曇り夜裂く月光

ふみのあや

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あなたの見る私の夢

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 辛い現実という荒波のなか眠れぬ人に、幸せで安らかな甘い夢を見せる。そんな仕事がある。
 そして私は、その仕事に就いて……もう、五年になるのだろうか。

「そろそろ寿命なのかな……」 

 そう呟きながら、目の前で囲われている一番愛想のない熊に向けて、私は三百円の餌を投げる。今私が無為に時間を過ごしているこの動物園では、客から餌代を巻き上げた挙句撒餌という労働まで行わせるという、サービスの体をとった拝金主義の権化とでも言うべき商いが行われている。
 餌を客に買わせ、客自身に客好みの動物へと与えさせる。この、一見客に寄り添っているかに見える腐った商業形態が、私は大嫌いだった。
「先輩、よくここに来るくせに、毎回つまんなそうっすね!」
 同じ仕事に就く後輩の、嫌味のない朗らかな声が響く。彼女はいつも、一番愛想よく餌をねだる動物に向け餌を放つ。今日もそうだった。
「あなたこそ、なんでこんなとこまでいっつも付いて来るだけじゃなく、毎度毎度楽しそうなのよ?」
「憧れのゆめかわアイドルりこりんと一緒に動物園ですよ? 実質デートですよ、デート! 楽しくないわけないじゃないですか!」
 彼女の言った、りこりんとは、私のことだ。私の職業はアイドル。そして芸名が厘條りこ。そこからとった愛称でりこりん。ファンの間で、私はそう呼ばれているらしい。
「あまり大声でそういうこと言わないで」
「照れてるんですかー? かわいいなー、このー」
 仕事柄、オフの際には人目につかぬよう行動したいという私の心理を、彼女はこれっぽちも理解できていないようだ。相も変わらずマイペースなこの同業者に、私は毎度のことながら呆れてしまう。
「はあ……。私が生まれてこの方、どれだけかわいいだのキレイだのと言われてきたと思ってるの? それぐらいで照れるわけないでしょう。馬鹿らしい」
「ちょ、まずいですよ、先輩。どこで誰が聞いてるかわからないのに、そんな擦れたこと言っちゃ。それくらい、わたしでもわかるアイドルの基本です。らしくないですよ、あのりこりんともあろう方が」
 冗談のつもりで言った言葉を本気で受け取り、一人あたふたする後輩。
「あなた、それ本気で言ってるの?」
 つい先程の人目を気にした私の言葉を完全にスルーしたくせに、今度はそのことについて得意気に教導し始めた彼女に、私はまたしても呆れてしまった。
「もちろん。わたしはいつでもマジですからね。そして、りこりんにも真剣」
 彼女はそう言って、力強く頷く。後ろで一つに結んでいる黒髪を揺らして。
 ちなみに、先輩の同業者を取り敢えずよいしょする、というのはこの業界ではよくあることなので、初めは彼女のこういう態度を疑っていたのだけど、彼女が私のファンであるというのはどうやら嘘ではないらしい。半ば人間不信になりかけている私が探りに探り、疑いに疑いを重ねた末の結論なので、間違いはないと思う。
 とはいえ、どうしてよりによってもう朽ちかけの私なんだ? という念は未だに拭えないのだけど。きらきらと輝き咲き誇る大輪なんて、私なんかより他にもっと山程いるのに。
「……ってああ! 先輩! もうばれちゃってます! あちらの方にこちらを指差すりこりんファンっぽい方が! こうしてはいられません、場所を移しましょう!」
 物思いに耽る私を現実へと呼び戻したのは、彼女のそんな太陽のように明るい一声だった。
「いや、あれはただ熊を指差しているだけだと思うけど……。まあ、いいか」
「ではでは、次はパンダですかね! りこりんの好きな動物といえば、パンダをおいて他にありませんし」
「そ、そうね……」
 事務所が勝手に決めただけで、私が本当に好きなのはライオンなのだが、まあ、わざわざ今言いだすべきでことでもないだろう。
 しかして、私は彼女に連れられるがままに、所謂動物園の客寄せマスコットの元へと向かうのだった。



 彼女と私が出会ったのは、一年前の四月。
 もう、私がこの職業に嫌気がさしていた頃だった。
 彼女は、私と同じプロダクションに所属したその日のうちに、私に挨拶に来た。
「は、はじめまして。わたし、えと、沙上沙綾です。その、ずっとりこりんのファンで、わたし。えーと、だからアイドルになっちゃいました! よ、よろしくお願いしますっ!」
 出会ってすぐ、いきなりこんな挨拶をされた時は、私は彼女のこの態度を完全に演技であると思っていた訳で、こいつは私にこんな媚を売ってまでトップへのし上がりたいのかと吐き気がする思いだった。
 けれど、彼女に行く先々に付きまとわれ、話しかけられる度に、彼女のその思いが本物であることを知った。
「りこりんはですね、完璧でも完全でもないんですよ。でも、そうあろうともがく姿がですね、最高なんです!」
彼女に私の何がいいのかを問うた時の答えがこれだ。
 ただ馬鹿にされているだけのような気がしなくもないけれど、この言葉を発した時の彼女の目つきはいつになく真剣で、月夜でさえ明るく光る一等星のように綺麗だった。だから、私は何も言い返さず、そんなものかと思ったものだ。
 今思えば、確かにこの言葉は至言かもしれない。
なぜなら、アイドルとはなにか一つの道を完璧に極めた者のことではないからだ。アイドルは歌って踊って、被写体にもなり、人々を笑顔にもするだろうが、それぞれの道には歌手やダンサー、モデル、芸人といったその道のプロが居り、私達の力では彼等に到底敵わない。けれど、劣っているけれど、だからこその魅力がある。そういったことを彼女は言いたかったのだろう。(まあ、彼女の脳にそこまで考えられる能力があるとは到底思えないのだが)
 と、そんなわけで、アイドルというのはよくわからない職種だ。ただかわいいだけでも駄目。ただ歌やダンスが上手ければいいわけでもない。愛嬌がないのが逆にいいと言われることさえある。
 故に私は悩んでいた。
 こんな評価方法もはっきりとしないもやもやしたものが商売のメインであり、且つ、原価は大したことのないグッズに様々な付加価値を付け高値で購入させ、挙句CDに特典を付け無意味な複数買いを強いる。アイドルとファンの関係とは言ってみれば悪徳詐欺師とカモネギの関係に相違ない。
 それを、人に夢を見せる素敵な仕事だと思い込んでいられる内は良かった。今はもう、そうは思えなくなってしまったから。
 もう少し若い頃はきっと、私も全力で楽しんでいたし、きっとお客さんにも素晴らしい夢を見せられていた気がする。けれど、今はもうステージに立つと、客を騙しているだけでなく、自分さえ騙しているような気がしてしまうのだ。ファンのみんなに偽の笑顔を届けているような気がして、胃がキリキリと痛む。それを必死で隠して届ける笑顔は、果たして輝きを持ってはいるのだろうか? そんなはずがない。気が狂いそうになる。
 こんな私がアイドルを続けていいのだろうか。いや、もう辞めてしまいたい。そんな想いが、私の心の中でここのところずっと渦巻いている。
 そう。端的に言って私はもう、夢を見ることが出来なくなってしまっていたんだ。
 そんな大人の女が見せる夢なんて、つまらないものに違いない。アイドルを辞めてからでも、私と結婚してくれる人はいるのだろうかなどと、いよいよ保身が浮かんできてしまうような女に、アイドルとしての価値はもうないのだ。
 だから、私は――



「先輩! 見てください、パンダですよ、パンダ! かわいいですねー」
「……そうね」
 沙綾のきゃぴきゃぴとした声で、私は暗い思考の海から這い上がらされた。
「相変わらずオフの時はテンション低いっすねー先輩。もっとファンサービスくださいよー」
 彼女のような人間は、元来苦手であると思っていたのだけれど、不思議と沙綾といる時間は苦ではない。
「知ってる? ファンサービスってのはファンがいて初めて成り立つのよ」
「ファンなら、ここに! こ・こ・に! いるじゃないですか!」
 自分の両頬を両の人差し指で指差しながら、力強く彼女はそう言った。
 それがあまりに鬱陶しかったので、私は彼女を黙らせるべく、声のチューニングを始める。
「あー、あー……こほん。……私はー、みーんなのものだからー、誰か一人を特別扱いは出来ないのー。ごめんね! ……はあ。これでいいかしら?」
 普段の私からは想像もつかないような甘い声で吐きだされたセリフを聞いて、沙綾は喜びからか凡そ彼女のファンには見せられないようなひどい顔になっていた。何度でも言うけれど、彼女が私の事を好きなのは本当なのだろうが、なぜ彼女が私をそれ程までに好きでいてくれるのかがわからない。
「ありがとうございます! しかもわたしだけでなく、ファン全員に配慮したお言葉! 最高です! やっぱりこりんは神! ふーーー!!!」
 なんだかおかしなテンションになっている彼女を見ながら、皮肉のつもりで言ったのだけど、と私は少し不服だった。彼女のそういう嫌味の通じない所は、素直に羨ましい。
 そんな茶番を挟みながらも、しばらくパンダを眺めていると、ふと沙綾に手を掴まれた。
「そろそろ行きましょ、先輩」
 どうやら、他の動物をご所望らしい。
「もう行くの?」
「はい。こいつ、かわいいんですけどさっきから後ろ向いてばっかで、つまんないんですもん」
 確かに、先程からパンダがこちらへ向けているのは終始臀部のみだ。
「もう少し待てば、こっちを向くんじゃない?」
「だめですね。これは今日はもう動かないと見ました」
「なにそれ?」
「さあやテレパシーです」
 なんだかよくわからないポーズを取りながら、彼女はキメ顔でそう言った。意味不明だが、彼女のファンは彼女のこういうところが好みなんだとか。まあ、わからないでもない。
「はあ?」
「まあ、そういうわけです。次、行きますよ!」
 そういう彼女に連れられるがまま、私は園内を練り歩いた。


 そして、終園時間となる頃、私達は一人の小さな女の子に出会ったのだった。
 少女はどうやら迷子になってしまったらしく、一人でぽつんと泣いていた。
 そんな子供を沙綾が見逃す訳も無く、声をかけてみたのだが……。
「だめでしたー。せんぱーい。わたしの力では彼女の心を開くことはできませんでしたー。わたし、アイドル失格ですぅー」
 この様である。
 泣いている少女をあやすつもりが、自分が涙目になって帰ってくるとはこれいかに。まったく、自分で解決できないような問題には首を突っ込まないで欲しいものだ。
 そう思っていると、なにか縋る様な視線を沙綾がこちらへと向けていた。
言いたいことはわかる。恐らく彼女は自分の代わりに少女の話を聞いてあげて欲しい、とかなんとか思っているのだろう。いやはや、勘弁して欲しい。誰がそんな一銭にもならないこと……。
なんて、普段の私なら、自身のファンでもない人間にそんな事は絶対にしないのだけど、なぜか体は動いていた。
「ねえ、お嬢さん。私、りこりん。あなたは?」
 仕事でもないのに、こんなふざけた声を日に二度も出して何をやってるんだ私は、という思いが湧き上がっては来たが、そんな感情はすぐにどこかへ吹き飛んでしまった。
「う、ううっ……、ぐすっ……」
 親とはぐれただけのことで、泣いてしまう女の子。こんな場所でも、感情を顕に出来る女の子。人目を憚るなんてこと、知りもしない女の子。
 落とさなきゃいけない汚れなんて一つもない綺麗な顔を、大粒の雫が洗い流していく。
 ――泣きたいのは、私のほう。
 急にそんなよくわからない感情が浮かんできて、困惑する。
 目の前で涙を流す小さな女の子に直面し目を合わせた瞬間、なにかが自分の胸をごちゃまぜにした。なぜだかは知らないけれど、かつての、そう、この直近五年間の記憶が、いわゆる走馬灯のように自身の脳裏に浮かんでは消えていく。突然のスカウトから始まって、レッスン、初ライブ。オーディション。緊張、不安、期待、それらが入り混じっていた頃のこと。
「……どうして、泣いているの?」
 少女の応対をする間にも、私の心はここにあらずといった感じだった。なぜなんだろう。でも、彼女を見ていると、なぜだかそんな初々しくも苦々しく、そして甘酸っぱい、そんな記憶が蘇ってくる。ああ、そういえば、初めて映像のお仕事をさせてもらったのはこの動物園だったな……、なんて感慨も。その頃にはもう、あらゆるものに慣れて、擦り切れて、考えることを止めようとした。でも、そんなことは不可能だった。
「教えて……」
なんで私は、思ってもないことを言わなきゃいけないの? どうして私はしたくもない顔をしなきゃいけないの? そしてなにより、どうして私は、素直にそう思うことが、自然とそうすることが、出来なくなってしまったの? 毎回違うコントローラーで無理矢理に動かして、お似合いの仮面を付けて。それのなにがファンの為なのよ!
「ねえ、教えてよ……!」
溜めこんでいた重い想いが、形をもって暴れ出す。目の前の少女が妬ましかった。私だって、昔はこんな何も知らないような普通の女の子だったのに! 私はただ、みんなの夢の為に美しくあろうとしただけなのに!
本心も、素顔も、見失って。
いつから私はこんなにも醜く、汚い、商品作物に成り果てた?
ああ、頭が痛い。胸が、心が痛い。苦しいよ、辛いよ、助けてよ。もうこんなこと、したくないよ……。
あれ、なんでかな? 目の前が霞んで――。
「……おねえちゃんも、ないてるの?」
そんなたどたどしい少女の声で、私は我に返った。
ふと頬を指でなぞれば、ほんの少しの潤い。なんだかよくわからぬ間に、その跡を辿っていくと、その一滴の雫はちょうど首筋を伝うところだった。
私はそこまでしてようやく理解する。朧だった思考からまるで霧が払われたかのように、私の心象がくっきりと形を持ち始めていく。
やってしまった。
そんな念が、胸中を廻り廻る。自責の念が、身を苛む。
私はスイッチを入れようと、頭の中身を切り替えようと、躍起になる。何度もやってきたことだ。大丈夫、慣れている。
そう、慣れている――はずなのに、中々上手くいかない。
「おねえちゃん……?」
どうしよう、恐らくこの子は私のことを知らない。でも、名乗ってしまった以上、下手な手は打てない。こんな醜態を晒すなんて、プロの私に許された行為ではないのに……。

「先輩……?」

そこまで思い至った瞬間、背後からそんな声がした様な気がして――私はハッとした。
そして、あの鬱陶しくもどこか心地よい、あの後輩が背後にいる、という事実を思い出した。だから、今度こそ私は本当に我に返ったのだと思う。だって、そう思った途端、胸の奥からなんともいえない、闘士とでも形容出来そうな、どこか青臭くて無性に熱い滾りが、沸々とこみ上げてきたのだから。
「ふふっ」
 思わず笑ってしまった。少女がきょとんとしたようにこちらを見ている。当たり前だ。こんな情緒不安定な危ない女が目の前にいたら、私なら、まず関わり合いになろうとは思わないだろう。だが、そんなことはあまり気にならなかった。なぜなら、この少女はもう、後数十秒もしない内に私の虜になるであろうことが、今ここに決定したからだ。
なにをしていたのだろう、私は。危うくあの厄介なファンに泣き顔を無銭で提供してしまうところだった。あの子の前で泣くなんて、私のプライドが許さない。うん。あの子の前でくらい、私は笑っていたい。最高の、アイドルでいたい。それが自分や他人を偽るものであっても、誰かがそれを求めてくれているのであれば、それでいい。素直に、自然に、そう思えた。
アイドルというのは、いつも笑って……そう、笑顔でいるべきなのだから。
私は少女に目線を合わせ、再び演技を開始する。
「ううん、ちがうよ。アイドルはね、りこりんはね、みんなの前で泣いたりしないの。だからね、これは汗なんだ。そう、りこりんってばちょっと人気者すぎて働きすぎちゃった。だからこれは心がつかれて汗をかいてるの」
「えー、なにそれー。わけわかんなーい。おねーちゃん、おもしろーい!」
 そう言って少女は無邪気に笑った。
 私は思う。それでいいのだと。あなたはまだ何も知らなくていいのよ、と。
 だって私は、純真で無垢な人達に甘い夢を見せて誑かす、悪い女なのだから。あるいは、そうと知ってまで毒を喰らおうとする物好き達を、私という麻薬で駄目にしてしまう、どっちにしろ最低の毒婦なんだから。
 

 数日後の夕暮れ、私はとある遊園地のステージに立っていた。
 そこから見える景色は、いつもと少しだけ違っていて、でも、その少しの違いが、私をもう一度夢見るアイドルでいさせてくれた。
 なぜなら、観客席右奥には、幸せそうなきらきらの笑顔を浮かべる沙綾と、先日の少女がいたから。
それだけじゃない、最近直視することの出来ていなかった私のファンのみんなも、昔と同じ、この一瞬だけまたとない輝きを放つ、あの、流星の様に素敵な笑顔でいてくれていた。
 アイドルは、人に夢を見せる仕事だ。
 けれど、それと同時に、人に夢を見せてもらう仕事でもある。
 そんな当たり前の事に、私は今になって気付いたのだった。夢中になっていた時には気付いていなかったその事実を知って、私は再び夢の中に戻る。
 だから、私は今日も、これからも笑顔を振りまき、みんなと同じ夢を見続けるのだろう。ファンのみんなが、いつかこの甘い夢から覚めてしまうまで。
 ――でも。
 ――いや、もしかしたら、そんな日は。そんな日は、来ないのかもしれない。
 私は興奮の最中、そんな無謀な理想さえ夢に見た。
 客席に浮かぶ無数の眩い光が、このどうしようもなく覚めた女の目から現実を遠ざけてくれたから……かな。
――そうなの、あなたたちが、私を少女(アイドル)にしてくれるんだよ?
私は胸の中で、ファンのみんなに、告白をする。
目の前の、私なんかよりずっと綺麗な雲一つない星空(客席)に向けて。
それは、彼等の手に灯った灯りであり、そして、なによりもその、今を生きている証である輝き。夕暮れなんかの赤よりも、もっと眩い、刹那の愛。
この瞳に映るのは、そう。ほかの何者でもなく。あなたたちの、笑顔――。

「みーんなーーー、だーーーいすきだよーーーー!!!!」

 目を開いて、彼等と共に見る夢は、最高に気持ちがいい。
 私は素直に、そう思えた。
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