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-第五章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~ドワーフファミリア編-

-第五章三十八節 ノームのお願いと機動騎士・リーナ?…と悪意の策略!-

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「…はい…それで…ですね?…

そのアダマンタイマイは今産卵の時期を迎えてまして…

次の世代を産む準備をしているのです…」


「ッ!?…さ、産卵!?…」


ノームが話し出した事と言うのはまさかの産卵!…如何やらアダマンタイマイは

今産卵の時期を迎えているらしく!…するとそれを聞いたマサツグ達としても

思わず戸惑い!…声に出して驚く一方、その産卵が如何してそのノーム達の住処

が荒らされる事と関係して居るのか?と考えてしまうと、次にはノームが話を

続ける!…と言うのもその話を持ち出したのは異変が起き出した頃合いを話す

為のモノらしく、ノーム達としてはその産卵を手伝わないといけないらしいの

だが…


「…はい…アダマンタイマイが産卵の時期を迎えるのは数百年に一度!…

そしてアダマンタイマイの背中に住んでいる僕達としても

是非ともお手伝いをしないといけない訳でして…

…で、そのお手伝いと言うのが次の世代のアダマンタイマイを育てる為の

餌場を作る事に有って、その餌場を作り出した最近になって!…

悪い人間さん達がアダマンタイマイに乗り込んで来て!…

如何してか分からないけど僕達の住処を破壊して回っていると

言う訳なのです!…」


「ッ!!……因みに原因的なモノは?…」


丁度その時期と重なる様にして人間達がアダマンタイマイの背中に乗って来た

らしく、理由も分からずとにかく破壊行動を繰り返して居る!と…これでは

その産卵の手伝いが出来ない所か住む場所も失う!と…もう訳が分からないと

ばかりにそのノームがアヤの手の上でまた泣き出しそうな表情を浮かべて

見せて居ると、マサツグがふと質問をする!…と言うのも相手にだって何か

理由があるのでは無いのか?と…念の為に聞いて見たのだが!…


「…分かりません!…グスッ!…

とにかくその人間さん達が来てからアダマンタイマイの背中は荒れ放題!!…

このままだと次の世代を育てる準備が出来ないまま出産!!…

食べる餌がなくてそのまま飢え死にしちゃいます!!…グスッ!…

そうなると僕達ノームも住処を失い、モンスターに襲われる危険が!!…」


__………。


「……何を思ってその様な身勝手を!!…

…ッ!……ちょっと待て?…

ではそのアダマンタイマイは今一体何所に居るのだ?…

ドワーフ達から聞いた話だとアダマンタイマイは

ここ最近見掛けていないと聞いたが?…」


返ってきた返答と言うのは当然分からない!の言葉であり!…遂にはやはり

ノームがグスグスと泣き出してしまうと、とにかく今現在進行形で人間達に

荒らされて居る事を話し続ける!…その際心配するは自分達ではなくまずは

アダマンタイマイに有るらしく、このまま産卵をしてしまうと間に合わない!と…

最悪餌場が無いまま餓死する事になってしまう!とそのノームは話を続け…

更に飛躍して自分達の住処も失われてしまう!と説明をすると、マサツグ達は

そのまま黙ってしまう!…そしてその人間達の目的についてもふと考え出す

一方で、同時に静かに怒りを覚え!…だがここでリーナがふとある疑問を

覚え出し!…その泣きじゃくるノームにその疑問について質問をすると、

ノームは泣きながらも返事をする!…


「ッ!……グスッ!…そ、それはですねぇ…

その悪い人間さん達がアダマンタイマイに透明化の魔法を掛けたからです…

アダマンタイマイはその巨体と鉄壁の防御力を誇る!…

恐らくは最強クラスのモンスターである事には変わりませんが……状態異常!…

特にさっき言った透明化などに関しては全く耐性無い無防備な亀さんなので!…

いとも簡単に掛かってしまうのです!…それに誰もアダマンタイマイが魔法に

掛かっているとは思っても居ないでしょうし…悪い人間さん達にとっては

寧ろ好都合だったのかもしれません…」


「ッ!…ではアダマンタイマイを隠した真の目的は?…

…ッ!?…も、もしや!?…」


「……可能性は有るかもな?…しかも独占!…」


ノームが言うにはその人間達はアダマンタイマイに魔法を掛けたと、しかも何故か

透明化と話し…その際アダマンタイマイの状態異常耐性についても軽く触れ!…

その透明化が原因でこの様な怪奇現象が起きている事を理解させられると、自ずと

その相手の目的にもふと気が付く!…この時リーナもハッとした様な表情を見せる

と、次にはマサツグ達の方へ振り向き!…するとマサツグ達も理解した様子で

言葉を口に!…恐らくの狙いが分かった所で色々と決意を!…そのノームのお願い

である救助をする事に一同が頷いて見せると、次にはノームに返事をする!…


__……コクリッ!!…


「…わかったわ!…

じゃあまずはそのアダマンタイマイの場所まで案内してくれるかしら?…

急いだ方が良さそうだから!…」


__ッ!!…ッ~~~~!!!…だばあぁ!!…


「ありがとう御座います!!…ありがどう御座いまず~!!!…」


アヤがノームに微笑み掛けると言葉を口に!…了承したと助ける事を約束し!…

そして次にはそのアダマンタイマイへの道案内をノームに頼み!…ノームも

その言葉を受けてまた目の前で滝泣きを披露し始めて見せると、何度もアヤに

土下座をする!…宛らその様子は某・悪の天才科学者!…岩男に負けて許しを

乞う様な様子に見え!…何度もお礼の言葉を口にしては頭をガスガス!…何度も

アヤの手に自身の頭を減り込ませ!…そのノームが落ち着きを見せるまでの間!…

アヤが何か戸惑った様な反応を見せて居ると、その様子をマサツグ達は笑って

見守り続けるのであった!…


さて話は少ししてまだ一番坑道!…不思議な事に坑道内には明かりが灯っており!…

と言うのも壁の方を見るとそこにはランプが掛けられて有り、意外と明るく等間隔に

坑道内を照らしていると、マサツグ達は迷う事無く真っ直ぐに反対側の出口へ進んで

居た!…誰が灯したのかも分からないランプ…だがその足取りは順調で!…ノームの

道案内の下、マサツグ達もこれ程までに無い位に安心感を覚え!…とにかく意気揚々

と一同がこの坑道を抜けようと歩き続けて居ると、ここでリーナが不満を漏らす!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……一つ良いか、マサツグにアヤよ?…何と言うかぁ…

これは他に方法が無かったのだろうか?…」


「ッ!…え?…何が?…」


「ッ!!…ッ~~!!!…何が?…では無かろうが!!!…

何だこれはぁ!!…何故私の鎧にこの様な!!…」


「ッ!…あっ!…次はコッチです!…」


それこそ最初は落ち着いた様子で…マサツグとアヤに声を掛けると、不満が有る

様子で言葉を口に…するとそんなリーナの呼び掛けに対してマサツグもピクッと

反応を!…クルッと振り向き何事も無い様にさも普通と言った返事をすると、

そのマサツグの反応が気に入らないのか!…次にはムスッとした様子で文句を

言う!…と言うのもそのリーナの鎧に何かが有るらしく、ひたすらに鎧を指差し

言葉を!…だがそんなリーナの叫びなど御構い無し!…そのノームが次の曲がり

角を指を差しながら案内をし続けて居ると、次にはリーナが吠えて見せる!…

と言うのも!…


「何故この様なゴーレムのコアのみたいな物を作った~~~!!!」


リーナの胸部外装に土塊が…と言うのもここにノームを入れて歩いて居り!…

何でも理由としてはノームの歩幅とマサツグ達の歩幅では差が有り過ぎて、

ノームが置いてけぼりになると言った事案が多々発生したからの策であった!…

因みに何故その役割にリーナが宛がわれたのかと言うと、その着けて居る物に

問題があり!…マサツグとアヤとオリハは衣服に近く!…唯一鎧を着ているのが

リーナだけ!と…何ならマサツグも胸当てを着けては居るのだが、摩耗による

劣化が激しく!…となると安全性を考慮してやはりリーナに白羽の矢が立って

しまい、リーナの乳下!…辺りに何かコックピットの様な物が付けられると、

そこにノームを入れて運んでいた!…因みにこのガン○ム宜しくなコックピットは

ノームが作り、強度もかなり有るのか頑丈!と…何なら途中でポロッと行くのでは?

と感じたマサツグが強度チェック!…思いっきり鎧から引き剥がそうとしても全く

ビクともせずくっ付いて居り!…製作時間もたったの三十秒と言うお手軽さ!…

これにはさすがノーム!と言う所ではあるのだが!…やはりリーナが不満をぶち

まけ如何にかならないのか!?と言葉を口にして行くと、それに反応してノームも

リーナに謝り出す!…


「ッ!?…ヒ、ヒウゥ!!…ご…ごめんなさぁ~い!!…

こんな案しか出せなく本当にごめんなさぁ~い!!!」


「ッ!?…い、いや!?…別にお主に怒っているのではなくて!…

この場所に作れと言ったマサツグとアヤにだなぁ!…」


「でも他の場所に作ったら戦闘の時動き辛いだろ?…

それに道案内もして貰う訳だから前の方に付けなきゃだし…

それにそこならリーナの動きの妨げにもならないし!…一石二鳥!!…」


「それにノームは大地の精霊だから[守護]を司るって意味合いもあるの!…

だからお腹辺りにそのコアを付けると貴女の身に危険が迫っても!…

きっと守ってくれるって訳!…だから我慢して?…」


怯えながら慌てて謝るノームにリーナも戸惑い!…釣られて慌てる様にリーナも

誤解!と口にし!…その際文句が有るのはマサツグとアヤの二人だ!と…交互に

二人を指差し更に文句の言葉を続けようとすると、そんなリーナの言葉に

マサツグが笑う!…と言うのも仕方が無い!の言葉で片付けてしまい!…アヤも

それに続くよう言葉を口にして行くと、ある種の加護と言い聞かせ!…と言っても

やはりリーナからすれば不満でしか無く!…これ以上話をしても無駄だと悟ると、

ムスッとした表情を見せて行く!…


「ッ!?……ム、ムゥ~!…」


「ッ!!……それに…そんな文句を言って居る場合でも無さそうですよ?…」


__ッ!?…バババッ!!…グギャガガガガ!!!…ギャ~ガガガガ~!!!…


「ッ!!…洞窟ゴブリン!!…数は…4!!」


__チャキッ!…スラァ……ッ!!…バッ!!…


それこそやはりシロの膨れようが伝染したのか?…若干ムッとするとマサツグを

睨み!…だがそんな事を言って居る場合でもない様子でオリハが声を!…全員に

対して注意をするよう言葉を口に!…徐にスッと鉄扇を構えて戦闘態勢に入って

見せると、次にはその岩影からモンスター達が飛び出す!…と言っても出て来た

のはいつものゴブリン!…直ぐにマサツグ達も身構えると数を数え!…そして

この時リーナも剣を構えて前方に注意!…しかしこの時背後からも何かが忍び

寄って来る気配が!…するとリーナも咄嗟の所でその気配にハッと気付き!…

何が来たのか!?と振り返って確認をすると、そこで他のゴブリン達から奇襲を

受ける!…


__グギャガガガガ!!!…


「ッ!?…しまった!!…挟み撃!!…」


「ッ!!…

《だ、大地さん大地さん!!…僕たちを守って!!…ロックシィ~ルド!!!》」


__ゴゴゴッ!!…ボゴボゴォ!!!…


振り返って剣を構えようにも間に合わず!…咄嗟に防御の構えを!…その際

挟み撃ちである事を口にして行き!…被弾を覚悟で歯を食い縛るそんな表情を

見せて居ると、次にはノームが魔法を唱える!…と言ってもほぼお願いに近い

文言で有り、お願いを口にすると同時にもう魔法は発動しており!…この時

地面から生えて来る様にボコボコと精巧な盾が数個!…その飛び掛かって来る

ゴブリン達に対して攻撃を防ぐ様にして前を塞いで見せて行くと、その飛び

掛かって来る攻撃を簡単に弾く!…


__ガイン!!…ンギャグ!?……ズル…ズル……ベチャ!!…


「どっせい!!……ッ!?…

おぉ!?…やるじゃねぇか!!」


あるゴブリンは攻撃を弾かれ!…またあるゴブリンは盾に激突!…距離を見誤った

と言うよりは突然の事に付いて行けず!…そのまま顔面から衝突してそのまま

地面に落ちて行くと、無様に地面を舐める事になってしまう!…されその一方で

マサツグ達も退路を確保!…そして振り返ってそんな盾がある事に驚き!…驚くと

同時にノームに感心!…褒める様に言葉を口にして居ると、リーナも攻撃が飛んで

来ない事に違和感を持つ!…


「……ッ?…ッ!?…こ、これは!?…」


「風刃!!…雛罌粟ひなげし!!」


「リーナ!!…動かないでよ!!」


__バシュン!!!…バシュ!!…ドシュ!!……ガスッ!!…ザシュ!!…


被弾を覚悟した筈なのに攻撃が飛んで来ない!…リーナは恐る恐る目を開け…

するとそこでノームが作った岩の盾を目にして驚き!…何が起きたのか理解

出来ないそんな反応を見せて居ると、後方のゴブリン達をオリハとアヤが

仕留めて行く!…オリハはシロさながらにカマイタチを繰り出し!…アヤも

リーナに動かないよう忠告をすると、ゴブリンの頭を弓で射貫き!…そうして

戦闘としては一瞬で終わり!…マサツグがリーナに対して心配をした様に

駆けて行くと、次には言葉を掛け出す!…


「……ふぅ…おい、リーナ?…大丈夫か?」


「ッ!…あ、あぁ…大丈夫だ…何ともない…

…このノームが作った岩の盾が守ってくれた…のか?…」


「としか考えられんが?…にしても!…

やるじゃねぇかチビ助!!…

間違い無く戦力に数えても良い位の反応だったぜ?」


「ッ!…そ、そうですか?…え、えへ!…えへへへ♪…」


一段落着いた様子で声を、するとリーナも驚いた反応ながらもマサツグに大丈夫!と

返事をし…その際ノームに助けられた!と…しかしまだ完全に把握は出来て居ない

のか、やはり戸惑った表情を見せつつこれは?…と言った具合にその岩の盾の方に

視線を向けると、マサツグもそれを肯定する様に言葉を続ける!…この時その

ノームに対しても褒める様に言葉を口にすると、ノームもマサツグの言葉に照れて

見せ!…何なら普段から褒められ慣れていないのか頭を掻き、リーナとマサツグも

そんなノームの様子を見て思わず笑ってしまう様に一息吐くと、次にはオリハが

ある事に興味を持つ!…


「……ッ!……にしてもこれは?…

何でこの…何て言うか?…この形?…デザインにしたのだろうか?…」


「ッ!…え?…」


「…いや…ほら……よく見るとまんまに近い…

[ごまだれ~♪]て聞こえて来そうな盾になってるから…

…てか、これって大丈夫なのかな?…

精巧さがもうパロディを越えてるんだけど?…」


「……ッ?…ごま?……な、何だそれは?…」


オリハが興味を持った事と言うのはその件の盾の形について、この時オリハが

言うには某・黄金三角形を彷彿とさせる!と…何ならそのまんまに近いデザインを

しているらしく!…濁す様に有名な空耳を交えつつその事をマサツグに話して

行くと、その精巧な盾の出来にも驚きを示す!…と言うのもあの一瞬で作った

のかと!…良くそこまでの集中力が有ったな?と口にする一方、そのオリハの

言葉にリーナも疑問符を浮かべ…聞き慣れない言葉だったのかゴマと口に…だが

そんな話もマサツグが気にするなと声を掛け、次にオリハ同様その盾の出来に

マサツグもふと視線を向けて行くと、同時にノームへ質問をする!…


「ッ!…あ、あぁ…何でも無い…コッチの話…

…ッ!……なぁ、ノーム?…これはお前が考えたデザインなのか?…

…何か俺達の知って居る物に似て…」


「ッ!…いえいえ、僕が考えた物じゃないです…その盾は人間さんが…

恐らく昔にアダマンタイトを取りに来た人間さん達が落として行った…

とにかくその設計図を基に僕が魔法で作り出した物です!…

…たまたまそれをまだ覚えていて…

咄嗟に唱えた際イメージでこれが出て来ただけです!…」


この時マサツグが質問をしたと言うのもやはりその盾のデザインについて…

となるとマサツグとしてもまさか!と思い…ノームにその盾の事について

若干戸惑い気味に質問をすると、ノームは違うと言って首を左右に振って

見せる!…その際更に詳しく盾の事について話し出すと、何でもそのデザインは

別の冒険者プレイヤーが考えた物だと…ノームはそれをただ覚えて居ただけと素直に話し、

咄嗟で唱えた際ふと出て来たのがこの盾である事を説明すると、更にオリハが

言葉を続ける!…


「……にしても本当にかなり再現率高いよ?…

ほら、この紋章部分とか……ってか緊急時だから別にここまで凝らなくても…」


「ッ!!…な、何て事言うのですか!!…

どんな状況下でも自分が作るモノには一切の妥協は許されない!!…

それが物作りじゃないですか!!…

…それにその盾は一度作り出すと本当に壊れるまで残り続ける訳ですから!…

当然色んな人にも見られる訳で!!…」


と言うのもオリハが口にしたのはその盾の出来についてで、先程から言って居る

通りに精巧に出来ていると口にする一方!…紋章等を指差しては驚きを露わに

しつつ…しかしこの精巧さは緊急時に必要な物であったのか?について話しを

すると、その話を聞いたノームは態度を変える!…何でもそのノームが言うには

妥協は許されない!と口にすると、これは作品として残る様な!…とにかく

壊れない限り残るのだ!と…人目を気にした様子で職人としてのプライドに火が

点いたようオリハに文句を言うと、マサツグが慌てて止めに入る!…


「ッ!?…お、おう!…わ、分かったから落ち着け?…な?…」


「……ふむ…ノームの中には職人気質な者も居るって聞いて居たけど…

なるほど…こんな感じで怒ったりするのね?…把握把握…」


「……そっちはそっちで一人理解を深めてんじゃねぇ!…」


決してリーナのコアから出て来る事は無いのだが…それでもプンプンに膨れて

見せると、子供の様に怒りを露わにして見せ!…そしてそんなノームに対して

マサツグが落ち着く様に声を掛けている一方で、アヤがそのノームの怒って

居る姿を見て一人理解を深める様な研究者っぽいそんな様子を見せて居ると、

マサツグが助けに入れ!とばかりにツッコミを入れる…さてそうこうして居る

内に各々が落ち着きを見せて居る所で…呆れた具合に溜息を吐くと、改めて

反対側の出口に向けて歩き出し!…その道中若干開けた所に…恐らく工夫達の

休憩所らしき場所へ出て来ると、マサツグ達は途端に警戒を強めて見せる!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!…コオォ~~~!……


「……マサツグ兄さん(マサツグよ)!…」×3


「…言われんでも分かってる!…

こう言う色んな意味で利便性の良い所に出たって事は少なからず!…

[感知サーチ]!!」


開けた場所には架設のベッドが置かれて有る休憩所や、工具等の修理する為の

簡易鍜治場など…とにかくかつての活気が伺えるモノが散乱!…並びに物が

良く置かれて有る事で丁度影が出来て居る事に気が付くと、自ずと警戒心は

更に強まる!…そしてアヤ・オリハ・リーナの三人がそれぞれマサツグに声を

掛けると、マサツグも分かって居ると返事!…と言うのも敵の位置を正確に

探れるのはマサツグだけ!と…マサツグもそれを理解している上で言葉を口に

しつつ[感知サーチ]を発動して行くと、次にはマサツグの目に敵の影が映り出す!…


__ピィーン!!…ヴウン!!…


「ッ!…案の定だな?……ッ…」


{…数は…そこそこ居るな…

多分部族の住処みたいに今はなっちまったんだろうな…ここ…

で、他に見た所で捕まっちまった奴とかも居ないみたいだな…

…うん、気配はない!…だったら思う存分暴れる事が出来る!!…

…けど、こうも自分達は隠れてます!みたいに居られると…

…コッチとしても泡吹かせてやりたくなるなぁ?……ッ!…そうだ!…}


案の定マサツグの目には赤い影がゾロゾロと、数もそこそこ言った具合に点在して

おり!…この時既に相手もこちらの存在に気付いている様子で物陰に隠れて様子を

伺い!…此方に対して完全に奇襲を仕掛ける体勢に入って居る事にマサツグもふと

気が付いて行くと、それを一つ一つ確認をするよう音を立てずに視線を動かす!…


因みにこの時敵はどんな隠れ方をして居るのかと言うと、休憩所に隠れるようその

姿を潜め!…と言うのもその休憩所は簡易のベッドの他に天井からカーテンが吊る

されており!…プライベートを守る様に個室の様に区切られて有り、長さも地面

スレスレと言った所なのだが…しかしそのカーテンと地面の間からはお粗末にも

汚い脚がコンニチハ!…隠れて居るのか何なのか?…とにかく頭隠して尻隠さず!…

そんな様子にマサツグも余裕とばかりに相手の位置を把握すると、次には如何

動こうか?と…思考を働かせて行くのだが…それも直ぐにハッと思い付いた様子で

悪い笑みを!…となると今度はアヤの方へ徐に振り向き!…身振り手振りで敵の

位置と数を正確に伝えて見せると、アヤに攻撃するよう指示を出す!…


__クルッ!…スッ…


「ッ!…」


__…スッ…ススッ…パタパタッ!…グッ?…


「ッ!!…了解!…あそこに三つね?…」


突如マサツグが振り返った事で全員が反応!…そしてマサツグがジェスチャーを

し始めた事で戸惑うのだが!…直ぐに理解した様子でその身振り手振りを見守り!…

この時肝心のアヤにもそのジェスチャーが伝わった様子で、アヤは理解したと

ばかりに小声で返事をしつつマサツグに頷いて見せると、徐に弓を構え始める!…

しかしそれだけでマサツグの指示は止まらない!…今度はオリハの方へ振り向き!…

自身と一緒に付いて来るようジェスチャーをすると、その仮説の休憩所を指差し!…


__クルッ!…スッ…スッ…ススッ…パタパタッ!…グッ?…


{ッ!……なるほど?…奇襲を掛けると…

…とまあ言ってもこれ位やったら奇襲を掛ける程でも無いとは思うけど…

…面白そうやし!…}


__…コクリッ!……ニヤァ!!……スッ…ススススス……


これまた同じ様にオリハも直ぐに理解した様子で頷き返事!…何ならマサツグ同様

意図を汲んだ様子で悪い笑みを浮かべて見せ!…すぐさま行動に移るよう静かに

指示された場所へと移動すると、後で付いて来るマサツグの事を待って見せる!…

そして最後に残るはリーナだけになるのだが、この時リーナは面白い事に!…

何故か子供のよう目を輝かせてはワクワクしており!…まるで私にも役割をくれ!

とばかりに目でマサツグへ訴えて行くと、マサツグはそんなリーナの様子に

戸惑って見せる!…


__…クルッ!…ッ!?…キラキラキラキラ!!…


{…お前…何か本当にシロに似て来た様な気がする…

とにかくまぁリーナもリーナで役割はあっちの鍜治場…

比較的あっちは敵が少ないから丁度良いだろう…

…しかし気になるのはその鍜治場の方なんだよな?…

あっちの方が物が多いから隠れやすいと思うが?…まぁいいや…

増援の気配も一切なし!……派手にやりますか!!…}


__スススス……パタパタ!……ッ!…パタパタ!……ッ!……


もはやリーナの様子は指示待ちの時のシロと化しており、本当にシロが付いて

来ているかの様な感覚を覚え!…だが戸惑って居るばかりでは無く当然指示を!…

リーナにも動いて欲しい!とばかりにジェスチャーをすると、リーナもその指示

された方へ…簡易の鍜治場の方へと動いて行く!…その際マサツグとしては

何か疑問を覚える所ではあるのだが、増援の影が無い事を良い事に作戦を実行!…

自身も移動してオリハと合流!…そして全員が配置に着いた所でアヤに合図を!…

するとリーナもそんなマサツグ達の様子が見えて居るのか見様見真似!…アヤに

対して小さく手を振って見せると、アヤもそれに反応するよう動き始める!…


__スウゥ…カッ……ギリィ!!…


{ッ!…攻撃態勢に入った!……にしても…}


__……グキャキャキャ!…


{…のん気に笑ってやがるなぁ…

…って言うか本当にバレてないって思っているのか?…}


アヤは弓を水平に構えると矢を三本番えて見せ!…そしてその状態で隠れている

ゴブリンの頭に狙いを定めると、後はいつでも撃てると言う状態にして見せる!…

因みにマサツグに場所を教えて貰った際、アヤはふとそのカーテン越しではあるが

ゴブリン達の影が透けている事に気が付き!…それを的に定めて弓を構え!…

いざ放とう!として自身の限界まで弓を引き絞って行くと、その一方では!…

何も知らないゴブリン達が笑って居り!…マサツグ達もそんな様子を目にして

呆れた様子を見せて居ると、次にはアヤが矢を放つ!…


「……トリプルゥ!…シュート!!!」


__カッ!…ッ!!…グギャガア~~!!…コオオォォ!!…ドドドシュウ!!!…


「ッ!?…動くぞ!!…」


__グギャガ!?…グギャガ!?…


アヤは掛け声付きで矢を発射!…そのカーテン越しのゴブリン三体を狙い!…

すると逆に奇襲を掛けられる事に気が付いて居ないゴブリン達はそのアヤの

掛け声に反応して見せ!…意気揚々とそのカーテンの影から堂々と姿を現して

見せると、次にはその頭を射抜かれて行く!…勿論三発ともヘッドショット!…

一撃で三体は息絶えてしまい!…するとマサツグ達もそれを合図に動き出し!…

その一方で仲間の様子を見た他のゴブリン達が戸惑った反応を露わにすると、

統率が無くなった様にオロオロとし始める!…その際まだ現状が分かって

居ない者も居たのか、撃たれた三体同様意気揚々と出て来る者も居るのだが!…


__グギャガア~~~!!…スッ…ババッ!!…


「ウェルカムカモ~~ン!!…」×2


__ッ!?…グギャギャ!?…ギャ!?…ギャガ~~~~~!!!…


更に物陰に隠れていたマサツグ達が脅かす様に!…ゴブリン達に対して逆に

奇襲を掛けて行くと、ゴブリン達は目に見えて驚いた反応を露わにする!…

この時マサツグ達も大いにノリノリ!…某・ウサギのコーヒーショップの

店員の様な掛け声を口に!…何なら満面の悪い笑みを浮かべて見せ!…

その手に堂々と凶器を持ってそのゴブリン達に圧を掛けて行って見せると、

次にはそのゴブリン達を制圧するのであった!…

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