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第6章 007
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凡そ30畳はあるだろうか、広い部屋のほぼ真ん中、リビング部分に場所を移し、二人は所在なさげに俯いたまま立ち尽くしていた。
見下ろした先には、見るからに高価なソファーに座り、優雅に組んだ足を投げ出した相原と、イヤホンを耳に突っ込んだまま、依頼人から送られて来たカードキーを手に、眼鏡の奥で視線を鋭くする本木が座っている。
そう、それはつい数分前のこと……
いざ脱出!、とばかりに部屋を出ようとした翔真と智樹の二人は本木に呼び止められ、部屋の中へと引き戻されてしまったのだ。
本木は、翔真が咄嗟に胸ポケットに突っ込んだカードキーを、プロのスリ師も驚きの見事な早業で抜き取ると、それを相原の前に差し出した。
相原はカードキーを見た瞬間、「これはどういうことだ」と言ったきり、首を傾げる以上のことはせず、四人の間には、重量感たっぷりの気まずい空気が流れていた。
普段はお調子者の翔真でさえ、口を開くのを躊躇っていた。
そんななんとも言えない状況を一瞬で変えたのは、他でもない、居眠り中の岸本の胸ポケットで鳴り響くスマホの着信音だった。
それには流石の岸本も驚いたのか飛び起き、半分寝ぼけ眼のまま胸ポケットからスマホを取り出し、通話ボタンも押さないままスマホを耳に宛てた。
見下ろした先には、見るからに高価なソファーに座り、優雅に組んだ足を投げ出した相原と、イヤホンを耳に突っ込んだまま、依頼人から送られて来たカードキーを手に、眼鏡の奥で視線を鋭くする本木が座っている。
そう、それはつい数分前のこと……
いざ脱出!、とばかりに部屋を出ようとした翔真と智樹の二人は本木に呼び止められ、部屋の中へと引き戻されてしまったのだ。
本木は、翔真が咄嗟に胸ポケットに突っ込んだカードキーを、プロのスリ師も驚きの見事な早業で抜き取ると、それを相原の前に差し出した。
相原はカードキーを見た瞬間、「これはどういうことだ」と言ったきり、首を傾げる以上のことはせず、四人の間には、重量感たっぷりの気まずい空気が流れていた。
普段はお調子者の翔真でさえ、口を開くのを躊躇っていた。
そんななんとも言えない状況を一瞬で変えたのは、他でもない、居眠り中の岸本の胸ポケットで鳴り響くスマホの着信音だった。
それには流石の岸本も驚いたのか飛び起き、半分寝ぼけ眼のまま胸ポケットからスマホを取り出し、通話ボタンも押さないままスマホを耳に宛てた。
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