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八章
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以前は大きな岩肌の山の頂上から降りていったが、今回は逆だ。ぼんやりとそう考えながら、幼い頃に登ったジャングルジムのように、両手両足を駆使して一気に登っていく。
蔦を登って着実にいき、数分もしないうちに私は岩を登りきった。意識が不思議と高ぶっており、今はさして疲労を感じないが、恐らくかなりの労力だっただろう。体の奥から無限にも近い勢いで力が湧き上がっているが、息は上がって激しくなっているし、ふくらはぎはプルプルと震えていた。
岩の上は平になっており、どうしてかそこだけ、蔦も一切絡まっていない。
森の中を歩いていた時より、日差しが明らかに強い。視界を強く刺激し、思わず閉じた瞼の裏に残像が見える。天より降りてくる陽光がまるでスポットライトのように集中し、岩の上の一点を照らしている。
その光の中に、なにか、よく分からないものが生えていた。
金属製の土台のようなものから、丸い棒のようなものが生えている。太さは私の腕と同じくらいで、黄土色の光沢のある質感をしている。
歩み寄って、それの目の前に両膝をついて観察する。棒は地面から五十センチ程突き出ており、先端の両側に、丸い板のようなものが付いている。つまみのようだ。
「あ、これが“ねじ”か」
そう口に出してやっと、合点がいった。確かに、からくり仕掛けの玩具なんかのネジをまくあれに、とてもよく似ている。というか、ねじまきそのものだ。
「やっと見つけた」
蔦を登って着実にいき、数分もしないうちに私は岩を登りきった。意識が不思議と高ぶっており、今はさして疲労を感じないが、恐らくかなりの労力だっただろう。体の奥から無限にも近い勢いで力が湧き上がっているが、息は上がって激しくなっているし、ふくらはぎはプルプルと震えていた。
岩の上は平になっており、どうしてかそこだけ、蔦も一切絡まっていない。
森の中を歩いていた時より、日差しが明らかに強い。視界を強く刺激し、思わず閉じた瞼の裏に残像が見える。天より降りてくる陽光がまるでスポットライトのように集中し、岩の上の一点を照らしている。
その光の中に、なにか、よく分からないものが生えていた。
金属製の土台のようなものから、丸い棒のようなものが生えている。太さは私の腕と同じくらいで、黄土色の光沢のある質感をしている。
歩み寄って、それの目の前に両膝をついて観察する。棒は地面から五十センチ程突き出ており、先端の両側に、丸い板のようなものが付いている。つまみのようだ。
「あ、これが“ねじ”か」
そう口に出してやっと、合点がいった。確かに、からくり仕掛けの玩具なんかのネジをまくあれに、とてもよく似ている。というか、ねじまきそのものだ。
「やっと見つけた」
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