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都市開発本格始動
100:屋敷大改造計画。
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屋敷の改造の告知から一ヶ月が経ち、今日がその日になった。
屋敷の改造に当たり、俺以外のランスロット一家は旅行に出ることになった。
それに他の使用人たちも必要最低限を残して他は実家や旅行に出るようになっている。その費用はランスロット家持ちだ。
今回の屋敷の改造は一日で終わらせることができるのだが、どうせだからということでお父上様が一ヶ月の休暇を使用人たちに与えた。
一日だけどこかに行っていろとかそれはそれであれだから、一ヶ月間有給を取れるのはいいことだと俺は思った。
俺も色々と考え付いたらすぐに改造できる環境はいいと思っているし。
なお、俺を除いたランスロット家ご一行はサグラモール家に旅行に向かうらしい。
俺も行きたかったなぁ……でも屋敷の改造の方が大切だし、クレアやノエルさんに合おうと思えば会えるからいいか。
これで俺だけがサグラモール家に行っていないことになるのか……。
「旅行楽しんできてね!」
「うん! 行ってくるわ、アーサー!」
「お土産たくさん買って帰る」
馬車で旅行へと向かう家族を手を振りながら見送る。
でも、こうして考えればお父上様とお母上様と一ヶ月も会えないのは久しぶりじゃないか?
というかシルヴィー姉さんとルーシー姉さんがまた俺と離れ離れになるから行きたくないとか言っていたのを何とか納得させたのに苦労した。
「ベラも旅行に行ってきて良かったんだよ?」
「ご冗談を。私がアーサーさまのそばを離れるわけがありません」
俺の背後にはベラがおり、ベラは俺の専属メイドだから離れることがないのは分かり切っていることだ。
他の使用人たちもそれぞれが馬車に乗って向かっていた。
「こんなに人がいなくなるお屋敷は初めてね」
屋敷の方からグリーテンが俺のもとへと歩いてきた。
「ベラは行かないの?」
「そんなわけがありません。私はアーサーさま専属メイドですから」
「そう、それは残念ね。アーサーと一ヶ月二人っきりになれると思っていたのに」
「そんな状況には私がいる限りあり得ません」
「でもあなたは特にやることがないのだから、いる意味があるかしら? 守るだけなら七聖法の私だけで十分なはずよ?」
「専属メイドにそんなことは関係ありません」
いつも通りだな、ベラとグリーテンは。
俺がいなければこんなことにならないだろうな。
「グリーテン、屋敷の改築をするために設計図を見せるからガゼボに向かおう。ベラ、紅茶をお願い」
「えぇ、分かったわ」
「かしこまりました」
まだ使用人たちが出て行くことをしていないから、ランスロット家の庭園にあるガゼボに移動して、俺の隣にグリーテンが座り、俺の横でベラが立っていた。
そして今のランスロット家の屋敷をホログラムで投影する魔道具を台の上に置いてホログラムを投影した。
「待ちきれないグリーテンに説明したとは思うけど」
「えぇ、やっぱりあんなことを教えられたら待ちきれないわよ!」
「うん。ホログラムでもう一度説明するね」
「お願いするわ!」
かなり興奮してピッタリとくっ付いてくるグリーテン。
それを見て隣に立っているベラから嫉妬のオーラが飛んでくるが、今は仕方がないとそのオーラを受けながらグリーテンにホログラムを使って説明する。
「これは、本当に壊さないの? 壊して作った方が早いのではないかしら」
「大丈夫。屋敷の構造を見た感じ、壊さなくても作ることができるから」
それに不具合があったとしても、俺がこっそりと直していればいいだけの話だ。
「他にも魔法陣を屋敷自体に組み込むつもりね?」
「はい。耐震効果や火災対策も組み込んで安全に暮らせる屋敷にしたいですね」
建物自体に魔法陣を組み込むことはそれほど知られていないわけではない。
でも魔道具とは違い建物という大きなものに組み込むから、それだけ難易度は高くなる。
魔法ありきな建築方法は、この世界ではよくあることだ。
でももう出来上がっている建物は仕方ないにしても、これからできる建物は魔法陣がなくてもいいような強い建物にしたいと思っている。
その方が広まった時に真似できるからな。
「……こんなお屋敷はアヴァロンでも見ないわね」
「そうなの?」
「そうよ、こんなことを考えれるアーサーはもっと誇っていいわ」
俺が考えたわけではないから、こう言われると少しだけ罪悪感みたいなものが出てくるが、でもすぐに消え去る罪悪感だ。
「アヴァロンにも同じような物を作ろうかしら……」
「僕が作りに――」
「アーサーさま、不要なことは仰らない方がいいかと」
アヴァロンという場所に興味があるからボクが作りに行きましょうかと言おうとしたが、それをベラに遮られた。
「アーサーが行きたいのならぜひ来てほしいわ! みんなが旅行に行っているのだから私たちも行きましょう!」
「こういうことになりますからね、グリーテンさまは」
「あぁ、うん、そうだね」
グリーテンのお誘いをやんわりとお断りして、屋敷の話を終わらせる頃には、屋敷の中には必要最低限の使用人以外いなくなっていたことを、ベラの部下であるメイドが伝えに来た。
「アーサーさま、もう作業に取り掛かることができます」
「うん、分かった。一ヶ月もあるからゆっくりとやろうか」
「はい、何かやることがあればお申し付けください」
「うん、そうする。グリーテンもよろしくね」
「えぇ、任せてちょうだい! でもほとんどはアーサーがするとは思うけど」
さてさて、転生して五年目にしてようやく温水洗浄便座が使えるようになるのか……。
屋敷の改造に当たり、俺以外のランスロット一家は旅行に出ることになった。
それに他の使用人たちも必要最低限を残して他は実家や旅行に出るようになっている。その費用はランスロット家持ちだ。
今回の屋敷の改造は一日で終わらせることができるのだが、どうせだからということでお父上様が一ヶ月の休暇を使用人たちに与えた。
一日だけどこかに行っていろとかそれはそれであれだから、一ヶ月間有給を取れるのはいいことだと俺は思った。
俺も色々と考え付いたらすぐに改造できる環境はいいと思っているし。
なお、俺を除いたランスロット家ご一行はサグラモール家に旅行に向かうらしい。
俺も行きたかったなぁ……でも屋敷の改造の方が大切だし、クレアやノエルさんに合おうと思えば会えるからいいか。
これで俺だけがサグラモール家に行っていないことになるのか……。
「旅行楽しんできてね!」
「うん! 行ってくるわ、アーサー!」
「お土産たくさん買って帰る」
馬車で旅行へと向かう家族を手を振りながら見送る。
でも、こうして考えればお父上様とお母上様と一ヶ月も会えないのは久しぶりじゃないか?
というかシルヴィー姉さんとルーシー姉さんがまた俺と離れ離れになるから行きたくないとか言っていたのを何とか納得させたのに苦労した。
「ベラも旅行に行ってきて良かったんだよ?」
「ご冗談を。私がアーサーさまのそばを離れるわけがありません」
俺の背後にはベラがおり、ベラは俺の専属メイドだから離れることがないのは分かり切っていることだ。
他の使用人たちもそれぞれが馬車に乗って向かっていた。
「こんなに人がいなくなるお屋敷は初めてね」
屋敷の方からグリーテンが俺のもとへと歩いてきた。
「ベラは行かないの?」
「そんなわけがありません。私はアーサーさま専属メイドですから」
「そう、それは残念ね。アーサーと一ヶ月二人っきりになれると思っていたのに」
「そんな状況には私がいる限りあり得ません」
「でもあなたは特にやることがないのだから、いる意味があるかしら? 守るだけなら七聖法の私だけで十分なはずよ?」
「専属メイドにそんなことは関係ありません」
いつも通りだな、ベラとグリーテンは。
俺がいなければこんなことにならないだろうな。
「グリーテン、屋敷の改築をするために設計図を見せるからガゼボに向かおう。ベラ、紅茶をお願い」
「えぇ、分かったわ」
「かしこまりました」
まだ使用人たちが出て行くことをしていないから、ランスロット家の庭園にあるガゼボに移動して、俺の隣にグリーテンが座り、俺の横でベラが立っていた。
そして今のランスロット家の屋敷をホログラムで投影する魔道具を台の上に置いてホログラムを投影した。
「待ちきれないグリーテンに説明したとは思うけど」
「えぇ、やっぱりあんなことを教えられたら待ちきれないわよ!」
「うん。ホログラムでもう一度説明するね」
「お願いするわ!」
かなり興奮してピッタリとくっ付いてくるグリーテン。
それを見て隣に立っているベラから嫉妬のオーラが飛んでくるが、今は仕方がないとそのオーラを受けながらグリーテンにホログラムを使って説明する。
「これは、本当に壊さないの? 壊して作った方が早いのではないかしら」
「大丈夫。屋敷の構造を見た感じ、壊さなくても作ることができるから」
それに不具合があったとしても、俺がこっそりと直していればいいだけの話だ。
「他にも魔法陣を屋敷自体に組み込むつもりね?」
「はい。耐震効果や火災対策も組み込んで安全に暮らせる屋敷にしたいですね」
建物自体に魔法陣を組み込むことはそれほど知られていないわけではない。
でも魔道具とは違い建物という大きなものに組み込むから、それだけ難易度は高くなる。
魔法ありきな建築方法は、この世界ではよくあることだ。
でももう出来上がっている建物は仕方ないにしても、これからできる建物は魔法陣がなくてもいいような強い建物にしたいと思っている。
その方が広まった時に真似できるからな。
「……こんなお屋敷はアヴァロンでも見ないわね」
「そうなの?」
「そうよ、こんなことを考えれるアーサーはもっと誇っていいわ」
俺が考えたわけではないから、こう言われると少しだけ罪悪感みたいなものが出てくるが、でもすぐに消え去る罪悪感だ。
「アヴァロンにも同じような物を作ろうかしら……」
「僕が作りに――」
「アーサーさま、不要なことは仰らない方がいいかと」
アヴァロンという場所に興味があるからボクが作りに行きましょうかと言おうとしたが、それをベラに遮られた。
「アーサーが行きたいのならぜひ来てほしいわ! みんなが旅行に行っているのだから私たちも行きましょう!」
「こういうことになりますからね、グリーテンさまは」
「あぁ、うん、そうだね」
グリーテンのお誘いをやんわりとお断りして、屋敷の話を終わらせる頃には、屋敷の中には必要最低限の使用人以外いなくなっていたことを、ベラの部下であるメイドが伝えに来た。
「アーサーさま、もう作業に取り掛かることができます」
「うん、分かった。一ヶ月もあるからゆっくりとやろうか」
「はい、何かやることがあればお申し付けください」
「うん、そうする。グリーテンもよろしくね」
「えぇ、任せてちょうだい! でもほとんどはアーサーがするとは思うけど」
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