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三歳児編

大した魔法は使わない

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 全員俺より体が大きいとはいえ、所詮は小学一年生。ドッヂボール、ではなくサケルカトルも、ボールが二つあることに注意すれば早々アウトになることはないだろう。始まる前の俺は、そう考えていた。
 甘かった。
「おらっ!」
「そこだっ!」
「だとおもった!」
 犬顔の子が投げるところを狙った、外野にいるネブトの球を、猫顔の子がキャッチする。犬顔の子が投げたボールはアドラに避けられ、外野へと出たところを俺が止める。
「おい、はやくよこせ!」
「いーち、にーい」
「ラブチー、パス!」
 外野同士、または内野同士でパスをしてはいけないので、両手で持ったボールを頭の上から高く投げて内野へと送る。また、五秒以上ボールを持ったままでもいけないので、猫顔の子は外野にいる兎顔の子、ラブチーちゃんにボールをパスした。
「いくぞ!」
「うん。せーのっ!」
「うわっ!」
 ラブチーちゃんの投げたボールは相手に当たったけど、犬顔の子が投げたボールはアドラにキャッチされた。二つのボールを確保した相手チームが反撃を始める。
(この子たち本当に小学一年生か?)
 試合の流れに注意を向けつつ、心の中で呟く。前世で遊んだドッヂボールの記憶は最早遠い過去のものであったけど、こんな息つく暇もないような球技じゃなかったと思うんだが。
(この程度の動き、六歳児であればさほど難しくはなかろうよ)
(マジかよ)
 レイズの言葉に苦笑いする。いやまあ、実際その動きを見せつけられているわけなんですけども。しかしそれでも、これで小学一年生? と思ってしまうような組織だった動きと言うか躍動感と言うか。少なくとも前世の小学一年生はこんな動きできなかったと確信できるほどの攻防が目の前で繰り広げられていた。
(獣魔族の子供は早いうちから群れでの狩りの仕方を覚えさせられるというからな。あの連携はそういった教育の賜物だろう。ベルク共は悪魔族持ち前の体格に物を言わせているにすぎん)
(へえ、種族によってそういう違いもあるんだな)
 ボールを内野へと投げながら、レイズの話を興味深く聞く。
(しかし人魔族や妖魔族は、特殊な環境にでもいない限り、同年代の獣魔族や悪魔族の動きにはついていけぬ)
(そうみたいだな)
 アドラと犬顔の子と猫顔の子、お互いのチームの主力プレイヤー以外の生徒は、次々とボールをぶつけられて外野へと移っていく。そして外野でも、ベルクとネブト、ラブチーちゃんと鹿顔の子以外は攻撃に参加せず、球拾いに徹していた。
 上手くない子が多いほうが俺たちの目的は達しやすくなるから、それはそれでいいんだけど……。
(多少の対格差はともかく、ここまで実力が違うと一緒に遊ばせるのは酷な気がするんだけどな)
(酷なものか。学校と言うのは、社会に出る前にその仕組みなどを学ぶ場所なのだろう? 幼いうちから現実を見せないのは、それこそ酷というものだ)
(……まあ一理あるか)
 頷きつつ、アドラが躱したボールをキャッチする。
 ドッ!
「……は?」
 気づかれない程度に効果を抑えた強化魔法をかけ、間髪入れずに投げたボールは、無警戒だったアドラの胸に吸い込まれた。
 尻もちをついたアドラが、てんてんと跳ねるボールを呆然と見る。周りの子も皆、先生でさえ、驚いているようだった。
(それじゃあ、油断した奴が痛い目見ることになるのも社会の仕組みってことで)
(痛い目というには、随分と優しい仕打ちのようだが)
(初めはこのくらいでいいんだよ)
 容赦のないレイズを諭しつつ、俺は戻ってきたボールを拾うと、大声で言う。
「ごめん、あてちゃった!」
 内野へとボールを投げたところで、他の皆も正気を取り戻した。
「いや、よくやった!」
「はは、やられてやんの」
「うっせぇ!」
 猫顔の子の煽りにアドラが吠える。外野へと向かう途中も、何度も俺の方を振り返ってきた。案の定、相当悔しがっているみたいだ。しめしめ。
 内心でほくそ笑みつつも、特に反応を返したりはしない。ここで喜んだら子供っぽく見られるかもしれないからな。……いや、子供ではあるんだけど、今のがまぐれだと思われると少し困るんだ。
 最終目標を意識しながら、試合の流れに目を向ける。アドラが抜けたことにより、相手チームの内野はもう脅威ではなくなった。それを好機とばかりに勢いに乗った獣魔族の子たちが残る相手の内野を次々にアウトにしていく。途中外野のアドラにボールが渡ることもあったが、内野に割く意識を減らせた犬顔の子は難なくキャッチしていた。
 意外、と言ったら失礼かもしれないけれど、オードくんもまだ内野に残っていた。ベルクたちに狙われることも多いけれど、上手く身をかわしている。中々やるな。
「初めに外野にいた子、内野に入って」
 感心していたところで、相手チームが残り二人にまで減り、ジュディ先生が一旦試合を中断した。そしてネブト、ベルク、ゼラちゃんの三人が内野へと移る。
「やっとたたかえるな」
「おまえらたおして、はつしょうりだ」
「ちょうしにのってんじゃねえよ」
「すぐぎゃくてんしてやる」
 犬顔の子と猫顔の子、ネブトとベルクが睨み合う。ゼラちゃんは少し離れたところで残った二人と何か話していた。
「それじゃあ、試合再開」
 先生の合図で、二つのボールが再び飛び交う。偉そうにしているだけあってベルクは運動神経が良く、捕球も回避もかなり上手かった。内野よりも外野の人数が多くなったことで、ボールの行き来のテンポが速まったことも相まって、試合は激しさを増す。
「いいのか? おれになげなくて」
 そんな中、相手チームの内野の男の子が、ボールを持ったこちらの外野の子に近づいてそんなことを言い放つ。
「え、え?」
 運が良いのか悪いのか、相手が避けたボールをキャッチした気の弱そうな男の子は、ボールと相手とを交互に見て迷いを見せる。
「あほ、はよなげろ!」
「う、わああ!」
 鹿顔の子の言葉に焦ったのか、男の子は両手で持ったボールを体の横から投げる。
「ありがとな!」
 相手の男の子はそれをキャッチすると、外野のアドラへと投げた。
「ばか、こっちにわたせよ!」
「なにしとんねん!」
「だ、だってぇ……!」
 責められた男の子が泣く寸前の表情になる。しかしそれで試合が止まったりはしない。
「おわっ!」
「おらっ!」
「うわっ!」
 アドラの投げたボールを避けたところに、ベルクの投げたボールが飛んできた。男の子に文句を言っていた犬顔の子は捕ろうとするも失敗する。これでこっちの内野は三人になった。
(さっきゼラちゃんが話してたのはこれか。頭いいな)
(感心している場合か。早くベルク共にボールを当てろ。このままでは試合が終わるぞ)
(分かってるって)
 まあ今のでこっちの士気が下がったし、ネブトはともかくベルクはそう簡単にやられないだろうけど、ボールが回ってこなきゃどうしようもないからな。犬顔の子が外野に来たことでその機会も減るだろうし……あ、ボール来た。
「おうおう、てめぇもなげてこいよ。よけないでやるから――」
 ドッ!
 まだ舐めくさっているネブトの顔面にボールをぶつける。よし、これで二人に仕返しできた。
「おまえやるじゃん!」
 苦虫を噛み潰したような顔が一転し、喜色を見せる犬顔の子に一応謝っておく。
「ごめん、またあてちゃった」
「あてられんならいいんだよ」
 笑顔で肩を叩くクラスメイトに笑い返す。そしてさっき泣きかけた子の方を向くと、ぐっと親指を立てた。君のお陰でネブトは油断したんだよ、と伝わればいいけれど。
(それは何かの作戦か?)
(いや、仕返しついでにあの子をフォローしてるだけ)
(そこまで気にかける必要もなかろうに)
(別に損するわけじゃないし、いいだろ)
 本音を言うと油断していない相手を倒したほうがいいんだけど、あの子がボールを投げたのは、俺を見て自分もできると思ったからかもしれないしな。そう言う意味では俺の方にも責任はあるし、少しくらい気にかけても罰は当たらないだろう。
 それに、まだ本命が残ってる。
「外野にいた子、中に入って」
 とそこでこちらのチームの味方がボールに当たり、内野の人数が二人になったことで試合が中断される。初めに外野にいた三人、ラブチーちゃんと鹿顔の子、そして俺が内野へと移った。
「す、すごかったね、リンドくん!」
「うん。でも、まだだよ」
 健闘しているオードくんと言葉を交わしてから、前に向き直る。相手側の内野の中心にいるベルクは、真剣な表情でこちらを見ていた。
 さっきと今で、ベルクは確実に俺のことを警戒するようになったはずだ。これでもう、油断していたなんて言い訳はできない。本気のお前を倒して、仕返しがてら俺がただのチビじゃないってことを思い知らせてやる。
「それじゃあ、はじめ」
 先生の言葉で、試合が再開する。相手のボールの動きをよく見て……おっと俺狙いか。まあクラスで一番小さいし、アドラとネブトにボールを当てたという実績もあるから妥当だよな。
 などと思考する余裕を持ちつつ、頭に向かってくるボールを屈んで避ける。振り返って見たボールの行き先には、外野にいるアドラの姿があった。
「くらえっ!」
 目尻を吊り上げたアドラの狙いも、当然俺だった。さっきよりも速いボールが俺の体へと向かってきて――
「んっ」
「なあっ!?」
 それを正面からキャッチすると、アドラが驚いたように目を見張る。俺はそんなアドラに目もくれず、外野にいる犬顔の子にボールを投げた。
(お主、何故ベルクに投げぬ)
(警戒されてるのか、今は距離があっただろ。投げてもよけたり捕られたりされそうだったからさ)
(今のお主の実力であれば、それをさせぬくらいの速さで投げられるであろうに)
(流石に全力の魔法は使えないよ。ただでさえ目立ってるのに、下手したら契約してることがバレるだろ)
(今の実力程度なら問題ないと思うのだがな……)
 イマイチ身バレの危機感を持ってないレイズを黙殺し、試合に集中する。現在ボールはこっちに一つ、向こうに一つだ。相手側のボールに注意しつつ、こっちのボールの動きにも気をつけないと。
「っしゃあ!」
「きゃあっ!」
 こっちのボールに意識を向けると、丁度猫顔の子が投げたボールが、ゼラちゃんに当たったところだった。頭の横にボールを受けたゼラちゃんは、声を上げて地面に倒れる。そこに仲の良さそうな男子が駆け寄った。
「ゼラちゃん、だいじょうぶ!?」
「……ひどいよ、キットくん……」
「え、いや、それは――」
「おらあっ!」
「なあっ!?」
 猫顔の子、キットくんが狼狽えていると、ベルクがその隙にボールを拾って投げ返す。虚を突かれたキットくんはアウトになり、当たったボールもまた相手コートに転がっていく。
「ちょっとぉ、ズルくない?」
「せんせいありなん? これ」
「え? えっと、うーん……」
「すきありっ!」
「あっ!」
 先生に抗議した鹿顔の子にボールが向かう。鹿顔の子はよけようとするも、間に合わずに当たってしまった。
「おいおい……」
「リンドくん!」
 不意打ち紛いの行動に呆れていると、オードくんが声を上げる。見ると、相手の内野から外野のネブトに渡ったもう一つのボールが飛んできていた。これも投げるまで五秒よりもかかってた気がするんだが。そう思いつつ、後ろに動いてバウンドしたところを捕る。
「このひきょうも――」
 ラブチーちゃんが鹿顔の子に当たったボールを振りかぶる。狙いはゼラちゃんの近くに居る男の子だ。が、外野に移動するゼラちゃんに付き添うようにして陰に隠れているその子を前に、投球動作が止まる。
 これもゼラちゃんの策なんだろうか? だとしたらかなり計算高いというかずる賢いというか。
「さーん、しーい……」
「っんの!」
 五秒の時間制限が迫る中、ラブチーちゃんは標的をもう一人の男の子に変える。だけど比較的遠くにいるその子は、簡単にボールをよけてしまう。ラブチーちゃんの方から大きな舌打ちが聞こえた。
「ふおっ!」
 その移動先を狙った俺のボールが足に当たる。これで三対二だ。
「あ、ナイス!」
「うん!」
 ラブチーちゃんの言葉に拳を上げて応える。外野からも歓声が上がった。これでまた、流れはこっちに戻っただろう。……目立ちすぎている気もするけど。
(自覚しているではないか。ベルクを倒す以上どうあがいても周囲から注目はされるのだ。分かったらさっさと本気を出すが良い)
(それにしても限度があるだろ。魔法を使うにしても、ベルクと同じくらいの強さ程度にしておかないと余計に話が広がるかもしれないんだから)
(こんな辺鄙へんぴな場所の子供の戯れなど、外部の者には殆ど広がらぬさ)
(そうじゃないかもしれないだろ)
「っと」
 ベルクから放たれるボールを避ける。うん、かなり速いけれど、二方向からの同時攻撃とかじゃなければ大丈夫だな。後はどうベルクを倒すかだけど……。
「あ、ちっ!」
「どけっ! おらっ!」
「いった!」
 などと考えている間に、ラブチーちゃんが相手の男の子にボールをぶつけ、すぐにそれを捕ったベルクに反撃されてアウトになる。これで二体一。そろそろいけるか?
「えい!」
 ラブチーちゃんに当たったボールを、オードくんが素早く拾って外野に投げる。ここで俺にボールが回ってきたら、外野の誰かがベルクを狙った隙に攻撃できるんだが。
「くらえっ!」
「おっ」
 そう思った矢先に、アドラからボールが放たれた。高くもなく低くもないそのボールをしっかりとキャッチする。よしよし、あとはタイミングを合わせて投げれば――
「あぶない!」
「え」
 ウソだろ。もうベルクが投球動作に入ってる。捕球体勢の俺はすぐに動けない。あれも捕るか? いや、今このボールを落としたらアウト判定になるかも。今手にあるボールで防ぐ? いや、サケルカトルだとそれもアウトになるんだっけ?
 思考がルール説明にまで遡った俺の前に、ベルクの投げたボールが迫る。もう避けられない。捕れも、しない。
 ドッ!
 負けを覚悟したその時、俺とボールの間に人影が入り込む。
「オードくん!」
「っ、つぅ……!」
 なんで? 頭は疑問に対する答えを求めようとして、
(カーネル!)
「っ!」
 レイズの呼びかけに、今すべきことを思い出す。オードくんの陰から飛び出した俺は、頭上にボールを掲げ思い切り体を反らし、
「らぁっ!」
「があっ!」
 強化した肉体を総動員して放ったボールが、ベルクの顔面に叩きつけられた。
「そ、そこまで!」
 試合終了の宣言に、チームが沸いた。
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