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第13章

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 和人の不安が現実になるまで、そう大して時間はかからなかった。

 翔真さんが失敗をする度、我儘を言う度、俺は怒りに任せては、ことあるごとに翔真さんを怒鳴りつけた。
 ただ、手を上げることだけは、絶対にしなかった。それをしてしまった瞬間、俺達の関係は終ってしまうような気がしていたから。

 部屋にはいつしかゴミが溢れ、それまで小まめに作っていた介護食も、インスタントの物が多くなった。当然会話もなくなり、俺から翔真さんに話しかけることは、殆ど無くなった。

 翔真さんは一日の殆どを寝て過ごし、たまに起きたかと思えば、奇声を発したり、ゴミを物色したりを繰り返し、俺はそんな光景を目にする度、翔真さんが泣き疲れて眠るまで怒鳴りつけた。

 処方された薬を飲ませることすら、疎かにしがちになった。
 一度井上先生から電話がかかってきたけど、忙しいことを理由に、近いうちに診察に行くとだけ言って電話を切った。


 忙しくなんてないのに……


 そんなある日、福祉課の人間だと名乗る人達が、俺のアパートを訪ねて来た。近隣住民からの通報があった、とその人達は言った。
 昼夜を問わず響く泣き声と怒声、それに部屋から漏れる異臭が問題になった……らしい。

 俺はその話を聞いた瞬間ピンと来た。


 アイツだ。隣に住んでるアイツが通報したんだ。何も知らないくせに……


 俺は腸が煮えくり返るのを感じていた。
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