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七章
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台所からお茶のポットを持ってきた女性が、テーブルにそれを置いた後私の横に来た。「ここの辺りかしら」と指差した近くに、あの村の名前を見つけた。幸か不幸か、村から遠く離れた場所では無いらしい。
これならば、あの女性たちが村を離れた頃を見計らって様子を身に戻れる。しかし、私達を追っている最中にこの家を見つけてしまう可能性もある。無駄な戦いはしたくない、疲れるし。
「クロス、この周りを安全にすることは可能?」
「十分あれば」
「じゃあお願い」
クロスの結界があれば、おそらくは安全だろう。正直どれくらいの威力があるものなのか、未だに測りかねている。実際に効果を目の当たりにしたわけでは無いので、仕方ない。クロスは無言で頷くと、早足で家から出ていった。
「どういうことかしら?」
「それはこれからお話させてください。まず最初に、彼は魔法使いです」
と、気付いた頃には口から漏れていた。この国で魔法使いは忌み嫌われている。なのに、我ながら迂闊にも程がある。これでもし目の前の女性が芳しくない反応を見せることがあれば、私は強硬手段を考えるとこだ。しかし、彼女は動じることなく、「そうなのね」と言った。
「もともと私はこの国の人間じゃないの。魔法使いだからってどうってことはないわ」
「そうですか。それは凄く……楽でいいです」
女性は私に椅子に座るように促し、自分は再び台所に引っ込み、しばらくしてティーカップを三つとシュガーポットをお盆に乗せて持ってきた。私の向かい側の椅子に座り、慣れた手付きでお茶を注ぎ出した。
「私の名前は、ミミと申します。さっきの男の子はクロス」
「はじめまして。よろしくね、ミミ。私の名前はエリザよ」
これならば、あの女性たちが村を離れた頃を見計らって様子を身に戻れる。しかし、私達を追っている最中にこの家を見つけてしまう可能性もある。無駄な戦いはしたくない、疲れるし。
「クロス、この周りを安全にすることは可能?」
「十分あれば」
「じゃあお願い」
クロスの結界があれば、おそらくは安全だろう。正直どれくらいの威力があるものなのか、未だに測りかねている。実際に効果を目の当たりにしたわけでは無いので、仕方ない。クロスは無言で頷くと、早足で家から出ていった。
「どういうことかしら?」
「それはこれからお話させてください。まず最初に、彼は魔法使いです」
と、気付いた頃には口から漏れていた。この国で魔法使いは忌み嫌われている。なのに、我ながら迂闊にも程がある。これでもし目の前の女性が芳しくない反応を見せることがあれば、私は強硬手段を考えるとこだ。しかし、彼女は動じることなく、「そうなのね」と言った。
「もともと私はこの国の人間じゃないの。魔法使いだからってどうってことはないわ」
「そうですか。それは凄く……楽でいいです」
女性は私に椅子に座るように促し、自分は再び台所に引っ込み、しばらくしてティーカップを三つとシュガーポットをお盆に乗せて持ってきた。私の向かい側の椅子に座り、慣れた手付きでお茶を注ぎ出した。
「私の名前は、ミミと申します。さっきの男の子はクロス」
「はじめまして。よろしくね、ミミ。私の名前はエリザよ」
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