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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章七十八節 復讐の僵屍使いとお札の意味と狼少女-

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「……何でここに嬢ちゃんが居んねや?…

確かに俺も置いて行ったけど!…でも避難した筈とちゃうんか?…」


「………。」


「……お、おいライザとやら!…この少女は一体?…

と言うより術者と言うのは?…このキョンシー達も?…」


ライザの呼び掛けに答えるようその術者が姿を現す!…そしてその姿を現した者と

言うのはあの時ライザの邪魔をして来た玲玲で有り、全員がえ?…と言った具合に

戸惑って居ると、ライザはその幼女にとある質問をし始める!…と言うのもその

玲玲からは如何にもあのフィロみたいに操られて居ると言った気配は全く感じられ

ず、寧ろ自分から進んで邪魔をして居る様にしか見えない訳で!…確かにあの戦闘

の後置いて行ったのは行ったのだが、それでも何故ここにと!…避難して居ない

のか?についてライザが玲玲に声を掛けると、玲玲はただライザを見たまま沈黙

する!…そしてそんな様子を尻目に横からグレイが質問をすると、更にモツ達や

グレイからは困惑の様子が見られ!…五階層の一画はまるでドラマの様に緊迫した

場面に!…何やら重々しい空気が漂い!…雰囲気も徐々にシリアスになる様な

感じで何か起きそうな不穏な様子を見せて居ると、次には玲玲が呆れた様子で

返事をする!…


「……はあぁ~…やっぱり!……お兄ちゃんて馬鹿アルか?…」


「ッ!!…何やと!?…」


「あんなの演技に決まって居るアル!!…

それを今になっても信じているとか…お人好しが過ぎるんじゃないアルか?…

だからこうして今私に馬鹿にされて居るアル!…」


「ッ!?…つまりコイツを騙して居たと言う事か!!…」


玲玲は呆れた具合に溜息を吐くとライザの事を馬鹿と!…するとその玲玲の

言葉にライザもピクッと反応して見せ!…一体如何言う事なのか?と簡潔に説明を

求める様に言葉を口にすると、玲玲は不敵に笑いながら説明をする!…と言うのも

何でもあれはその場しのぎの嘘であって、即興の演技で有ったと!…そう話すと

玲玲は更にライザの事を馬鹿にし始め!…あの時ちゃんと始末しなかった事に

対して後悔するよう言葉を続けて見せると、自身の前にそのキョンシー達!…及び

忍者を連れて来ては構えさせる!…そしてその一連の話を聞いてグレイも納得した

よう反応すると、次には警戒した様子で言葉を口にするのだが!…その一方で

ライザはジッと怒ると言った様子を見せる事無く!…ただ玲玲の目を見詰めて

その言葉が真実であるかどうかを確かめ始めると、ふと言葉を口にする!…


「……それはホンマなんか?…」


「……はい?…」


「ホンマなんかって聞いてんねや!!…ただ逃げる為だけに泣いて!…

あの嘘を咄嗟に口にしたんかって聞いとんねや!!…」


この時ライザの確かめる言葉と言うのも単純明快!…ただ本当かどうかを

本人に尋ねるだけで!…となると玲玲もそのライザの問い掛けに対して

また小馬鹿にする様な感じで軽い返事をして見せ!…その際ライザの顔を

覗き込む様なそんな素振りを露わにすると、全く反省して居ない様子を

見せて居た!…と言うのもライザを騙す事に罪悪感など持って居ない様子で、

ただ不敵に笑いながら「はい?」と…するとその言葉にライザは怒りを

覚えた様子で怒気を強め!…それこそ今度は真面目に答えろ!とばかりに

再度玲玲に言葉の真意について質問をすると、玲玲はやはり呆れた様子で

返事をする!…


「……だぁからさっきから言ってるアルね?…

う~そ!…って!…そもそも玲玲これでも一応人間じゃないアルね!…

お兄ちゃん達冒険者から言うとモンスター!…

それこそこの国で言う所の妖怪ネ!……妈妈お母さんは当の昔に殺されたアル…

それこそ人間達に!!…」


「ッ!?……」


この時も玲玲の様子は相も変わらず!…ライザに対して見下した態度を!…

その際もやはり悪戯っ子の様にお道化て見せてはもう一度嘘と!…事実は

何も変わらない!と言った具合にそのまま話を肯定し続けると、更には

ある事について話し出す!…と言うのも突如ライザ達の目の前で玲玲が徐に

俯き出して見せると、逃げる際に言った母親の話をここで持ち出しては

アレも嘘と!…それこそもうその母親はこの世に居ないと話すとその母親は

人間達に殺されたと!…事を明かした所でライザ達は驚き!…玲玲は玲玲で

その小さな手でギュッと握り拳を作って見せると、更には体全体をプルプル

と小刻みに震わせ始める!…


__ギュッ!…プルプルプルプル!…


「…だから私は復讐を誓ったアル!!…

これを機にこの国を滅茶苦茶にしてやるって!!…

…それが妈妈お母さんに捧げる鎮魂歌になるって!!…

……私は!…私はこの為だけに生きているって!!…」


更に玲玲は怒りを燃やし続けた様子で言葉を続ける!…と言うのもこれを

きっかけに復讐をと考えて居たらしく、もう後には引けないと!…それそこ

先程のライザに匹敵する位に怒気を強め!…スッと顔を上げるなりその目に

涙を溜めながら怨嗟の言葉を口にすると、自身の生きている理由について

話し出す!…その際彼女が言うにはこの時の為と!…やはり復讐に重きを

置いた様子で叫ぶ様に語り!…だがそれを良しとしないのがモツ達であって!…

その一連の話を聞いた所で突如飛び出し!…一目散にそのキョンシー達に

向かって剣で斬り掛かりに行くよう突貫をして見せると、玲玲を面食らわせた

様に驚かせる!…


__ッ!!…ババッ!!…フォン!!…ッ!?…ガキイィン!!!…


「ッ~~~!!……クッ!!…

いきなりアルね!?…けど負け!!…」


モツの突然の突貫は功を奏し、キョンシー三体を鍔迫り合いにて拘束!…

そしてその鍔迫り合いに負けない様にするので精一杯なのか、玲玲も

必死に歯を食い縛って押し切られない様に保って見せると、モツに対して

文句を言う!…だがそんな文句を最後まで聞く事は決してなく!…モツは

そのまま鍔迫り合いを続行すると、その玲玲に対して説教をする!…


「正直気持ちは分からんでも無いが!…

それで無関係な人を巻き込む事に何の意味が有る!?」


「ッ!?…」


この時のモツは柄にもなく感情的になった様子で言葉を掛ける!…それは

まるで学校の先生になったよう!…他人を巻き込む復讐に何が有るのかと

言葉を口にし!…それこそ一応は玲玲の気持ちを汲んだ様子で敢えて言葉を

口にして行くと、更にはモツ自身悲痛な表情を浮かべて見せる!…すると

玲玲もそんなモツの表情を見て驚き戸惑って見せると、思わず後ろに下がり

そうになり!…だがハッとした様子で気を保ち!…まだ負けて居ないと

ばかりに更にモツを押し返そうとして見せると、更にモツはやって居る事を

否定する!…


「結局の所イタチごっこでしか無いんだよ!!…

それで復讐を果たしたとして!!…

今度はその標的が君に変わるだけなんだよ!!…

確かに君の母親を殺した奴にはそれ相応の罰を!!…

けど!…全く関係のない人間を巻き込んで!…

それで君の母親が浮かばれると思って居るのか!?…

何なら君の母親はこうなる事を望んで居るのか!?…」


「ッ!?…お、お前に!!…お前に何が分かる!!!…

私は唯一の肉親を殺されたアルね!!…

…もう幾ら願おうともう帰って来ない!…そんな絶望感を!!!…

お前は味わった事がアルか!?…」


モツは自身の言葉を思いっきり玲玲に向けて言い放つ!…そして今やって

居る事はハッキリ言って無意味だと!…その事の顛末までも分かって居る

様に話しを続けて見せると、更には止めるよう言い聞かせる!…だが玲玲

としても当然引き返せる状態では無いので、勿論のこと反論の言葉を口に

し!…何ならモツにそんな場面に出会った事が有るのかと!…逆に責める

よう自身の気持ちを理解出来て居ないと言った具合に話をすると、モツも

その言葉に対して返事をする!…


「ハッキリ言ってない!!……けど!!…

その現実に直面した子供達ならたくさん見た!!!…」


「ッ!?……」


モツは断言する様に堂々と返事!…しかし何も見て来て居ない訳では無い!と

更に声を荒げて見せると、更に玲玲を戸惑わせる!…それこそ真剣にぶつかって

来るモツの気迫に圧されたよう!…思わずキョンシー達もその気迫に圧されて

若干後ろに!…だがここで退く訳には当然行かず!…歯を食い縛りただ必死に

モツの猛攻に耐え続けて居ると、モツは自身が目にした体験を玲玲に話す!…


「……正直言って驚いたよ!…

いつもの様に何気ないモンスターの討伐クエストを受けて解決したら!…

涙ながらにありがとう!…って!!…

…思わず驚いて心配して!…それで事情を訊いたらそんな話だ!!…

…ゲームの中だからあんまりそのクエスト内容に目を向けてないけど!…

隠れてこういう依頼が確かにある!!……人を無知蒙昧みたいに!!…

何も知らない!!…自分だけは違うみたいな感じで話をするな!!!」


「ッ!!……ッ~~~!!…

そ、そんな生半可なモノと一緒にするナ!!…

り、玲玲は!…玲玲は!!…」


その際それを見たのはギルドでの依頼がきっかけらしく、いつもの様にクエストを

達成させた所から入り!…と言うのもその依頼者に何か違和感を覚えた様でモツは

質問をしたらしく、帰って来た返事と言うのは先程の話に似た敵討ちの様な話で

有ったと!…つまりは如何言う事かと言うと、それこそ玲玲が言う様なその場面を

見て居ない!と言う言葉に対しての反論で有り!…怒りを覚えた様子で何の気なし

に言って居る訳では無い!と文句を口にすると、玲玲はその気迫に圧されたよう

ビクッとする!…そして次には何か苦悩する様な表情を見せると、続けて自分に

言い聞かせる様に言葉を口にしへ次目!…だがその一方では次なる攻撃が

準備されて待って居り!…その合図を出す様にレイヴンが突如声を掛けると、その

攻撃は玲玲に向かって飛んで行く!…


「ッ~~~……よし!!…モツ!!!…射線を開けろぉ!!!」


__ッ!?…ガキイィン!!!…バッ!!…


「《…その氷はあらゆる物を凍らせ!!…二度と癒えぬ傷を負わせる!!!…

凍てつく氷の道標!!…かの者に地獄への片道を指し示せ!!!…

アイスダッシャー!!!》」


レイヴンはモツが説教を唱えている一方で魔法を唱え!…黙々と身内からも

悟られる事無く魔法の準備をして行くと、準備が出来次第モツに逃げろ!と

声を掛ける!…するとモツもその言葉を聞いて途端にキョンシーとの鍔迫り

合いを弾いて止め、レイヴンの言う通りに射線を開けるよう!…左にドッジ

ロールをして逃げては射線を開け!…レイヴンも射線が開いた所で最後の

詠唱を口にすると、城の中だろうと関係無しに氷柱を走らせる!…


__コオオオォォォォ!!!…ドシュシュシュシュシュ!!!!…ッ!?…


「ッ!?…チッ!!…まさかこんな!?…えぇ~い!!…」


__バッ!!…ババッ!!…ドシュシュシュ!!!…ガキイィン!!…ッ!?…


「……ふぅ……まさかさっきの話はこの為に?…

だとするとやっぱり人間は信用ならないアル!…」


「ッ!?…クッソ!!…まとめて拘束は出来なかったか!!…

…けど忍者だけでも!!……ッ!…」


それは床から生える様にして鋭利な氷柱を量産すると、一直線に玲玲へ向かって

伸びて行き!…だが玲玲とてそれを喰らう訳に当然行かず!…慌てて逃げるよう

それこそ身代わりを自身の前に差し出し!…何とかその向かって来る氷柱から

逃げ切って見せると、スンと元の冷静な様子に戻っては悪態を突く!…その際

身代わりに差し出した者と言うのはあの忍者のキョンシーであって、忍者の体は

氷柱に貫かれるとそのまま凍っては拘束!…もう二度と動かせない状態となって

しまい!…レイヴンも目的と違う事が起きた事で戸惑った様子を露わにし!…

千載一遇のチャンスを逃した!とばかりに慌てて居ると、玲玲はその様子を

尻目にその忍者へ近付く!…


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ……


「……あぁ~あ?…酷い事をするアルな?…もうこれは使えないアル…

使えないモノにお札を貼って有っても仕方が無い…だから……剥がすアル!…」


「ッ!?…ちょっと待て!!…全員見ない方が良いぞ!!!」


__スッ……ビッ!…


それこそ追加で魔法が飛んで来ない気配を察した様子で、その凍った忍者を

見詰めては酷いと…それこそレイヴンを責める様に言葉を口にすると大猫タァマオ

動かし!…徐にその額に貼ってあるお札に向かって手を伸ばして見せると、

次には用済みと言ってお札を剥がそうとして見せる!…するとそのお札を

剥がそうとする光景にレイヴンがハッと慌てた様子で反応すると、次には

その場の全員に向かって見ない様に指示を!…だがその忠告は遅かったと

ばかりに大猫タァマオは忍者のお札を剥がし切り!…剥がし切った所でまるでTRPG

よろしく!…SAN値チェックをしないといけない様な光景を目にすると、

モツ達は途端に青褪めて見せる!…何故なら!…


__ッ!?…グウオオオオオオアァァァァァァァァァァ!!!…


「ッ!?…な!?…」


「ッ!!…ウッ!!…ッ~~~…」


「ッ!?…アヤ!?…と、とにかく見るな!!…アレは本当にヤバいから!…」


大猫タァマオが忍者のお札を剥がした途端、忍者の体はビクンと跳ね!…そこから一際

大きな叫び声を上げたかと思うと、次には身悶える様に痙攣する!…それは宛ら

酷く苦しむ様にのた打ち回ろうとすると、忍者の顔からはこの世ならならざる

モノの様な苦痛の様子が見て取れ!…まるで酷い拷問を受けて居るよう!…

とにかくとても普通とは思えない光景にモツ達が戸惑った様子で反応をして

居ると、アヤは危ない!とばかりに口を押さえる!…するとそんなアヤの様子に

レイヴンもすかさず反応!…アヤを気遣う様に見るなと言い!…となると直ぐに

動ける三人でそのまま玲玲と戦闘を続行!…酷く後味の悪い光景を見て思わず

固まってしまって居ると、暫くして忍者はグッタリとする!…勿論それ以降は

決して動かない!…ただの死体となった様でその場に残って居るのだが!…


__ァァァ!!!……ガクンッ!!……ボゴッ!!…ボゴボゴボゴボゴ!!…


「ッ!?…こ、今度は何が!?…」


グッタリして約数分後位か、その忍者の体は突如生々しい音を立てると変形し

始め!…それはもう人の形を捨てて何か違うモノへと変わって行き!…当然

その様子を目にして更にモツ達が驚いて居ると、忍者の体はもうその時点で

元が人とは呼べないモノへと変貌する!…それこそ今にも自爆しそうな位に

膨張すると、体中に気泡の様な瘤を大量に作り!…しかしだからと言って

忍者の体が破裂すると言った事は無いらしく!…ただ不気味にそのままの

状態でその場に存在し続けると、そんな慌ててふためくモツ達の様子を見て

玲玲は笑う!…


「……フフフ!…当然アル!…キョンシーは言わば人形!…そっちで言う所の…

ゴーレム?…に近いアル!…そんな自分が扱う人形を改造するのも当たり前!…

その際負担も勿論掛かる訳アル!…けどそれを無理やりをお札で封じ!…

無理やり言う事を聞かせているんだからその反動は人形に溜まる!…

…じゃあその押さえて居た物を取るとどうなるか?…答えは簡単アル!…

…自壊する!!…それは変形して異形になったり!…

ある場合は暴走したりするアル!……今回はまだ運が良かったアルね?…

このまま暴れ出したら!…この子達を連れて逃げた所だけど…」


「ウッ!!…ッ~~~~!!!…」


さも当たり前と言った具合に笑うと徐に説明を!…と言うのも玲玲が言うには

キョンシーとゴーレムはよく似て居るらしく、その際動かし易い様に改造も

する!と…だが当然そう言った改造と言うのはその母体である者に負荷を掛ける

事となってしまい、それを無理やりお札で封じ込めて居る事を続けてモツ達に

説明をすると、更に細かな事についても話し続ける!…この時こうなった原因に

ついてもお札に有ると口にすると、お札は言わばコアの役割を担って居たと!…

そして今回は運が良かったとばかりに話すと玲玲はクスクスと笑い続け!…

その一方で忍者の体はとても見るに堪えない状態で野晒しになっており!…

アヤも遂には耐えれなかった様子でリバース!…レイヴンもそんなアヤの様子を

見て途端に慌て出して見せると、一度は戦線を離脱する!…


「ッ!?…ア、アヤ!?…あぁ~アカンわ!!…

ちょ悪いけど一旦離れるぞ!?……アヤ?…大丈夫か?…」


__ギッ…ギッ…ギッ…ギッ…


「……あ~らら?…お仲間さんが減ったみたいアルね?…

…で、如何する?…まだ続けるつもりアルか?…

説教ももう聞く気は無いアル!!…向かって来るなら容赦は!!…」


アヤの視線を遮る様にしてレイヴンが壁に!…その際モツ達に戦闘を離脱するよう

声を掛けると、今にも倒れそうなアヤの介抱に入り出す!…それはアヤの背中を

摩ったりすると、自身のアイテムポーチから薬を用意したりと!…するとそれを

見て玲玲は更に嘲笑うよう言葉を口にし始め!…改めてモツ達に退く気は無い事を

断言すると、キョンシー達を身構えさせる!…それこそ先程みたく奇襲にも警戒

した様子で容赦はしない!と宣言しようとするのだが、突如それを遮る様に

ライザが!…


「……はあぁ~……!!…」


__ッ!?……


何を思ったのかライザは溜息を吐きながら突如ダウトと!…当然これには

その場の全員が戸惑った様子で反応すると、ライザに視線を向けるのだが!…

しかしライザは視線を向けられた所で一切動じる事無く玲玲を見詰め!…

まるで玲玲の心を見透かしたよう!…とにかく何か物悲しそうな表情を

浮かべて全てを理解した様な様子を見せると、そんなライザの様子にモツと

玲玲が更に戸惑う!…


「……え?…」


「ッ!?……はぁ?…急に何を言い出して?…」


「…文字通りの意味やけど?……嬢ちゃん大したモンやなぁ?…

ゲームが違えばある意味で大女優並みの演技力やで!…」


「ッ!?…な、何を訳の分からない事を!!…」


モツに至ってはライザが突如そんな表情を見せた事でえ?…とばかりに固まって

しまうと、思わず本当にライザなのか?と疑い!…玲玲は玲玲でそんなライザの

様子に驚き戸惑い!…一体何が起きて居るのかと分かって居ない様子で呆けて

しまうと、次には動揺を隠したい様子で突如ハッとして見せる!…そして急に

呆れた様な態度をライザに見せて行くと、それこそライザのダウトと言う言葉に

反応したよう言葉を口にするのだが!…ライザはそんな玲玲の言葉に対して全く

動じる様子を見せず!…寧ろ感心した様子で玲玲の事を褒め始めると、更に玲玲を

戸惑わせる!…それは勿論周りに居る面々も同時に戸惑わせる事になるのだが、

ライザは構わず話を続ける!…


__……ギッ…ギッ…ギッ…ギッ…ッ!!…


「……さっきから話を聞かせて貰っとったんやけどな?…

如何にも腑に落ちん所が有ってやなぁ?…ずぅっと考えとってん!…

何でこの子は今こうしてって?…」


この時何を思ったのか徐にライザは玲玲に向かい歩き始める!…すると当然

そんなライザの突発な行動に全員が戸惑い!…モツが慌ててライザを止めようと

腕を伸ばし掛けて見せるが、ライザは構わず話を続ける!…この時玲玲を嘘つき

呼ばわりした理由について話し出すと、その理由にライザ自身納得が行かない

所が有ったと!…更には決して玲玲に騙された事に怒るのではなくその疑問点に

ついて考えて居たと!…その際気になった様子で何かを確認して居たらしく!…

確証を持った上で改めて玲玲の事を嘘つき呼ばわりし始めると、勿論玲玲も

慌てた様子で否定する!…


「ッ!?…嘘じゃないアル!!…玲玲は何も!!…」


「いんや!!…嬢ちゃんは大ウソつきや!!…

現に嬢ちゃんのお母ちゃん!!……まだ生きてるみたいやで?…」


「「ッ!?…え!?…」」×5


それこそ玲玲は子供の様に両の拳を握ると首を左右に振り出す!…宛らそれは

ピーカブーを構えて見せるよう!…某・ボクシング漫画だとそのままデンプシー

ロールに発展しそうなモノなのだが、決してそう言った事は無く!…とにかく

ライザは玲玲の言って居る事を真っ向から否定!…その理由にライザは玲玲の

母親が生きて居る事を何の気無しに口にすると、その言葉で一同はまた騒然と

して見せる!…何ならその嘘を言った玲玲本人も驚いた様子で、目を真ん丸に

見開くと近づいて来るライザを凝視!…その際驚きで固まったようキョンシー達も

硬直して動かなくなり!…近づいて来るライザに対して完全に無防備な状態に

なってしまって居ると、ライザは徐に自身のポケットに手を入れる!…すると…


__スッ……チャリッ!……ッ!?!?…


「これ嬢ちゃんのやろ?…返すさかい!…

…嬢ちゃんはそのままここを出て!…

捕まってるお母さんを迎えに行き!!…」


ライザが徐にポケットから取り出したのはロケットペンダント!…するとそれを

見た玲玲もハッとした様子で自身の首元を触り!…次には今になって気が付いた

様子で無い!と言った具合に青褪め出し!…ライザもそれをキョンシー越しに

挟んで玲玲の元へ返すと、そのまま玲玲の説得に入る!…その際玲玲の母親は

下に居ると言った具合にジェスチャーをすると、迎えに行けと!…だが当然突如

そんな事を言われた所で当面信じられず!…玲玲はライザに対して反応的な

態度を見せると、そんな訳無い!と豪語する!…


「…ロケット!……ッ!!…だ、騙されない!!…

何でお兄ちゃんに私の妈妈お母さんが生きているって!!…」


「……あぁ~っと…それを聞かれると説明が面倒になるんやけどぉ~?…

…まぁ掻い摘んで説明すると俺には特殊な能力が有って!…

君の体から出てる気を元にそれに近い!…似た様な気を探したんや!…

すると如何やろ?…ここの地下辺りに似た様なんが感じられる!…

それも孤立する様にポツンとや!…

…気って言うのは言わば指紋みたいなモンでな?…

絶対に瓜二つの気を放つモンは居らんのよ!…

まぁ精々頑張った所で似てる様なんは出来るやろうけど!…

その程度までしか近付けられんのや!……で、さっきも言った通り!…

嬢ちゃんに似た気を探したら在ったと!…恐らく間違い無い!…

それがこの城の地下から感じられたっちゅう事や!…どや、理解出来たか?…」


__………。


今度は玲玲がライザの事を嘘つき呼ばわりし始めると、その根拠は何かと!…

何やら場面の空気は奇妙な程に可笑しくなり!…モツとグレイも付いて行けない

様子で固まって居ると、ライザもその問い掛けに対して困って見せる!…

と言うのもこれはライザの保有して居るスキルが関係しており、また例に漏れず

プレイヤーには伝わるのだがNPCには伝わらない!…とても説明し辛い!と

言った具合にライザは困惑!…しかし諦めずにとにかく玲玲の母親が無事で

ある事を口にすると、要所要所を端折って説明をする!…気を感じた!…

似ている!…間違い無い!…もはやインチキ詐欺師の台詞の様にしか聞こえて

来ず!…その場の全員がまた困惑した様に固まて居ると、玲玲は続けて質問を

する!…


「……じゃあ玲玲が見たアレは何だったって言うアルか?…」


「ッ!…あれ?…」


「ッ~~!!!…妈妈お母さんの首アル!!…

アレは偽物で!!…私を動かす為の道具だったって言うアルか!?…

……顔は潰れててもう分からなかったけど!…髪型は!!…」


何やら玲玲の表情からは躊躇いの色が!…しかしそれは直ぐに怒りに震える様な

反応に変わり!…ライザにその怒りをぶつける様に質問をすると、ライザは

キョトンとした様子で返事をする!…さも全く動じず!…玲玲の怒りなど涼しい

とばかりに!…だが玲玲はそれでも構わずブチ撒ける!…その際自分が見た

モノ!…それを説明する様にライザへアレは何だったのか!?と詰め寄る様にして

質問をして行くと、その一連の話を聞いたライザはこう答える!…


「いやそれこそ本当に嬢ちゃんのお母ちゃんの首なんか?…

首を見せるだけやったらまず顔潰さんでエェ訳やし?…

第一にもう用済みやったらさっさと始末してしまえばエェ訳やし!…

それこそ殺した事を隠したらエェだけの話やし!…

何なら魔王を操れる程ヤバい道具を持ってる訳やし!…

それで嬢ちゃんを操ってしまえばエェだけの話や!…

…何なら嬢ちゃんが何であんな嘘を吐いたんかが

不思議でしゃ~なかったけど?…

だってあんな作り話をせんでも良かった訳やし?…」


「……おぉ~い、その辺にしてやれ!…

お前が畳み掛けてるお陰でその子フリーズしてるぞ?…

ってかどんだけ息続くんだよ!…それに早口だし…

止めなかったら本当にマシンガンだな?…」


「ッ!…えぇ~?…俺普通に喋ってるだけやけど?…」


ライザは自分より小さい子を相手にやしやしとマシンガン!…一旦疑問を持った

事に対して全部気になった様子で尋ね出すと、逆に玲玲を硬直させる!…それは

捲し立てるとかそう言うモノでは無いのだが、一度ライザは喋り出すと止まる

気配を見せず!…それこそモツがハッと我に返った所でその光景を目視!…

呆れた様子で止めに入った事でライザは漸く止まるのだが!…もしそのまま誰も

止めないで放置して居たらと考えると、ある意味で更に収拾が付かなくなるの

では?…とモツはライザにツッコむのであった!…

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 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

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