わたしの愛した世界

伏織

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三章

3-2

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寝ているクロスを残し、私はマルトと共に町を散策しつつ、必要なものを買い揃えに出た。町並みは決して大きなものでは無いし、都会とは言い難いが、とてつもない田舎でもない。のんびりと時間が流れているような長閑のどかさがあり、住人も穏やかだ。よくわからない“ねじ”を探す旅が終わったら、是非ここに住みたい。


「ねえねえ、そういえばお姉ちゃんたちはどこから来たの?」


服屋で適当な服と下着を買い、大きな袋を二つ抱えて出てきた私に、外で近所の犬と遊びながら待っていたマルトが駆け寄ってきた。


「山の上から、魔法で来たよ」


ちょっとした出来心、というか。マルトやマルトの両親、服屋の店主の女性。この国の人間、いやこの町の人間があまりにも優しい人ばかりなので、本当に魔法使いを嫌っている国であるという実感が無かった。あくまで試すような気持ちで、あえて冗談めかして私はそう答えた。


「えっ........?」途端にマルトの顔が曇り、私から大きく一歩離れた。恐怖や嫌悪、怒りや憎しみ、様々な感情がぜになった顔付きで私を見上げている。これはやばいと分かったので、私は即座に訂正する方向に話を続けた。


「本当にごめん。ほんの冗談のつもりだったんだ。
私達、他の国から来てるから、この国の事情をよくわかってないの」

「なんだぁ........。ダメなんだよ、そんなこと言ったら」

「ごめんね。もしよかったら、私に色々教えてくれないかな?何で魔法はダメなのか」


少し半信半疑という感じではあったが、マルトは安心したように一歩、先程離れたぶんの距離を詰めてきた。

「いいよ!お買い物がおわって落ち着いたらお話してあげる!」
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