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十章
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しょんぼりとうなだれるクロス。私は痛む後頭部を右手で押さえながら、ゆっくりと上半身を起こした。起き上がる瞬間はなかなかの痛みが走ったが、体を起こして見ると案外、気にならなくなった。
「後で私からもクロスは悪くないって言っておくよ」
「うん……。
いや、そんなことより“ねじ”について教えてよ。岩の周辺?」
「私がただ転んで気を失ったと思ってんのか」
先程クロスも言っていたように、私は巻き付いた蔦を頼りに、あの岩を登って、そして落ちたのだ。「いや、君が倒れて居た場所や、蔦が剥がれたばかりの場所が岩の上部にあったのを確認したから、登ったのかなって」なんとも賢いものだ。
「ってことは、あの上にあるの?」
私が頷くと、クロスは表情をパッと輝かせた。まるでこの世界の救世主を見るような……、いや、“ねじ”を見つけてしまったので、実際私は救世主ということにはなるが。クロスを無視して、一度目を閉じて己の記憶をたぐり寄せた。
「私はどれくらい寝てたの?」あれが夢だとわかったのは、痛みだ。殴られたときの感覚は、今まで体が覚えている程に染み付いているものだったので、勝手に痛いものだとあのときは思い込んでいた。しかし、よくよく集中してみると、痛みは一切なかったのだ。だからこそ、あそこまで無茶をしてきたのだ。
「四日だね。よくもまあのんきにグースカと。
君のおっぱいのせいで僕は濡れ衣を着せられたってのに」
「おっぱい見た上に、さっき抵抗できない状態の私にキスしたんだから、あながち間違いではないでしょ」
「その話はやめよう!すっごい恥ずかしいよ!」
「後で私からもクロスは悪くないって言っておくよ」
「うん……。
いや、そんなことより“ねじ”について教えてよ。岩の周辺?」
「私がただ転んで気を失ったと思ってんのか」
先程クロスも言っていたように、私は巻き付いた蔦を頼りに、あの岩を登って、そして落ちたのだ。「いや、君が倒れて居た場所や、蔦が剥がれたばかりの場所が岩の上部にあったのを確認したから、登ったのかなって」なんとも賢いものだ。
「ってことは、あの上にあるの?」
私が頷くと、クロスは表情をパッと輝かせた。まるでこの世界の救世主を見るような……、いや、“ねじ”を見つけてしまったので、実際私は救世主ということにはなるが。クロスを無視して、一度目を閉じて己の記憶をたぐり寄せた。
「私はどれくらい寝てたの?」あれが夢だとわかったのは、痛みだ。殴られたときの感覚は、今まで体が覚えている程に染み付いているものだったので、勝手に痛いものだとあのときは思い込んでいた。しかし、よくよく集中してみると、痛みは一切なかったのだ。だからこそ、あそこまで無茶をしてきたのだ。
「四日だね。よくもまあのんきにグースカと。
君のおっぱいのせいで僕は濡れ衣を着せられたってのに」
「おっぱい見た上に、さっき抵抗できない状態の私にキスしたんだから、あながち間違いではないでしょ」
「その話はやめよう!すっごい恥ずかしいよ!」
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