愛脳中毒

じえり

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花水木

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「お兄ちゃんちょっと教えて欲しいんやけど」
いつものように獲物を見つけて近づき噛み付く
若者は顔を上げない
「お兄ちゃんちょっと教えて」
もう一度繰り返す
「何すか?」
「これどこやろ?」
メモを渡す
「わかりません」
「そうか
お兄ちゃん携帯いうのあるやろ?ちょっと調べてくれんかな?」
いつもの手口
「近いっすね」
「タクシーだと近すぎる言われて迎えの車待ってたんやけど中々こんから」
「連れていきましょうか?」
「ほんまか?ありがとうな」

花水木まで歩くといつものようにお礼がしたいからとご馳走で足止め
そして高級寿司を振る舞い
高羽をそばにつける
大抵の若造は油断して罠にかかったことに気づかない
「中林さんまだこの間のガキ釣りの途中だろうにまた新しいのを引っ掛けたのか?」
道楽仲間の吉葉が赤ワインを燻らせながら笑う
「この人は目の死んだ若造が大好物だからね ほっとけないんだよ」
これまた道楽仲間の五条が刺身を食べながら梅酒を飲む
「お前さんたちも何人か嵌めたんだろ?」
吉葉が何人かのファイルを取り出した
「どの子も生活苦だよ 早く楽にしてあげたいねくくくくくく」
「五条さんは今のヘルパー一択だろ?あの子可愛いよねソープに流れるのはもったいないから早くつりなよ」
「死ぬまで介護して欲しいんだけどね 新しいヘルパー探すのも大変だよ
でも借金残して死ぬなんて両親に恵まれてないよね」
「とりあえず花水木からは10人ぐらいは選抜してその後何人残るかな」
「この間のはみんな酷かったから今回の子達は楽しみだよ」
「わしの推しは紀田聖だな」
「今日連れてきたのは?」
「まだ釣るまでかかるからじっくりやるよ」
「爺さんも元気だね」
「鳳仙花の方での仕込みはできてるのかね?あっちの選抜もの10人ばかりいるだろ?」
「小中が根回ししているから大丈夫でしょ」
「そうだな小中の釣りはいつも見事だからな」

鳳仙花も花水木同様秘密クラブとしてひっそり金持ちたちが集まって夜な夜な悪巧みしている

生活困窮者の若者の未来を自分たちで創造することもっぱらそれが老後の楽しみ
去年の合格者は酷かった
せっかくの機会を無駄にする想像力
どん底にいる若者に夢を見させることの快感は老人たちの脳を若返らせる
若者の生気を吸い取るように
愛の中道

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