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第10章
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「自分で出来るから……」
そう言った翔真さんを無視して、俺は翔真さんの濡れたズボンと下着をずり下げると、そこに少し熱めのシャワーをかけた。恥ずかしさや気まずさなんて、俺にはなかった。
ただこんな姿の翔真さんを見ているが、辛かった。
「よし、これでさっぱりしたでしょ?」
バスタオルで濡れた足を拭き、ベッドの上に用意してあった下着とズボンを着せ付けると、俺は翔真さんをベッドに横たえた。
「すまない。お前にこんなこと……」
翔真さんが申し訳なさそうに、瞼を伏せる。
「もう、さっきからそればっかですよ? 謝んなくていいですから。それよりさ、ちょっと疲れたでしょ?」
きっと相当なショックを受けたよね?
シャワーを浴びたばかりだっていうのに、赤みを差すどころか、翔真さんの頬には全く色がない。
「俺、翔真さんが眠るまでここにいますから、ちょっと休んで下さい」
少しでも不安を取り除いてやりたくて、その髪をそっと撫でながら言う。
すると、次第に翔真さんの瞼がどんどん下がって行き、そして聞こえてきた規則的な寝息……
今は……、今だけはゆっくり眠って欲しい。
そして次に目が覚めた時、この現実を忘れていて欲しい。
俺は強く願いながら、力なく投げ出された翔真さんの手を握った。
冷えた指先に、少しでも俺の体温を分けて上げたくて……
俺が付いてるからって、安心させて上げたくて……
そう言った翔真さんを無視して、俺は翔真さんの濡れたズボンと下着をずり下げると、そこに少し熱めのシャワーをかけた。恥ずかしさや気まずさなんて、俺にはなかった。
ただこんな姿の翔真さんを見ているが、辛かった。
「よし、これでさっぱりしたでしょ?」
バスタオルで濡れた足を拭き、ベッドの上に用意してあった下着とズボンを着せ付けると、俺は翔真さんをベッドに横たえた。
「すまない。お前にこんなこと……」
翔真さんが申し訳なさそうに、瞼を伏せる。
「もう、さっきからそればっかですよ? 謝んなくていいですから。それよりさ、ちょっと疲れたでしょ?」
きっと相当なショックを受けたよね?
シャワーを浴びたばかりだっていうのに、赤みを差すどころか、翔真さんの頬には全く色がない。
「俺、翔真さんが眠るまでここにいますから、ちょっと休んで下さい」
少しでも不安を取り除いてやりたくて、その髪をそっと撫でながら言う。
すると、次第に翔真さんの瞼がどんどん下がって行き、そして聞こえてきた規則的な寝息……
今は……、今だけはゆっくり眠って欲しい。
そして次に目が覚めた時、この現実を忘れていて欲しい。
俺は強く願いながら、力なく投げ出された翔真さんの手を握った。
冷えた指先に、少しでも俺の体温を分けて上げたくて……
俺が付いてるからって、安心させて上げたくて……
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