96 / 369
第9章 For You
12
しおりを挟む
とは言ったものの、会場になっているホテルに着いてすぐ、俺は滅多に発動されることのない我儘な自分の発言に深く後悔した。
パーティ会場にいたのは、どいつもどこぞの会社のお偉いさんだったり……所謂、俺とは住む世界の違うセレブな奴らばかりで、翔真に無理矢理押し付けられたスーツを着ていても、場違い感は半端ない。
「マジか……」
ポツリ呟いた俺の声を、翔真が聞き逃すわけもなく……
「じゃあ帰るか? 尤も、俺はまだ挨拶もしなきゃなんねぇし、親父の顔に泥塗るわけにもいかねぇから残るが……」
いつもは殆ど見せることのない、御曹司としての顔を崩すことなく……、でも俺の手を強く握ったまま言った。
「あ。それともう一つ。親父が俺達のために部屋抑えてくれたらしいけど……、お前が先に帰るならキャンセルしとかないとな?」
「えっ、そう……なの?」
あの親父さんが、俺達のために……
「ま、俺達と言うよりは、お前のためだろうがな」
「俺……? なんで……?」
翔真の親父さんが、俺達の関係を暖かく見守ってくれてるのは俺も知っていたし、俺のことだって……
「俺が思うに、ご褒美のつもりだろ? 《よく出来ましたって》やつだ」
なんだそれ……
でも仮に翔真の言う通りだとして、やっぱりそれとこれとは話が別だ。
俺はダンサーとして……、認めたくはねぇがNo.1ストリッパーとして、その責任を果たしたまで。
だだ、褒められんのも、俺なんかには贅沢と思えるご褒美も、理由はどうあれ嬉しいわけで、それを受けないってのも勿体無い話で……
「どうする、断るか?」
そんなこと聞かれなくたって、答えは一つしかないだろ、翔真?
「折角の申し出だ、有難く受けようぜ。 親父さんに感謝しねぇとな?」
俺は翔真の手を握り返し、視線の先で招待客と談笑する親父さんの元へと駆け寄った。
パーティ会場にいたのは、どいつもどこぞの会社のお偉いさんだったり……所謂、俺とは住む世界の違うセレブな奴らばかりで、翔真に無理矢理押し付けられたスーツを着ていても、場違い感は半端ない。
「マジか……」
ポツリ呟いた俺の声を、翔真が聞き逃すわけもなく……
「じゃあ帰るか? 尤も、俺はまだ挨拶もしなきゃなんねぇし、親父の顔に泥塗るわけにもいかねぇから残るが……」
いつもは殆ど見せることのない、御曹司としての顔を崩すことなく……、でも俺の手を強く握ったまま言った。
「あ。それともう一つ。親父が俺達のために部屋抑えてくれたらしいけど……、お前が先に帰るならキャンセルしとかないとな?」
「えっ、そう……なの?」
あの親父さんが、俺達のために……
「ま、俺達と言うよりは、お前のためだろうがな」
「俺……? なんで……?」
翔真の親父さんが、俺達の関係を暖かく見守ってくれてるのは俺も知っていたし、俺のことだって……
「俺が思うに、ご褒美のつもりだろ? 《よく出来ましたって》やつだ」
なんだそれ……
でも仮に翔真の言う通りだとして、やっぱりそれとこれとは話が別だ。
俺はダンサーとして……、認めたくはねぇがNo.1ストリッパーとして、その責任を果たしたまで。
だだ、褒められんのも、俺なんかには贅沢と思えるご褒美も、理由はどうあれ嬉しいわけで、それを受けないってのも勿体無い話で……
「どうする、断るか?」
そんなこと聞かれなくたって、答えは一つしかないだろ、翔真?
「折角の申し出だ、有難く受けようぜ。 親父さんに感謝しねぇとな?」
俺は翔真の手を握り返し、視線の先で招待客と談笑する親父さんの元へと駆け寄った。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
男の子たちの変態的な日常
M
BL
主人公の男の子が変態的な目に遭ったり、凌辱されたり、攻められたりするお話です。とにかくHな話が読みたい方向け。
※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる