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6自己暗示
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私は井口に客間に通され、そこで待たされた。
足を崩したかったが、ここは気を引き締めねばならない。
それはそうと、熱が上がってきている気がする…
(気のせい、気のせい…)
今からここの住職に頼み、門戸につないでもらわなければならない。
(ここで失敗したら頼みの綱はなくなるわ…)
そう、自分に言い聞かせるが気分の悪さは本当はとっくに限界を超えているのだ。
わたしは両手をついた。
(だめだわ、本当にしんどい…)
部屋がぐるぐる回転しているような感覚を覚えた。手を首にあてると驚くほどの熱だった。
(手が冷たくて気持ちがいい…)
目を閉じて自分の手の冷たさに意識を集中し、その冷たさがゆっくり全身に広がってゆくのをイメージした。
一応、私も術師の端くれなのだ。短時間自己暗示にかけることくらい万全であれば、朝飯前にできる。ただ、わたしは体力がないので、自分の術で下手にエネルギーを消費するのは今は避けたかった。だけど今はもう、そうもいっていられない。底の見えている体力を、今セーブしたところでここを突破できなければ意味がない。
頭のてっぺん、足のつま先まで掌の冷たさが行きわたると私は目をひらいた。
熱はさがり、体のだるさはなくなっている。
私はきちんと正座して居住まいを正した。少しやりすぎたのかもしれない。神経が冴え、廊下の向こうの人の気配まで分かる。
衣擦れがする…おそらく住職がこちらへ向かって歩いてきている。
足を崩したかったが、ここは気を引き締めねばならない。
それはそうと、熱が上がってきている気がする…
(気のせい、気のせい…)
今からここの住職に頼み、門戸につないでもらわなければならない。
(ここで失敗したら頼みの綱はなくなるわ…)
そう、自分に言い聞かせるが気分の悪さは本当はとっくに限界を超えているのだ。
わたしは両手をついた。
(だめだわ、本当にしんどい…)
部屋がぐるぐる回転しているような感覚を覚えた。手を首にあてると驚くほどの熱だった。
(手が冷たくて気持ちがいい…)
目を閉じて自分の手の冷たさに意識を集中し、その冷たさがゆっくり全身に広がってゆくのをイメージした。
一応、私も術師の端くれなのだ。短時間自己暗示にかけることくらい万全であれば、朝飯前にできる。ただ、わたしは体力がないので、自分の術で下手にエネルギーを消費するのは今は避けたかった。だけど今はもう、そうもいっていられない。底の見えている体力を、今セーブしたところでここを突破できなければ意味がない。
頭のてっぺん、足のつま先まで掌の冷たさが行きわたると私は目をひらいた。
熱はさがり、体のだるさはなくなっている。
私はきちんと正座して居住まいを正した。少しやりすぎたのかもしれない。神経が冴え、廊下の向こうの人の気配まで分かる。
衣擦れがする…おそらく住職がこちらへ向かって歩いてきている。
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