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第6章 007
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ところが、丁度死角にいるせいか智樹は黒瀬の視線には気付かず、慌てた翔真が咄嗟に智樹の元へと駆け寄った。
「なんか、話し聞きたいみたいだけど……」
見るからに不安そうな表情を向ける翔真。
「分かってるよ、余計なことは言わねぇから心配すんな」
その翔真の耳元でそれだけを言うと、小さく息を吐き出してから、すっかり根が生えてしまっていた腰を漸く上げた。
ソファにドカッと腰を下ろし、両腕両足を組んだ智樹は、仮にも自分が清掃員であることを忘れてしまったかのようにも見え、そしてその横柄とも取れる態度は、ホテル社長でもある相原の怒りに触れてしまう。
「き、貴様、さっきから黙って見ていれば、随分な態度ではないか」
突然鼻息を荒くした相原に、船を漕ぎ始めた岸本の肩がビクンと跳ね上がった。
「大体、一介の従業員……、しかも清掃員如きが、社長の俺と席を共にするなど言語道断。けしからん!」
徐々に語気を強める相原に、それまで黙って考え耽っていた本木が愉にかかる。
「今は感情的になっている場合ではありません。少し落ち着きましょう」
ただ、それでも相原の怒りが収まることはない。
結局見かねた黒瀬が、それまで手帳に走らせていたペンを置き、その顔からずっと面のように張り付いていた微笑みを消すことで、一瞬にして室内の空気を一変させた。
「なんか、話し聞きたいみたいだけど……」
見るからに不安そうな表情を向ける翔真。
「分かってるよ、余計なことは言わねぇから心配すんな」
その翔真の耳元でそれだけを言うと、小さく息を吐き出してから、すっかり根が生えてしまっていた腰を漸く上げた。
ソファにドカッと腰を下ろし、両腕両足を組んだ智樹は、仮にも自分が清掃員であることを忘れてしまったかのようにも見え、そしてその横柄とも取れる態度は、ホテル社長でもある相原の怒りに触れてしまう。
「き、貴様、さっきから黙って見ていれば、随分な態度ではないか」
突然鼻息を荒くした相原に、船を漕ぎ始めた岸本の肩がビクンと跳ね上がった。
「大体、一介の従業員……、しかも清掃員如きが、社長の俺と席を共にするなど言語道断。けしからん!」
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「今は感情的になっている場合ではありません。少し落ち着きましょう」
ただ、それでも相原の怒りが収まることはない。
結局見かねた黒瀬が、それまで手帳に走らせていたペンを置き、その顔からずっと面のように張り付いていた微笑みを消すことで、一瞬にして室内の空気を一変させた。
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