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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-
-第六章三十二節 対等な相手と眠れぬ夜と近衛との距離-
しおりを挟むシルビィは主人であるマサツグより先に部屋に…と、その事を謝り始める訳でも
なく…別の事で反省をした具合にまだ涙を流す様子を見せて行くと、マサツグに
懺悔をする様に話し出す!…何でもそれで謝罪をし始めた言葉と言うのもやはり
モツの事であり!…改めて自分でも考えたのか、差し出がましい事をして
しまった!…とばかりに語り出すと、更にポロポロと涙を流す!…それは決して
何か演技とかそう言うモノでは決してなく!…マサツグの従魔として!…仲間の
気持ちを察せなかった事に対する後悔の涙であり…
「旦那様!!…
先程は見っとも無い所を見せてしまい申し訳有りませんでした!!…」
「えぇ!?…何で開口一番に謝る!?…」
「…それは私がモツ様の事を考えずにあのような事を申し上げ!…
あまつさえその後涙を見せるなど!!…従魔として有るまじき行為!!…
深く!…深く反省致しております!!!」
取り敢えずシルビィは今の状態について失態!と…自分でも見苦しいモノと
言ってマサツグに駆け寄り謝り出すと、マサツグもマサツグで困惑する!…
と言うのもマサツグ自身別に全く気にして居ない様子であり、寧ろこうして
ぶつかるのは当然!とも考えて居り…が、結果として主人に迷惑を掛ける事
となってしまい!…シルビィもその事を理解している様子で自身が謝って居る
理由を話して行くと、更に涙を目に溜める!…
「う…うぅ!……」
「ッ!?…う、うわああぁぁぁ!!…
ちょ、タンマタンマ!!…落ち着け落ち着け!!…」
__ギュッ!!…
「…ッ!……だ、旦那様?…」
それは人の心を理解出来なかった事に対する後悔と、従魔として未熟な自身の
不甲斐なさに情けなさを感じ!…と、またポロポロと泣き出したシルビィに
マサツグもギョッと!…また泣かれると自分も固まる事になってしまう!と
ばかりに慌てて見せると、次には咄嗟にシルビィを抱き締め!…そして落ち着く
様に声を掛ける!…それこそ真正面から細いシルビィの体をギュッと行くと、
服越しでも分かるシルビィのしなやかな体に若干戸惑い!…その際もやはり
シロを潰さない様に抱き締めて行くと、抱き締められたシルビィも思わず戸惑い!…
ビックリした拍子にふと涙が止まった様なそんな反応を見せて行くと、マサツグも
マサツグで意見を言う!…
「……ッ!…
そりゃ一緒に冒険をしていたら意見がぶつかる事なんてざらに有るだろうさ!…
それはモツだって理解してる!…だから気にしなくても良い!!…」
「…ッ!!…し、しかし!…」
意見を言うと言ってもその前に…マサツグ自身咄嗟的に抱き締めたのは良い
モノの…そこからの事を全く考えて居なかった様子で慌てて見せると、次には
ハッと思い付いた様に!…慰めの言葉を口にする!…その際自身も経験がある
様子で話して行くが、それでもシルビィは責任を感じている様子で言葉を口に!…
それはまるで自身の事を卑下する様に話しを続け!…しかしマサツグはそれを
良しとしない様子で尚且つ責める事無く優しくシルビィの頭を撫でて行くと、
更に落ち着くよう声を掛ける!…するとこの時その様子に羨ましがるよう見詰める
幼女が二匹居り!…が、構ってなど居られる筈も当然なく!…とにかくこの時
幼女二人の視線を感じつつ!…シルビィの心のケアに入るよう優しく頭を撫で
続けると、更に自身の話しをする!…
「大丈夫だって!…俺だってモツや他の奴等と喧嘩した事そこそこ有るし…
別にこれがきっかけで別れるとかそんな話しに発展した訳でもないだろ?…
…それにシルビィだってモツに文句を言ったのは、
それだけ女王様の事を心の底から信頼しているからであって…
…少なくとも俺達もそれを重々理解しているつもりだ!…
…だからモツもあの時最後に謝ったんだって思うぞ?…」
__……ッ?…
マサツグは決して関係が壊れた訳では無い事を口にすると、同時にシルビィの事も
分かって居る!と…何ならあのモツの謝罪の意味についてもそう話し!…苦笑い
しながらモツは素直じゃない様に話して行くと、フィロがその言葉に首を…まるで
お前が言うか?とばかりに傾げて見せる!…しかし勿論の事ながらマサツグはこれを
スルーして行き、一方でシルビィはその話を聞いて何かハッとした様子を!…
「ッ!……ッ…」
「…それにさっきも言った通り!…
この先何度だってぶつかる事が待ち受けてるに決まって居る!…
…寧ろぶつかって来い?…それが互いを信頼するって言う意味にもなるって思うし…
俺は繋がってるって言う風にも思うからな?……主従関係無く!…
有りのままのお前を見せて来い!!……な?…」
「…ッ!!……ッ…ッ~~~!!!………はい!…」
まるで心に届いた様な反応を見せ!…徐々にまた目をウルウルとさせる様なそんな
表情を見せて居ると、マサツグもマサツグで〆の言葉を!…シルビィにぶつかって
来い!と話をする!…それはただの喧嘩で無い事を話して行くと、一種のコミュニ
ケーションと話し!…何ならシルビィの言う従魔の関係についてもイマイチ否定的…
さもシロもフィロもシルビィも自分の娘の様に思って居る事を笑顔ながらに話して
行くと、シルビィもまた涙をポロポロ!…しかし納得した様子で笑みも零す!…
そうしてやっとシルビィが落ち着いた所でマサツグもホッと安堵すると、この時
パルシィも寝たふりをして全ての会話を聞いて居た様子で…ちゃんと円満に終わった
事にフッと笑い!…本当に眠りに就くよう目を閉じてシーツの中に潜り込んで行く
と、ここでまた別の問題が!…
__スゥ……スゥ……
{…思えば…
今までシルビィの周りに対等な奴が居なかったのかもしれないな?…
だから今日モツとぶつかって不安になって泣いたのかもしれない!…
て言うのもこれが本当に初めての体験で…
自分でも如何したら良いのか分からなくなったのが…
これに繋がったんじゃないだろうか?…
…これを機にもっと仲良くなれる方向に行けば良いんだが…それよりも…}
__ぎゅうぎゅう!…ぽよよん♥…ズイズイ!…ズイズイ!…
問題と言うのは別にパルシィの事ではなく…マサツグがシルビィを宥めた所で
自身のベッドの方へと移動をすると、その晩シルビィはマサツグから決して
離れず!…まるでそれは父親に甘える子供の様に見えてしまい!…マサツグも
マサツグでそれを愛らしく思いそのままにしてベッドに横になって行くと、
ふと考え事もし始める!…と言うのもシルビィの様子から今までの事を少し
考察する様な頭を持つと、これを機にもっとフランクになる事を願うのだが…
問題と言うのはここからであり!…シルビィが離れない事で如何にも感触が
ダイレクトに!…マサツグとしても男で有り!…それに悶々とした物を感じて
しまうと、如何にも眠れなくなってしまう!…尚この時当然の様にシロと
フィロも乗っており、これまた何処にも逃げ場はなく!…
{…まだ年齢=彼女いない歴の俺にはさすがに刺激が強過ぎる状況!!…
よりによって俺がログアウトしないで寝る時に限ってこれか!?…
……いや、いつも通りなのか?……あぁ~もう!!…
普通って何だったかなぁ~!?…}
シルビィがマサツグの右半身を拘束して行き、フィロはその反対側!…そして
シロも定位置とばかりにマウントを取り!…寝ながらに甘えるよう二人の幼女が
ヤキモチを妬く様に擦り寄って見せると、更にマサツグの逃げ場所を奪う!…
…因みに用意されて有ったベッドは一応ダブルサイズなのか大きな物で、しかし
四人寝るにはギチギチで!…と、これにはマサツグも肩身が狭く!…両脇に居る
二人を落とさないよう縮こまる様にして身を丸めると、如何にも寝難い夜を…
嬉しいやら悲しいやら微妙な気持ちになるのであった!…
さてそうしてある種地獄の様な一夜を過ごすと、やっとも思いで次の日…
{……あ~た~らしい朝がっ来た♪~
きぼ~うのあ~さ~だ♪…ようや~くこの状態か~らも♪~
かいほ~うさ~れ~る~♪~…}
ハーフリングスの皇女姉妹以来の危険的状態を見事無事潜り抜け、自分を律する事に
成功したマサツグ!…あの時とは違い今度は徹夜と言う状況にマサツグは半分自我を
失い…何か自身でもはっきりとしないぼんやりとした思考の中ただやり切った感を
感じて居ると、城内に灯りが…日の光が入って来る。そしてマサツグも灯りが着いた
事にピクッと反応をして見せると、次にはそれに気が付いたのか他のシロやシルビィ
もが起き出し!…
「……ん?…ふあぁ~…あぁ……ふぅ…
もう朝ですか?…あんまり寝た気がし無いのです…」
「……ん…あっ…おはよう御座います…シロ様?…
今朝は良くお眠りになられたでしょうか?…」
「んん~…いつもより早く起きた気がするのです……」
大きく伸びをしながら欠伸を漏らし…眠い目を擦りながらシロが目を覚まし始める
と、シルビィも体を起こして見せる…その際昨日の引っ付き虫が嘘の様に離れて
行くと、シロに今朝の具合を尋ねながら挨拶をして見せ…と、そのシルビィの挨拶
を受けてシロも返事!…その際自身でも不思議と早起きをした様に話して行くと、
シルビィもそれを聞いてフフフと笑い!…その理由について軽く話をして見せる!…
「ふふふ♪…霊峰の朝は早い上に城内が明るくなりますからね?…
さしずめ…光の城に備わる自動目覚ましと言った所でしょうか?…
この日の光のお陰で皆が目を覚まし、直ぐ動けるようになるのです…
……あっ!…挨拶が送れて申し訳有りません旦那様?…おはよう…
…ッ!?!?…」
まるで微笑ましいと言った様子でシロの眠そうな表情を見詰めつつ!…シルビィが
この城の特徴についてある説明をし始めると、さも特殊効果の様に話して行く!…
そしてそれはシロや自分だけでない他の者達にも効果がある様に続けて行くと、ふと
次にはマサツグが起きている事にも気が付き!…となるとシルビィもマサツグに
対して挨拶を!…まるで愛しい人と一緒に目覚めた事を嬉しく思う様に声を掛けて
行くのだが、そこでマサツグの顔を見るなり驚き戸惑い!…するとシロもそんな
シルビィの反応にふと気が付き!…次にはやはり眠い目を擦りながら…不思議そうに
如何したのか?と尋ねて行くと、そのシルビィの見詰める…マサツグの表情に目を
向ける!…
「……ッ?…どうしたのですか?…シルビィお姉ちゃん?………ッ!?…」
__どよぉ~~~ん!!!…コォッホオォォ~~~!!……
シロとシルビィの視線の先には当然マサツグ!…そしてシロもそのマサツグの表情を
見るなり驚き戸惑い!…と言うのもそこに居たのは完徹をした者の末路が有り!…
マサツグの目の下には黒い隈が!…そしてその目もどこか遠くを見て居る様で!…
まるで何かヤバい薬をやった様なやつれた姿がそこに在ると、その変わり様に当然
困惑!…そして互いに如何してこうなったのか!?と原因が分からない様子で慌て
始める!…となると次にはシルビィが酷く驚き困惑した様子でマサツグに声を!…
「マ、マサツグ様!?…」
「あぁ…おはよう…ぐっすり眠れて何よりだよ…
…俺の場合は今からでも爆睡したいけど…」
「い、一体何が!?…何故その様にお窶れに!?…
……ッ!!…まさか私達が知らない間に敵襲を!?…」
まるでサスペンスドラマで遺体を見つけた様な困惑具合を見せるシルビィはとにかく
心配!…そして声を掛けられた事にマサツグも何か喋り辛そうに返事をすると、ガン
ギマリの様子でニコッと笑い!…が、その表情は完全ホラーと化し!…その際シロも
思わずビクッとしてしまい!…一発で眠気が飛んで行った様なそんな反応を見せて
居ると、マサツグは本音をポロリ…今まさに寝たいと言葉を口にする!…となると
そんな有様のマサツグにシルビィも何か有ったのか!?と慌て出すと、次には敵襲を
疑い!…と、そんなシルビィの言葉に対してマサツグも更に返事!…さも某・有名
ボクシング漫画のボクサーが真っ白に燃え尽きた様になって行くと、難敵だった!と
話して見せる!…
「…う、う~ん……ある意味難敵だった…かな?…
何度か…心が…折れそう…になったし…」
__カクン…カクン…
「い、一体どの様な難敵が!?…
マサツグ様をこれほどまでに追い込むなど!?…」
この時マサツグもそろそろ限界が来ている様子で首を横に舟を漕ぎ出し…その際
何度もその難敵に屈しそうであった事を話して行くと、シルビィはその話を聞いて
ハッ!と…まるで自分の事と分かって居ない様子で慌てて見せる!…その際辺りを
見回しその敵と思わしくモノが居ない事にも慌てて見せると、その正体に悩み!…
何なら自分でも敵わないマサツグが苦戦した!と…一体どんな化け物が来たのか!?
と更に戸惑う素振りを見せると、マサツグは軽く言葉を…さもその敵は目の前に
居るよう話しをする…
「……自分の胸に…手を…当てて…
考えて…みて…欲しい…かな?…」
「ッ!…え?…」
「……あぁ…もう…駄目…」
__カク~~ン!!……zzzzz…
このマサツグの言い様を耳にしたシルビィも次には当然困惑し出し!…それでも
反射的に似た様な形で自身の胸に手を当てると、やはり何の事か分らずに言葉を
零す!…そしてマサツグも限界が来たのか途切れ途切れに言葉を…やはり首を
横に船を漕ぎ続ける様子を見せて行くと、スッとまるで事切れた様に轟沈!…
とても健やかな寝顔を見せる!…そしていきなり目の前で寝落ちしたマサツグに
シルビィもシロもハッと気付くと、互いに顔を見合わせる様にしてやはり戸惑い!…
__……クルゥ~リ?…ッ?…ッ?…
一体何が何だか?と言った様子でただ不思議がり、昨晩のマサツグの言う強敵と
言うのが何なのかが分からないままになってしまうと、そのままマサツグを放置…
次にはマサツグが目を覚ます事となったのは昼頃の事となるのであった…因みに
この話をして居る一方、この城の特殊な能力をモノともしない特異な者も居る
訳で…その特異な者と言うのもマサツグの隣で寝ているフィロであり!…今だ
マサツグを抱き枕にして至福!と言わんばかりの表情で涎を垂らすと、もにゃ
もにゃと寝言を口にしていた!…
「のじゃ~……くふふふ♪……」
__…マサツグ轟沈から数時間後…
「…ん?……んん~!!……はぁ!!…結局寝てしまったか…
…普段なら徹夜の一つや二つ如何って事無いのにな…
アレだもんな?…どうしようもないし…
ここでくっ付いて来てるコイツも何だかんだで凶器だし…」
「のじゃ~…」
「…っと、そんな事より起きるか…
…見た所シロ達も居ないし……」
__…スッ……
さて時間は過ぎてお昼頃…マサツグも若干スッキリした様子で大きく伸びをしながら
目を覚ますと、そこで自分を抱き枕代わりにして眠るフィロを見つけ…そしてシロと
シルビィとパルシィが居ない事にも気が付き…辺りを見回しながら特に異常が無い
事を確認すると、次にはフィロを起こさない様にベッドから起きるそれこそ慣れた
様子でスポッと剥がすと、徐に隣の部屋に対して聞き耳を…と、壁に耳を当てた所で
何一つ物音が聞こえて来ず、それを確認した所でオリハも起きている事を確認する
と、取り敢えず着替えをし始める。
「…隣のオリハさんも居ない…
…っと言うよりは防音が仕事してると言った方が正解か…
…とにかく着替えよう……ッ!…」
__ぽよんぽよん♥…ッ…はあぁ~……そ~っ…
「…んん~……のじゃ~…」
「……よし!」
別に寝汗を掻いたとかそう言うのではないのだが、やはり習慣と言うモノは
やってしまう訳で…と、マサツグが着替えようとしている一方…フィロも
何やら仰向けになる様な姿勢を見せて行くと、そこで肌着をチラリ…何か
中身が零れそうな開けようを露わにする。するとマサツグもたまたまその
様子が目に入った具合にピクッと反応をして行くと、次には呆れた様子で
溜息を…と言うのも何か手の掛かる娘の様に感じてしまい!…そんな様子を
露わにするフィロの方へと歩いて行くと、起こさない様に直し込み!…そして
自身の着替えに戻って行く!…さて着替え終えた所でマサツグも自室を後に
しようとするのだが…
__ガチャッ!!…
「いってきま~す…」
「……お目覚めに御座いますか?…マサツグ様…」
「ッ!?…どわぁ!?…」
「ッ!…ッ?…」
マサツグが部屋を出て散策に出ようとすると、その開いた扉の直ぐ隣には昨日
見掛けたであろう近衛兵の姿が!…しかも何故か気配を隠す様に立って居り!…
近衛兵もマサツグが完全に油断し切って居る所で挨拶をしてしまったモノ
だから!…マサツグは当然の如く驚いて見せる!…それこそバックステップを
取る様に声を上げると、その近衛兵はマサツグの様子に首を傾げ!…何なら
マサツグの反応に特段驚く様子もなく、ただえ?…如何したの?…とばかりに
キョトンとすると、マサツグもマサツグで落ち着き始める!…そして…
{…ッ!…犬系のモンスターが人型になると…
皆あんな感じで首を傾けている様な?…
これって決まったモーションなのだろうか?…
だとしたら担当は相当このモーションを気に入ってるんだろうなぁ?……}
__じぃ~~!…ッ!………
その首を傾げる近衛兵の様子にマサツグもふと…と言うのも今までに出会って
来た犬型獣人や狼が首を傾げる動作など…何ならシロとシルビィも良くやって
居た事からふと気になり!…も一つ言うとその動作がシロ達によく似ている事
にも気が付いて行くと、思わずマサツグはそれを目の前に考えを!…頭の中で
これはもう一つのお決まりのモーションなのか?とマジマジ見詰める!…
それこそ似合う似合わないとかそう言うのではなく、ただ単純に興味がそそり!…
そして凝視されている近衛兵の方もマサツグに見詰められる事で戸惑って
見せると、次には辛抱堪らず質問を!…
「…ッ…ッ~~~…あ、あのぅ…な、何か?…」
「え?…あ、あぁ!…わ、悪い悪い!!…何でも無い!!…」
「そ…そうですか!…
…じょ、女王様がお待ちです…ど、どうぞこちらへ……」
まるでジッと見詰められる事に慣れて居ない様子で照れて見せ!…次には視線を
逸らして両手を前に突き出すと待った!を掛け!…と、ここでマサツグもハッと
我に返り!…次にはその見詰めていた近衛兵に謝って見せると、別に何も無い!
と誤魔化しもする!…するとそれを聞いて近衛兵も何か慌てた反応を見せると、
何か冷静になろう!と必死に!…それはまるで恋に落ちた様に頬を染め!…ふと
自身の仕事を思い出した様子で言葉を続けると、マサツグを女王の元へ…
とにかく戸惑い様も露わにする!…となるとマサツグもそんな慌てた近衛兵の
様子にやってしまった!と反省をする一方、同時にシロ達の行方についても尋ね…
「あっ!…あぁ!……ッ!…その前にシロ達は?…
まぁ、目が覚めたのはついさっきだからもう起きて居るとは思うが…」
「…ッ!それならばご安心を…
スコルティナ様も女王様と一緒に…」
__……モヤッ…
「…っ!……あっ!…そ、そうか…なら、良いか…」
シロが居ない事が気掛かりと言った様子で言葉を口に!…するとそのマサツグの
問い掛けに対して近衛兵もピクッと反応をすると、素直に何処に居るのか?を
答えて行く!…その際シロは今女王と一緒に居る事をマサツグに説明をして行く
と、それを聞いた瞬間またもやマサツグの心の中ではモヤッと…それはあの七合目
でも感じたモヤッとした何かであって、またこの感覚にマサツグも疑問を…何か
不安を覚える様なそんな自身でも分からない感情に戸惑って見せると、次には
慌てて近衛兵に返事!…と、その返事に近衛兵も思わず戸惑う!…
「ッ!……ッ?…とにかくこちらへ…」
この時マサツグの様子からは明らかな動揺が見て取れ、それを違和感と感じた
近衛兵も若干戸惑った反応を露わにするのだが…それよりも女王を待たせて
居る事を意識し!…取り敢えずでマサツグの反応を流して行くと、案内する様に
声を掛ける!…するとマサツグもそんな近衛兵の言葉に頷き返事!…そして二人
揃って女王の待つ部屋へと向かって行くと、二人は昨日の謁見の間とは違う!…
もはや定番と言ってもいい会議室へと歩みを進める!…そしてその道中マサツグ
自身も自身の違和感について考えると、また辛気臭い表情に!…
__コッ…コッ…コッ…コッ…
{……さっきから何だこの感情は?…
まるでシロが遠くに行った様なこの感じ…
何でこんな気持ちになっているんだ俺?…}
「………。」
「…ッ……」
自身の中に蠢くモヤモヤ…それは謎の焦燥感と喪失感の両方を感じさせると、
何かマサツグの心を苛み!…となるとマサツグとしても当然その心の気分が
一向に晴れず!…とにかく昨日から続くこの奇異な感情に悩んでしまう
そんな反応を見せて行くと、更にその表情を曇らせて見せる!…するとそんな
マサツグの様子と言うのは周りにもハッキリと分かってしまうモノで有るのか、
近衛兵にも伝わる様に何か困惑をさせてしまい!…
{き、気まずい!!…
女王様からお連れするよう言われただけだが!!…
何故こんなに気まずいのだ!!…
あの見詰められた時から何故か調子が可笑しい!!…
…まさかこの者は我々人狼族に特別な影響を起こす
何かを持っていると言うのか!?…}
__コッ…コッ…チラッ!…コッ…コッ…チラッチラッ!…
{……確かに今沸き上がるこの感情の事も気になるが…
…それ以上に今は!…
何故かこちらを何度も確認するあの近衛兵の事が気になって来た!!…}
勿論何か粗相が有ったと言う訳では無いのだが、とにかく敏感に感じた近衛兵
自身も何か戸惑うと気不味いと感じ!…そして徐々にマサツグに対して不信感を
持ち出し!…同時に自身の胸に手を当てて動悸を確かめるそん案素振りも見せて
行くと、次には歩きながらにマサツグをチラ見!…何か有るのでは?と探りを
入れる!…しかし幾らチラ見をした所でその正体は全く分からず!…やはり
近衛兵自身も悩み!…と、マサツグもそんな近衛兵の様子に気が付いてか…
徐々に自身の事よりその近衛兵の反応の方が気になり出すと、もはや自身の感情
など如何でも良く!…その近衛兵の事を気にし始める!…その結果…
__コッ…コッ…チラッ!…
{……あれ?…先ほどより表情が明るい?…
…でも、やはり険しそうな……やはり何か特別な能力が!?…}
{……やっぱり見てる…
…でもあの表情は何所を如何見てもこっちを心配してる顔だ…
でもなんで?…俺何か心配させる様な事したっけ?…
…とにかくなんかチラッと見てくるなぁ?……}
__コッ…コッ…チラッチラッ!…
会議室への道中互いに不審な動きを露わに!…それはまるで相手の隙を互いに
伺い合う様に見えてしまうと、勿論互いに警戒をした状態に発展!…となると
すれ違う兵士にも途端にギョッとされてしまい!…しかし女王の客人である事
から手が出せず!…如何にも出来ない!と言った様子でその兵士達からも
スルーをされると、更に悪化の一途辿る!…そしてその様子と言うのはこれまた
当然会議室に辿り着くまで行われ!…朝から無駄に消耗を!…と、やって居る
内に二人は会議室に到着して行き!…そこで他の面々が待って居る!…何か話が
ある様子を目にすると、マサツグも空いている席にへと…そして最後までその
近衛との疑問が残って行くのであった!…
__ガチャ!!…ガガガギギギギィィィ~~!!…
「…ッ!…あっ!…ご主人様!!」
「ッ!…漸く起きて来たか…お前が最後だぞ!」
__バッ!!…
さてマサツグが会議室に入って行くと、シロもハッと気が付いた様子で反応して
見せ!…そしてマサツグの方へ振り向くなり上機嫌で声を掛けて行き!…リーナも
遅い!とばかりにマサツグへ文句の言葉を口にすると、早くするよう急かして
見せる!…その際当然ながら既に他の面々は着席した様子で座っており、遅れて
来たマサツグを見詰め!…と、各々重役出勤のマサツグに呆れたり苦笑いしたり…
とにかくマサツグも空いている席に向かって歩いて行くと、次にはシロが席を
立つ!…
「ん?…おぉ!…シロ…」
「ご主人様~!!」
__ダンッ!!…
「ッ!?!?!?」
この時若干苦笑いしながらも申し訳なさそうに!…そしてシロに声を掛けられた
事でも反応をすると、そのシロに返事をしようとするのだが…シロは席を立つと
マサツグに向かって駆け出し始め!…両手を伸ばしマサツグに向かってダン!と
踏み込む姿勢を見せて行くと、次にはマサツグもハッ!と…何かを悟った様子で
腹筋を固める!…その際マサツグの目には今まさに満面の笑みを見せるシロの
様子が映っており、マサツグもそれを目にすると瞬時に覚悟を決め!…
__スッ…バッ!!!…
「ッ!?…え?…何で急に?…あっ…」
この時途端にマサツグが身構えた事で他の面々も何事!?と、そしてマサツグの
視線にある者を確認し!…するとそこには踏み込む様子のシロの姿がある訳で…
これまた途端にふと察した様子で思わず言葉を零して見せると、その様子に女王や
ハティビィエールは困惑!…一体何事?と言った様子を見せる!…そして他の
面々に倣うようそのシロの様子に目を向けて見せて行くと、次にはフェンリル達を
も驚かせる光景を!…
「ご主人様~!!!」
__…ドゴオオォォォ!!!…
「……ッ!?!?…ぐぅぅおいしょ~い!!!」
__ギャギャギャギャギャギャギャ!!!…
と言うのもモツ達からすればいつもの光景!…が、女王やハティビィエールから
すれば可笑しい光景で!…シロはまるで風になるよう瞬時にトップギアへ入って
行き!…そしてマサツグの腹筋を貫く様にして飛び込んで行くと、会議室内に
響く様に鈍い音が!…その一方でマサツグもシロの事を受け止めに掛かる!…
となるとそんな様子に女王とハティビィエールも呆気に取られた表情を浮かべて
見せると、その二人の様子に絶句!…そのシロの加速力と弾丸具合にも当然驚き
を露わにする一方!…同時にマサツグのそのタフさにも目を見張る様なまん丸と
した目を露わにすると、口をぽか~んと…とにかく驚いた様子を見せるので
あった!…
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