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始まりの鐘。
オリヴァ―と少女たちの特訓②。
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明日王都に行くということで体力を万全にすべく、早めに寝た3人を確認したのち、俺は自身のステータス画面を表示させる。
『名前:オリヴァー・バトラー
種族:人間
年齢:二十二
職業:闇の帝王
称号:闇夜深める帝王
≪スキル≫
≪闇ノ神の情愛≫・≪闇落ち≫・≪帝王従属≫・≪重力操作≫・≪言語共有≫・≪明鏡止水≫・≪六感強化Lv.10≫・≪身体能力上昇Lv.10≫・≪潜在力感知≫・≪超速再生Lv.10≫・≪魔力察知≫・≪気配察知≫・≪気配遮断≫・≪気配追尾≫・≪気迫Lv.10≫・≪騎乗Lv.10≫・≪体術Lv.10≫・≪武装術Lv.10≫・≪魔力武装≫・≪魔力具現化≫・≪魔力纏身≫・≪魔力回収≫・≪魔力付与≫・≪全物理耐性Lv.10≫・≪全属性耐性Lv.10≫・≪全物理反射Lv.10≫・≪全魔力反射Lv.10≫・≪背水の陣≫・≪採取Lv.10≫・≪調合Lv.10≫・≪錬成LV.10≫』
『オリヴァー・バトラー Lv.206
筋力:267000(+100000)
物理耐久力:265578(+100000)
速力:277086(+100000)
技術力:272950(+100000)
魔法耐久力:264868(+100000)
魔力:285506(+100000)』
『スキルスロット残数52』
今日でレベルが13も上がった。彼女たちと出会っていることは闇ノ神にとっても良いことなのだろうか。事実がどうかは分からないが、もしかしたら≪闇ノ神の情愛≫のスキルの真髄を使わせようとしているのかもしれない。彼女たちを助けて縁ができてしまった以上、彼女たちがこの世界で3人で自立できるほどまでは面倒を見るつもりはある。だが、それ以上の関係になるつもりはない。
それよりも、いい感じにスキルスロットが溜まってきたころだから、そろそろで何かスキルを習得するか、スキルを進化させた方が良いだろう。とりあえず、魔力の消費を抑える、もしくは魔力を増やしたいところだが・・・。
思い浮かべると色々なスキルが出てくる。≪魔力変換≫・≪魔力回復強化≫・≪魔力オーラ≫など。何か直感的に来るものは中々ない。・・・ん? ≪魔力吸収≫か。≪魔力回収≫と同じ部類のものか。これは≪魔力付与≫と同系統のものということなら、スキルが進化するな。
『≪魔力吸収≫・・・触れた相手の魔力を奪うことができる。消費スキルスロット1。なお、≪魔力回収≫と≪魔力付与≫を統合することにより、≪魔力往来・弐≫に進化可能』
思った通りスキルが進化する。≪魔力吸収≫を習得し、≪魔力往来・弐≫へと進化させる。だが、この“触れた相手”というのがあまり戦闘向きではない。俺の想像では囲んできた相手の魔力をごっそり奪えれば良いと思っていたが、そう上手くはいかないか。
『≪空間把握≫・・・一定の空間を自身の能力の範囲に適応させる。消費スキルスロット5』
『≪魔力流動強化≫・・・魔力の速さを早めることができる。消費スキルスロット1』
突然表示されたスキル内容を見ると、≪魔力往来・弐≫と組み合わせることで周りにいる敵の魔力を一気に吸い取れることができるみたいだった。俺が何気に思っていたことをシステムが理解してくれたのか、それに見合ったスキルを表示させてくれた。本当に不思議なシステムだ。
俺はスキルスロットが余っていることから、迷わずその二つを習得した。習得しているときに思い出したが、彼女たちの世界に行けるようなスキルがないのかと思い、想像してみた。すると一つのスキルが目の前に表示された。
『≪次元支配≫・・・次元の支配を可能とし、この世界と交わるはずのない別次元への空間へと移動することも可能となる。消費スキルスロット50』
消費スキルスロットは50か。空間ではなく、次元を支配するんだからそれくらいは行くのは当たり前か。今のスキルスロットの残数は45だから、習得できないから後回しだ。それに俺が彼女たちにそこまでする意味があるのかと思ってしまう。彼女たちを自立するまで面倒を見ようとは思うが、それはただの義務であって、やりたいと思ってやっていることではない。意味があると判断すれば、50溜まり習得するかもしれない。だが今はそこまで思わない。
一通りスキルの整理はできたが、まだ夜明けまで時間がある。夜明けまで俺は習得可能スキル一覧を眺めていた。習得可能スキルと言っても俺の場合はどんなスキルだろうとスキルスロットがあれば習得でき、今現在、存在するすべてのスキルを習得可能となっている。
ボーっと何か良いスキルがないかとスキル一覧のページをめくりながら思っていると、偶然にも気になる一つのスキルを発見した。
「≪魔力性質不変≫・・・何だこのスキルは?」
文字通り見れば、魔力の性質を変えない、ということだよな。魔力の性質はあまり詳しく知らないが、人にはそれぞれ内に宿る魔力の性質は性格と同様に違う。分かりやすい例で言えば、俺の魔力は闇ノ神と同様の魔力の性質を秘めている。侵蝕・暗転・崩壊など。
魔法ではなく、魔力の性質そのものを使い攻撃する魔法使いもいると聞く。俺もこれを調べた時、使おうと思ったが、どうやら俺の性質は多種多様の性質が複雑に入り組んでおり、“侵蝕”を使おうとすれば他のものも絡み合い上手く発動しなくなる。こうなった瞬間、俺はすぐさま自分の魔力を使うことを諦めた。
だが、このスキルは、おそらく他から奪った魔力を性質を変えずに自分の中に取り込めるのではないかと推測する。本来、己と違った魔力を体内に入れるときは性質を自身の性質に上書きして取り込む。今日のモモネがいい例だ。俺の魔力の性質をそのまま使った炎なら、黒炎で魔法が発動されるはずだ。
とりあえずスキルの詳細を確認してみる。
『≪魔力性質不変≫・・・自身が他者から取り込む魔力を、魔力性質を変えずに蓄えておくことができる。蓄えた魔力を自由に使用できるが、貯蓄期間は3時間のみ。消費スキルスロット1』
おおむね思っていたものと一緒だが、貯蓄期間があるのか。それも3時間だけと来た。その場ですぐに使うのであればこの貯蓄時間は問題ない。だが、王都でも王の魔力の性質がなければ開かないところがあると聞く。泥棒をするつもりはないが、使える魔力性質を有効に使うためには貯蓄時間が肝になってくる。
『≪魔力性質模倣≫・・・他者の魔力性質を自身の魔力性質として変化させ模倣することができる。ただし、触れているか一度でも変化させずに取り込んでなければならない。一度でも取り込めていれば、いつでも模倣することができるが、取り込んだ魔力性質の数は限られている。しかし、魔力性質の数はスキルを使えば使うほど多くなっていく。消費スキルスロット1』
どうしようかと悩んでいると、良いところに良い感じのスキルが出現してきた。≪魔力性質模倣≫と≪魔力性質不変≫を併せ持てば、有効な場面に有効な魔力性質を使えることができる。それにその魔力で≪魔力武装≫を使えば、魔力性質がついている武器を作れるんじゃないのか。
しかし、この≪魔力性質模倣≫は≪魔力性質不変≫がないと上手く扱えないんじゃないのだろうか。≪魔力性質模倣≫だけだと、“一度でも変化させずに”と示されている部分は満たされない。≪魔力性質模倣≫だけなら触れていなければ他の人の性質を扱えないということになる。単体ではあまり良いスキルではない。
そんなことより、≪魔力性質模倣≫と≪魔力性質不変≫を習得してしまう。
『≪魔力性質模倣≫と≪魔力性質不変≫を習得したことにより、≪魔力性質不変≫を≪魔力性質模倣≫に組み込み、≪魔力性質模倣≫が≪魔力性質模倣・改≫に進化可能』
これも俺は迷わず≪魔力性質模倣・改≫に進化させる。進化というのは、スキル効率が上がるから進化させないという選択肢はない。
『名前:オリヴァー・バトラー
種族:人間
年齢:二十二
職業:闇の帝王
称号:闇夜深める帝王
≪スキル≫
≪闇ノ神の情愛≫・≪闇落ち≫・≪帝王従属≫・≪重力操作≫・≪言語共有≫・≪明鏡止水≫・≪六感強化Lv.10≫・≪身体能力上昇Lv.10≫・≪潜在力感知≫・≪超速再生Lv.10≫・≪魔力察知≫・≪気配察知≫・≪気配遮断≫・≪気配追尾≫・≪気迫Lv.10≫・≪騎乗Lv.10≫・≪体術Lv.10≫・≪武装術Lv.10≫・≪魔力武装≫・≪魔力具現化≫・≪魔力纏身≫・≪魔力往来・弐≫・≪空間把握≫・≪魔力流動強化≫・≪魔力性質模倣・改≫・≪全物理耐性Lv.10≫・≪全属性耐性Lv.10≫・≪全物理反射Lv.10≫・≪全魔力反射Lv.10≫・≪背水の陣≫・≪採取Lv.10≫・≪調合Lv.10≫・≪錬成LV.10≫』
『オリヴァー・バトラー Lv.206
筋力:267000(+100000)
物理耐久力:265578(+100000)
速力:277086(+100000)
技術力:272950(+100000)
魔法耐久力:264868(+100000)
魔力:285506(+100000)』
『スキルスロット残数43』
こう眺めているとスキルの多さを自覚させられる。一部は俺が低レベルの時に使っていたスキルだが、それでもどれも使えるスキルだ。これだけのスキルがあれば戦い方は無数に存在する。今はさっき習得した数多の敵に囲まれた時に使う攻撃をしたい。
夜が明け、俺たちはようやく王都へと向かっていた。道中でのモンスターは少し強引だが俺が遠くから少し手助けするだけで、3人での本格的な戦いへと移していた。ステータス値が十分なら、俺を抜きにして彼女たちがどこまで戦えるか彼女たち自身が感じないといけない。
「どこにいんの!?」
「分からないから、とりあえず出てきたところを打つ」
「そんな早く移動できないよ~」
今相手にしているのは、土の中をその凶暴な爪で掘り進めて移動する巨大な土竜、『モグーリ』。あいつは地中を移動して相手の不意を突くような形で地中から出てくる。3人はこのどこから出てくるか分からないから手こずっているようだった。
今のところ自衛行動を取れないモモネをミユキが守り、カンナがモグーリを討とうとしているようだが、するりと避けられて攻撃できていない。攻撃を受けてもいないがな。さすがに早い段階でAランクモンスターはきつかったか? 気配感知を持っていないとモグーリはきついか。ここは手伝った方が良さそうだ。
俺は≪魔力武装≫で弓と矢を作り出し、地中を移動しているモグーリを気配感知で狙いを定めようとした。しかし、目を閉じて集中している様子のカンナを見てやめた。まだ彼女たちが危険になっているわけではないし、助けを求めてきていない。実力を計るためなのだから、簡単に手を貸してはいけない。
弓矢を手に持ちながら、少し待っていると彼女たちから少し離れたところにモグーリが地上に上がろうとしていた。カンナはそれを察知したかのようにすぐさま上がってこようとしているところへと行き、頭が見えた瞬間に剣を振るった。剣はモグーリの頭に縦に刺さり血を噴き出している。
カンナは小さく握りこぶしを作り喜んでおり、完全に油断している。
「油断するな」
俺はカンナに警告するとともに矢をモグーリに向けて放つ。俺の攻撃に気が付いたモグーリは脳天直撃しているはずの身体で地中に潜っていった。
「何で生きているの? 攻撃は当てたはず」
カンナは動揺しながらも二人の元へと戻っていった。
「あいつがAランクと呼ばれる理由は、硬さと生命力にある」
「Aランク!? 聞いてないんだけど!」
カンナではなく、モモネが反応した。硬さだけなら俺の渡した剣で十分すぎるが、生命力だけはどうにもならない。とどめを確実にさすしかない。
「あぁ、言っていないからな。それよりもモグーリが逃げるぞ。地中にいるやつを焼き尽くせ」
「焼き尽くす? ・・・分かった!」
モモネには道中で色んな魔法を教えている。幸い、モモネは頭が良く物覚えが良い。だから俺の教えた魔法の中で地中にいるやつにでも有効な魔法に気が付くだろう。モモネは魔法詠唱を口にし始める。
「『我が執念に応え、執念宿る炎に至れ。正義反する罪深き竜の炎よ、地の果てまで追い詰め、喰らい尽くせ』。『ハント・ドラゴン!』」
モモネの周りから炎が出現し、炎は竜の形へと変わっていった。上級追尾炎魔法『ハント・ドラゴン』。竜の姿をした炎が敵を延々と追っていく魔法だ。
「行け!」
モモネの合図で、その炎の竜はモグーリが潜って行った穴の中へと入っていった。しばらくすると地面が揺れだし、モモネから少し離れた地面からモグーリの胴体をくわえてハント・ドラゴンが出てきた。モグーリの身体はすでに焼き焦げているが、まだハント・ドラゴンから逃れようと元気に動いていた。
「カンナ!」
「分かっている」
カンナは自由に身動きが取れないモグーリに向けて走り出し、モグーリの首を狙って剣を振るった。剣は通り、モグーリの首は刎ねられた。カンナはさっきのことがあってか、斬った後でも距離を取って様子を見ている。モグーリは胴体だけまだジタバタと動いていたが、次第に動かなくなり、気配からも死を確認できた。
「さすがに、もう大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
俺は弓矢を魔力に戻して回収し、三人の元へと行く。
「どうだ? 3人でAランクと戦ってみて」
「・・・あまり強いって感じがしなかった。でも、この一体だけなら何とか行けるけど、二体とかになれば分からない」
「あぁ、分かる。あたしなんて守ってもらうばかりだから、不意を突いて二体目が来たりしたら絶対に攻撃を受けてる」
「私は今回、何も役に立てなかったな~。ずっと立ってただけだったし」
「そんなことないし。ミユキがいなかったらあたしはあいつに攻撃されていたから」
三人のステータスだけで考えれば、Aランクと渡り合えても何も疑問はない。ただ、やはり動きはぎこちない。彼女たちはステータス値と場数が比例していないからそこが厄介だ。これはどうしようもない。場数は時間をかけて踏んでいかなければならないから、悩んだところでどうにもならない。
「そう言えばさ、カンナはさっきあいつが出てくるところが分かっている感じだったけど、あれは何なん?」
「分からない。何となく感覚を研ぎ澄ませてやれば見つかるかなって、思っていたら何となく分かった」
「何となくを言い過ぎだし」
「それは≪気配察知≫のスキルだろう」
モモネとカンナが話しているところに入り込み、俺は彼女たちの疑問に答える。
「≪気配察知≫? ・・・確かオリヴァーも持っているスキルだったっけ? そんな簡単にスキルを習得できるものなん?」
「そうだったな、モモネは俺のステータスを見たことがあるんだったな。スキルは、一般的に自分の性格や身体的特徴とそのスキルが合えば習得することは容易だ。性格以外にも、自分が必要だと思いセンスがあっても習得することができる」
「へぇ、と言うことは、たくさんスキルを持っているオリヴァーはすごくセンスがあるってこと?」
「いや、俺のはそうではない。・・・それは追々ということにしよう。それよりも、カンナは≪気配察知≫があるかどうか、自分のステータスを見てみろ」
「分かった」
カンナは指でステータスを出して操作しているようだが、当然のことながら≪透視≫スキルも何も持っていない俺から見れば何をどう操作しているかはわからない。≪透視≫スキルを覚えようと思えば覚えれるが、特に必要とは思わなかったから覚えない。
「あ、本当にあった。・・・けど、≪気配察知・未完成≫って書かれている。どういうこと?」
「あぁ、それか。それはスキルを習得している状態にあるが、スキルの恩恵をまともに受けれていない状態を指している。≪気配察知≫を使っていれば、早い段階で未完成はとれる」
「なるほど。ああいう時には≪気配察知≫が重要だから積極的に使っていく。・・・あ、そうだ。スキルの話を忘れてた。≪気配察知・未完成≫の他に、≪剣術Lv.1≫が習得できてた」
「あたしも新しく習得してる。≪詠唱破棄Lv.1≫が出てる」
「私も~。≪盾剣術Lv.1≫というスキルが出てます」
俺は彼女たちがこんなにも早くスキルが出現していることに驚いた。初期スキルを除き、≪採取≫や≪採掘≫などの身体に関係しないスキルは比較的に簡単に習得できるが、≪剣術≫などの身体に影響を与えるスキルは一日やそこらで習得できるものではない。それに職業を持っていない無職が、≪剣術≫スキルなど普通はあり得ない。これで職業を得た時に、何も変化がないか、はたまたこれ以上のものに化けるか。
「それは良かった。戦い方がなっていなくても、そのスキルを使えばこれまで以上に戦いやすくなるだろう」
「この≪詠唱破棄Lv.1≫のレベル1は、レベル2とか上がっていくん? それに詠唱破棄って何?」
「レベルの最高は10。詠唱破棄については簡単な魔法なら詠唱なく魔法が唱えられるスキルだ。そもそもスキルについては説明が見れるだろう」
「説明? どこで?」
「ステータス画面にあるスキルを押せばそのスキルの詳細が出てくる。今まで知らなかったのか?」
「だ、だって、仕方がないじゃん。この世界に来てから、あのクソ王さまはあたしたちのスキルが使えないと知ると、何も教えてくれなくなったんだから」
だからスキルのこととか知らずに、スキルの詳細を俺に聞くような事態になっていたのか。この世界の者ではなく、なおかつモンスターもステータスも何も存在していない世界なら知らなくて当然か。
「それもそうか。だがまぁ、ステータスからスキルの大まかな情報を知れるとは言え、ステータスからのスキル情報はそれほど多くないから、書物庫などでスキルについて調べるといい」
話を終え、俺たちは再びモンスター狩りへと戻った。
『名前:オリヴァー・バトラー
種族:人間
年齢:二十二
職業:闇の帝王
称号:闇夜深める帝王
≪スキル≫
≪闇ノ神の情愛≫・≪闇落ち≫・≪帝王従属≫・≪重力操作≫・≪言語共有≫・≪明鏡止水≫・≪六感強化Lv.10≫・≪身体能力上昇Lv.10≫・≪潜在力感知≫・≪超速再生Lv.10≫・≪魔力察知≫・≪気配察知≫・≪気配遮断≫・≪気配追尾≫・≪気迫Lv.10≫・≪騎乗Lv.10≫・≪体術Lv.10≫・≪武装術Lv.10≫・≪魔力武装≫・≪魔力具現化≫・≪魔力纏身≫・≪魔力回収≫・≪魔力付与≫・≪全物理耐性Lv.10≫・≪全属性耐性Lv.10≫・≪全物理反射Lv.10≫・≪全魔力反射Lv.10≫・≪背水の陣≫・≪採取Lv.10≫・≪調合Lv.10≫・≪錬成LV.10≫』
『オリヴァー・バトラー Lv.206
筋力:267000(+100000)
物理耐久力:265578(+100000)
速力:277086(+100000)
技術力:272950(+100000)
魔法耐久力:264868(+100000)
魔力:285506(+100000)』
『スキルスロット残数52』
今日でレベルが13も上がった。彼女たちと出会っていることは闇ノ神にとっても良いことなのだろうか。事実がどうかは分からないが、もしかしたら≪闇ノ神の情愛≫のスキルの真髄を使わせようとしているのかもしれない。彼女たちを助けて縁ができてしまった以上、彼女たちがこの世界で3人で自立できるほどまでは面倒を見るつもりはある。だが、それ以上の関係になるつもりはない。
それよりも、いい感じにスキルスロットが溜まってきたころだから、そろそろで何かスキルを習得するか、スキルを進化させた方が良いだろう。とりあえず、魔力の消費を抑える、もしくは魔力を増やしたいところだが・・・。
思い浮かべると色々なスキルが出てくる。≪魔力変換≫・≪魔力回復強化≫・≪魔力オーラ≫など。何か直感的に来るものは中々ない。・・・ん? ≪魔力吸収≫か。≪魔力回収≫と同じ部類のものか。これは≪魔力付与≫と同系統のものということなら、スキルが進化するな。
『≪魔力吸収≫・・・触れた相手の魔力を奪うことができる。消費スキルスロット1。なお、≪魔力回収≫と≪魔力付与≫を統合することにより、≪魔力往来・弐≫に進化可能』
思った通りスキルが進化する。≪魔力吸収≫を習得し、≪魔力往来・弐≫へと進化させる。だが、この“触れた相手”というのがあまり戦闘向きではない。俺の想像では囲んできた相手の魔力をごっそり奪えれば良いと思っていたが、そう上手くはいかないか。
『≪空間把握≫・・・一定の空間を自身の能力の範囲に適応させる。消費スキルスロット5』
『≪魔力流動強化≫・・・魔力の速さを早めることができる。消費スキルスロット1』
突然表示されたスキル内容を見ると、≪魔力往来・弐≫と組み合わせることで周りにいる敵の魔力を一気に吸い取れることができるみたいだった。俺が何気に思っていたことをシステムが理解してくれたのか、それに見合ったスキルを表示させてくれた。本当に不思議なシステムだ。
俺はスキルスロットが余っていることから、迷わずその二つを習得した。習得しているときに思い出したが、彼女たちの世界に行けるようなスキルがないのかと思い、想像してみた。すると一つのスキルが目の前に表示された。
『≪次元支配≫・・・次元の支配を可能とし、この世界と交わるはずのない別次元への空間へと移動することも可能となる。消費スキルスロット50』
消費スキルスロットは50か。空間ではなく、次元を支配するんだからそれくらいは行くのは当たり前か。今のスキルスロットの残数は45だから、習得できないから後回しだ。それに俺が彼女たちにそこまでする意味があるのかと思ってしまう。彼女たちを自立するまで面倒を見ようとは思うが、それはただの義務であって、やりたいと思ってやっていることではない。意味があると判断すれば、50溜まり習得するかもしれない。だが今はそこまで思わない。
一通りスキルの整理はできたが、まだ夜明けまで時間がある。夜明けまで俺は習得可能スキル一覧を眺めていた。習得可能スキルと言っても俺の場合はどんなスキルだろうとスキルスロットがあれば習得でき、今現在、存在するすべてのスキルを習得可能となっている。
ボーっと何か良いスキルがないかとスキル一覧のページをめくりながら思っていると、偶然にも気になる一つのスキルを発見した。
「≪魔力性質不変≫・・・何だこのスキルは?」
文字通り見れば、魔力の性質を変えない、ということだよな。魔力の性質はあまり詳しく知らないが、人にはそれぞれ内に宿る魔力の性質は性格と同様に違う。分かりやすい例で言えば、俺の魔力は闇ノ神と同様の魔力の性質を秘めている。侵蝕・暗転・崩壊など。
魔法ではなく、魔力の性質そのものを使い攻撃する魔法使いもいると聞く。俺もこれを調べた時、使おうと思ったが、どうやら俺の性質は多種多様の性質が複雑に入り組んでおり、“侵蝕”を使おうとすれば他のものも絡み合い上手く発動しなくなる。こうなった瞬間、俺はすぐさま自分の魔力を使うことを諦めた。
だが、このスキルは、おそらく他から奪った魔力を性質を変えずに自分の中に取り込めるのではないかと推測する。本来、己と違った魔力を体内に入れるときは性質を自身の性質に上書きして取り込む。今日のモモネがいい例だ。俺の魔力の性質をそのまま使った炎なら、黒炎で魔法が発動されるはずだ。
とりあえずスキルの詳細を確認してみる。
『≪魔力性質不変≫・・・自身が他者から取り込む魔力を、魔力性質を変えずに蓄えておくことができる。蓄えた魔力を自由に使用できるが、貯蓄期間は3時間のみ。消費スキルスロット1』
おおむね思っていたものと一緒だが、貯蓄期間があるのか。それも3時間だけと来た。その場ですぐに使うのであればこの貯蓄時間は問題ない。だが、王都でも王の魔力の性質がなければ開かないところがあると聞く。泥棒をするつもりはないが、使える魔力性質を有効に使うためには貯蓄時間が肝になってくる。
『≪魔力性質模倣≫・・・他者の魔力性質を自身の魔力性質として変化させ模倣することができる。ただし、触れているか一度でも変化させずに取り込んでなければならない。一度でも取り込めていれば、いつでも模倣することができるが、取り込んだ魔力性質の数は限られている。しかし、魔力性質の数はスキルを使えば使うほど多くなっていく。消費スキルスロット1』
どうしようかと悩んでいると、良いところに良い感じのスキルが出現してきた。≪魔力性質模倣≫と≪魔力性質不変≫を併せ持てば、有効な場面に有効な魔力性質を使えることができる。それにその魔力で≪魔力武装≫を使えば、魔力性質がついている武器を作れるんじゃないのか。
しかし、この≪魔力性質模倣≫は≪魔力性質不変≫がないと上手く扱えないんじゃないのだろうか。≪魔力性質模倣≫だけだと、“一度でも変化させずに”と示されている部分は満たされない。≪魔力性質模倣≫だけなら触れていなければ他の人の性質を扱えないということになる。単体ではあまり良いスキルではない。
そんなことより、≪魔力性質模倣≫と≪魔力性質不変≫を習得してしまう。
『≪魔力性質模倣≫と≪魔力性質不変≫を習得したことにより、≪魔力性質不変≫を≪魔力性質模倣≫に組み込み、≪魔力性質模倣≫が≪魔力性質模倣・改≫に進化可能』
これも俺は迷わず≪魔力性質模倣・改≫に進化させる。進化というのは、スキル効率が上がるから進化させないという選択肢はない。
『名前:オリヴァー・バトラー
種族:人間
年齢:二十二
職業:闇の帝王
称号:闇夜深める帝王
≪スキル≫
≪闇ノ神の情愛≫・≪闇落ち≫・≪帝王従属≫・≪重力操作≫・≪言語共有≫・≪明鏡止水≫・≪六感強化Lv.10≫・≪身体能力上昇Lv.10≫・≪潜在力感知≫・≪超速再生Lv.10≫・≪魔力察知≫・≪気配察知≫・≪気配遮断≫・≪気配追尾≫・≪気迫Lv.10≫・≪騎乗Lv.10≫・≪体術Lv.10≫・≪武装術Lv.10≫・≪魔力武装≫・≪魔力具現化≫・≪魔力纏身≫・≪魔力往来・弐≫・≪空間把握≫・≪魔力流動強化≫・≪魔力性質模倣・改≫・≪全物理耐性Lv.10≫・≪全属性耐性Lv.10≫・≪全物理反射Lv.10≫・≪全魔力反射Lv.10≫・≪背水の陣≫・≪採取Lv.10≫・≪調合Lv.10≫・≪錬成LV.10≫』
『オリヴァー・バトラー Lv.206
筋力:267000(+100000)
物理耐久力:265578(+100000)
速力:277086(+100000)
技術力:272950(+100000)
魔法耐久力:264868(+100000)
魔力:285506(+100000)』
『スキルスロット残数43』
こう眺めているとスキルの多さを自覚させられる。一部は俺が低レベルの時に使っていたスキルだが、それでもどれも使えるスキルだ。これだけのスキルがあれば戦い方は無数に存在する。今はさっき習得した数多の敵に囲まれた時に使う攻撃をしたい。
夜が明け、俺たちはようやく王都へと向かっていた。道中でのモンスターは少し強引だが俺が遠くから少し手助けするだけで、3人での本格的な戦いへと移していた。ステータス値が十分なら、俺を抜きにして彼女たちがどこまで戦えるか彼女たち自身が感じないといけない。
「どこにいんの!?」
「分からないから、とりあえず出てきたところを打つ」
「そんな早く移動できないよ~」
今相手にしているのは、土の中をその凶暴な爪で掘り進めて移動する巨大な土竜、『モグーリ』。あいつは地中を移動して相手の不意を突くような形で地中から出てくる。3人はこのどこから出てくるか分からないから手こずっているようだった。
今のところ自衛行動を取れないモモネをミユキが守り、カンナがモグーリを討とうとしているようだが、するりと避けられて攻撃できていない。攻撃を受けてもいないがな。さすがに早い段階でAランクモンスターはきつかったか? 気配感知を持っていないとモグーリはきついか。ここは手伝った方が良さそうだ。
俺は≪魔力武装≫で弓と矢を作り出し、地中を移動しているモグーリを気配感知で狙いを定めようとした。しかし、目を閉じて集中している様子のカンナを見てやめた。まだ彼女たちが危険になっているわけではないし、助けを求めてきていない。実力を計るためなのだから、簡単に手を貸してはいけない。
弓矢を手に持ちながら、少し待っていると彼女たちから少し離れたところにモグーリが地上に上がろうとしていた。カンナはそれを察知したかのようにすぐさま上がってこようとしているところへと行き、頭が見えた瞬間に剣を振るった。剣はモグーリの頭に縦に刺さり血を噴き出している。
カンナは小さく握りこぶしを作り喜んでおり、完全に油断している。
「油断するな」
俺はカンナに警告するとともに矢をモグーリに向けて放つ。俺の攻撃に気が付いたモグーリは脳天直撃しているはずの身体で地中に潜っていった。
「何で生きているの? 攻撃は当てたはず」
カンナは動揺しながらも二人の元へと戻っていった。
「あいつがAランクと呼ばれる理由は、硬さと生命力にある」
「Aランク!? 聞いてないんだけど!」
カンナではなく、モモネが反応した。硬さだけなら俺の渡した剣で十分すぎるが、生命力だけはどうにもならない。とどめを確実にさすしかない。
「あぁ、言っていないからな。それよりもモグーリが逃げるぞ。地中にいるやつを焼き尽くせ」
「焼き尽くす? ・・・分かった!」
モモネには道中で色んな魔法を教えている。幸い、モモネは頭が良く物覚えが良い。だから俺の教えた魔法の中で地中にいるやつにでも有効な魔法に気が付くだろう。モモネは魔法詠唱を口にし始める。
「『我が執念に応え、執念宿る炎に至れ。正義反する罪深き竜の炎よ、地の果てまで追い詰め、喰らい尽くせ』。『ハント・ドラゴン!』」
モモネの周りから炎が出現し、炎は竜の形へと変わっていった。上級追尾炎魔法『ハント・ドラゴン』。竜の姿をした炎が敵を延々と追っていく魔法だ。
「行け!」
モモネの合図で、その炎の竜はモグーリが潜って行った穴の中へと入っていった。しばらくすると地面が揺れだし、モモネから少し離れた地面からモグーリの胴体をくわえてハント・ドラゴンが出てきた。モグーリの身体はすでに焼き焦げているが、まだハント・ドラゴンから逃れようと元気に動いていた。
「カンナ!」
「分かっている」
カンナは自由に身動きが取れないモグーリに向けて走り出し、モグーリの首を狙って剣を振るった。剣は通り、モグーリの首は刎ねられた。カンナはさっきのことがあってか、斬った後でも距離を取って様子を見ている。モグーリは胴体だけまだジタバタと動いていたが、次第に動かなくなり、気配からも死を確認できた。
「さすがに、もう大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
俺は弓矢を魔力に戻して回収し、三人の元へと行く。
「どうだ? 3人でAランクと戦ってみて」
「・・・あまり強いって感じがしなかった。でも、この一体だけなら何とか行けるけど、二体とかになれば分からない」
「あぁ、分かる。あたしなんて守ってもらうばかりだから、不意を突いて二体目が来たりしたら絶対に攻撃を受けてる」
「私は今回、何も役に立てなかったな~。ずっと立ってただけだったし」
「そんなことないし。ミユキがいなかったらあたしはあいつに攻撃されていたから」
三人のステータスだけで考えれば、Aランクと渡り合えても何も疑問はない。ただ、やはり動きはぎこちない。彼女たちはステータス値と場数が比例していないからそこが厄介だ。これはどうしようもない。場数は時間をかけて踏んでいかなければならないから、悩んだところでどうにもならない。
「そう言えばさ、カンナはさっきあいつが出てくるところが分かっている感じだったけど、あれは何なん?」
「分からない。何となく感覚を研ぎ澄ませてやれば見つかるかなって、思っていたら何となく分かった」
「何となくを言い過ぎだし」
「それは≪気配察知≫のスキルだろう」
モモネとカンナが話しているところに入り込み、俺は彼女たちの疑問に答える。
「≪気配察知≫? ・・・確かオリヴァーも持っているスキルだったっけ? そんな簡単にスキルを習得できるものなん?」
「そうだったな、モモネは俺のステータスを見たことがあるんだったな。スキルは、一般的に自分の性格や身体的特徴とそのスキルが合えば習得することは容易だ。性格以外にも、自分が必要だと思いセンスがあっても習得することができる」
「へぇ、と言うことは、たくさんスキルを持っているオリヴァーはすごくセンスがあるってこと?」
「いや、俺のはそうではない。・・・それは追々ということにしよう。それよりも、カンナは≪気配察知≫があるかどうか、自分のステータスを見てみろ」
「分かった」
カンナは指でステータスを出して操作しているようだが、当然のことながら≪透視≫スキルも何も持っていない俺から見れば何をどう操作しているかはわからない。≪透視≫スキルを覚えようと思えば覚えれるが、特に必要とは思わなかったから覚えない。
「あ、本当にあった。・・・けど、≪気配察知・未完成≫って書かれている。どういうこと?」
「あぁ、それか。それはスキルを習得している状態にあるが、スキルの恩恵をまともに受けれていない状態を指している。≪気配察知≫を使っていれば、早い段階で未完成はとれる」
「なるほど。ああいう時には≪気配察知≫が重要だから積極的に使っていく。・・・あ、そうだ。スキルの話を忘れてた。≪気配察知・未完成≫の他に、≪剣術Lv.1≫が習得できてた」
「あたしも新しく習得してる。≪詠唱破棄Lv.1≫が出てる」
「私も~。≪盾剣術Lv.1≫というスキルが出てます」
俺は彼女たちがこんなにも早くスキルが出現していることに驚いた。初期スキルを除き、≪採取≫や≪採掘≫などの身体に関係しないスキルは比較的に簡単に習得できるが、≪剣術≫などの身体に影響を与えるスキルは一日やそこらで習得できるものではない。それに職業を持っていない無職が、≪剣術≫スキルなど普通はあり得ない。これで職業を得た時に、何も変化がないか、はたまたこれ以上のものに化けるか。
「それは良かった。戦い方がなっていなくても、そのスキルを使えばこれまで以上に戦いやすくなるだろう」
「この≪詠唱破棄Lv.1≫のレベル1は、レベル2とか上がっていくん? それに詠唱破棄って何?」
「レベルの最高は10。詠唱破棄については簡単な魔法なら詠唱なく魔法が唱えられるスキルだ。そもそもスキルについては説明が見れるだろう」
「説明? どこで?」
「ステータス画面にあるスキルを押せばそのスキルの詳細が出てくる。今まで知らなかったのか?」
「だ、だって、仕方がないじゃん。この世界に来てから、あのクソ王さまはあたしたちのスキルが使えないと知ると、何も教えてくれなくなったんだから」
だからスキルのこととか知らずに、スキルの詳細を俺に聞くような事態になっていたのか。この世界の者ではなく、なおかつモンスターもステータスも何も存在していない世界なら知らなくて当然か。
「それもそうか。だがまぁ、ステータスからスキルの大まかな情報を知れるとは言え、ステータスからのスキル情報はそれほど多くないから、書物庫などでスキルについて調べるといい」
話を終え、俺たちは再びモンスター狩りへと戻った。
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