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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章三十三節 奇妙なタイミングと修行の続きと足りない言葉-

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ギルドでクロエの騒動に巻き込まれ…確認したかった事も確認した所で一行は

ギルドを後にする。その際簡単な採取クエストを受けてマサツグ達が外に出ると、

そこでふと奇妙な物を目にする。それは本来町に着いた時点で見れる筈なのだが、

今回は違い…何かしらのタイムラグが有った様子で表示されると、マサツグは

それを見るなり戸惑ってしまう。では何がマサツグの前に現れたのかという話

なのだが…

  ------------------------------------------------------------------------

       「泰平国家・秋雲国(オータムクラウド)」

  紅葉溢れるオータムクラウド大陸にある最大都市。それこそ昔は

  小国同士の小競り合いが有って常に戦争が耐えない土地であった

  のだが、とある大名と呼ばれる騎士によって国を統一!…後に

  大国として生まれ変わったのがこの秋雲国である。宙に浮かぶ

  金魚は精霊の一種で、決して戦いを好まず!…その為かこの金魚が

  居ない所では何か小競り合いが有ると言われており!…事件等を

  未然に防ぐ衛兵達の目印としても役割を担って居る。更にこの国は

  現在進行形で今だ成長を続けている最中で、各国の文化を取り入れ

  つつその技術を自分達の物にする…ある種の変態国家とも言われる

  一面を持つ。故にその国の建物や食べ物等!…もしかすると全大陸

  にある国の中でも一番の物流を誇っているかもしれないと言われて

  いる。
  ------------------------------------------------------------------------

「ッ!…え?…急にだな?…てか何で今更?…」


「ッ!……どうかしたの?」


マサツグの目の前に表示されたのはあの名所案内の説明…そこに書かれて有った

のは秋雲国の成り立ちで有り、その他にもあの宙を泳ぐ金魚等…色々な事が

書かれて有るのだが、それよりも気になるのはその名所案内の開示タイミングで

有った!…オータムクラウド国に到着して既にゲーム内時間において約一週間が

経とうとして居るのだが、あまりにも遅く!…マサツグも突然の開示で驚いて

見せると同時に何でこのタイミング?と戸惑いを露わに!…そんなマサツグの

様子にオリハも若干戸惑って見せ!…一体何事か?とマサツグに声を掛けると、

マサツグも何が有ったのかを素直に話す!…


「え?…あ、いや…ただ国の説明が今になって出て来て…」


「……ッ?…国の説明?…」


「ほら、初めての国に入ったりダンジョンに入ったりすると

案内が出て来るだろ?…アレ!…」


「ッ!…あぁ~…って、え?…何でこのタイミングで?…」


マサツグが今目の前で起きた事について話すとオリハは困惑、説明が簡単

過ぎたのか首を傾げ!…そんなオリハにマサツグも更に説明を付け足すよう

言葉を口にし!…改めて如何言う事なのか?をオリハに話すと、オリハも

漸く理解した様子で返事をする。しかし直ぐに違和感に気が付いた様子で、

その表情は疑問模様に変わり!…次にはマサツグと同じ様にそのタイミングが

可笑しいと言い出し、二人揃ってその出て来るタイミングに何か変と感じて

居ると、周りでも何やら変な反応が見られ始める!…


「……ッ!…え?…何でコレが出て来た?」


「ッ!…おいどうかし…うわぁ!!……え?…」


__わいわい…どよどよ…わいわい…どよどよ…


「ッ!?…あれ?…俺だけじゃない?…」


「……みたいだね?…」


それこそマサツグ達と同じ同業者プレイヤー達が一斉に反応!…やはり同じ様に突如

案内が現れた事で驚く様子を見せて居り!…何ならタイミングも一斉に

ではなく若干ラグが多々見られ!…各々がその案内が出て来た事で驚いた

よう露わにして居ると、その様子を見たマサツグ達も改めて戸惑う!…

その際自分だけでない事にホッとする反面、バグか何かと疑い出し!…

だが実際の所これと言った問題は他に無く、ただのラグだと言う事で

この現象も徐々に落ち着きを見せ始めて居ると、フィロやシロが

不思議そうに質問をし始める!…


「……さっきから何をそんなに慌てて居るのじゃ?…

その様な薄いプレート一枚出て来た程度で?…

何かヤバい物でも映って居るのかや?」


「……何も無いのにご主人様が慌ててる?…如何したのですか?」


「ッ!…あ、あぁ!…何でも無い!…

それにフィロもやっぱり見えて居るのか…」


「……ッ?…やはり見てはいけないモノなのかや?…

どれ?…少々中身を…」


__ピョインッ!!…ガッシ!!…ッ!?…


フィロはマサツグがその案内に驚いて居るのが分かって居る様子で声を掛け…

その際案内の事をまるで透明な下敷きの様に言うと、内容までは分からないのか

その内容について質問をする。そしてその一方でシロもマサツグの様子が

可笑しい事に気が付くと、さすがにフィロの様に案内は見えて居ない様子で…

しかしマサツグの様子が心配なのか同じ様に質問をし始め!…マサツグもそんな

二人からの質問に対して何でも無いと答えると、改めてフィロのメタ能力に

驚きを覚える!…今までのショートメールの覗き見に、今回の下敷き発言…

とにかく何故見えるのか?と…マサツグが不思議に感じて居るとフィロは

その下敷きに興味を持ったのか、徐にマサツグへ飛び付き横から覗くよう

その案内の内容に目を通し始めると、直ぐに興味を失った様子で溜息を吐く!…


「…ふむふむ……ッ!…ハアァ~…

なぁんじゃ…その程度の事か…

わっちはてっきり猥談でも書かれて居るのかと…」


「ンなモンいきなり他人から送られて来たらビビるっての!!…

とにかく!…何で今更?…まぁ良いか…で?…受けた採取クエ行くのか?」


「ッ!…そうやねぇ~…別に期限がヤバいって訳でも無いし…

もう少し後でも…」


何か違う興味を持って居た様子で、期待とは裏腹に書いて有った文章につまらんと

言い!…それも求めて居たのは猥談と言い出し!…マサツグもそのフィロの一言に

すかさずツッコミを入れると、呆れて見せる!…その際何も知らないシロから

質問が飛んで来るのを恐れると、無理やりフィロとの話を切り!…オリハにギルド

で受けたクエストについて行くか?と話題を変えるよう尋ねるのだが…オリハは

そんなに慌てて居ない様子でまだいいとマサツグに答えようとすると、その会話に

交じるよう何処からともなく声が掛かる…


「……ならワシとまた修行でもせんか?」


「ッ!?…この声は?……ッ!…ジッチャン!!」


「ッ!?…貴様!!…また師匠の事を!!…」


「落ち着かんか!!…実際にもうジジィじゃろうに!…」


それはマサツグ達の背後より聞こえ、更にはその声に事態に聞き覚えも有り!…

当然その声が聞こえた事でマサツグも反応!…別に慌てる訳でも無いのだが

機敏に振り返り、そこで杖を突いているヴェルとグレイが揃って立っている

姿を見つけると、マサツグはグレイを無視してヴェルの事をジッチャンと呼ぶ!…

するとそのマサツグのヴェルの呼び方でまたグレイがカチンと来た様子を

見せると、すかさず突っ掛かりに行こうとするのだが!…ヴェルが察した

様子で制止を促し!…自身がジジィである事を認めようとすると、グレイは

違うとばかりに反論をする!…


「ッ!!…そこに文句を言って居るのではありません!!

少なくともコイツは自身の師匠に対してあの様に舐めた口の利き方を!!…」


「……はて?…ワシはいつこの者を弟子に取ったかのぅ?…」


「ッ!?…なっ!?…」


「ワシはただ興味本位で技を教えとるだけじゃぞ?…

確かにこの者には才はあるが…

それで弟子を取るかどうかに関しては何も言って居らん!…

それは本人の自由であり!…今こうして誘って居るのは…

ただの老いぼれの戯れと暇つぶしじゃよ?…ふぉっふぉっふぉ!…」


グレイはマサツグの態度に文句が有るとヴェルに話し!…その理由にヴェルの

弟子であるにも関わらず「軽い!…」と言おうとするのだが!…ヴェルは

そのグレイの言葉に対してスラッ恍け!…マサツグを弟子に取った覚えは無い

と返事をすると、その返事を聞かせたグレイを戸惑わせる!…そうして戸惑って

居るグレイに改めて説明をするよう言葉を口にすると、マサツグに技を教えて

居るのはただの自己満足と言い!…もっと簡単に言うと自身の暇つぶしの為だと

グレイに話して笑って見せ!…そんな話を笑いながら話されたグレイもただ

戸惑った様子で棒立ちすると、ヴェルの気まぐれに困惑して固まってしまう!…

さてそうしてグレイが落ち着いた所で話を元の方向に戻し出すと、ヴェルは

改めてマサツグに質問をし!…


「さて、如何する?…勿論断ってくれても構わん!…

やる事は昨日と同じで[動きを看破]するもの!…

お主が一方的に襲って来るのをワシが避ける!……どうじゃ?」


__ッ!……チラッ?…ッ!……コクリッ…


受ける受けないは自由と話し、更には修行内容も昨日と同じ!…[動きを看破]

する能力を身に着けるモノとマサツグに説明をすると、何やら試す様にニヤッ

と笑って見せる!…それはまるでマサツグの事を煽るが如く!…当然マサツグも

そんなヴェルの様子にピクっと反応して見せ!…次には後ろに居るオリハに

時間は良いか?とばかりにアイコンタクトを送り!…オリハもその視線を感じて

マサツグに返事をするよう軽く一回だけ頷いて見せると、マサツグもそれを

見たのち挑発に乗っかる!…


「…分かった!…じゃあその暇つぶしに付き合いましょう?…

…今度こそジッチャンに一太刀!!…」


「ッ!…ふぉっふぉっふぉっふぉっ!!…

果たしてお主に出来るかのう?…」


マサツグはやる気を出した表情を浮かべるとヴェルの修行に乗っかり!…

今度こそとばかりに意気込み出すと、その様子を見たヴェルはまたもや笑う!…

まるで若い者はそうでなくては!とばかりに笑い続けると、次には不敵な

笑みを浮かべて見せ!…更にはマサツグを滾らせる様に挑発の言葉を口にし!…

当然それを聞いたマサツグも更に真剣な表情を浮かべると、一行は修行を

するため外に向かう!…固まるグレイをそのままに!…互いに同意した所で

一同は昨日と同じ平原向かうのだが!…オータムクラウド国の外に行こうと

するその道中!…ふとマサツグがある物を見つけると、マサツグは吸い寄せ

られる様に!…そのある物に近付いて行く!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ッ!…


「おっ…コイツは…」


「ッ!…ん?…如何したんじゃ?…

何か気になるモノでも……ッ!…」


__フォンッ!!…


「…うん…訓練用に買って行こう。」


マサツグが立ち寄って行ったのはとある土産物屋…そこには特産品の他に

お菓子やその土地ならではの置物に玩具と、色々揃って居るのだが!…

中でもマサツグがそそられたのは店先に籠で用意されている物であり!…

ヴェルやオリハ達もそんなマサツグの様子に気が付いた様子で足を止めると、

視線をマサツグに向け始める!…その際ヴェルが興味を持った様子で声を

掛けると、マサツグの持って居る物に目を移し…するとマサツグの手には

まるで修学旅行生の様に木刀が一本握られており!…マサツグはそれを軽く

素振りしたのち訓練用と言って購入をすると、何食わぬ顔でヴェルの元へと

戻って行く!…するとそれを見たヴェルも不思議そうな様子で…


「……ッ?…

別に買わんでもそれ位の棒切れならそこいらに落ちとるでは無いか?…」


「ッ!…いやいや!…確かに棒切れなら落ちてるけど!…

丁度良い重さに固さ!…あと真っ直ぐ具合とか…

ちゃんと整った奴ってあんまし落ちてないのよ!…

それを探し出すのに時間を掛けるとか!…

それだったら最初からここで木刀を買った方が早いかなぁ~って?…」


ヴェルは凶器を手にした事に対して怒るのではなく、ただ単純にお金が

もったいないと!…それこそ外に出れば沢山落ちて居ると言った具合に

質問をし、マサツグもその質問を受けて一々探すのが面倒と言うと、一旦

腰に佩いて居た刀をインベントリに!…そして先程買った木刀を腰に

佩く!…そうして改めて準備万端と言った具合に受け答えをすると、

まるで仁王立ちする様にヴェルの前へ立って見せ!…するとヴェルは

そんなマサツグの様子を見て如何解釈をしてしまったのか?…マサツグが

やる気を更に漲らせて来たと誤解した様子で受け取ると、ヴェルもそんな

マサツグに警戒をした具合でニヤリと笑う!…


「ッ!!…なるほどのぅ?…それだけ本気と言う事か!…

…よかろう!…出来るまで付き合ってやるとするか!…

昨日と同じく!…影の剣を使ってワシを追い込んでみよ!…」


「ッ!…言われなくても!!…」


それはまるで自分に対し本気で向き合おうとしている様に感じたのか、

年甲斐もなくワクワクとした様子を見せ!…遂には更にマサツグを

煽るよう言葉を口にし!…マサツグもその言葉を聞いて更にやる気を

漲らせて見せると、二人の間はまるで少年漫画宜しく熱血になる!…

そしてそれを傍から見せられて居るオリハ達はと言うと、とてもとても

ドライな様子で…


「……何をしてるの?…」


「…さぁ?…良く分からんのじゃ?…」


「ッ?…」


二人の様子を見てはオリハが呆れ…理解出来ない具合に質問をすると、フィロも

付いて行けないとばかりに返事をする!…その手に展開には疎いのかフィロも

お手上げと言った仕草を見せ…シロはシロで全く分かって居ない様子…ただ二人に

対して首を傾げて見せると、不思議そうにマサツグとヴェルの顔を覗き込んで

居た。さてそんな一場面を土産物屋の前で繰り広げて居ると、グレイが徐に…

オリハ達と同じく呆れた様子で頭を抱え出し!…ヴェルやマサツグを急かす様に

時間が惜しいとばかりに声を掛けると、何やらイラついた様子を見せて居た!…


「……はあぁ~…師匠?…

久々にお熱くなられている所申し訳ありませんが…

早く行かないとその修行の時間が減りますよ?…

大体門下生でも無い者をわざわざ鍛える等…」


「ッ!……何じゃ?…最近構ってやれんで拗ねて居るのか?」


「ッ!?…こ、子供みたいに言わないで下さい!!

ただ私は!…私は師匠の様に孤高の剣士に!!…」


この時のグレイは貧乏ゆすりをする様に地団太を軽く踏み!…恐れ多くも師匠に

口答えをするよう声を掛けると、ヴェルもそれに反応してはグレイを揶揄う!…

まるでグレイの心中を察して居るかの様に意地悪な笑みを浮かべ!…すると

グレイは図星を突かれたかの様に顔を赤くして見せ、慌ててヴェルに対して違うと

反論をすると、言い訳を口にし始める!…その際グレイが目指す剣の道とは、

孤高なモノで有るらしく!…そんなグレイの理想にヴェルはこれまた意地悪そうに

笑いながら返事をして見せ…一応は理解した様子で外に行くと事再度急ぐと、

ふと思いついた様子でオリハに声を掛け出す!…


「ほほ~う?……まぁいいわい!…

じゃあとにかく町の外に行くとするか!…

ついでじゃしお嬢ちゃんも修行するかね?…」


「ッ!…え?…私?…」


「…見た所お嬢ちゃんもその馬鹿デカい刀を振り回して居る様に見える!…

…まぁ剣と言うのは基本動きに構えと大体は同じ!…

その基本だけでも心得ておくだけで全然違うと言うものじゃ!…

…まぁ無理にとは言わん!…少し見ておくだけでも違うと思うが?…」


ヴェルはふと思い立った様にオリハへ声を掛けると、同じ様に修行をするか?と

尋ね!…するといきなりそんな事を尋ねられた事でオリハも突如困惑し始め!…

ただたどたどしく自身を指差し、ヴェルに自分が?と確認をするよう返事をする

と、ヴェルは笑いながら頷いて見せる!…そしてヴェルはオリハが野太刀を

持って居る事を指差しながら話し出すと、基本だけでも違うと言い!…その際

やはり無理強いはしない様子でオリハに修行の話を続け!…ただ見て居るだけでも

その成果は全然違うとオリハに豪語して見せると、オリハは困惑しながらもその

誘いに返事をする!…


「……じゃ、じゃあ見て見るだけ…」


「ッ!…よし!…なら決まりじゃな!…では急ぐとし…」


「ちょ!…ちょっと待って下さい!…また勝手にそんな事を!…

…それにこの者は!…我々の修行に付いて来れなど!!…」


「ッ!!……ねぇ?…今なんて言いました?」


「ッ!…え?……ッ!?…」


戸惑いながらも誘いに乗り!…女子が増えた事でヴェルが更にやる気を見せると、

善は急げ!とばかりに平原を急ぐ!…しかしその前にグレイは異議を申し立てる

よう声を掛けると、ヴェルの勝手な判断に文句を言い!…更にはオリハが女性で

ある事を理由に!…自分達の修行に付いて行けない様な事を口にしようとすると、

次にはオリハがピクっと反応をして見せる!…その際グレイの話を遮るよう

オリハが言葉を口にすると、文句が有る!とばかりにトーンを低く話し掛け!…

すると当然そんなオリハの様子にグレイも困惑!…一体何が?と言った具合に

視線を落とし、そこでオリハの鋭い眼光が自分に向けられて居る事で戸惑って

見せると、オリハは更に言葉を続ける!…


「今なんて言いました?…だから?…

女性だったら何だって言うんです?…まさか馬鹿にしてるんですか!?」


「ッ!?…い、いやそう言う訳では!…ただ貴方の事を労わり!…」


「……あ奴は何故こうも口下手なのか?…

剣の道だけでなくそう言う所も学んで欲しいモノじゃが?…」


「あ、あはははは……」


オリハの中身は男であり、決して女の心を持っているとかそう言う特殊な人間ニューハーフ

でもない訳で…ただオリハと言うキャラを扱う以上!…オリハの中身として

ロールを演じている訳で有り!…先程のグレイの言葉が女性蔑視の様に聞こえ!…

それに対してグレイに真っ向から文句を言うよう突っ掛かって行くと、そんな

オリハの様子にグレイもタジタジになってしまう!…そして慌ててオリハに

対して言い訳を口にし始めるのだが、オリハの怒りは収まるどころか更に燃え!…

そんな様子を見ているヴェルも呆れ!…マサツグもあぁ~あ…と言った具合に

苦笑いをして居ると、更に話はややこしくなる!…


「…だったら私の実力を見せようじゃないですか!…

その貴方の言う女性が如何程の者なのかを!!…」


「ッ!!…さ、さっきの言葉に非礼が有ったのならお詫び申し上げます!…

…ですがそれ決闘に関してはお受けできません!!…

それは!…」


「ッ!?…またそうやって馬鹿にする!!…

…いいでしょう!!…後悔させてあげます!!…」


「い、いやだから!!…私は受けないと!!…」


ついにはオリハが実力行使に出る羽目に!…グレイに対して挑戦状を叩きつけ!…

するとグレイもグレイでそのオリハの挑戦状に慌ててふためき!…しかし実力差が

有る事に関しては絶対に譲れない様で!…オリハを労わり決闘は受けない!と言う

と、オリハはその言葉で更に怒る!…そうなって来ると無理やりにでも仕掛ける!

と言った様子で言葉を続けるのだが、グレイは慌てて戸惑いながらも断り続け!…

だが幾ら話し合った所で話はいつまでも平行線を漂い!…ついにはフィロがその

喧嘩を煽る様に言葉を口にし始めると、ヴェルがある事を提案する!…


「…そうじゃそうじゃあ!!…女子おなごをナメるでないぞぉ~!!」


「……はあぁ~…仕方がない!…このままでは一向に話が着かん!…

これも奴の責任!…いっそその立ち合いを受けよ!…」


「ッ!?…し、師匠!?…し、しかし!!…」


「勿論真剣を抜く訳には行かん!!……スマンがお主ぃ~…さっきの…」


まるでオリハを女性代表にするようフィロが煽り!…ヴェルもそんな状態に呆れ

溜息を吐き出すと、話が終わらない事に辟易とする…そして仕舞いにはヴェルが

代わりに認めるよう立ち合いを承諾すると、その責任をグレイに!…すると当然

グレイはその決定に慌てて見せ!…ヴェルの方に振り向き文句を言おうとする

のだが!…ヴェルは当然話を聞く事無く話しを進める!…その際実際に剣を抜く

訳には行かない!と言うと、マサツグにある事を頼もうとするのだが…


「…こうなるかと思って先に買って来たぞ?」


「ッ!…あ奴と違って気が利くのぉ~!…

…まぁとにかく!…今は平原に向かうだけじゃ!…」


マサツグは既にこの展開が読めて居た様子で土産物屋へ!…そこでヴェルと

オリハとグレイの分…それぞれ木刀を購入して両手に抱えながらヴェルの元に

戻って来ると、先に買って来たと返事をする。するとそのマサツグの対応に

ヴェルも思わず感心をすると、改めて一行は平原へと向かい!…その道中

当然オリハとグレイはギスギスしており!…マサツグとヴェルもそんな二人の

様子に呆れつつ先頭を歩いて居ると、シロとフィロも居た堪れないのか

マサツグの隣にやって来る!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……


「……うぅ~…ごしゅじんさまぁ~…」


「ッ!…大丈夫だシロ!…何か有ったら俺が守るからなぁ?」


「ッ!…わ、わっちも怖いぃ~!…」


「…お前は煽る程に余裕だったろ!!…ったく!…」


後ろから感じる不穏な気配にシロは怯え!…マサツグに助けを求めるよう

足にしがみ付くと、マサツグもそれに気が付いては大丈夫!と声を掛ける!…

その際歩き辛いと言った様子でシロの事をヒョイっと回収すると、まるで

子供をあやす様に抱っこし!…するとそれに反応してフィロも突如怖がる

様な素振りを見せ!…同じ様にマサツグの脚にしがみ付き出すと、逆に

マサツグからツッコミを受ける!…それでもマサツグはフィロの事も回収

するよう腕を伸ばし器用に持ち上げ出すと、フィロの場合はおんぶし!…

そうして子供二人をそれぞれ抱えたまま平原へと向かい!…その道中一切

降ろす事無く歩き切って見せると、ヴェルからある意味で驚愕される!…


「…よいっしょぉ~!…着いたぁ~!…」


「……お主中々にタフじゃな!…」


「ッ!…え?…」


昨日と同じ場所まで辿り着くとシロとフィロを降ろし!…一息吐くよう大きく

伸びをしながら着いたと零すと、ヴェルから驚いた様子で声を掛けられる!…

何故なら長時間子供を抱えて歩く場合、腕が疲れて来てはその都度持ち替えたり

何なりする筈なのだが!…マサツグの場合は一切ブレず!…まるでもう抱っこや

おんぶに関しては達人の域に達したよう!…その安定具合を見せると、その抱え

られてる二人も落ち着く様子を見せて居たからであった!…そしてその二人を

抱えていた当の本人もと言うと、息を乱す事無く伸びをしており!…その体力と

安定感にヴェルは感心を抱き出し!…思わず素直にマサツグの事を褒めて見せる

と、今までそんな事で褒められた事無いマサツグは戸惑った様子で返事をする!…

さてそうしてマサツグが予想外の事で褒められている一方で、同じく平原に辿り

着いたオリハとグレイはと言うと!…


「……さぁ!…平原に着いた事だし…早速始めましょうか?…

誰の邪魔も入らない内に!!…」


「ッ!?…ほ、本当にやると言うのか?…

今からでも止める事は!…」


「先にそっちから吹っ掛けて来た喧嘩でしょう?…

まさかその女性に!…のが!…

怖いんですかぁ~?…ビビィってるんですかぁ~!?!?」


「ッ!?…グッ!!…いいだろう!!

そこまで言うのならこちらも容赦はしない!!…

それ相応の覚悟をして貰おう!!!」


もうオリハはやる気満々なのかグレイに対して身構えて見せ!…さっさと始める

よう言葉を口にすると、グレイを急かす!…しかし肝心のグレイはと言うと、

やはり女性(男)と戦う事に気が引けているのか消極的で…今からでも遅くは無い!

とばかりに止めるようオリハに声を掛けるのだが、オリハはその言葉を聞いて

逆にグレイの事をヘタレと言う様に煽り出す!…その際その煽り様はと言うと、

見事なまでに相手を馬鹿にする!…何なら某・神と人間が一騎討つをする漫画に

出て来る戦乙女の様な煽り様を見せて居り!…そこまで煽られてはグレイも

カチンと!…オリハに対し怒りを覚え!…漸くやる気を見せるよう言葉を口に

すると、身構えて見せる!…するとそんな二人に対してマサツグも呆れると、

二人に……


「……おい!…まさか真剣でやり合うつもりか?…

まだオメェらにこれ渡してないが?…」


「ッ!…あっ…」


「ッ!…クッ!…それを寄こせ!!」


「……それが人に物を頼む態度かよ!……まあいい!…ほれ!」


マサツグは身構える二人に対してツッコミを入れ!…まだ木刀を渡して居たい事を

改めて告げると、身構える二人は揃ってハッとする!…それこそマサツグが声を

掛けなければ本当に真剣同士での死合が始まる所で!…オリハはハッとした表情で

グレイに視線を…グレイもツッコまれた事でコケる様に戸惑って見せ、マサツグに

早く得物を渡す様に命令すると、そのグレイの言葉に文句を言う!…

だがマサツグもそこは大人になるよう一度は流すと、二人にそれぞれ自分用の木刀

を投げ!…マサツグが投げた木刀は弧を描く様に二人の元へ!…オリハとグレイが

それぞれ受け取ったようその飛んで来た木刀をキャッチして見せると、改めて

二人は構え直す!…


__フォン!!……パシッ!!…スチャッ!!…


「……本当に良いのだな!?」


「…いつでも?…こっちも負ける気はサラサラ無いんで!!」


「……ジッチャンどうしよっか?…」


「…うぅ~ん…まぁ成る様にしか成らんて…

最悪ワシ達が止めに入らねば!…」


「…ですよねぇ~……はあぁ~…」


最後の最後!と言った様子でグレイが確認!…そのグレイの言葉に対して

オリハも返事!…この時相手が誰であろうと負けない!と言った気概を

見せると、野生の獣が如くグレイを睨み!…マサツグも木刀を二人に渡した

所でシロとフィロの居る元へ…するとそこには丁度ヴェルも立って居り!…

最悪の事態を想定してマサツグはヴェルに相談し始め!…その相談に対して

ヴェルもどうしようもないと呆れて言うと、最悪二人で止めると!…当然

それしかないよな?と言った具合にマサツグも返事!…そして事態が

こうなった事に対して呆れるよう溜息を吐くと、ただ二人の仕合を見守る

のであった!…

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