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広い部屋で一人眠るには大きすぎる寝台で眠るのはとても寂しくて、その夜は自室には戻ることをしなかった。
松下は僕が寝台から落ちてしまわないように僕を壁際に寝かせると、長い腕で僕を包み込んでくれた。
「こうしてると、とっても暖かいね」
僕は松下の胸に頬を摺り寄せ、松下の胸の音をに耳を傾けた。
トクトクトクトク……
いつもよりも速く打つ鼓動に、僕は不安を感じて顔を上げた。
「ねぇ、松本も兄様と同じなの? 兄様みたいに胸が苦しくなるの?」
発作を起こした時の兄様も、今の松下みたいに心臓がとても大きく速く鼓動するのを、僕は聞いたことがある。
「ねぇ、松下? 苦しいの?」
問いかけに答えてくれない松下を、僕が身体を起こして見下ろすと、松下はほんの少しだけ綺麗な顔を苦し気に歪ませた。
「僕、お医者様を呼んでくる……」
「智様、ご安心を……。私のこの苦しみは、例えお医者様でも治すことは不可能なんです」
すっかり気が動転して飛び起きた僕を、松下の長い腕が引き寄せた。
「どう……して?」
「それは、智樹様が翔真様を思う気持ちと同じだからですよ?」
僕が兄様を思う気持……ち?
「私はあなたにお仕えしたあの日から、智樹様、あなたをお慕いしておりました」
それって……
松下が僕を好きだ……ってこと?
でも僕は……
僕には兄様が……
「冗談でございますよ。さ、おふざけはこれくらいにして、お休み下さい。今夜は私がこうしていて差し上げますから」
すっかり戸惑いの表情を浮かべた僕に、松下はクスリと笑いかけると、僕の背中に腕を回した。
僕はその晩、松下の胸に顔を埋め、眠れない一夜を過ごした。
松下は僕が寝台から落ちてしまわないように僕を壁際に寝かせると、長い腕で僕を包み込んでくれた。
「こうしてると、とっても暖かいね」
僕は松下の胸に頬を摺り寄せ、松下の胸の音をに耳を傾けた。
トクトクトクトク……
いつもよりも速く打つ鼓動に、僕は不安を感じて顔を上げた。
「ねぇ、松本も兄様と同じなの? 兄様みたいに胸が苦しくなるの?」
発作を起こした時の兄様も、今の松下みたいに心臓がとても大きく速く鼓動するのを、僕は聞いたことがある。
「ねぇ、松下? 苦しいの?」
問いかけに答えてくれない松下を、僕が身体を起こして見下ろすと、松下はほんの少しだけ綺麗な顔を苦し気に歪ませた。
「僕、お医者様を呼んでくる……」
「智様、ご安心を……。私のこの苦しみは、例えお医者様でも治すことは不可能なんです」
すっかり気が動転して飛び起きた僕を、松下の長い腕が引き寄せた。
「どう……して?」
「それは、智樹様が翔真様を思う気持ちと同じだからですよ?」
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それって……
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でも僕は……
僕には兄様が……
「冗談でございますよ。さ、おふざけはこれくらいにして、お休み下さい。今夜は私がこうしていて差し上げますから」
すっかり戸惑いの表情を浮かべた僕に、松下はクスリと笑いかけると、僕の背中に腕を回した。
僕はその晩、松下の胸に顔を埋め、眠れない一夜を過ごした。
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