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第10章
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「翔真さん寝た?」
ノックも無しに開いた扉の隙間から、和人が顔を出す。
「ああ、今さっきね」
「そうですか。それにしても驚きましたよ……」
声を潜め、なるべく足音を立てないように、ゆっくりと和人が近づいてくる。
「確かにね。俺もまさかと思ったよ」
でもこれが現実で、そして始まりなんだ。
「下の様子は? 翔真さんのご両親はどうしてる?」
予想こそしてなかったけど、俺達ですら驚いたんだから、あの様子だと、翔真さんのお母さんは、相当ショックを受けてる筈だ。
「おばさんはずっと泣いてますよ」
そりゃそうだろうな、ずっとエリート路線まっしぐらだった息子のあんな姿見たら、平気でいられないよな……
「でもおじさんはかなり疑ってる……と思う」
「疑うって、何を……?」
「翔真さん会社も辞めちゃったじゃない? 当然金も無いわけよ。だから俺らを使って、それこそ金の無心に来たんじゃないか、って……」
「……っだよ、それ……」
いくらなんだってそんなの酷すぎる。
込み上げてくる怒りが押さえられず、翔真さんの指に絡めた自分の指を解くと、勢い良く立ち上がった。
「悪いけど、ちょっと翔真さん見ててくんない? 俺、話してくるから……」
で、翔真さんの病気のこと、ちゃんと理解して貰うんだ。
コレは嘘や芝居なんかじゃない、現実なんだってこと、分かって貰うんだ。
ノックも無しに開いた扉の隙間から、和人が顔を出す。
「ああ、今さっきね」
「そうですか。それにしても驚きましたよ……」
声を潜め、なるべく足音を立てないように、ゆっくりと和人が近づいてくる。
「確かにね。俺もまさかと思ったよ」
でもこれが現実で、そして始まりなんだ。
「下の様子は? 翔真さんのご両親はどうしてる?」
予想こそしてなかったけど、俺達ですら驚いたんだから、あの様子だと、翔真さんのお母さんは、相当ショックを受けてる筈だ。
「おばさんはずっと泣いてますよ」
そりゃそうだろうな、ずっとエリート路線まっしぐらだった息子のあんな姿見たら、平気でいられないよな……
「でもおじさんはかなり疑ってる……と思う」
「疑うって、何を……?」
「翔真さん会社も辞めちゃったじゃない? 当然金も無いわけよ。だから俺らを使って、それこそ金の無心に来たんじゃないか、って……」
「……っだよ、それ……」
いくらなんだってそんなの酷すぎる。
込み上げてくる怒りが押さえられず、翔真さんの指に絡めた自分の指を解くと、勢い良く立ち上がった。
「悪いけど、ちょっと翔真さん見ててくんない? 俺、話してくるから……」
で、翔真さんの病気のこと、ちゃんと理解して貰うんだ。
コレは嘘や芝居なんかじゃない、現実なんだってこと、分かって貰うんだ。
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