勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

地下迷宮

138.守護する道

　魔物を走りながら首元を狙い倒していく。今はウルフみたいな魔物が今の所見ているが、中にはゾンビなどの魔物もいる。
　遺跡のスケルトン、コウモリ、ドラガード、様々な魔物がいる。魔力を使用せずに速攻で駆け下りてるせいか、徐々に魔物の数が増えている気もするが、下や、壁などに空いている穴から湧いてくる。

「どこにこんな魔物潜んでるやら」
「まるで私達を待っていたかのように襲ってきている感じも」

　確かに俺らが来るのを分かっていたかのように出現している。大型じゃない為、こちらも魔法など行使せずに倒せてはいるが、数が多い。
　初期の俺だったらこんな魔物でさえ魔法を使っていただろう。

「チェーン使わなくともこっちで相手すれば問題無いか」

　チェーンの刃を分解し、魔物へと当てた。2匹程度はそれで倒れたが、1匹は足や体に刺さっても吠えてこちらへと走ってくる。
　腰へと手を伸ばし短剣を引っ張り前へと飛ばす。そこから伸びた紐を掴みまだ腰に下げていたもう一本の短剣を引っ張り出す。
　紐に指を引っ掛けながら落ちないように回しながら魔物へと攻撃をする。短剣の刃は魔物の首へと入りそのまま首が吹っ飛んだ。

「武器の手入れはちゃんとしていたから斬れ味は抜群だな」

　この武器は念の為に残していたが、ここまで来れば早期退治の為に使用してもいいだろう。
　もしこの繋ぎ武器が飛ばされたとしてももう1組はある。そちらはいざという時に使用するか。

「見てくださいあれを」
「どうした？大型でもいたって…いうのか？」

　剣などを使用するコボルトを相手しているうちにトルゥが何かを見て叫んでいた。その先には角が生えた二足歩行の牛がいた。手には大型のハルバードが握られていた。
　あれは確かタウロス。普通は斧だが、ここのはハルバードを手にしているのか。それにあのハルバード、何かありそうな武器だな。

「あれはちょっと厄介だな。それに周りには護衛のドラヒューが何匹かいる」
「魔法で一気に突破って感じ？」
「だな。苦戦する相手には変わりないからな」

　短剣でコボルトを倒した後にしまう。その後は両手ともチェーンブレードを生成し、襲ってくる魔物の首元を切断し、強行突破へと移る。いろいろな種族が敵対せずに協力しながら俺らを襲ってきている。
　まるで何かを守ってるような感じもする。

「今はそんな事考えなくていいか。先へと進むそれだけだ」

　あとからそれが分かるかもしれない。今はそれだけを信じ前へと進んだ。