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第8章 009
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もうこれ以上は誤魔化しきれないと判断したのか、相原が観念したように肩を落とした。
「最初は殺すつもりなんかなかったんだ。穏便に済ませようと思ったんだ。でも……」
「言うことを聞かなかった、だから殺した、と?」
黒瀬に図星を指され、相原が〝ウッ〟と息を飲んだ。
そして、それまで組んでいた足を解き、一度……ドンと床を踏み鳴らすと、今度はソファの肘掛をキツく握った拳で叩いた。
「そうだよ。あの男、こっちが下手に出たのを良いことに、脅して来やがったんだ。あろうことか、この俺をだ」
「目的は金……ですか?」
「弘行の奴、会社の金使い込んだのが会社にバレて、会社クビになったらしくて……。金に困ってたんだと思うんだけど、それで別れる代わりに金を寄越せって、雅也さんのこと脅して……。俺、許せなくて、だから……」
相原を想ってのことだろうか、岸本の目から再び涙が零れ落ち、岸本は両手で顔を覆った。
すると、それまでずっと憮然とした態度を崩さなかった相原が、突然立ち上がったかと思うと岸本の元に駆け寄り、くたびれたスーツごと岸本を抱きしめた。
「俺が悪いんだ。俺が……。俺がスキャンダルを恐れたばかりにこんなことに……。だからお前は何も悪くない」
そして人目を憚ることなく、濃厚なキスを始めた。
「最初は殺すつもりなんかなかったんだ。穏便に済ませようと思ったんだ。でも……」
「言うことを聞かなかった、だから殺した、と?」
黒瀬に図星を指され、相原が〝ウッ〟と息を飲んだ。
そして、それまで組んでいた足を解き、一度……ドンと床を踏み鳴らすと、今度はソファの肘掛をキツく握った拳で叩いた。
「そうだよ。あの男、こっちが下手に出たのを良いことに、脅して来やがったんだ。あろうことか、この俺をだ」
「目的は金……ですか?」
「弘行の奴、会社の金使い込んだのが会社にバレて、会社クビになったらしくて……。金に困ってたんだと思うんだけど、それで別れる代わりに金を寄越せって、雅也さんのこと脅して……。俺、許せなくて、だから……」
相原を想ってのことだろうか、岸本の目から再び涙が零れ落ち、岸本は両手で顔を覆った。
すると、それまでずっと憮然とした態度を崩さなかった相原が、突然立ち上がったかと思うと岸本の元に駆け寄り、くたびれたスーツごと岸本を抱きしめた。
「俺が悪いんだ。俺が……。俺がスキャンダルを恐れたばかりにこんなことに……。だからお前は何も悪くない」
そして人目を憚ることなく、濃厚なキスを始めた。
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