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序章:平穏の終わり
5/30(金):強化
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次に確認するのは五の倍数のレベル報酬だ。Lv277の時から確認していなかったからLv280から見よう。
Lv280の時は『賢者の宝杖』、Lv285の時は『魔法剣士なるもの』、Lv290の時は『錬金術師の好奇心』、Lv295の時は『帯電』、Lv300の時は『剣王の征鎧』、Lv305の時は『鑑定』となった。
すべてに目移りしているところだ。
『賢者の宝杖
ランク:10
装備可能レベル:200
ATK:170
RES:300
MP+1500
魔法威力超強化
魔法打ち消し
耐久:1000/1000』
もうこれは輝夜に渡すしかないな。今俺がアイテムボックスにしまっている魔法士の杖とは比べ物にならない。これはちょっと俺が使ってみよう。
『魔法剣士なるもの
分類:スキル
ランク:10
魔法を使っている状態では全ステータス十倍。剣を使っている状態では魔法威力十倍』
おぉ……! もう俺に使ってくれと言っているようじゃないか。いやだが愛理もそんな感じがするからなぁ。
『錬金術師の好奇心
分類:スキル
ランク:8
錬金術に関する知識付与。錬金術を道具なしに行なうことが可能』
職業系のスキルはどうすればいいのか困るんだよな。まだ戦士とか魔法使いとかのスキルなら俺や輝夜が使えるけどそれ以外は俺が覚えてもいいけどという感じで止まっている。
『帯電
分類:アビリティ
ランク:9
帯電することで雷の速度を出すことができる』
「地味にすごいな……」
属性魔法はあまり自由なことができない感じだからファンタジー作品のようにはできないからこういうアビリティは大歓迎だ。
『剣王の征鎧
ランク:12
装備可能レベル:230
DEF:1300
AGI:790
RES:1000
半径三百m以上の攻撃を無効化
耐久:1000/1000』
「おぉ……!?」
手に入った時から早く見たいと思っていたが俺の予想を超える鎧だった。
試しに着てみることにした。
「……全く着ている感じがしない……!」
剣王の魔剣と同じく赤と黒を基調とした全身鎧の剣王の征鎧。これで着ていない時と同じ動きをしろと言われてもできそうだ。
しかも三百mなら飛剣の太刀が届く範囲だから実質全距離に対応していることになる。何だこの鎧は強すぎだろ。
ぶっちぎりで興奮している感情を一先ず押し込んで鎧もアイテムボックスに戻す。てかこれ便利だなすぐに着れる。
『鑑定
分類:アビリティ
ランク:7
システム管理者Lv2で見れる情報を見ることができる』
「鑑定ってそうだったんだな……」
おそらく最も有名なアビリティは鑑定だ。鑑定が出るのはこれで初めてだな。早くに出ると思っていた。
鑑定でモンスターからドロップするアイテムからそのモンスターの名前を付けられるわけだ。でもステータスを見ることができない。
これで報酬は見終えたわけだが今日抜いた剣についてもしかしたらダンジョン都市なら情報があるかと思った。
『錆びた勇者の剣
ランク:1
装備可能レベル:1
ATK:1
耐久:1/100』
使ったらすぐに壊れるんだよな。使わなくて良かった。
これをどうにかできないのかと思ったわけだ。可能性があるとすればアイテムシンセシスかツールメイクだな。
まず初めにアイテムシンセシスにアクセスしてスクロールして行っても武具は見当たらない。
ツールメイクの方に行けば何かあればいいが。ていうか何で錆びているんだよ。錆びんなよ。
「うん!?」
ツールメイクに『新品な勇者の剣』があった。使い古したら新品じゃなくなって新品の名前が取れるのかは分からないけどとりあえずあった。
『新品な勇者の剣
必要アイテム
錆びた勇者の剣×1
銀霊×1
必要スキル
勇者スキル』
「素材を加工するだけなのにどうしてスキルがいるんだ……?」
全く理解できない。でもゲームとかで強化に必要なレベルがあると考えれば納得はできるか。
でも銀霊も五十三個あるから新品にできる! と思ってやろうとしたが勇者スキルのところで引っかかった。
「資格なき勇者の卵だと勇者スキルだと思われないのか……? まあ資格がないし卵か」
でもそれならどうやって勇者スキルを手に入れるんだ。錆びている剣じゃなくて錆びていない剣を抜けばいいのか。
「うーん……他の到達クエストであるのか……?」
気になって一度きりの回答を使ってしまいそうだぞ。
「……杖を装備して倒せばいいのか……」
到達クエストを見ていて思ったが、今までは剣を装備して戦っていた。だが杖を装備して戦えば魔法使いの報酬が受け取れるのではないかと思った。
それで貸力を使って輝夜に渡せば輝夜はより強くなる。
「あっ」
そんなことよりもと思っていたところで勇者という文字が出てきた。
『モンスター百体を錆びた勇者の剣で討伐』
「これか」
こんな到達クエストあったか。増えたのか見逃していたのかは分からないがとりあえずあって良かった。
「耐久……ここで耐久回復か!」
耐久がないのにどうすればいいのかと思ったが耐久回復があれば問題ない!
早速『耐久回復』を習得して『錆びた勇者の剣』の耐久を回復させた。MPが198消費したが全く気にならないくらいにはMPがあるからな。
『錆びた勇者の剣
ランク:1
装備可能レベル:1
ATK:1
耐久:100/100』
このATKだとしても元々の俺のATKがあるから全く気にならない。
チンアントエリアに行けばすぐ百体倒せると思って急いでチンアントエリアに向かう。
期待通りうじゃうじゃといるチンアントエリアに飛剣を撃ち込みながら侵入して襲いかかってくるチンアントを斬り伏せる。
剣王の魔剣になれつつあるから切れ味やら重さで違和感があるけれど問題なくチンアント百体をすぐに討伐することができた。
『モンスター百体を錆びた勇者の剣で討伐。達成報酬獲得』
『資格なき勇者の卵が資格なき小さな勇者に変化』
『資格なき小さな勇者
分類:スキル
ランク:2
聖属性威力×1.1。光属性威力×1.1。不撓不屈でいる限り全ステータス+20%』
「おぉ……!」
チンアント百体を倒したからすぐにダンジョン都市に戻って確認して興奮が収まらなくなる。
こういう王道展開も好きなんだよな。ワクワクするし。でも王道主人公になりたいというわけではない。自由のためには王道は不便だ。
そんなことよりも今はこのスキルが勇者スキルなのか確かめる。
「おっ、できる! 作ろ!」
ツールメイクにもう一度向かって確認すれば新品な勇者の剣ができるから早速作り上げた。
『新品な勇者の剣
ランク:3
装備可能スキル:勇者スキル
ATK:100
耐久:100/100』
「装備可能、スキルなのか」
勇者の剣らしく使い手も選ぶらしい。装備可能レベルは関係なかったがスキルについてはどうなのだろうか。
到達クエストをまた見れば次は新品な勇者の剣で百体討伐だった。これは追々しつつ今日は部屋に戻ることにした。
「ただいまー」
輝夜がまだ寝ていると思って小声でただいまと言う。ダンジョン都市に行っていたのは一時間半くらいか。
「おかえり。こう言うのは久しぶりね」
「起きたのか。ごめん、ダンジョン都市に行ってた」
リビングから輝夜が部屋着に着替えた状態で顔を出した。
「分かっているわ。パーティになっていると便利ね。戦っていたらすぐに分かるわ」
「リアルタイムで更新されているんだな」
「そうよ。さっき資格なき勇者の卵が資格なき小さな勇者になっていたところも知っているわ」
「輝夜に見られるくらいなら何も思わないが、何をしているのか分かるから少しだけパーティ作成を渡す相手は考えないといけないな」
「その重要度は上がってもあまり意味がないわね。その重要度が越える相手は無条件に味方なのだから」
「そうだな」
ソファに座る俺の膝に座って向き合う俺と輝夜。
「そうだ。輝夜に手伝ってほしいことがあったんだ」
「何かしら?」
「前に話したけどレベルが百ごとに追加報酬がもらえるんだがその中に上書きというアビリティがあって習得したんだ」
「あぁ、あれがそうなのね。初級土魔法が超級土魔法になっていたわよね?」
「そこまで見ていたんだな。そうだ、それは上書きして増えたものだ。その上書きされているものが上書きされているものか、それとも名前だけ変わっているものなのか知りたい」
「見せかけか、それとも本物か。ということね。分かったわ。それで何をすればいいの?」
「今俺と輝夜が習得していない魔法で余裕があるのは火と闇だがどっちがいい?」
「火でしょ。ゲームでも一番最初に覚える魔法よ?」
「だよな。それなら俺が初級火魔法と初級土魔法を一つずつ習得する。初級土魔法に初級火魔法を上書きする。そして二つの初級火魔法のうち一つを輝夜に貸力で渡して二人とも火魔法を使えればどちらも見せかけではないということになるな」
「分かったわ」
俺は初級火魔法と初級土魔法のボトルを飲み干す。そして初級土魔法に初級火魔法を上書きして二つの状態にした。
「できた。初級火魔法を渡すぞ」
「えぇ。お願い」
輝夜に初級火魔法を貸力した。そして輝夜は手を伸ばして危なくないようにした。
「ファイア」
輝夜の手には火が灯った。
「こっちはできたわ」
「次は俺だな」
俺も手を伸ばして火魔法を使おうとして、火は灯った。
「これはヤバイアビリティだな」
「そうね。それにEXP超ブーストも上書きできるわよね? 効果が重複するのかしら?」
「……とんでもないな」
上書き単体や上書きを持っていてもサブステータスが余っていない人では意味がないアビリティ。
だが今の俺ならレア能力すらありふれたものにすることができる。ヤバイほど歯車がはまっていて笑みがこぼれる。
「楽しそうね」
「あぁ、今すごく人生を楽しんでいる」
「それなら私も楽しくなるわ」
上書きの効果が分かった後、輝夜は俺から初級闇魔法と中級闇魔法と中級火魔法を受け取ってボトルを飲み干している。俺もついでに飲む。
「これ、貸力で渡してくれれば良かったんじゃない?」
「それだとアビリティが使えなくなったり何かの制約があった場合に困るだろ。だからレア能力じゃなければ習得すればいい」
「それもそうね」
「すぐに手に入るからな。後は念のために上級ヒールを習得して上書きして渡す」
「ヒールはまだ簡単には入手できないのね」
「あぁ。大事だがそう簡単には手に入らないな」
初級ヒール、中級ヒール、上級ヒールが一つずつあるがレベルが上がっている俺たちが使うとすれば上級ヒールだ。じゃないと回復が間に合わないし。
何より俺が習得していればこれから現れるかもしれない仲間に貸し出すことができる。
『上級ヒール
分類:魔法
ランク:8
消費MP:60
回復量:1000』
初級・中級・上級と見れば確実に上級ヒールが効率がいい。初級で千回復させるためには魔力が300もいるが上級は60で済んでいる。
上級ヒールを習得してから一緒に初級風魔法を習得してそれに上書きしてから片方を輝夜に渡した。
こうして色々と習得しているのは今後ダンジョンに行く時に何も心配しないためだ。これからも本格的にダンジョンに行くのだから準備しておいても問題はない。
「今さっき聞いた魔法ボトルの数を聞いて思ったのだけれど」
「あぁ」
「愛理にもう少し売ってもいいんじゃないかしら?」
「まあ、そうだな」
ぶっちゃけ余らしていても意味ないし上書きする能力もこんなに使わない。
「才能アリが増えればそれだけダンジョン攻略や冒険者活動が活発になるわ」
「信用できなくても今の俺たちなら大丈夫だな」
「そうね。今私はレベルが59になっているのだから問題ないわ」
「それならメールしておく」
愛理に『たくさんボトルが売れる』と連絡しておく。
するとすぐに『少し待ってて。うるさいジジイに聞くから』とメールが返ってきた。
「お金もガッポリだな」
「三十億の時点でお金に関してはあまり気にしなくても良さそうね」
「まあお金があれば人を動かせるからあっても問題はないだろう」
Lv280の時は『賢者の宝杖』、Lv285の時は『魔法剣士なるもの』、Lv290の時は『錬金術師の好奇心』、Lv295の時は『帯電』、Lv300の時は『剣王の征鎧』、Lv305の時は『鑑定』となった。
すべてに目移りしているところだ。
『賢者の宝杖
ランク:10
装備可能レベル:200
ATK:170
RES:300
MP+1500
魔法威力超強化
魔法打ち消し
耐久:1000/1000』
もうこれは輝夜に渡すしかないな。今俺がアイテムボックスにしまっている魔法士の杖とは比べ物にならない。これはちょっと俺が使ってみよう。
『魔法剣士なるもの
分類:スキル
ランク:10
魔法を使っている状態では全ステータス十倍。剣を使っている状態では魔法威力十倍』
おぉ……! もう俺に使ってくれと言っているようじゃないか。いやだが愛理もそんな感じがするからなぁ。
『錬金術師の好奇心
分類:スキル
ランク:8
錬金術に関する知識付与。錬金術を道具なしに行なうことが可能』
職業系のスキルはどうすればいいのか困るんだよな。まだ戦士とか魔法使いとかのスキルなら俺や輝夜が使えるけどそれ以外は俺が覚えてもいいけどという感じで止まっている。
『帯電
分類:アビリティ
ランク:9
帯電することで雷の速度を出すことができる』
「地味にすごいな……」
属性魔法はあまり自由なことができない感じだからファンタジー作品のようにはできないからこういうアビリティは大歓迎だ。
『剣王の征鎧
ランク:12
装備可能レベル:230
DEF:1300
AGI:790
RES:1000
半径三百m以上の攻撃を無効化
耐久:1000/1000』
「おぉ……!?」
手に入った時から早く見たいと思っていたが俺の予想を超える鎧だった。
試しに着てみることにした。
「……全く着ている感じがしない……!」
剣王の魔剣と同じく赤と黒を基調とした全身鎧の剣王の征鎧。これで着ていない時と同じ動きをしろと言われてもできそうだ。
しかも三百mなら飛剣の太刀が届く範囲だから実質全距離に対応していることになる。何だこの鎧は強すぎだろ。
ぶっちぎりで興奮している感情を一先ず押し込んで鎧もアイテムボックスに戻す。てかこれ便利だなすぐに着れる。
『鑑定
分類:アビリティ
ランク:7
システム管理者Lv2で見れる情報を見ることができる』
「鑑定ってそうだったんだな……」
おそらく最も有名なアビリティは鑑定だ。鑑定が出るのはこれで初めてだな。早くに出ると思っていた。
鑑定でモンスターからドロップするアイテムからそのモンスターの名前を付けられるわけだ。でもステータスを見ることができない。
これで報酬は見終えたわけだが今日抜いた剣についてもしかしたらダンジョン都市なら情報があるかと思った。
『錆びた勇者の剣
ランク:1
装備可能レベル:1
ATK:1
耐久:1/100』
使ったらすぐに壊れるんだよな。使わなくて良かった。
これをどうにかできないのかと思ったわけだ。可能性があるとすればアイテムシンセシスかツールメイクだな。
まず初めにアイテムシンセシスにアクセスしてスクロールして行っても武具は見当たらない。
ツールメイクの方に行けば何かあればいいが。ていうか何で錆びているんだよ。錆びんなよ。
「うん!?」
ツールメイクに『新品な勇者の剣』があった。使い古したら新品じゃなくなって新品の名前が取れるのかは分からないけどとりあえずあった。
『新品な勇者の剣
必要アイテム
錆びた勇者の剣×1
銀霊×1
必要スキル
勇者スキル』
「素材を加工するだけなのにどうしてスキルがいるんだ……?」
全く理解できない。でもゲームとかで強化に必要なレベルがあると考えれば納得はできるか。
でも銀霊も五十三個あるから新品にできる! と思ってやろうとしたが勇者スキルのところで引っかかった。
「資格なき勇者の卵だと勇者スキルだと思われないのか……? まあ資格がないし卵か」
でもそれならどうやって勇者スキルを手に入れるんだ。錆びている剣じゃなくて錆びていない剣を抜けばいいのか。
「うーん……他の到達クエストであるのか……?」
気になって一度きりの回答を使ってしまいそうだぞ。
「……杖を装備して倒せばいいのか……」
到達クエストを見ていて思ったが、今までは剣を装備して戦っていた。だが杖を装備して戦えば魔法使いの報酬が受け取れるのではないかと思った。
それで貸力を使って輝夜に渡せば輝夜はより強くなる。
「あっ」
そんなことよりもと思っていたところで勇者という文字が出てきた。
『モンスター百体を錆びた勇者の剣で討伐』
「これか」
こんな到達クエストあったか。増えたのか見逃していたのかは分からないがとりあえずあって良かった。
「耐久……ここで耐久回復か!」
耐久がないのにどうすればいいのかと思ったが耐久回復があれば問題ない!
早速『耐久回復』を習得して『錆びた勇者の剣』の耐久を回復させた。MPが198消費したが全く気にならないくらいにはMPがあるからな。
『錆びた勇者の剣
ランク:1
装備可能レベル:1
ATK:1
耐久:100/100』
このATKだとしても元々の俺のATKがあるから全く気にならない。
チンアントエリアに行けばすぐ百体倒せると思って急いでチンアントエリアに向かう。
期待通りうじゃうじゃといるチンアントエリアに飛剣を撃ち込みながら侵入して襲いかかってくるチンアントを斬り伏せる。
剣王の魔剣になれつつあるから切れ味やら重さで違和感があるけれど問題なくチンアント百体をすぐに討伐することができた。
『モンスター百体を錆びた勇者の剣で討伐。達成報酬獲得』
『資格なき勇者の卵が資格なき小さな勇者に変化』
『資格なき小さな勇者
分類:スキル
ランク:2
聖属性威力×1.1。光属性威力×1.1。不撓不屈でいる限り全ステータス+20%』
「おぉ……!」
チンアント百体を倒したからすぐにダンジョン都市に戻って確認して興奮が収まらなくなる。
こういう王道展開も好きなんだよな。ワクワクするし。でも王道主人公になりたいというわけではない。自由のためには王道は不便だ。
そんなことよりも今はこのスキルが勇者スキルなのか確かめる。
「おっ、できる! 作ろ!」
ツールメイクにもう一度向かって確認すれば新品な勇者の剣ができるから早速作り上げた。
『新品な勇者の剣
ランク:3
装備可能スキル:勇者スキル
ATK:100
耐久:100/100』
「装備可能、スキルなのか」
勇者の剣らしく使い手も選ぶらしい。装備可能レベルは関係なかったがスキルについてはどうなのだろうか。
到達クエストをまた見れば次は新品な勇者の剣で百体討伐だった。これは追々しつつ今日は部屋に戻ることにした。
「ただいまー」
輝夜がまだ寝ていると思って小声でただいまと言う。ダンジョン都市に行っていたのは一時間半くらいか。
「おかえり。こう言うのは久しぶりね」
「起きたのか。ごめん、ダンジョン都市に行ってた」
リビングから輝夜が部屋着に着替えた状態で顔を出した。
「分かっているわ。パーティになっていると便利ね。戦っていたらすぐに分かるわ」
「リアルタイムで更新されているんだな」
「そうよ。さっき資格なき勇者の卵が資格なき小さな勇者になっていたところも知っているわ」
「輝夜に見られるくらいなら何も思わないが、何をしているのか分かるから少しだけパーティ作成を渡す相手は考えないといけないな」
「その重要度は上がってもあまり意味がないわね。その重要度が越える相手は無条件に味方なのだから」
「そうだな」
ソファに座る俺の膝に座って向き合う俺と輝夜。
「そうだ。輝夜に手伝ってほしいことがあったんだ」
「何かしら?」
「前に話したけどレベルが百ごとに追加報酬がもらえるんだがその中に上書きというアビリティがあって習得したんだ」
「あぁ、あれがそうなのね。初級土魔法が超級土魔法になっていたわよね?」
「そこまで見ていたんだな。そうだ、それは上書きして増えたものだ。その上書きされているものが上書きされているものか、それとも名前だけ変わっているものなのか知りたい」
「見せかけか、それとも本物か。ということね。分かったわ。それで何をすればいいの?」
「今俺と輝夜が習得していない魔法で余裕があるのは火と闇だがどっちがいい?」
「火でしょ。ゲームでも一番最初に覚える魔法よ?」
「だよな。それなら俺が初級火魔法と初級土魔法を一つずつ習得する。初級土魔法に初級火魔法を上書きする。そして二つの初級火魔法のうち一つを輝夜に貸力で渡して二人とも火魔法を使えればどちらも見せかけではないということになるな」
「分かったわ」
俺は初級火魔法と初級土魔法のボトルを飲み干す。そして初級土魔法に初級火魔法を上書きして二つの状態にした。
「できた。初級火魔法を渡すぞ」
「えぇ。お願い」
輝夜に初級火魔法を貸力した。そして輝夜は手を伸ばして危なくないようにした。
「ファイア」
輝夜の手には火が灯った。
「こっちはできたわ」
「次は俺だな」
俺も手を伸ばして火魔法を使おうとして、火は灯った。
「これはヤバイアビリティだな」
「そうね。それにEXP超ブーストも上書きできるわよね? 効果が重複するのかしら?」
「……とんでもないな」
上書き単体や上書きを持っていてもサブステータスが余っていない人では意味がないアビリティ。
だが今の俺ならレア能力すらありふれたものにすることができる。ヤバイほど歯車がはまっていて笑みがこぼれる。
「楽しそうね」
「あぁ、今すごく人生を楽しんでいる」
「それなら私も楽しくなるわ」
上書きの効果が分かった後、輝夜は俺から初級闇魔法と中級闇魔法と中級火魔法を受け取ってボトルを飲み干している。俺もついでに飲む。
「これ、貸力で渡してくれれば良かったんじゃない?」
「それだとアビリティが使えなくなったり何かの制約があった場合に困るだろ。だからレア能力じゃなければ習得すればいい」
「それもそうね」
「すぐに手に入るからな。後は念のために上級ヒールを習得して上書きして渡す」
「ヒールはまだ簡単には入手できないのね」
「あぁ。大事だがそう簡単には手に入らないな」
初級ヒール、中級ヒール、上級ヒールが一つずつあるがレベルが上がっている俺たちが使うとすれば上級ヒールだ。じゃないと回復が間に合わないし。
何より俺が習得していればこれから現れるかもしれない仲間に貸し出すことができる。
『上級ヒール
分類:魔法
ランク:8
消費MP:60
回復量:1000』
初級・中級・上級と見れば確実に上級ヒールが効率がいい。初級で千回復させるためには魔力が300もいるが上級は60で済んでいる。
上級ヒールを習得してから一緒に初級風魔法を習得してそれに上書きしてから片方を輝夜に渡した。
こうして色々と習得しているのは今後ダンジョンに行く時に何も心配しないためだ。これからも本格的にダンジョンに行くのだから準備しておいても問題はない。
「今さっき聞いた魔法ボトルの数を聞いて思ったのだけれど」
「あぁ」
「愛理にもう少し売ってもいいんじゃないかしら?」
「まあ、そうだな」
ぶっちゃけ余らしていても意味ないし上書きする能力もこんなに使わない。
「才能アリが増えればそれだけダンジョン攻略や冒険者活動が活発になるわ」
「信用できなくても今の俺たちなら大丈夫だな」
「そうね。今私はレベルが59になっているのだから問題ないわ」
「それならメールしておく」
愛理に『たくさんボトルが売れる』と連絡しておく。
するとすぐに『少し待ってて。うるさいジジイに聞くから』とメールが返ってきた。
「お金もガッポリだな」
「三十億の時点でお金に関してはあまり気にしなくても良さそうね」
「まあお金があれば人を動かせるからあっても問題はないだろう」
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