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全能の爆誕
041:アロンダイト。
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お父上様の誕生日が近づいてきて、本格的に何を作り出そうか悩んでいた。
お父上様が何が好きなのか、あまり知らないんだよなぁ。前世でもそうだけど、両親の好みってあまり知らない節がある。それはどこの子供も一緒か。
両親は子供のことをよく知っているがその逆は成り立っていない。今考えれば、それはそれで子供としてどうなのかと思ってしまう。
ただお父上様はかなり忙しい人だからあまりそういう接点がないことは確かだ。未来の俺の姿と思ったら少し嫌になってくる。
そんなことよりもお父上様の誕生日プレゼントだ。
ランスロット家の人間だから、無難に武器とか魔道具とかでも喜ばれそうな気がする。
ただな、武器はランスロット家の固有魔法『纏創鎧剣』があるから、それを持つお父上様に武器や防具の装備は不必要な代物だと思う。
……まあ、この全能でどれほどの剣が作れるか知りたいから、一回剣でも作ってみるか。
ランスロットと言えばアロンダイトという剣で刃こぼれしにくい剣と前世の情報でそう認識している。
とりあえず作り始めるか。
俺としては鉄から剣を作りたいなと思ったが、たぶん一回で面倒だと思ってしまいそうだから普通に剣を生み出すことにした。
俺のイメージだと、アロンダイトって虹色の刀身なイメージがある。どうしてかは分からないが。
まあランスロット家の剣だから少し派手でもいいだろう。
あっ、どうせなら魔法剣にしておこうか。バフを最大限にかけて、これを持っただけで身体能力を爆上げさせて、どんな攻撃も避けれて、どんな攻撃も受け流し、どんな時でもカウンターを放つことができる剣。
あとはどうせだから持っただけで傷を全快させる能力もつけておこう。
考えれるものを入れるだけ入れてアロンダイトを作り上げてみる。
「……いや、普通にやり過ぎたんだが」
一般人が持っても達人に敵いそうなアロンダイトを完成させることができた。少し怖いから使える人をランスロット家の人間といいことに使おうとする人と限定しておこう。
「それにしても……」
こうして剣を持つことなんて前世では絶対になかったし今世でも木剣しかなかったからずっしりと重さがある剣を少し興奮して色んな角度から見ていく。
「おぉ……」
全能の俺が作ったから、かなり俺好みな剣になっている。
カタナよりも太い刀身は先端になるにつれて少し細くなっており、柄頭に赤い宝玉が付いている。
「カタナか……アリだな」
前世のマンガでもカタナというものは良く使われているイメージがある。だからカタナを作ってみるのもアリだな。
次はやり過ぎないようによく斬れるカタナというコンセプトを元にカタナを作り上げる。
剣とかカタナとか、よく己の魂を打ち込むとか聞いたことがあるけど、俺の全能があれば例え魂を打ち込まなくても完璧なものを作り上げれるのが何とも悲しいところだ。
「ふむ……」
片刃だけの刃物であるカタナを作り上げて、色々な角度から見るが男のロマンというものを掻き立てられて少しテンションが上がってしまっている。
鞘も一緒に作って鞘の中にカタナを収める。
このカタナは『朝一文字』と名付けよう。
さて……どうしよう。このアロンダイトをお父上様に渡したとして、果たして喜ばれるかどうかが分からない。
普通に魔道具にした方がいいような気がするなぁ。
「アーサー、いる?」
「うん、いるよ」
最近少しずつだが部屋に来たり喋ったりできるようになっているシルヴィー姉さんが来て、流れるように返事をした。
「それは、なに?」
シルヴィー姉さんが当然入ってきたのだが……剣とカタナをしまうのを忘れていた。バッチリとシルヴィー姉さんにアロンダイトと朝一文字を見られてしまっている。
でも色々作れるのはバレているわけだからここでバレても問題ないと言えば問題ない。
「僕が作った剣とカタナだよ」
「アーサー……武器作れるの?」
「まあ、うん、そうだね」
分類的には魔道具の一種だな。
アロンダイトをジッと見るシルヴィー姉さんは、特に訴えかけてはいないが触りたそうにしていたからこちらから声をかける。
「触ってみる?」
「……うん」
シルヴィー姉さんは一直線に地面に寝かせてあるアロンダイトの方を拾い上げた。
でもそれはかなりバフがかかる剣だからあまりおすすめしないんだけどなぁ。
お父上様がいるから、それを使って鍛錬はしないから問題ないとは思うけど。
「……これ、すごくいい剣。名前は?」
「アロンダイトだよ」
「……アロンダイト? あの伝説の?」
「えっ? 何伝説って?」
「知らないの?」
「知らない」
伝説って何だよ。アロンダイトってそもそもあったのか?
「……アロンダイトは、ランスロット家が所有していた剣。ペンドラゴン家を守るために使っていたけど……もう昔に盗まれた」
「盗まれたんだ」
いや、そんなに大切な剣なのに盗まれるとかどういうことだよ。
「すごい剣だと言われている……けど、この剣は、それ以上ある……と思う」
「そうかな? 気に入ったのならシルヴィーお姉ちゃん、いる?」
「いる。……ちょうど『纏鎧』に合う剣を探していたところだから」
それを持っていればシルヴィー姉さんが危険な目に合うことはほぼなくなるだろう。
「ちょっと鞘を作るから待ってね」
「ん……ありがとう」
アロンダイトを収めるための鞘を作り、そしてそれを装備できるようにベルトを着けてシルヴィー姉さんに近づく。
「つけてあげるよ」
「……よろしく」
シルヴィー姉さんの腰にベルトを巻き付け、背後に鞘が来るようにする。その間シルヴィー姉さんは少しだけ震えて何かを我慢している様子だった。
着け終えると俺が少し離れたことでシルヴィー姉さんはアロンダイトを鞘に収めた。
「……似合ってる?」
「似合ってるよ、お姉ちゃん!」
バッチリと決まっているシルヴィー姉さんの姿があった。すぐにアロンダイトを抜き去り構えるシルヴィー姉さんも決まっていた。
「ありがとう、アーサー。……こんな素晴らしいものを」
「お姉ちゃんに使ってもらえるのなら嬉しいよ!」
「……本当にアーサーはできた弟。私には、もったいない」
「そんなことはないよ。シルヴィーお姉ちゃんはちゃんと僕のお姉ちゃんだよ」
まあそのアロンダイトを誰かに渡す予定はなかったからシルヴィー姉さんに渡せて良かった。
ただお父上様の誕生日プレゼントは魔道具にしよう。纏創鎧剣の固有魔法を持っているお父上様には剣は不要なものだ。
「それよりもシルヴィーお姉ちゃん、何か僕に用事だったの?」
「……いや、特にはない。ただ……お父さんへのプレゼントを何にするのか考えている途中で、アーサーの部屋があったから、会話の練習を兼ねて、来た」
「あー、そうなんだ。それなら僕と一緒だね」
「……アーサーも考えてる?」
「うん、お父さんへは魔道具を渡そうかなって思って、何を作ろうか考え中」
本当に何にしようか。
いつも忙しいお父上様だが、俺のせいで忙しいとかだったら疲労を回復させるものを作ろうかと思ったけど、『俺のせいで疲れてんの? それならこの魔道具で疲労回復してもっと頑張って!』とかいう意味合いになりそう。
「……私はお酒にする」
「お酒?」
パッとシルヴィー姉さんがプレゼントを決めたらしく口を開いた。
確かに父親にお酒というものは定番なプレゼント。しかもこの世界は特に未成年がお酒を買っても問題がないようになっている。前世の日本ではバリバリダメだけど。
「いいんじゃないのかな、お父さんはお酒を結構飲む方だと思うから」
「そうする……そうと決まれば買いに行く。アロンダイト……本当にありがとう」
「うん、どういたしまして!」
てっきり俺と一緒に買いに行くと言い出すのかと思ったが、シルヴィー姉さんは部屋から出て行った。
さて、それなら俺はお父上様へのプレゼントを本格的に考えることにしよう。
……うーむ、選択肢が多いとかなり悩んでしまう。ただ全能があるとパッと答えが出てしまうんだが、それで出した正解でお父上様に喜ばれたとしても、それを素直に喜ぶことができない気がする。
やっぱり体調を回復させる魔道具の方がいい気がする。それ以外だとすれば魔素を多く取り込む魔道具とか、魔力消費を少なくする魔道具とか、そういう系か?
もう負担を軽減する魔道具を作るか。そもそもお父上様が疲れている原因はおそらく王子さまな気がするんだが。
強力な魔道具を作って、お父上様がストレスで死なないようにしよう。
お父上様が何が好きなのか、あまり知らないんだよなぁ。前世でもそうだけど、両親の好みってあまり知らない節がある。それはどこの子供も一緒か。
両親は子供のことをよく知っているがその逆は成り立っていない。今考えれば、それはそれで子供としてどうなのかと思ってしまう。
ただお父上様はかなり忙しい人だからあまりそういう接点がないことは確かだ。未来の俺の姿と思ったら少し嫌になってくる。
そんなことよりもお父上様の誕生日プレゼントだ。
ランスロット家の人間だから、無難に武器とか魔道具とかでも喜ばれそうな気がする。
ただな、武器はランスロット家の固有魔法『纏創鎧剣』があるから、それを持つお父上様に武器や防具の装備は不必要な代物だと思う。
……まあ、この全能でどれほどの剣が作れるか知りたいから、一回剣でも作ってみるか。
ランスロットと言えばアロンダイトという剣で刃こぼれしにくい剣と前世の情報でそう認識している。
とりあえず作り始めるか。
俺としては鉄から剣を作りたいなと思ったが、たぶん一回で面倒だと思ってしまいそうだから普通に剣を生み出すことにした。
俺のイメージだと、アロンダイトって虹色の刀身なイメージがある。どうしてかは分からないが。
まあランスロット家の剣だから少し派手でもいいだろう。
あっ、どうせなら魔法剣にしておこうか。バフを最大限にかけて、これを持っただけで身体能力を爆上げさせて、どんな攻撃も避けれて、どんな攻撃も受け流し、どんな時でもカウンターを放つことができる剣。
あとはどうせだから持っただけで傷を全快させる能力もつけておこう。
考えれるものを入れるだけ入れてアロンダイトを作り上げてみる。
「……いや、普通にやり過ぎたんだが」
一般人が持っても達人に敵いそうなアロンダイトを完成させることができた。少し怖いから使える人をランスロット家の人間といいことに使おうとする人と限定しておこう。
「それにしても……」
こうして剣を持つことなんて前世では絶対になかったし今世でも木剣しかなかったからずっしりと重さがある剣を少し興奮して色んな角度から見ていく。
「おぉ……」
全能の俺が作ったから、かなり俺好みな剣になっている。
カタナよりも太い刀身は先端になるにつれて少し細くなっており、柄頭に赤い宝玉が付いている。
「カタナか……アリだな」
前世のマンガでもカタナというものは良く使われているイメージがある。だからカタナを作ってみるのもアリだな。
次はやり過ぎないようによく斬れるカタナというコンセプトを元にカタナを作り上げる。
剣とかカタナとか、よく己の魂を打ち込むとか聞いたことがあるけど、俺の全能があれば例え魂を打ち込まなくても完璧なものを作り上げれるのが何とも悲しいところだ。
「ふむ……」
片刃だけの刃物であるカタナを作り上げて、色々な角度から見るが男のロマンというものを掻き立てられて少しテンションが上がってしまっている。
鞘も一緒に作って鞘の中にカタナを収める。
このカタナは『朝一文字』と名付けよう。
さて……どうしよう。このアロンダイトをお父上様に渡したとして、果たして喜ばれるかどうかが分からない。
普通に魔道具にした方がいいような気がするなぁ。
「アーサー、いる?」
「うん、いるよ」
最近少しずつだが部屋に来たり喋ったりできるようになっているシルヴィー姉さんが来て、流れるように返事をした。
「それは、なに?」
シルヴィー姉さんが当然入ってきたのだが……剣とカタナをしまうのを忘れていた。バッチリとシルヴィー姉さんにアロンダイトと朝一文字を見られてしまっている。
でも色々作れるのはバレているわけだからここでバレても問題ないと言えば問題ない。
「僕が作った剣とカタナだよ」
「アーサー……武器作れるの?」
「まあ、うん、そうだね」
分類的には魔道具の一種だな。
アロンダイトをジッと見るシルヴィー姉さんは、特に訴えかけてはいないが触りたそうにしていたからこちらから声をかける。
「触ってみる?」
「……うん」
シルヴィー姉さんは一直線に地面に寝かせてあるアロンダイトの方を拾い上げた。
でもそれはかなりバフがかかる剣だからあまりおすすめしないんだけどなぁ。
お父上様がいるから、それを使って鍛錬はしないから問題ないとは思うけど。
「……これ、すごくいい剣。名前は?」
「アロンダイトだよ」
「……アロンダイト? あの伝説の?」
「えっ? 何伝説って?」
「知らないの?」
「知らない」
伝説って何だよ。アロンダイトってそもそもあったのか?
「……アロンダイトは、ランスロット家が所有していた剣。ペンドラゴン家を守るために使っていたけど……もう昔に盗まれた」
「盗まれたんだ」
いや、そんなに大切な剣なのに盗まれるとかどういうことだよ。
「すごい剣だと言われている……けど、この剣は、それ以上ある……と思う」
「そうかな? 気に入ったのならシルヴィーお姉ちゃん、いる?」
「いる。……ちょうど『纏鎧』に合う剣を探していたところだから」
それを持っていればシルヴィー姉さんが危険な目に合うことはほぼなくなるだろう。
「ちょっと鞘を作るから待ってね」
「ん……ありがとう」
アロンダイトを収めるための鞘を作り、そしてそれを装備できるようにベルトを着けてシルヴィー姉さんに近づく。
「つけてあげるよ」
「……よろしく」
シルヴィー姉さんの腰にベルトを巻き付け、背後に鞘が来るようにする。その間シルヴィー姉さんは少しだけ震えて何かを我慢している様子だった。
着け終えると俺が少し離れたことでシルヴィー姉さんはアロンダイトを鞘に収めた。
「……似合ってる?」
「似合ってるよ、お姉ちゃん!」
バッチリと決まっているシルヴィー姉さんの姿があった。すぐにアロンダイトを抜き去り構えるシルヴィー姉さんも決まっていた。
「ありがとう、アーサー。……こんな素晴らしいものを」
「お姉ちゃんに使ってもらえるのなら嬉しいよ!」
「……本当にアーサーはできた弟。私には、もったいない」
「そんなことはないよ。シルヴィーお姉ちゃんはちゃんと僕のお姉ちゃんだよ」
まあそのアロンダイトを誰かに渡す予定はなかったからシルヴィー姉さんに渡せて良かった。
ただお父上様の誕生日プレゼントは魔道具にしよう。纏創鎧剣の固有魔法を持っているお父上様には剣は不要なものだ。
「それよりもシルヴィーお姉ちゃん、何か僕に用事だったの?」
「……いや、特にはない。ただ……お父さんへのプレゼントを何にするのか考えている途中で、アーサーの部屋があったから、会話の練習を兼ねて、来た」
「あー、そうなんだ。それなら僕と一緒だね」
「……アーサーも考えてる?」
「うん、お父さんへは魔道具を渡そうかなって思って、何を作ろうか考え中」
本当に何にしようか。
いつも忙しいお父上様だが、俺のせいで忙しいとかだったら疲労を回復させるものを作ろうかと思ったけど、『俺のせいで疲れてんの? それならこの魔道具で疲労回復してもっと頑張って!』とかいう意味合いになりそう。
「……私はお酒にする」
「お酒?」
パッとシルヴィー姉さんがプレゼントを決めたらしく口を開いた。
確かに父親にお酒というものは定番なプレゼント。しかもこの世界は特に未成年がお酒を買っても問題がないようになっている。前世の日本ではバリバリダメだけど。
「いいんじゃないのかな、お父さんはお酒を結構飲む方だと思うから」
「そうする……そうと決まれば買いに行く。アロンダイト……本当にありがとう」
「うん、どういたしまして!」
てっきり俺と一緒に買いに行くと言い出すのかと思ったが、シルヴィー姉さんは部屋から出て行った。
さて、それなら俺はお父上様へのプレゼントを本格的に考えることにしよう。
……うーむ、選択肢が多いとかなり悩んでしまう。ただ全能があるとパッと答えが出てしまうんだが、それで出した正解でお父上様に喜ばれたとしても、それを素直に喜ぶことができない気がする。
やっぱり体調を回復させる魔道具の方がいい気がする。それ以外だとすれば魔素を多く取り込む魔道具とか、魔力消費を少なくする魔道具とか、そういう系か?
もう負担を軽減する魔道具を作るか。そもそもお父上様が疲れている原因はおそらく王子さまな気がするんだが。
強力な魔道具を作って、お父上様がストレスで死なないようにしよう。
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