愛脳中毒

じえり

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幸運

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治験から帰ってすぐ中林老人に挨拶しに行った
中林老人は「ご苦労」と俺を労って寿司をご馳走してくれた
「また遊びにおいで」中林老人はそう言ったけどこの家にまた来る事がないように生活しなくてはそう思った
もらった金でアパートを借りてその近くのコンビニで働き始めた
「いらっしゃいませ」
品出しをしながら何気なく振り返ると懐かしい顔が笑ってた
「アレ?聖?ここで働いてるの?」
初恋の相手奏
同じ中学校で同じ吹奏楽部トランペットを吹く奏を大好きだった
「奏?何で?」
「近くに住んでるんだ」
「俺も最近ここら辺に引っ越してきて」
「いつぶり?成人式以来?」
「近くなら遊びに行っていい?」
「いいよ」
「電話番号変わってないの?」
「変わった 今教える」

あの日からちょくちょく会うようになって好きが暴走して気持ちを確かめあって自然と体を重ねて彼女という存在になった奏
中学生の俺に23まで生きろと教えたい
奏がいる事で俺の人生が色味を持つ
「今日行っていい?」
「いいよ」
お茶一本レジに持ってきて俺に奢らせる奏
「じゃ家で待ってる」
俺がうなづくとお茶ありがとうと微笑みながら店を出ていく
すれ違いに客
「コウキ君!」
「何で?」
「来ちゃったよ」
ヨンが笑ってる
俺の知ってるヨンより数段美女
でもヨンであることは間違いない
「どうした?整形?なんかめちゃくちゃ美人になってないか?」
「ああ失礼!元々こんな顔だよ!化粧してるだけ」
治験の時はすっぴんだったか
「ごめん あまりの美女ぶりに驚いた」
「許す」
心臓がキュとなる
「何でここ?よく俺がここにいるってわかったな」
「実はね私達にはGPSが埋め込まれててある周波数に合わせると居場所が特定できるだよ」
「まじか」
「ははははははそんなわけないじゃんコウキ君おかしい」
いやあんな機関ならそんなこと朝飯前かもしれない
「何だよヨン!シャレにならんぞ」
「ヨンだって 私の本当の名前は真由です
よろしくコウキ君」
「今更真由だなんて言われても俺にはお前はヨンだよ」
レジに客が並んでる
「悪い今仕事中だ」
「手伝ってあげるよ」
そう言って一緒にレジカウンターに入る
ヨンはテキパキと客を捌く
「こちらのレジどうぞ」と言ってみるが俺のところには誰も並ばない
女の客でさえヨンの美貌に引き寄せられるように隣のレジに並ぶ
何だよと思いながらニコニコ接客するヨンに釘付け
化粧しただけでこんなに変わるのか?
こんなに眩しいヨンのこと俺は全く気付けてなかった
「コウキ君話があるんだ」
意味深に笑ってこっちを見てるヨンを見てると奏のことを忘れてしまっていた

ヨンが何でこんなに輝いているのか
それは治験の後遺症なるもののせいだった
よくわからないが薬の影響で内臓の機能の低下が認められあの機関に一生面倒を見てもらえるらしい 借金も無くなって生まれ変われた
「でも内臓機能低下なんて大丈夫なのか?」
「数値が少し悪いだけ 定期的に健康診断受けるし大丈夫 でもね明日死んでもいい 借金のない生活が私にやってくるなんて信じられないもの」
「10番君と匠君も最後まで一緒だったけど後遺症出たの私だけだった コウキ君は大丈夫?」
「何ともない」
「健康診断行った方がいいよ」
「そうだな」
「そうそうサナちゃんのAV見た?中々強烈だったけどサナちゃんってものすごくはナイスバディだよね クルマ君はオーストラリアで大食いチャンピオンになってるよ」
サナのAV見たいようで見たくないような
「何で?みんなこと?」
「私花水木で働いてるの」
その一言で全て理解する
ヨンは機関側の人間になったということ
だから一生面倒見てもらえる
「コウキ君も働いて見ない?」
え?
着信

「花水木で働けるのか?」
「その代わり彼女とはバイバイだよ 私コウキ君のことが好き 一緒に人生変えようよ」
こんな幸運が俺に訪れていいのか?
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