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-第八章-

-第八章十一節 暴虐王の過去と狂った仕置きと大地の魔術師-

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「…ゼファー様が御生まれになられたのはこれより40年も前の事を…

前王・ディマイオス様と王妃・リエストフィリア様の間に出来たお子様が…

ゼファー様に御座います…そしてその当時はまだここまで酷い内政ではなく…

王に第一子が生まれた事で皆から祝福!…

デグレアントに繁栄が約束された瞬間に御座いました!……ですが…

ですがそれはゼファー様にとって地獄の人生の始まりでも御座いました…」


ヴァンドルイドは最初にゼファーがどれ位の年齢であるか?をそれと無く話すと、

何処の誰と誰の間に生まれたのか?を話し始め!…と言っても当然妾の子と言った

そう言うややこしい話ではなく!…それこそ最初は生まれて来た事に対して

祝福モード!…何なら当時のデグレアントもここまで酷い内政でなかった事を

ヴァンドルイドが知っている様子を更に話すと、更に問屋も降ろさない!と…

最初から波乱万丈であった様に話しを続ける!…するとそんな話を聞かされて

マサツグとモツも如何反応したら良い物かと言った具合に戸惑うのだが、結局の所

ただ黙って話を聞くしか無く!…


「…それはゼファー様がお生まれになられてから数日後の事…

王妃様は出産のショックからか病に罹り…

帝都が誇る医者など総動員で懸命な治療を施す事になったのですが…

…結果は空しく数日後にはお亡くなりになられ…

これに王は酷く悲しみ!…忘れ形見であるゼファー様を!…

まだ幼子ながらに憎む様子が見られる様になりました…

…しかしそれでもデグレアントの世継ぎである事には変わらず!…

前王はグッと我慢をした様子で…」


次に語られるは王妃が亡くなると言う悲しい話で!…聖堂に静かにヴァンドルイドの

声が響く中!…その際軽くだがゲームらしく!…マサツグやモツの目の前にその話の

回想シーンと思われる映像の様なモノがチラッと走馬灯の様に映って行くと、二人も

思わず驚いた様子でたじろぐ!…しかし映像が出て来た事でその話を更に聞き入る事

となって行く!…そして王妃を失った悲しみが憎しみに変わり!…それが実の息子に

向けられて事を耳にすると、無くはない話に言葉が出て!…


「ッ…まぁ…無くもない話だな…」


まるでヴァンドルイドの話に相槌を打つよう!…だがこの時若干ゼファーに対して

不憫に思い!…少しではあるが同情をする様なそんな感情を持ってしまうと、

一方で話を聞いてくれている事にヴァンドルイドが感謝!…そして更に話しを

進めて行く!…しかし何を思ってこんな話をしているのか?が今だマサツグ達から

すれば不明で有り、完全に信用するまでには至らず!…とにかく淡々と話は続き!…

ヴァンドルイドもここから!と…ここからが更にゼファーの不憫な話のまだ序盤で

ある事を話して行く!…


「…そうして前王に疎まれながらも幾年が過ぎて…ゼファー様も五歳に…

ここから王子として立派な王になる為と…

色々と勉強をする様になられるのですが…

…恐れながらに最初から完璧に熟せる方では無かった様で!…

するとそんなゼファー様の様子を見て前王も様子が!…」


「ッ!!…ッ…」


話しの内容も少し間が若干飛んでゼファー五歳の話に!…遂にゼファーの教育が

始まった事を口にし出し!…ゼファーとしても頑張っている様子がその回想シーンで

映っているのが見られるのだが!…必ずしも努力がそのまま結果に繋がるとは

限らず!…頑張るが空しく成果は振るわず!…そしてこれが更なる不幸の引き金と

なり、その結果が目の前の回想シーンにも反映されると、マサツグとモツは思わず

ピクッ!と…大きく反応を露わにする!…と言うのも!…


「何故それが出来ない!?と言った疑問に始まり!…

遂には本当に自分の血を引いているのか?等…

不満が更にゼファー様に対しての恨みにへと変わって行き!…

遂には教育と言う名の体罰を!…

ゼファー様に強いる様になられたので御座います!…」


「………。」


その目の前の回想シーンではまだ幼いゼファーに平手打ちをする前王の様子が!…

そして床に倒れるゼファーに対して罵詈雑言を浴びせる等!…実の息子に対して

酷い仕打ちをしているのがその回想シーンで映って行くと、一方でヴァンドルイドも

その事を口に!…自分でも口にしながらも辛そうなそんな表情を露わにする!…

そしてこれが日常化して行く事になるのだが、ゼファーはそれでも負けじ!と

食らい付く姿勢を見せ!…それは宛らちょっとしたドラマの様な回想となり!…

有り得なく無い話にこれまた二人も絶句する様な…とにかく没入する様なジッと

回想シーンを見詰めて居ると、まだまだヴァンドルイドの話は続く!…と、ここで

若干話しに潤いが見られ始める!…


「それでもゼファー様は折れる事無く必死に勉強と立ち向かい!…

遅れながらもそれらを習得!…そして前王に嫌われてばかりでは御座いますが…

そんなゼファー様にも心の拠り所が有ったので御座います…

…その拠り所とは一人の天使族の娘で有り、名を[ラティナ]と…」


それはどんなに理不尽な目に遭っても決して折れる事のないゼファーの姿が

映し出されると、同時にパッと誰かと会う様な場面も出て来て!…その際そこで

映し出された者と言うのは背中から白い翼の生えた一人の可憐な少女であって!…

この時ヴァンドルイドはその少女を天使!と…その天使の娘の名前も話し始め!…

この娘こそがゼファーの心の拠り所である事口にするが、一方のその少女の姿を

見たマサツグとモツは疑問を感じ!…


「ッ!!…ッ?…な、何で?…」


「…いや…これは…」


と言うのもその回想シーンに映る少女の両手両足には枷の様なモノが、何なら

所有者が誰か分かる様に首輪も付けられ!…と、その状態の少女を見て!…

マサツグは思わず理解に苦しみ!…一方のモツはこの時からある制度が設けられて

いた事を認識すると、冷静に理解を!…しかし同時にやはりその映像に対して

疑問を持つ!…何故なら天使のNPCと言うのはこの時まだ実装されていない筈の

存在で、しかしそこにはしっかりと白い翼が映っており!…となると獣人族の

鳥モデルである事などを考えるのだが、それにしてもその頭にはしっかりと

ヘイロー天使の輪っかが存在しており!…明らかに学芸会とかで見る作り物感が見られない事も

同時に確認をすると、余計に悩む!…一方でヴァンドルイドも話しを進める!…


「年が近い事もあってかお互いは良き関係となり!…

そして空いた時間は良く共にする事もしばしば…

…しかしそこで二人を邪魔するモノが有るのもまた事実!…

…それは[身分]と言うモノで、ゼファー様は言わずもがなこの国の王子で有り!…

一方その天使の娘は[奴隷]で!…」


__ッ!!…ッ…


何でも二人が出会って仲良くなるのに然程時間は掛からなかった様子で、

直ぐに打ち解け合った感じで話しは進み!…そして空いた時間に二人が

再会して話をする等!…回想シーンでも色々と楽しげな様子がチラホラと

映っているのが見られると、ここでやはりそうな問屋が卸さない様子で

暗転!…軽くだがその天使の[ラティナ]の事が移され始める!…それは

ヴァンドルイドが少女が奴隷である事を話して行くと、回想シーンでも

肉体労働!…或いは冷たい牢屋の様な場所で寝泊まりする様子が映り!…

と、そんなシーンを見てやはりいい気はしないモノで!…何とも出来ない事に

何かイライラ!…とにかくその様子を未だ黙って見詰めて居ると、更に話は

暗転!…ヴァンドルイドも暗い表情を露わにする!…


「当然仲良くする事など許される筈もありませんので!…

見つかればその天使の娘も処罰される事に!…

…故に隠れて逢瀬を重ね!…

そしてそれを知っている者も少なからず存在しており!…

しかしそこは王子の事を思って隠し!…

皆が暗黙を貫く姿勢を見せていたので御座いますが…

やはりそんな時間も長くは続かず…」


それはとても不穏なモノを感じさせる様子で話し、しかしその話に入り切る前に!…

その際ゼファーには他にも協力者が居た様子の回想シーンが映り始め!…その中には

まだ若かりし頃のヴァンドルイドであろう姿もチラッと見られ!…皆でそんな二人を

見守る様な…心配をする様な温かみの有る映像がチラホラと流れるのだが、次には

暗く!…その目を疑う光景が流れ始める!…と、言うのも次にはゼファーの心が

変わったであろうきっかけの話をヴァンドルイドが口にすると、回想シーンはまた

間が飛んだ様子で何やら綺麗な食堂の様な場所を映し出し!…


「…と言うのも我々が恐れていた事態が起きてしまい!…

…前王ディマイオス様にその事がバレてしまい!…

誰もが惨い結末を予期していたのですが…前王はそれを上回る処罰を!…」


この時その映像とは反してヴァンドルイドがさもその時の事を思い出す様に

青褪めて行き!…そして事件が起きた経緯を話し出し!…遂に奴隷の天使と

逢瀬をしていた事がバレた!と…思わずマサツグ達もピクッと反応をしてしまう

話しを口にすると、回想も同時に動き始め!…ヴァンドルイドが話しであろう

内容を流して行く!…それは席に着く恐らく前王の姿とそして約15歳になった

であろうゼファーの姿が映し出されると、縦に長い机に親子が向かい合うよう

席に着く様子が映され!…その際ゼファーはこの時心成しか笑みを浮かべ!…

しかしそれを表に出さないよう平静を保とう!と…何か必死になっている様子も

伺えると、一方の前王はそんな息子に見向きもしない!…ただ隣で控えている

使用人合図を出す!…するとその使用人も青褪めた様子で前王に一礼すると、

その場を離れ!…


__ッ?…ッ……


それこそ最初は至って普通の食事シーン!…例え距離は離れていようとも!…

親子で初めて食事が出来る事に!…喜ぶ息子の映像が流れている様に見える

のだが、前王は出された物に一切手を付けず!…その際二人に出されたのは

まるでビーフシチューの様な…が使われているか?が分かり難い!…

しかしゼファーはそれを何の違和感も抱く事無く!…とにかく嬉しそうに

食べている様子が映されて居ると、それを補足説明するようヴァンドルイドが

話しを!…その前王の鬼畜振りを更に話す!…それは回想からの音が無くても

分かる程に残酷なモノで!…


「あろう事かその少女を始末するだけに飽き足らず!!…

前王はその少女の肉を使いスープを作らせ!…

それをゼファー様に食べさせたので御座います!!…」


__ッ!?……ッ……


そのヴァンドルイドの口から出て来た言葉はまるで某・[ひぐ○し]か[うみ○こ]かと

言った内容で!…とにかくその説明を聞いて当然驚き戸惑いを露わに!…思わず

自身の耳を疑う様な!…映像を見てアレが!?とばかりにその動揺も隠せない表情を

露わにすると、回想シーンはそんな二人の事など御構い無しに流れ続ける!…そして

ヴァンドルイドもそんな前王の最後の結末を口にする!…それは思わず至極真っ当と

思える程の結末で、ヴァンドルイドもその最後は濁して話し!…


「…その際何も知らないゼファー様は!…

初めて御父上に認めて貰えた!と思い喜んでいたのですが…

…前王は残酷にもその現実をわざわざゼファー様に見せ!…

…有ろう事か満足げにお笑いに!…

…結果…ゼファー様の中で何かが一気に壊れて溢れてしまったのでしょう…

ゼファー様はその場に有ったフォークを手に前王を…」


その最後とはゼファーの心の拠り所が奪われた事で精神が崩壊!…抱えていたモノが

溢れ出し!…ゼファーが自らその手にフォークを握りだし!…表情も死んだ様子で

机を足場に!…前王へ向かい突貫して行く映像が流れて行くと、そこで回想シーンは

スッと途切れ!…と、その内容に沿ってヴァンドルイドの話も落ち着き出し!…

そしてそんな壮絶な回想を見せられ!…マサツグとモツもかなり後味が悪い気分に

なって居ると、まだ続く様子でヴァンドルイドが話しを!…


「…それからと言うモノ誰にも心を開く事は無くなってしまいました…

歯向かう者は即刻処分!…使えない者は永久追放!…

それは貴族であろうが平民であろうが!…誰であろうとそれを許さず!…

…そうして今日のデグレアント!…

帝国がこうして気付かれてしまったと言う訳に御座います!…」


__………。


それはまるで〆の言葉の様に今の状態を!…結果ゼファーは壊れてしまい!…

自国の為に役に立たない!…そんな者達は一切合切排除する冷徹な性格に

なった事を話して行くと、同時にこうして帝国が出来上がった事も口にする!…

と、そんな話でヴァンドルイドの話は終わる!…そして一通り話を聞いた所で

同情はしない!と言ったものの…やはり人として何か同情をしてしまう様な

そんな気分になってしまうと、気分は見事にガン萎えになり!…

しかしこちらとしてもだからと言って退く訳には行かず!…そこは葛藤する様に

内に秘め!…徐々に自分達の目的を思い出し!…同時に味わった怒りも再燃させて

行くと、二人は思わず魔王化!…ヴァンドルイドに声を掛ける!…


__…はあぁ~……ッ!!!…ヴァッサァ!!!…ッ!?……


「…で?…結局何が言いたいんだ?…」


「ッ!?…え?…」


その際大きく溜息を一つ吐いて行くと、背中からあの黒い翼を一気に生やし!…

と、それを目の前で見せられた事でヴァンドルイドもビクッ!と…しかし敵意を

見せる事無く!…下手に刺激しないようただ見詰めるだけに留めて居ると、

ここでマサツグが一言!…結局この話をした理由について質問をする!…それは

こう言った事情が有るから容赦してくれ!と言って来た様にやはり感じてしまうと、

何か保険を掛けて来た様にも感じてしまい!…一方でそんな言葉を掛けられた

ヴァンドルイドは更に戸惑い!…何か逆鱗に触れたか!?と…警戒をする様な

そんな感じに戸惑いの言葉を漏らして見せると、マサツグは更に続ける!…

思った事をそのままぶつける!…


「この話を聞かされた処で何を言いたかったんだ?って聞いてるんだ…

結局アンタの所の王様が俺達に喧嘩を売った事に変わりはない!…

だから何だ?…温情を掛けろって言うのか?…」


「ッ!?…ッ…ッ~~~…」


まんま手心を入れて欲しい様に感じた事を口に!…しかしそれ以上の事をされて

来た!とマサツグは話し!…当然許せる筈も無く何なら今現在進行形で喧嘩を

売り続けて来て居る様なそんな事を更に話すと、もう一つ怒りが膨れ上がる!…

その表情に目に見えて殺意の様子が露わになる!…となると勿論ヴァンドルイド

としてもさすがに不味い!と感じたのか、ショックを受けながらもその手に持つ

杖を構えて見せ!…が、マサツグやモツはそんなヴァンドルイドに仕掛ける事は

一切なく!…


「…こっちにもこっちで話がある!!…

それはテメェんとこの馬鹿王子であったり!…やっぱり王様であったりだ!!…

…テメェのやった事にちゃんと筋を通さねぇと…

こっちとしてもはいそうですかって行かねぇ訳だ!!…

…この話は以上だ!…俺達は急がねぇといけない理由が有る!!…

…これで失礼するぞ…」


__クルッ…コッコッコッコッコッ!!……ッ!!…ッ…ッ~~…


何ならヴァンドルイドを相手にする時間も無い!と…とにかく言いたい事を

全てぶちまけ!…やはりやって来た事に対して許せない旨を露わにすると、

次には自分達の背後にある出入り口の方へ振り向き!…そして静かに歩き出す!…

その際話もこれ以上ない!と言って聞く耳を持たずにそのまま後を去ろうと

して行くと、ヴァンドルイドも駄目だったか!と言った具合に音もなく

肩を落とし!…が、だからと言ってそのまま行かせる訳にも当然行かず!…

次には自身の命を懸けて!…王を守る事を心に誓うと、勿論マサツグ達に対して

静かに攻撃を開始する!…


__…スゥ…カアァァン!!…ッ!…ボゴオォ!!!…


「ッ!?…な!?…」


それは徐にスッと杖を掲げて見せると、聖堂内に音が反響するよう杖を突き!…

と、その音を聞いてマサツグとモツもピクッと反応を露わにして見せ!…

と言うのもそれは本能的に何かが起きる様な気がして!…反射的にスッと

足を止めてしまうそんな様子を見せて行くと、次には自身の目の前にあった

出入り口が謎の隆起で封鎖!…聖堂から出れない状態へとなってしまう!…

となるとそんな状態を目にして当然戸惑うそんな言葉を口にすると、

ヴァンドルイドもマサツグ達に向かい宣戦布告!…


「…出来ればこの様な事にはしたくは御座いませんでしたが!…

致し方ありません!!…これも我が君主を守る為!!…

今ここで貴方様方を!!…排除させて頂きます!!!…」


「ッ!!…チィ!!…」


望まぬ結果に残念!と…しかしこれも王を守る為と開き直り!…マサツグ達と

相対する構えを堂々露わにすると、二人も当然その言葉を耳にするなり振り返り!…

そしてヴァンドルイドに向かい構えて見せる!…その際既に相手のテリトリーに

居る事を考えて冷静に相手の動きを観察すると、ヴァンドルイドも同じ姿勢なのか

マサツグ達をジッと見詰め!…だが何もしないと言う訳で無い様で!…杖を水平に

構えて行き!…


__…スッ…パアアアァァァ!!!…ッ!!…


「《我が呼び掛けに応えて姿を現せ!!…あらゆる暑さや寒さにも負けない!!…

屈強なる体を持つ従順な兵士よ!!…今こそ我が目の前の敵を討たんとする時!!…

岩石の兵士ロックアーミーズ!!…》


__グンッ!!…ボゴッ!!…ボゴボゴボゴボゴ!!!…ッ!?…


その際決して自分からは動かず!…それでも魔法を詠唱して自身の周りにボコボコと

岩を生成すると、それらは等身大の人の形に変わり!…まるでゴーレムを作って

見せる!…それも数も順調に増えて約一個小隊位となって行くと、ヴァンドルイドを

護る様に陣を築き!…するとそんな様子を目の前にしてマサツグ達も面倒臭い!と…

しかし相手にするしか他に無く!…その目の前からジリジリと迫って来る岩の兵達に

動かざるを得ない状態にされて行くと、次にはマサツグとモツが左右に展開!…

狭いのか広いのか分からない戦闘を開始する!…


__ッ!!…ッ~~!!……バババッ!!!…


「ッ!!…来ますか!!!」


「行くしかねぇようにしたのはアンタだろ!!!」


マサツグとモツが左右に分かれるよう動き出した事で、ヴァンドルイドもすかさず

反応!…その際チラッと双方に視線を向けて動きを確認!…動き出した事をまるで

マサツグ達から仕掛けて来た様に言葉を漏らし!…そのヴァンドルイドの言葉に

モツもピクッ!と反応をすると、逆にヴァンドルイドに文句を漏らす!…

そして一方のマサツグは大剣を抜いて横薙ぎに構えて見せて行くと、勢い任せの

フルスイングで一掃を図り!…


「どっこいしょおぉぉ!!!」


__ガアァン!!!…ッ!?…ッ~~~!!!…


それこそ勇ましい掛け声を口にしつつ!…いつもの様に攻撃を、だが振り抜いた

所で一気には倒せず!…と言うのもヴァンドルイドが作り出した岩の兵士達は

何故か異様なまでに頑丈で!…感覚的には金属バットを思いっきり地面に叩き

付けた様な!…久しぶりにあのじ~ん!とした痺れがマサツグの腕を伝って行き!…

その感覚にマサツグもえっ?と戸惑うそんな反応を露わにすると、一方で何故か

ヴァンドルイドも!…怯む様な反応を見せて行く!…


「な、何だ!?…これ!?…普通じゃないぞ!?…」


{ッ~~~!!!…さ、さすが英雄と呼ばれるお方の一撃!!…重い!!!…

…しかし耐え切れない程ではない!!…もっと硬度を増さなくては!!!…}


それはアダマンタイト製の大剣ですら結局一体ともう一人の半分を斬る事しか

出来なかった事に驚いて見せると、尋常ではない!と言葉を漏らし!…一方の

ヴァンドルイドもさすがの一撃に大いに怯み!…だが何か確信を持った様子で

決意を改め!…更に何か怪しい魔法を唱え出すと、一方でモツもマサツグとは

反対側から攻める!…しかしただ無策に突っ込む訳ではない様子を見せて行く!…

と言うのも!…


「ッ!!…疾風穿!!!」


__ババッ!!…チャキッ!!!…ヒュンッ!!!…


勿論ヴァンドルイドに向かって剣を構えて行くのだが、やはりその邪魔をするのは

岩の兵士達の姿で!…しかしモツはそれを当然の様に織り込んでおり!…さすがに

リーナとまで行かないが!…それでもバッ!とまるで某・新選組の三番隊隊長の

様な突きの構えを露わにすると、その岩の兵士の弱点でありそうな箇所に向けて!…

思いっきり突きを繰り出して行く!…この時その突きを繰り出す剣にも風を纏わせ

放って行くと、それはまるでビリヤードの様に岩の兵士の体を貫き!…


__ギイイィィン!!!…ドゴオオオォォォ!!!…


その際岩の兵士は球体関節で出来て居り、特に腹部は大きな球で上半身と下半身を

繋げているのが伺え!…と、そんな状態の相手のどてっ腹に向かい全力の突き!…

となると宛ら某・ビ○ダマンの様に!…その腹部の球が反動で反対側へと撃ち

出される事になってしまうと、更に後ろに居る他身構える岩の兵士達を巻き込んで

行く!…少しだが隙を作る事に成功する!…するとそんなモツの攻撃に対して別に

侮って居た訳では無いのだが、酷く驚く事になってしまい!…


「ッ!?…な!?…クッ!!…」


「ッ!!…今なら!!!」


この時思わずあからさまに声に出して戸惑って見せ!…モツも上手く行った事で

その隙を突いて更にヴァンドルイドへ接近すると、早期決着を当然狙う!…

剣を構え直して突貫して行く!…だがヴァンドルイドも直ぐさま抵抗の意志を

露わにすると、途端に別の魔法へと切り替えて行き!…その際ヴァンドルイドが

やって見せたのは先程聖堂の出入り口を閉じたあの突拍子もない隆起であり!…


__…スゥ…カアァァン!!…ッ!!…ザザッ!!…ボゴオォ!!!…


先程まで水平に構えていた杖を縦に戻し!…そして思いっきり自身の足元を

突いてまた聖堂内に杖の突いた音を響かせると、モツもその音を聞いて途端に

嫌な予感を!…すぐさま攻撃を中断する!…それこそピクッと反応をするなり

飛び退く様にしてバックステップを挿んで行くと、次には目の前に進んで

いれば貫かれて居たであろう隆起が起き!…と、その際周りに居た岩の兵士達を

若干巻き込む事になり!…一方でモツはそれ見て驚き慌て!…


{ッ!?…ノータイムでアレ隆起を撃てるのか!?…

だとすると無策な接近戦は逆にこっちが危ないな!!…

さて如何したものか!!…}


{よもやその様な事まで出来るとは!!!…ッ!!…

…侮っていた訳では無いのだが!!…

このヴァンドルイドには役が少々重く思われる!!…}


何なら魔法を詠唱している様子がない事から即時発動と察して行き!…迂闊に

近付く事が出来ない!と…何か別に攻撃を繰り出す方法が必要である事を

考え出すと、ヴァンドルイドもこの時慌てて見せ!…それは自分でもその弱点を

知らなかった様子であり!…改めてマサツグだけでなくモツも厄介!と…

何ならモツの方が自分的には相手にするのが辛い!と思わず表情に出して

しまうと、急いでこの二人に勝つ方法を考え始める!…一方で脳筋マサツグは

大剣を構える!…


「…チッ!!…かなり頑丈だな!!…こりゃ本腰を入れてか!?…」


と言うのもモツがやった突破方法を見て居らず、明らかにごり押す気概を露わに!…

それこそここからが本番!と言って腰を落として大剣を構え!…そして偶然にも

突貫を敢行する様子を見せ!…また力任せに大きく踏み出し!…お得意の出たとこ

勝負で自分なりの起点を見出そうとして行くと、またお得意の偶然ラッキーを呼ぶ事に!…


__ジャコンッ!!…ギュンッ!!…


「ハアアアアアアァァァァ!!!!」


__グオンッ!!…ドゴオオオォォォ!!!…


宛ら某・キャラクターに似ている事からまるでクラ○ムハザードを放つ様に!…

相手に向かって突進して行き!…目の前に居る岩の兵士のどてっ腹に強烈な

突きの一撃を見舞って行くと、そこから斬り上げには派生しない!…

しかしモツがやって見せた様に!…こちらでも同じく逆ビ○ダマン現象が

起きて行くと、またヴァンドルイドは驚く事に!…そして何故かまた怯む様子を

露わにする!…


{ッ!?…グッ!!…よもやモツ様の攻撃がこちらにも!?…}


__ッ~~!!!…チラッ?…ッ!?…


{いや!…あれは如何見ても何も分かって居ない様子!!…

と言う事は自力で私の兵の弱点を!?…ッ~~!!!…

…こ、これではまるで!!…まるで!!…}


それこそモツの攻撃が回り回って偶然にも反対側に回って来たのか!?と…

だがそんな偶然が当然起こりえる筈も無く!…ヴァンドルイドが怯みながらも

その攻撃を受けた方に視線を向けると、そこには大剣で突きを繰り出す

マサツグの姿!…するとそれを見て更にヴァンドルイドが慌て始める!…

それは双方から同じ攻撃をされたら持たない!と言った危機感を覚えると同時に、

その閃き?方がある者に似ている事で嫌な予感を感じ!…と、そんな事を

考えている間にもモツがまた同じ様に!…


「もういっちょおおおぉぉ!!!!」


__ヒュンッ!!!…ギイイィィン!!!…ドゴオオオォォォ!!!…


二度ある事は三度ある!…しかしこっちは故意であり!…その際モツはマサツグの

行動をちゃんと見て居り!…それをチャンス!と感じてまた近くに居た岩の兵士

一体を捕まえ!…腹部の球を撃ち出して行くと、ヴァンドルイドに追加で怯みを!…

更にチャンスを広げて行く!…すると二回連続で撃ち出された球が飛んで来た事に…

ヴァンドルイドもやはり対応出来ない様子で更に怯むと、その場で片膝を着き!…

と、その隙のせいで岩の兵士達の動きが一瞬止まってしまう事態に!…するとそれを

見逃さない!とばかりに二人も動き!…これ以上構っていられない!と…剣を掲げて

ヴァンドルイドへ向かい振り下ろすと、この短い戦いに決着を付ける!…この時

まるで空気を読む様に聖堂の鐘が鳴り響くのであった!…

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