼が熱くなって視界がぼやけてくる。こんな小さな命すら守ることができないだなんて。
しかし悄然となったジゼルを前にしても、いきりたったアンブラーはまったく容赦をしてくれなかった。
突如として頬に衝撃を受けたジゼルは地面に倒れ込んだ。ぶたれたのだと理解すると同時に頬が痛みを訴えて、頭が揺さぶられたようにくらくらしてくる。
「舐めやがって、売女の娘が。最初から大人しく」
しかしアンブラーの恨みがましい台詞は最後まで音になることはなかった。
鈍い音が響いて赤い騎士服を纏った体が地面に放り出される。まずは倒れたアンブラーを見つめ、次に乱入してきた人物を見上げたジゼルは、驚きに目を見張ることになった。
「チェンバーズさん……?」
「遅くなった。すまない」
ロードリックはその表情に明確な怒りを宿していた。病院着を着ていようと彼が放つ威圧感は緩和されることはなく、残った赤狼騎士団員を慄かせている。
——まるで、騎士みたい。
思考回路すら麻痺してしまったのか、ジゼルは場違いにもそんなことを思った。ロードリックはすぐに膝をついてオズワルドの様子を確認しているようだ。
「よくやった、オズワルド。お前は立派な騎士だ」
力のない体に翳した手から白い光が生み出される。ロードリックが魔法を扱えることを初めて知ったジゼルは仰天したのだが、それからの展開は驚きなどという言葉では言い表せないほどだった。
ジゼルの頬をも治したロードリックは、あっという間の早業で騎士たちを縛り上げてしまったのだ。羽虫でも払うように成し遂げたのだから、赤狼騎士団員が動揺しながら口にした彼の正体を信じるのには十分だった。
「貴方は……騎士団の、団長様だったのですか……?」
「ああ。私は黒豹騎士団長ロードリック・デミアン・チェンバーズという。黙っていてすまなかった」
言われてみれば納得しかない真実に、ジゼルは口の端に苦笑を浮かべた。
なるほど、彼はまるでではなく本物の騎士だったのだ。ブラッドリー公爵領に来たばかりとはいえ、この地を護る騎士団長閣下の名すら知らなかったとは恥ずかしい限りだ。
無知は罪であり、分不相応な恋心すら生み出してしまった。
いよいよこの想いが叶うはずもないことを実感して、ジゼルはそっと目を閉じた。せめてオズワルドが無事であってほしいと、ただそれだけを祈りながら。
ロードリックのお見舞いに行かず、中庭にも行かず、ただ粛々と病院に行って帰ればいい。この日もジゼルは治療を終えて、真っ直ぐ帰宅するつもりだった。
しかし会計を終えて立ち去ろうとしたその時、見知った人物に声をかけられてしまう。
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けれどこれは意味のあることなのだろうか。ジゼルは初恋を終わらせたばかりで、血を垂れ流す胸の傷は塞がる気配がないというのに。
「ですが前回くらいから、何となく元気がありませんね」
ジゼルは感情を表に出しているつもりはなかったので、言い当てられたことに驚いてしまった。
けれどその原因を説明する気にはなれない。オドランはジゼルが言い淀んだことに気付いたのか、それ以上の追求をしてくることはなかった。
「今日お誘いしたのは、謝らなければならないことがあるからなんです」
「謝ること、ですか?」
「ええ。入院患者のチェンバーズさん、ご存知ですね」
わかりやすく息をのんだジゼルに、有能な看護婦長は特に気に留めた様子を見せなかった。彼女の言うところによれば、話の流れでロードリックにジゼルが患者であることを明かしてしまったとのこと。
まさかそんなことを気にして謝ってくれるとは、やっぱりオドランは思いやりのある人なのだろう。
「いいんです、そんなこと。そもそも嘘をついた私が悪いのですから」
ジゼルは切なく微笑んで首を横に振った。今更嘘がバレたところで、前回の態度の最低ぶりを考えればどうでもいいことだ。
「ジゼルさん。チェンバーズさんがね、どうにも落ち込んだご様子なのです」
「え……」
「あなたに悪いことをしたから謝りたいけど、会う手段がないと。何だかもう一度胃に穴を開けてきそうな勢いなんですよ」
「そ、そんな!」
想像だにしないことを聞かされて、ジゼルは俄かに青ざめて立ち上がった。
変な女だと思われたか、もしくは怒りを買ってしまったかもくらいに考えていた。ロードリックの人柄を考えれば、ただ気にやむ方向へ進んでも何らおかしくは無かったのに。
「ジゼルさんがお嫌でないのなら、会いに行ってあげてくれませんか。ちゃんと退院して頂かないと私たちも困るので」
オドランは最後に小さく微笑んだ。何も答えを返せなかったジゼルに会釈をして、頼もしい背中が遠ざかっていく。
ジゼルはその場に立ちすくんだまま、まとまらない頭で考えてみた。
これ以上会ってどうなるのだろう。きっと叶わない想いに切り刻まれるだけ。絶対に釣り合わないような人であることを、思い知らされるだけなのに。
「お探ししましたぞ、ヴィクトリア様」
ジゼルはすっかり思考に没入していたので、いつの間にか背後から近寄ってきた者がいたことに気付いていなかった。
聞き覚えのある声に全身が泡立って、誤魔化すために自らの腕を押さえ込む。そうしてゆっくりと振り返った先には、やはり想像通りの人物が立っていた。
「アンブラー騎士団長……」
「お久しぶりです。随分と手間をかけさせて下さいましたなあ」
赤い騎士服を纏ったアンブラーは、ジゼルと目を合わせるや下卑た笑みを浮かべて見せた。周囲には数人の部下を従えていて、どの男も見たことのある顔ぶれだ。
突然の事態に頭が追いつかないのに、あの時の恐怖を思い出した体が勝手に震え出した。ジゼルの嫌悪を読み取ったのか、アンブラーはやれやれとばかりに肩をすくめた。
「ホプキンソン侯爵閣下が貴方をお探しです。どうやら嫁ぎ先が決まったようですよ。ここから遠く離れた辺境の貴族で、奥方を亡くされて後妻を必要としておられるのだとか。おめでとうございます、ヴィクトリア様」
あまりにも勝手な言い分に、ジゼルは思わず絶句してしまった。
何を言っているのだろう。今に至るまで探しもしなかったくせに、戻ってきて顔も知らぬ貴族に嫁げなどと。
——そんなの、どう考えたっておかしいわ。
ジゼルは瞳に決意を込めてアンブラーを見返した。以前はほんの少しの反抗心も見せなかった妾腹の娘が睨み返してきたことに、騎士団長は苛立ちを感じたようだった。
「私は、ヴィクトリアなどという名前ではありません」
「何ですと?」
「私はもう侯爵様とは一切関係のない人間です。どうかお引き取りください」
「……ほう。どうやらこの数年で随分と生意気になられたようだ」
低く唸ったアンブラーがジゼルの腕を掴む。加減などする気がないと言わんばかりの力に眉を顰めたところで、横合いから飛びかかってくる影があった。
「な、なんだ……!? 猫かっ!?」
オズワルドは勇敢にもアンブラーの腕に噛み付いていた。どうやら騎士服を貫通して歯が食い込んでいるらしく、大袈裟なまでの悲鳴が上がる。
「ぎゃああああ! くそっ、こいつ……! 離せ、畜生めが!」
「オズワルド、だめ!」
いけない、そんな小さな体で無茶をしては。拘束を解かれたジゼルは必死にオズワルドに手を伸ばしたのだが、アンブラーが脚を振り上げる方が一拍早かった。
悲痛な声をあげてキジトラの体が宙を舞う。ポトリと地面に落ちて動かなくなったその姿に、ジゼルは自身が大剣で斬られたような錯覚を受けた。
——そんな。そんな……!
自分のせいで起きた悲劇なのだと自覚すれば、両眼が熱くなって視界がぼやけてくる。こんな小さな命すら守ることができないだなんて。
しかし悄然となったジゼルを前にしても、いきりたったアンブラーはまったく容赦をしてくれなかった。
突如として頬に衝撃を受けたジゼルは地面に倒れ込んだ。ぶたれたのだと理解すると同時に頬が痛みを訴えて、頭が揺さぶられたようにくらくらしてくる。
「舐めやがって、売女の娘が。最初から大人しく」
しかしアンブラーの恨みがましい台詞は最後まで音になることはなかった。
鈍い音が響いて赤い騎士服を纏った体が地面に放り出される。まずは倒れたアンブラーを見つめ、次に乱入してきた人物を見上げたジゼルは、驚きに目を見張ることになった。
「チェンバーズさん……?」
「遅くなった。すまない」
ロードリックはその表情に明確な怒りを宿していた。病院着を着ていようと彼が放つ威圧感は緩和されることはなく、残った赤狼騎士団員を慄かせている。
——まるで、騎士みたい。
思考回路すら麻痺してしまったのか、ジゼルは場違いにもそんなことを思った。ロードリックはすぐに膝をついてオズワルドの様子を確認しているようだ。
「よくやった、オズワルド。お前は立派な騎士だ」
力のない体に翳した手から白い光が生み出される。ロードリックが魔法を扱えることを初めて知ったジゼルは仰天したのだが、それからの展開は驚きなどという言葉では言い表せないほどだった。
ジゼルの頬をも治したロードリックは、あっという間の早業で騎士たちを縛り上げてしまったのだ。羽虫でも払うように成し遂げたのだから、赤狼騎士団員が動揺しながら口にした彼の正体を信じるのには十分だった。
「貴方は……騎士団の、団長様だったのですか……?」
「ああ。私は黒豹騎士団長ロードリック・デミアン・チェンバーズという。黙っていてすまなかった」
言われてみれば納得しかない真実に、ジゼルは口の端に苦笑を浮かべた。
なるほど、彼はまるでではなく本物の騎士だったのだ。ブラッドリー公爵領に来たばかりとはいえ、この地を護る騎士団長閣下の名すら知らなかったとは恥ずかしい限りだ。
無知は罪であり、分不相応な恋心すら生み出してしまった。
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