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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章五十九節 奇妙なナイフと伝説の健在と虫の知らせ-

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__ボワアアアァァァァァァァァァンン!!!……スッ…


「ッ!……ッ?…」


__…ゴソゴソ…スッ…


互いが武器を構え出した事でドラの音が鳴り響き!…それに合わせて観客達も途端に

ドッ!と盛り上がる反応を露わにすると、二人の勝負に集中をする!…それはまるで

伝説の戦いがまた見れる!と言った具合に見守っており!…誰もがシルビィの戦い

ぶりに期待を示すそんな視線を向けて居ると、そのシルビィの相手である闘士の様子

に異変が!…と言うのも身構えていた闘士はスッと構えを解いて行き、何故か自身の

腰蓑から何か気になる物を取り出して見せると、シルビィの動揺を誘って行く!…


「ッ!?…それは!?…」


「ッ?…何やアレ?…ただ単に…

豪い小ちゃい石の欠片みたいなんを取り出しただけやってのに?…」


__ッ!?…どよどよぉ!?…


この時シルビィは予期して居なかった様子でハッとなると、槍を構えたまま若干の

戸惑い様を露わに!…その際その相手闘士が手にした物と言うのは何か小さな

ナイフの様なモノであり!…それは水色に透き通ってはとても小さく…よくある

市販の目薬と同じ位の大きさにしか感じられないで居ると、形もそこら辺の石片の

様にしか見えない!…マサキが何アレ?とばかりに戸惑って居ると、それを同じ

様に見た観客達は動揺!…それは事件!とばかりに慌てて見せる!…となると

そんな観客達の同様振りにくまさん達も気になり始めると、次にはその隣に居た

観客に物を尋ね!…


「あの~…すいません!…あのナイフってそんなに凄い物なんですか?…」


「え!?…あんた達は知らないのか!?…って、それもそうか…まぁいい!!…

あれは[月の欠片刀]って言って!…俺達にとっては麻薬みたいな物なんだ!!…

確かにアレを使えば俺達人狼族の筋力・運動能力を格段に底上げする事が

出来るんだが…その反面切れたら副作用で地獄の様な苦痛を味わうとか!…

とにかくトンデモナイ劇薬なんだ!!……俺も話でしか聞いた事は無いんだが!…

何でも全身を激痛が襲い!!…頭が割れそうになるそんな感覚を覚えるって

言う!!……そしてその耐え難い苦痛から逃れようとまたあの欠片刀を使う!!…

常習者になると使った際の陶酔感が忘れられなくて!…

もう二度と抜け出せなくなるらしい!!…だから俺達の間でも超一級の

危険物として扱われてて!!…」


「ッ!?…ま、麻薬!?…何でそんな物が!?…」


単純に好奇心から質問を!…するとその質問を受けた観客の一人もピクッと反応を

して見せると、次には驚いた様子で言葉を!…と言うのもあのナイフを知らない

事に戸惑いを隠せず!…しかし相手が自分達と同じ人狼で無い事にハッと気付く

と、仕方が無い!と言って説明をし出す!…何でもあれは人狼達の間でも麻薬と

して扱われている危険物らしく、[月の欠片刀]と言い!…その効果についても

ざっくりと簡単に説明をし出し!…更にはその副作用についても地獄の様な苦痛を

伴う事をくまさんに戸惑いながら話して行くと、当然その話にくまさん困惑!…

途端にシルビィの事を心配し始める!…さてその一方で闘技エリアの方ではと言う

と、周りのどよめきを浴びてかその欠片刀を持つ闘士が震えて居り!…


__プルプル!…プルプル!…


「…貴方…それを使えば最後ですよ?…

それを使えば二度と普通の生活には戻れなくなって…

恐ろしい後遺症に悩まされる事になるのですよ?…

…馬鹿な真似は止めて今すぐそれを捨てなさい!…」


「う、煩い!!!…アンタがこの闘技場に出るから!!…

が邪魔をするから!!!…」


__スウゥ…ッ!!…


それは取り出したものの実際に使う事に対して躊躇いを持っている様子で有り、

シルビィもそんな相手の反応を見て冷静に説得を!…何なら幾度となくその使用者の

末路を見て来た様に語り始め!…後悔しか無い事をその闘士に慌てる事無く話して

行くが、闘志は言う事を聞かない!…寧ろ酷く動揺した様子で慌て始める!…そして

仕舞いには錯乱した様子にまで発展すると、その震えた手で欠片刀を自身の胸に!…


「ッ!!…待って!!…」


__ドスゥ!!…ブシュッ!!!…


「ッ!?…ウウゥ!!…ウオオオォォォォォォォォ!!!!…」


するとシルビィも慌てて闘士を止める様に再度言葉を!…その際構えを解いて腕を

伸ばし!…何とかその使用を阻止しようとして見せるのだが、当然時既にお寿司!…

その闘士が振り下ろした欠片刀は自身の胸にグッサリ刺さり!…そして次には直ぐに

効果が出て来たのか何やら悶える様なそんな反応を見せて行くと、シルビィの目の

前で体をドクン!と…明らかに異様な反応を露わにし出す!…それはまるで体が

膨張する様に蠢き出すと、苦痛を感じて居る様な悲鳴に近い声を挙げながらその姿

形を変えて行き!…


__……ドクンッ!!!…グゴゴゴゴゴゴ!!!…


「グッ!!…うあアあアああアアァぁァァぁぁァぁぁぁァァ!!!!」


__ビキッ!!!…ビキビキ!!…ビキキ!!!…


観客達の前で突然変異!…となると当然そんな光景を目にして観客達は絶句し!…

と、それはマサキ達も例外では無く!…まるで某・バイオでハザードな展開の様に

見えてしまい!…くまさんやアヤは見て居られない!と…手で目を覆いマサキも

まるで化け物を見た様な表情を浮かべて見せると、嫌そうに視線をそっぽ向ける!…

そしてそんな光景を目にしてモツ達も驚きを隠せない様子で固まって居ると、一方で

シルビィは伸ばした手をスッと戻し!…次には可愛そうな物を見る様に!…再度

その手に槍を握って構えて見せると、その化け物と化した闘士と対峙する!…


「……ッ…」


__チャキッ!!…


「ウアアアアアアァァァァァァァァァ!!!…

溢レル!!…溢レルゾオォォォォ!!!…

力ガちからが!!…力ガ溢レルゥゥゥゥゥゥちからが溢れるぅぅぅぅぅぅ!!!!!」


そして徐々にその形態変化もシルビィの前で落ち着いて来ると、その容姿は最初に

そこに立って居た者とは大きく異なり!…さすがドーピングアイテムと言うだけ

あって効果は絶大!…ナイフは胸に刺さったまま脈打ち!…体はシルビィの身長を

簡単に越え、推定で2m30cm位の大きさになる!…そして腕や足もまるで大木を

付けて居る様に1.5倍近く膨れ上がると、その分リーチも伸びては血管が浮き出て

ビキビキと脈動しており!…と、そんな化け物化にマサキもハッ!と…漸く変化が

終わったの見計らい!…そしてそんな化け物を目の前に酷く動揺した様なそんな

反応を露わにすると、驚きの言葉も漏らして行く!…


「な!…何やねんアレ!?…

あんなんチートやないかい!?…

骨格まで変わってもうとるぞ!?…」


「そんな事を言ってる場合じゃない!!…

あれは本当に不味いぞ!?…」


その人狼の枠を超えてモンスターと化した様子に驚きを隠せず!…マサキがゲーム

バランスに途轍もない不安感を覚えて居ると、さすがのパルシィも不味い!と…

若干の慌て様を露わにする!…そしてそんな闘技エリアの様子に観客達もハッ!と

我に返った様なそんな反応を見えて行くと、次にはシルビィに対して逃げろ!と

声を!…幾ら何でもアレには勝てない!と言った風に全体が叫び!…この後に起きる

であろう惨劇を誰もが見たくない!と言った具合に慌てて見せるが!…シルビィは

槍を構えたまま!…


「逃げろ!!…逃げてくれ!!!…」


「幾らアンタでもこれを相手にするのは無理だ!!!…」


「そうよ!逃げて!!!…」


「………。」


幾ら外野が叫ぼうとも決して動かず!…槍を構えては相手の出方を伺う様にただ

ジッと見詰め!…その際やはり慌てると言った素振りは一切なく!…その闘士に

対して今だ悲し気な視線を向けて行くと、ただひたすらに攻撃が飛んで来るのを

待って見せる!…するとそんなシルビィの期待に応えるよう化け物と化した闘士が

動き出すと、その槍を構えるシルビィに対してその巨大な腕を振り上げ!…


__スゥ…ブォン!!!…


「ッ!…」


__トッ!…バガアァァン!!!…ッ!?…うわああぁぁぁぁぁ!?…


拳を握っては勢い良く!…シルビィの頭目掛けて振り下ろすと、シルビィもそれに

合わせて冷静に反応を!…それはスッと降り掛かる闘士の腕の内側に!…逃げ込む

よう飛び込みそのまま滑って股の下を潜って行くと、闘志の後ろを取って見せる!…

その際も一切慌てる様子を見せる事無くやって見せると、闘志の拳はそのまま

地面に!…となるとそれは激しい地響きを起こす事に!…当然闘技場全体が大きく

揺れ!…観客達が悲鳴の様な声を上げて恐怖の反応を見せて居ると、その闘士が

振り下ろした拳の跡にも注目!…そこでクレーターが出来て居る事にふと気が

付く!…それは規模としてリーナのエルレイドフルーレに負けない位の規模を

誇っており、観客達は青褪め!…と、そんな様子を目の前に!…闘士自身もその

力に驚いた様でゆっくり拳を挙げて行くと、次には歓喜の声を上げる!…


「フ…ングアハハハハハハハハハハハ!!!!…

最高!!…最高ダ!!!…

忌ミ嫌ワレテイル欠片ニコレホドノ力ガ有ッタナンテ忌み嫌われている欠片にこれほどの力があったなんて!!…

何故モット早クニ試サナカッタノダロウ何故もっと早くに試さなかったのだろう!?!?!?…

実ニ愉快ダ実に愉快だ!!!…」


「……何と愚かな…」


「…何ィッ?……」


それは間違い無く力に酔うよう笑い出すと、今の気分をそのまま口に!…そして

今まで試さなかった事に後悔をするよう言葉を続け!…まるで世界を手に入れた

かの様に大きく仰け反り腕を広げて見せて行くと、その化け物の後ろでは

シルビィが仕切り直すよう!…槍を一振りして見せる!…そしてその様子を見る

なり憐れむよう言葉を口にすると、もう助からない!とばかりに悲観し始め!…

となるとそんなシルビィの言葉に化け物もピクッと反応し始め!…シルビィの方へ

振り向きそのまま肩を突き出して見せると、そのまま突貫を開始!…ショルダー

タックルを仕掛ける!…その際まるで大型の生き物が走って居るよう重そうな音を

立てて見せると、今度は逃がさない!と…


__ドッ!…ドッ!…ドッ!…ドッ!………グググッ!!!…


「……ッ!…ッ…」


「ングハハハハハハハハハハ!!!…

ソウダそうだタックルヲスルゾタックルをするぞ!?…

ソレモコノ素晴ラシイ巨体ヲ生カシタショルダータックルダそれもこの素晴らしい巨体を生かしたショルダータックルだ!!!…

伝説ノ戦神姫ナラ難ナク避ケラレルダロウガ伝説の戦神姫なら難なく避けられるだろうが!!…

避ケタラ間違イナク後ロノ観客ハペシャンコダ避けたら間違いなく後ろの観客はぺしゃんこだ!!!!」


__ッ!!!…キャアアアァァァァァァァァァ!!!………。


その突っ込んで来る様子はまるでダンプカーの様であり!…その化け物の動きに

シルビィも機敏に反応をして見せ!…しかし次にはハッと気が付いた様子を露わに

して行き!…このまま回避してしまった場合の事を考え出すと、シルビィの判断を

鈍らせてしまう!…と言うのもこの向かって来るタックル自体に問題は無く!…

躱した後がふと問題になる事に気が付き!…それはそのまま回避すれば勿論化け物は

観客席に突っ込むと言う事で!…幾ら壁が在るとはいえあの威力を放つ巨体が壁に

向かって突っ込んで行くと、二次被害を避けられない事を!…シルビィは悟り考え

始める!…となるとそんなシルビィの反応に化け物もニヤッと笑って見せると、自ら

シルビィごと突っ込んで行く事を口に!…すると更に勢いを強めて走り始め!…

シルビィもその迫って来る巨体に対して如何するか?と言った悩む表情を見せて行く

と、その一方でもはや勝った気で居るのか?…


「ングハハハハハハハハハハハハ!!!…

サァ!?…如何スル!?…伝説ノ戦神姫様ヨォ~!!!」


__バッ!!!…ドドドドドドドドドドドドドド!!!…


「……ッ!…」


更に勝ち誇った様子で大笑い!…仕舞には調子に乗って煽る様な言葉を口に!…

そして勢いは更に増し!…しかしシルビィは決して慌てずジッと身構え!…

相手の動きを観察する!…ただ冷静に相手の弱点を探る様に思考を駆け巡らせて

見せて行くと、次にはハッ!と何か思いついた様な表情を見せる!…すると

シルビィは突如何を思ったのかその突貫して来る化け物に対して走り出すと、

さも真っ向勝負を仕掛け!…


__バッ!!!…


「なッ!?…シ、シルビィちゃん!?…」


「行っちゃ駄目よシルビィちゃん!!…

大型トラックに真っ向から突っ込んで行くものよ!?…」


となるとそんなシルビィの様子にマサキ達も慌て始め!…困惑した具合にシルビィの

名前を叫んで行くと、一方で届かないながらも危険である事をくまさんがトラックに

例えて叫び!…だがシルビィは構わず突貫して行き!…二人の声は空しく歓声の中

へと消えてしまうと、シルビィも勝算がある様子で突っ込み続ける!…するともはや

その化け物とぶつかるのは時間の問題となって行き、宛らそれはもはや事故現場を

目撃する様な気分になり!…そうなるとまたもやくまさんが惨劇を見たくない!と

言った具合に手で目を覆い隠し!…マサキも酷く動揺を露わに!…しかしシルビィは

一点にその化け物を見詰めて居り!…残り数cmの所でフッとその姿を消して見せる

と、次にはその伝説の闘神姫の呼ばれる所以をマサキ達に披露する!…


__シュン!!…


「ッ!?…ナッ!?…」


__スウゥ…!…バキィィィィ!!!!…


それは一瞬の出来事であった!…シルビィが突進する闘士に真っ向勝負を仕掛けたと

思った次の瞬間、シルビィの姿はそこで影に溶けるようフッと消えてしまい!…

するとそんな光景を目にしたその化け物も思わず驚きを露わに!…目を丸くして

何処に行ったのか!?と言った具合に慌てて見せるが、次にはそんな時間が経って

いないにも関わらず化け物の巨体が宙に浮く!…そんな光景を晒してしまう!…

それは先程の勢いがまるで吹き飛ぶ力に変えられたよう高々と飛んで見せると、

様子も可笑しくさもアッパーカットを喰らった様に仰向けで飛び!…


__ブワアァ!!!…


「ッ!?…え?…あれ?…これってさっきも見た様な?…

…って!?…それよりシルビィちゃん!?……ッ!!…」


それはまるで再放送を見ている様なデジャヴ感を覚えるモノであり!…マサキが

戸惑った具合にその目の前の光景に対して何が起きたのか分からないで居ると、

それも長くは続かない様子で!…途端にシルビィの心配を口にし出し!…そして

シルビィが何処に行ったのか!?と辺りに対して視線をキョロキョロと向けて

居ると、ふと気が付けば闘技エリアの中央に!…それは既に何か攻撃を出し終えた

様子で固まって居た!…それは身を屈め槍であの巨体を打ち上げた後の様子で

止まって居ると、その握られている槍の柄部分には薄っすらと血の様なモノが

付いて居り!…宛らそれはトーナメント第一試合のマサツグがやって見せたあの

光景の様で!…誰もが何が起きたのか理解出来ていない様子で戸惑って居ると、

シルビィもそんな宙に浮く巨体に対して追撃!…止めをキッチリ刺しに掛かる!…


「……フッ!…」


__シュパッ!!…


「…例え欠片に頼ったとしても技術が未熟ではそれはただの驕り!……

そもそも自分の身を滅ぼす欠片を使うなど言語道断!!…

それで私に勝てたとしても周りの者は貴方を英雄とは!!…」


__バキィィィィィィィ!!!……ズドォォォン!!!……


身を屈めた状態から一気に跳躍して見せると、いとも簡単にその宙に浮いて居る

巨体の元まで辿り着き!…その際化け物はと言うと身動きが取れず!…いきなり

下からシルビィが現れた様なそんな錯覚に陥って居ると、シルビィはその時点で

槍を振り被り!…そして欠片刀を使った事に対して説教をする!…そしてその

説教の言葉の最後に槍の柄で叩き落とす様にして一撃を入れると、これまた容赦

の無い角度でクリティカルヒットとなり!…それは深々と化け物の腹部に刺さって

行き!…勢いそのまま受け身すら許されない様子でそのまま地面に向かって落ちて

行くと、次には自身が作ったクレーターの中に!…更に規模を大きくさせる感じで

陥没させる!…宛ら某・竜玉を集めるアニメのヤ○チャの様に倒れてしまうと、

シルビィも何事も無かったかの様に華麗に着地!…


__…シュタッ!!……ブン!!…


「……誰も認めてはくれませんよ?……」


__……ッ!?……ボワアアアァァァァァァァァァンン!!!…


その時まるで自身の身に付いた埃を払う様に!…槍を一振りして止めの言葉も口に

すると、これまた憐みの視線を向けて見せる!…そして誰もがその衝撃な結末に

反応が出来ない様子で固まって居ると、次にはドラ係だけがハッ!と我に返っては

慌ててドラに音を響かせ!…観客達もそのドラの音を聞いて漸くハッとした様な

反応を露わに!…そこから戸惑いながらも一気に歓声がワッ!と上がると、漸く

トーナメント第五試合が終わった事を自覚!…そこに兵士達も慌てた具合にやって

来る!…


__ワ、ワアアアアァァァァァァァァァ!!!!……タッタッタッタッタッタ!…


「ッ!…ん?…」


「…し、試合お疲れ様です!…この者は我々が引き取りますので控え室に!…」


「……わかりました…」


それは恐らく禁止薬を使った事に対しての対応なのだろうか?…兵士達が慌しく

闘技エリアにやって来ると、シルビィも気が付いた様子でクルッと振り向き…

するとそこで目にしたモノはその化け物の体を拘束する!…その内の駆け寄って

来た兵士がシルビィに対して敬礼をするなり労りの言葉を掛けて行くと、現場は

引き受ける!と言葉を続ける!…するとその一方ではもう拘束が完了したのか

雁字搦めになって居る化け物の姿を見つけると、担架に乗せられては外へと運搬

されて行き!…と、その様子を見てシルビィもフッと納得して見せ!…いつもの

静かな感じでその兵士に返事をして見せると、その場を後にするよう歩き出す!…

さてそうして闘技エリアを後にしながらふとある事を思い出すと、疑問も同時に

感じ始め!…


{……戦いが始まる前のあの闘士の言葉…

(が邪魔をするから!!!…)

…あれは一体如何言う意味で言った言葉なのでしょうか?…

もし、私達がマグダラスの邪魔をしていると言うのであれば…

確かに間違ってはいないのですが…

…あの様子は何かを別の物を隠している様子でありましたし

…別にもうマグダラスの名前を隠す必要もない筈!…

なにせもう黒幕がバレてしまって居る訳なのですから!…

…しかしそれなのに私達が邪魔?…これは一体?…

…もしかするとこの闘技大会の裏では…

まだ何かが隠されていると言う事なのでしょうか?…

…とにかく今後も警戒を強めた方が良さそうですね?……}


と言うのもあの化け物化する前の闘士の言葉がふと気になり!…自身の中で

ふと色々と考察をし始めると、悩んで居る表情を露わにする!…それはまるで

傍から見ると試合内容に納得が行って居ない様な表情にも見え!…観客達も

そんなシルビィの表情に思わず動揺を!…と、その表情は当然モツ達の目にも

止まって行き!…マサキもそんなシルビィの表情を見て素直に疑問を持った

様子で言葉を零すと、首を傾げて見せて行く!…


「…ん?…何や?…せっかく勝ったって言うのに…

何であんな悩んだ表情を見せてるんや?…そないに妙な事でもあったんか?…」


「…ッ!…前々から何処かで見た事のある動きと思って見て居たが!…

まさか!!……いや!…あの銀の髪にあの褐色の肌!…

…思い出した!!……よもや姿を見ん様になったと思って居たが…

この様な形でまた見る事になろうとは!…」


単純に勝ったと言うにも関わらず…何故あの様な表情を見せて居るのか?とマサキが

疑問を感じていると、その一方ではフィロがふと思い出した様子で!…と言うのも

前々から気になって居た具合に言葉を漏らし!…しかしそれも先程の戦いでフッ!と

霧が晴れた様なそんな表情をして見せると、この数奇な出会いに驚く!…一人そんな

反応を見せて居た!…そして観客席で各々色々な事で十人十色な反応を見せて居る

と、一方の控室では!…


「これよりトーナメント第六試合を始める!…

第六試合出場者…ラグナス!!…ゲート前に集合せよ!!」


「ッ!…隊長が勝ったのでしょうか?…

先程から外で悲鳴が聞こえていましたが?…」


__チラッ……ガクン!…ガクン!…ガクン!…ガクン!…


「おぉ~ねぇ~がぁ~いぃ~なぁ~のぉ~でぇ~すぅ~!!…

あの技を!!…おぉ~しぃ~えぇ~てぇ~くぅ~だぁ~さぁ~いぃ~!!!」


「あばばばばばばばばば!!…」


トーナメント第五試合が終わった事で招集が!…そして次はラグナスの出番で

有り!…兵士が控室に来てラグナスの事を呼んで見せると、一方でラグナスは

シルビィの事を心配しており!…と言うのもやはり懸賞が関わって居る事から

何か卑怯な目に遭って居るのでないか?と…一人不安に思っている一方!…

先程から騒がしい自身の隣にふと視線を向けて行くと、そこではハティに迫ら

せる!…一人の人間の闘士マサツグの様子を目にして行く!…それはマサツグの胸元

辺りにハティがガシッ!としがみ付くと、マサツグを揺さぶっては全力の懇願を

して居り!…と、揺さぶられて居るマサツグもあばばば!と…もはや意識が

跳びそうになっては白目を剥き!…オリハもさすがにこれは不味いと思ったのか

必死にハティを止めに掛かると、ひたすらワチャワチャとして居た!…


「あぁ!…それ以上はさすがに!!…

さすがの兄さんでもフライアウェイしちゃう!!!…」


「……あれだけの悲鳴が控え室にも聞こえて来たと言うのに…

この人は全く心配していませんね?…はあぁ~…

まぁ…確かにあの隊長が簡単にやられるとは思いませんが…

それにしても少しは!…」


「…信じているからだ。」


それこそハティを抱えてマサツグから引き剥がそうとするのだが、ハティも必死の

抵抗を露わに!…と言ってもマサツグにガッシ!としがみ付くだけ何も変わらず…

見事なまでにマイペースな三人の様子にラグナスも呆れた反応で言葉を…仕舞には

溜息まで突き出してしまうと、またもやシルビィの心配を続けて見せる!…何なら

そのマサツグ達の心配のしなささに思わず苦言も漏らして見せると、次にはふと

何処からともなく言葉が!…それは自身の隣より聞こえて来て!…ラグナス自身も

へ?ッとばかりに戸惑った反応を見せて行くと、次にはある光景をを目に!…


「ッ!…え?…ッ!?…」


「シルビィは絶対勝つ!…あの子はそんな柔じゃない!!…」


「ッ!?……あの…

まだ揺さ振られてますが大丈夫なんですか?…」


「……あばばばばばばば!!……」


その光景と言うのもマサツグが真剣な表情を見せて居る様子で、マサツグはこの時

シルビィの事を信じていると簡単に話し!…何なら実力はラグナスより良く知って

居るとばかりに話しを続け!…ラグナスも不意にそんな事を言われたので思わず

ビクッと反応すると、改めてマサツグの状態を確認!…そしてツッコミの言葉を

口にする!…と言うのもマサツグは今だハティにガンガンに揺さぶられては、その

頭が前後に揺れ続けている状態にあり!…マサツグもそれだけ言うと次には限界が

来た様子でまたあばばば!と…となると勿論話が締まらないモノへと変わって行き…

ラグナスが本当に大丈夫なのか?と疑問を持つと、オリハが更にフォローを入れる。


「…本当に大丈夫何だと思いますよ?……」


「え?…」


「[虫の知らせ]…とでも言いますかね?…

兄さんには分かるみたいなんですよ…自分の従魔が危ないかどうかが…

何も感じないって事は恐らく無事なんだと思いますよ?…」


「ですが、それも絶対では!?…」


この時オリハもハティを抱えながらその会話に参加をすると、マサツグと同じく

シルビィが無事である事を信じた様に!…と、そんなオリハの言葉を聞いて更に

ラグナスが戸惑い始め!…フッと視線をそのオリハの方へと向けて行くと、

オリハは微笑みながらにその理由を話し始める!…それはマサツグだけに分かる

ある種システムの話なのだが、勿論NPCのラグナスに到底理解できる話では無く!…

となるとオリハはそのシステムの事を[虫の知らせ]と!…マサツグがそれを感じ

取って居ない事を理由に大丈夫!と答えて見せて行くと、その理由を聞いた

ラグナスはやはり不安を!…絶対では無い事を口にする!…しかしその言葉も

最後まで言い切る事無く遮られると、まるでオリハからツッコミを受ける様に

言葉を聞かされ!…


「だから信じているんです!…」


「ッ!!…」


「その従魔を信じる事が出来なければ!…

今頃こうやってハティちゃんとじゃれ合ってなんて居ない筈です!…

控え室を飛び出しては観客席から乱入!…それこそ大暴れしている筈です!…

…兄さんだって自分の従魔がただやられるのを見たい訳ではありませんからね?…

でもこうしてじゃれ合っているって事は!…シルビィの強さを信頼しているから!…

だからこうしてじゃれ合っているんだと思いますよ?…」


「………。」


それは力強く信じている!と…それを聞いてラグナスもビックリした様子で

目をパチパチと瞬きをして見せると、更にオリハは言葉を口に!…と言うのも

そもそもの話としてマサツグがそう言う事に関して五月蠅い事を挙げて行く

と、信用して居るからこそと話し!…何なら事態が悪転して居れば既に動いて

居ると話しを続け!…オリハもラグナス以上にその強さを知って居る!と…

故にこうして余裕の様子を見せて居られる事をラグナスに笑いながら話して

行くと、ラグナスは思わず黙ってしまい!…その謎の根拠に困惑し出す!…

と言っても別にマサツグ達の言って居る意味が分からない!と言う事では無い

のだが、ハッキリと言われた事で戸惑ってしまい!…と、ラグナスがそんな

風に困惑をして居ると背後から気配が!…それは扉を開けて中に入り!…

マサツグ達の居る方へと近付いて来ると、徐に声を掛けて来る!…


「…それに…そんな馬鹿弟子に心配される様な従魔を持った覚えは無い!…

…っと、私の方からも一つ付け足させて頂きます…」


「ッ!?…た、隊長!!…」


「早く行きなさい!…

貴方が中々闘技場に出て来ないから!…

棄権か?と観客席が慌しくなっていましたよ?…」


「ッ!?…ヤッバ!!…」


__ガタッ!!…ズダダダダダダダ!!…バアァン!!…ダダダダダダダ!!…


それは先程までの話を聞いて居た様子で参加をして来ると、ラグナスに対して

呆れた言葉を!…と、その会話に参加をして来たのはシルビィで有り!…勿論

無傷で凛としている様子を…何なら最初から何の問題も無かった具合にスッと

ラグナスの背後に立って見せると、ラグナスをビクッと驚かせる!…その際

ラグナスが突如現れたシルビィに対して驚いて見せると、シルビィは更に呆れた

様子で言葉を!…何でも一向にラグナスが現れない事から棄権か?と騒がれて

居る事を口にして行き!…それを聞いてラグナスもハッとした具合に慌てて

見せると、次には控室を後に!…急ぎゲートに向かって走って行く!…さて

そんな慌しい様子を見てシルビィもも一つ呆れた具合に溜息を吐くと、本音を

漏らし!…


「…はあぁ~……

いつになったら私を安心させてくれるのでしょうか?…

あの馬鹿弟子は?…」


「えぇ~?…良い弟子だと私は思うよ?…

自分の師匠をちゃんと心配してくれるんだから?…」


__ッ!…フイッ!……ッ!…ニヤニヤ!…


やはりラグナスの事をまだ一人前と認めていない様子でシルビィは言葉を!…

しかしそんなシルビィに対してオリハがフォローを口にして行き!…ちゃんと

シルビィの事を心配して居た事を話して行くと、シルビィもそれを聞いて

ピクッと!…次にはクルッとそっぽを向いて見せる!…それは珍しく何か

照れた様子の様に見えて行くと、オリハがそれを見てニヤニヤとするのだが!…


「……まぁ…そこだけは認めますが…

…それより旦那様は如何したのですか?…何やら意識が?…」


「え?…あっ……」


__ぷるぷるぷるぷる!!…


この時シルビィも一応は認めた様子で言葉を口に…そしてふとマサツグの様子が

気になったのかオリハにその状態について質問をすると、オリハも言われて気が

付いたよう!…その視線をマサツグの居る方に向けて行き…そこでマサツグが

ハティの猛攻に耐え切れなかった様子で口から泡を吹き!…白目を剥いている

様子を目にすると、しまったとばかりに言葉を漏らす…さてそうなるとハティと

してもやり過ぎた!と言った具合に固まっており、その隙を狙って漸くマサツグ

とハティを切り離し!…となると今度はマサツグの治療に掛かって行き!…

オリハは何を思ったのか!…マサツグのアイテムポーチより気付け薬を数本取って

封を切ると、マサツグの口に捻じ込む!…トンデモナイ荒療治をするのであった!…

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