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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章十一節 落石撤去と葛の根と道具屋マサツグ-

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共に邪魔者を排除した所で無事合流を果たす!…と言ってもマサツグもフラフラで

ライザも満身創痍!…とりあえず倒れているライザの治療をマサツグがし始め!…

その際気になるは同じ様に倒れている忍者の姿で、同時にあたり一帯に手裏剣やら

苦無やら…とにかく爆発でもあったかのよう散乱している光景を目にすると、

戸惑いを覚える!…それはパッと見ただけでも激しい戦闘があった事を当然の様に

物語っており!…マサツグもそんな光景を目にしつつただただ何が有ったのか?と

疑問に感じて居ると、ライザはそんなマサツグを見て口を開く…


「……そこに倒れとる忍者に襲われた…」


「ッ!?…え?…」


「マサに言われて先にここに来たらこいつ等が居って!…

それこそ敵意むき出しで苦無投げて来よったから返り討ちにしたけど!…

ちっとばかし疲れたわ!…」


「………ッ!…い、いや襲われたって!!…

ま、まぁこの惨状見る限りそれしかないが?…」


マサツグから貰った回復ポーションを手に襲われた事を話し!…マサツグも突如

そんな話をされた事で戸惑って見せると、ライザは話しを続ける!…この時話を

聞くと如何やら一応向こうから襲って来た事を口にするのだが、話を聞いて居る

マサツグとしては疑問を覚える内容で!…その疑問と言うのも忍者がここに居る

と言う事で有り、何を目的でここに居たのか?と考える一方で…ライザのケロッ

とした態度にツッコミを入れて居ると、ライザはポーションを飲み切る!…


__キュウウゥゥ!!……ぷはあぁ~~!!……バギャン!!……


「…とにかく!…時間が無い事には変わりない!!…

さっさと薬草探してこっから出るぞ!!……っと言っても!…」


「ッ!……あぁ…そうだな?…」


__ヒュオオオォォォ!……この状態でどうやって探せば良いんだろうか?…×2


まるで酒飲みみたくポーションを飲み切り!…ゴミにならないようその

ポーションの空き瓶を粉砕すると、ライザはフラ付きながらも立って見せる!…

その際ライザ自身時間を掛けてしまった!と言った様子で焦りを見せるのだが、

それも途端に戸惑いの表情…何故なら辺りは先程の忍者との戦いのせい…爆風の

せいで荒れており、その薬草らしき影も何処にもなく!…言葉に詰まった様子で

ライザは慌てて辺りを見回し!…マサツグもそれに同意するよう困惑の様子を

見せて居ると、二人揃ってどう探すかで悩み始める!…この時空しく空洞音だけが

聞こえて来る一方で、当然の如く諦め切れず!…徐にマサツグは感知サーチを使って

気配を探り大体の目途だけでも立てれないか?と考えるのだが…


「……感知サーチ!!」


__ピィーン!!!…ヴウン!!!…


「ッ!…反応が!!……で、でも…」


「……まさか…アレ?…」


マサツグの感知サーチは見事に功を奏し、恐らくその薬草の群生地らしき場所を

見つけるのだが!…ミニマップ上では一番奥の壁際に、しかし目視では

大岩によって遮られ!…それももしかすると下敷きになって居るかも

しれない状態で投影されると、マサツグは焦りを覚え出す!…それこそ

やはり忍者の爆発の影響か、その大岩はちっとやそっとでは簡単には

動かせそうもなく!…マサツグの視線にライザも気付き!…その大岩を

目にしてマサツグに尋ねるよう焦りを覚えつつ指を差すと、マサツグも

静かに頷いて見せる!…


__……コクリッ…


「ッ!?…ま、マジかよ!?……はあぁ~…ッ~~!!!

このクソ忍者!!…ろくな事せんやっちゃな!!…

いっそホンマに止め刺しといたったら良かった!!…」


「ッ!!…お、落ち着け!!…

とにかくあの落石を何とか出来ないかやってみよう!…

まだ全部が駄目になったって決まった訳じゃない!…」


「……せやな!…よし!…いっちょやるか!…」


マサツグが悲観した様子で頷くとライザも察し!…戸惑いの声を上げて

同じ様に悲観の表情を浮かべると、次には忍者に対して怒りをぶつける!…

その際まだ止めを刺して居ない事に後悔を覚え!…今からでも遅くは無い!

と拳を構えるのだが!…マサツグが慌てて止めに入った事でライザも制止!…

気絶している忍者を構って居る場合では無いと改めると、二人は揃って

その目の前の落石に目を向ける!…この時その落石の大きさはゆうに2~3m

は超えており、勿論ちょっとやそっとでは動く気配を見せず!…その他にも

細かい落石がチラホラと!…まずはその自分達でも如何にか出来そうな落石

から処理をし始めると、適当に岩を投げる!…


__……ガッ!!…ゴロンッ!!…ガラガラッ!!…ブオン!!…


「よっと!!……結構重いな!…

こりゃ時間が掛かるぞ!……」


「……いっそあの忍者の体調べて爆薬でも探すか?

一気にドカンと!…」


「そんな事したら薬草までドカンと行っちまうかもだろ?

地道にやって行くぞ?」


「うひぃ~!……やっぱ止めを刺しとけばよかった!…」


とにかく細かい物から投げたり転がしたり!…普通に重労働な撤去作業を二人は

熟し!…この時時間が掛かる事も覚悟して言葉を呟いて居ると、ライザがある

提案をし始める!…その提案と言うのは後ろで気絶している忍者の事で、爆薬を

探して一気に除去と!…しかしそれを聞いたマサツグは普通に反対!…もし薬草

にまで被害が及んだらとライザに言うと、ライザも諦めた様子で言葉を呟く!…

その際ライザはまだ怒りが治まって居ない様子で止め!…と言うと、手に持った

岩をジッと見詰め!…マサツグもマサツグでそんなライザの様子に警戒をし!…

一応いつでも押さえに掛かれるよう横目にライザを確認して居ると、ライザは

思い止まった様子で岩を捨てる!…


__……ブオンッ!…ガッ!!…ゴロゴロ…


「…ンないに見んでもやらんわい!…既にくたばってるも同然の奴!…

それよりも!…もっとペースを上げんぞ?…病気の子が待ってんねんやろ?」


「ッ!…あぁ!…こんな所で弱音なんざ吐いてられっか!!」


__ガラガラ!!…ゴロゴロ!!…


この時マサツグの視線にも気が付いて居た様子で、ライザはマサツグにツッコむ

よう大丈夫と言い!…それよりも今は落石と意気込み!…マサツグを焚き付ける

様にシロやフィロの事を口にすると、マサツグもその事を言われて躍起になる!…

その際シロとフィロの顔を思い浮かべると、今までの疲労など忘れた様子で!…

徐々に徐々にと落石を撤去!…それと同時に地面が見え、マサツグとライザも

それに気が付いた様子で更にペースを速めると、遂に難関にぶつかってしまう!…


__ガラガラ!!…ガラガラ!!……


「…ふうぅ~…粗方撤去は出来たと思うが……」


「……やっぱコイツが邪魔やな?…

もうすぐそこまで見えてんのに……崩して撤去する他…」


「……無いだろうな?…はあぁ~…」


草が生えていそうな地面が見え、他の落石等も撤去出来た所で最難関!…

あの2~3mの大岩がマサツグ達の邪魔をする!…如何にも薬草だけを探し

回収しようにも、オブジェクトが重なり合う様にして邪魔をし…結果として

撤去しない事には探せず!…二人もそれを理解した上で大岩を見詰め!…

二人で最後!…と言った様子で言葉を掛け合うと、その大岩の撤去作業に

乗り出し始める!…その際その大岩の両端に二人が別れるよう移動すると、

マサツグは大剣を構えてライザは拳!…それこそ修行をするかの様に構え

始め!…呼吸を整えいざ!と意気込んで行くと、両端から共ラッシュを

掛ける!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……チャキッ!!…スウゥ……


「「……ッ!!…ウオオオオォォォォォォォォ!!!!」」×2


__ドガガガガガガガガガガガガ!!!!…


「「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!…」」×2


まるで息を合わせたかの如く共に動き!…威勢よく大剣を振り、拳を突き

出して行くと!…宛らその様子は某・奇妙な冒険よろしくオ○オララッシュと

なり始める!…そしてそんなラッシュを喰らっている大岩の方はと言うと、

まるで打岩をされているかのよう砕かれて行き!…それこそ一気に砕くのでは

なく細かく!…極力薬草等に被害が出ない様に砕いて行くと、更に二人の

スピードが乗る!…


__ウオオオォォォォォォ!!!!……シャアアアアァァァァァァ!!!!…


「もう少しで!!…もう少しでええぇぇぇ!!!」


「こん位修行で慣れっこだってのおおぉぉぉ!!!」


__ピシッ!!…ピシピシピシッ!!!…バゴオオオォォォォン!!!…


もはや勢いに乗って止まる事は無く!…しかし極力被害が出ない様に!…

それは本当に乗って居るのか?と言いたい所なのだが…とにかく二人が躍起に

なってラッシュを繰り出し続けて居ると、遂に大岩に異変が見られる!…

それは音となって現れると同時に大岩にヒビが入り!…最終的には両側から

ヒビが入って中央で合流!…次の瞬間まるでヒビが交わったよう大岩は横に

割れて激しく音を立てると、マサツグとライザの両者を合流させる!…


__ッ!!…ゴゴゴゴゴゴ!!!…ズダアアァァン!!!…


「……ふぅ!…何とか割れたな?…

…で、これ位ならマサツグでも小さく砕くなり

斬るなり出来るんじゃねぇのか?…」


「それを言うならライザもだろ?…

手伝ってもらうぞ?」


「うっへぇ~!……そこそこ腕痛いんだが?」


岩が割れた事で攻撃を寸止めで止め!…そのままずり落ちる様にして上半分を

地面に転がすと、最後の撤去作業に移り出す!…その際一旦は休憩に入るよう

言葉を口にすると、後はマサツグに押し付けるようライザが言い!…しかし

マサツグは逃がさないとばかりに反論をし!…下半分をライザに押し付け!…

自分は上半分を撤去する様に指で差しながら言葉を続けると、ライザは疲れた

様子で文句を言う!…しかしマサツグはそれを聞き入れる様子はなく、すかさず

上半分の撤去に取り掛かり!…


__スッ…ジャキン!!…


「…どっせい!!!」


__ブオン!!…バゴオオォォ!!!…バゴオオォォ!!!…


「ッ!?…聞く耳なしかよ!!…ったく、しゃ~ないなぁ?…

……って、気ぃ付けばこれ…このまま転がせば退かせんとちゃうんか?…」


休む間もなくマサツグは大剣を構えると掛け声と共に上半分の大岩を砕き始め!…

そのマサツグの撤去する様子にライザも戸惑いを隠せない具合で見詰めると、

自身に腕を撫でながら文句を言う!…しかしそれでも友達の頼みと有れば動く

ようで…マサツグも撤去している事で自分も動こうとすると、ふとある事に

気が付く!…それはライザが担当する事となった大岩の形状に有って、まるで

煮崩れしたジャガイモが如く!…上は平坦下は半球体…回す様にして動かせば

退けれるんじゃと考えると、ライザは直ぐに試してみる!…すると…


__ガコンッ!!…ゴロ…ゴロ…


「ッ!…なぁんや!!…ここまで行ったら動かせそうやん!…

…持った感じ薬草等は潰して無さそうやし?…

このまま気ぃ付けながら動かしたら!…」


__ガゴッ!!…ゴロ…ゴロ……ゴスウゥン!!……


「…ふぅ!…これでえぇやろ!…

…おいマサァ~?…こんなモンでエェやろ…ッ!?…」


案の定大岩を回す様にして動かすと簡単に退かせ、ライザも楽に動かせる事で

パッと明るく!…すると当然楽出来るのなら楽をしようと!…自身の体重を

大岩に掛けつつ淵を持って回し出すと、そのまま群生地帯から大岩を退ける!…

幸いな事に重心はちゃんと中心に有った様で、すんなりと事は運び!…

とりあえず壁際に押し込んでは汗を拭い!…これで薬草を摘めるとばかりに

マサツグを呼ぶと、そこでヘンな光景を目にする!…そしてライザが目にした

光景とは!…


__……コッ…


「ふぅ!…こっちもこんなモンで良いかな?…

よし!…薬草を摘んで行こう!…」


「……なぁ?…何でそないに細かく…

てかレンガになってる?…」


ライザが目にした光景はマサツグが岩でレンガを作っている様子!…この時

きちんと均等に斬り出されては壁際に積まれており、マサツグもそれを見て

満足したよう汗を拭うと、終わった!と返事をする!…そして何事も無かった

かの様に薬草を摘みに行こうとすると、ライザが当然ツッコミ!…何故こんな

物を?…とマサツグに尋ねると、マサツグはその理由についてウキウキに

語る!…


「え?…あっ…あぁ!…

何か上手い具合に真っ直ぐ切れるもんだから楽しくなって!…

これで竈でも作れば暖も取れるし!…料理も!…」


「いやここで一泊するつもりか?…

今からでも急いで戻れば帰れるぞ?…」


マサツグが言うには何でもこの岩は刃の通りが良かったらしく、調子に乗った

と!…その際マサツグはこれで一泊出来る!と喜んでおり、そんなマサツグに

対して当然ライザも更にツッコむよう声を掛け出すと、まだ帰れる!と口に

する!…この時時刻としてはまだ夕方に入る一歩手前で、ライザの言う通り

まだ帰れる時間で!…マサツグもそれを聞いてハッと反応して見せ!…自分の

やった事が完全に無駄だった!と理解すると、悲しげな表情を浮かべる!…


__ッ!………ショボ~ン…


「……いやそんな顔されても何も言えんし!…

とりあえず早よ薬草回収せんかい!…」


「……分かった…」


この時のマサツグの顔はまさにショボ~ンとしており、ライザもそれを見て

戸惑い!…反応に困った様子でライザは続けて文句を言い出し、とにかく

薬草を回収するよう身振り手振りで急かすと、マサツグもショボ~ンとした

表情のまま同意をする…そしてライザによって退けられた元大岩の有った

場所には、やはり地面が!…そこには奇妙な形の葉をした草花が群生して

咲いて居り…よくあの落石で無事だったなぁ…と思いつつマサツグが薬草

らしき草花を二輪だけ回収すると、鑑定アプレェィザァルを発動する!…


__……プツンッ…プツンッ……


「……鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

 ---------------------------------------------------------------------

            霊薬草・癒月葛

             レア度 S

 希少な薬の材料となるつる草。薬となるのは根っこの方で、これを

 乾燥させて粉状に粉砕…そして煎じる事によって漢方薬とされて

 いる。この薬草のお茶を飲むと発汗、解熱、鎮痙剤に効くとされて

 おり、古くから病人の滋養強壮としてよく用いられている。群生地

 も限られて紅葉化石洞窟とここだけで!…これを目当てに冒険者が

 挑むも、兵どもが夢の後となる!…因みにこれ癒月葛の中でも

 上位種…またの名を霊薬種とも言われる分類に入る。

 ---------------------------------------------------------------------


「……如何やらこれで当たりっぽいけど!…

目的は根っこの方やな?…」


「んじゃまぁ…とっとと回収して帰りますか!…

…早くこれをあの子達に!…」


__……ザッコ!…ザッコ!……ズボボボ……スゥ…ジャキン!!…


マサツグが鑑定アプレェィザァルを発動すると当然結果が!…如何やら探して居た物は

コレの様で!…何でも根っこの方に効能が有るよう書かれて有ると、

ライザも見ていたのか声を掛ける!…その際マサツグが出した鑑定結果と

目の前の癒月葛を交互にチラ見して居ると、マサツグも根っこの方に

用があると分かっては徐に大剣を抜き!…そして何を思ったのか

マサツグは大剣で地面を掘り!…出来るだけ根っこを傷付けない様に

二株だけその癒月葛を掘り出すと、茎の部分だけ切り落としてはアイテム

ポーチに仕舞う!…そうして漸く薬を手に入れたマサツグ達は急ぎ宿屋に

戻ろうとするのだが!…


「……さて?…こっから戻らないと戻らないといけない訳なんだが…」


「……正直帰り道覚えてないで?…

なんせこの洞窟何処も彼処も似た様な光景やさかいに…

…てか、構造的に普通逆ちゃうの?…行きが複雑で帰りが簡単!…

ここそれが逆とか!…」


ここで問題が!…マサツグは言わずもがな方向音痴で、ライザは別にそう言った

訳では無いのだが!…この時二人揃って帰り道が分からず、一体如何やって帰る

かで悩み出して居た。何故ならここに来るまでの道中はほぼ一本道みたいな感じ

で来たのだが、帰りは何故かそれこそ葛の根の様に!…如何やらこの洞窟は他の

洞窟と比べて変わっている様で、行きに対して複雑ではなく!…帰りに対して

複雑化している様で、最奥から出口に向かう際!…その今まで見えて居なかった

道が見える様になるらしい!…そしてそれに気が付いたのはここに辿り着くまでの

道中…たまたま振り返った際道が増えて居る事に気が付き!…二人揃ってそれを

確認した後ここに来ており!…出口までの道に特徴が無い今!…如何やって帰るか

で悩んで居ると、マサツグは渋々自身のアイテムポーチを弄り出す!…


「……だよなぁ……じゃあ、とっておきを使いますか…」


「ッ!…とっておき?……ッ!…」


「……ッ!…コイツさ!」


「ッ!?…モ、モグラ!?…何でアイテムポーチにモグラが!?…

しかもこれ何の役に立つん?…」


マサツグはとっておきを出すと言っては突如アイテムポーチを弄り出し!…

ライザもそんなマサツグの言葉に反応して興味を持ち出すと、マサツグの方へ

視線を向ける!…するとマサツグは直ぐにそれを見つけた様で…アイテム

ポーチの中から何故かモグラを!…当然ライザも突如アイテムポーチから

モグラが出て来た事で驚きを示し!…マサツグに戸惑った様子で質問をし

始めると、マサツグはそのモグラを地面に置く!…


__スッ……ザッシザッシザッシザッシ!!……ボコボコボコボコ!……


「ッ!?…あぁおい!!…逃げてもうたで!?…えぇんか!?…」


「あぁ!…これで良いんだよ!…とにかく行こうか!」


「ッ!?…は!?…何処へ行く言うねん!!…迷うぞ!?…」


地面に置いたモグラはすぐさま潜行!…マサツグ達を置き去りにするよう轍を

作りながら出口に向かい!…ライザもそれを見て逃げた!と声を掛けるが、

マサツグは慌てる事無くその様子を見詰める!…その際寧ろこれで良いと言った

具合に返事をすると、ライザにここを出るよう声を掛け!…ライザはライザで

そのマサツグの言葉に困惑し始め!…逆にマサツグが行ったら迷う!と

ツッコミを入れるよう言葉を口にするのだが、マサツグは構わず歩き出す!…

この時マサツグは常に地面へ目を向けて居り、何かを目で追っている様で!…

ライザもそんなマサツグの様子に心配しつつ!…諦めた様子で慌ててマサツグの

後を追い駆けて行くと、次には驚く事になる!…何故なら!…


__約10分後……


「……ほい!…出口に到着ぅ~!…」


「ッ!?…!?…な、何で!?…

ただ地面を見てただけの筈やのに!?…

何で一回も迷わんと出て来れた!?…」


「……あのモグラのお陰さ!」


「ッ!?…え?…」


約十分後!…マサツグ達は何事も無く紅葉化石洞窟から脱出をする!…その際

マサツグは外に出れた事で喜ぶと大きく伸びをするのだが、その一方でライザは

戸惑い!…ただ脱力した様子で何で!?と漏らし!…その理由について考える

ようその場で腕を組み唸り出そうとして居ると、マサツグが先に理由を答える!…

この時マサツグが挙げた理由と言うのは、先程のモグラで!…当然モグラの

お陰と言われた事でライザは更に困惑!…ただマサツグに対して戸惑いの声を

上げて視線をマサツグの方に向けると、マサツグは詳しい説明をする!…


「あれは脱出モグラって言うアイテムで、名前の通りにダンジョンからの

脱出を助けてくれるモグラなんだ!…

特にあんな風に入り組んでるダンジョンからの脱出時には重宝する奴で!…

制限の無いダンジョンなら直ぐに脱出出来る便利道具!…いや動物か?…

まぁ、とにかく1500Gで販売してます!…お求めはマルコ商会で!!」


「いや何の宣伝やねん!!…

…とにかく助かったのは助かった!…何よりモンスターとも遭遇せんとは!…

さぁ!…こっから早よ戻って!!……また何をしとんねや?…」


マサツグが言うにはモグラのお陰らしく、名を脱出モグラと言い!…

そのまんまの名前にライザが驚く一方でマサツグの説明は続き!…まるで販促を

するようライザに値段まで説明をすると、当然の如くライザからツッコミを

受ける!…そして無事外に出れた事でライザも気を取り直すと、急いで戻ろう!

とマサツグに声を掛けるのだが!…その肝心のマサツグはと言うとまたアイテム

ポーチをゴソゴソ!…これまた当然そんな様子を目にしてライザがツッコミを

入れて居ると、マサツグはアイテムポーチから徐にアイテムを取り出す!…


「……あんまり使いたくはないが…

急ぎだからな!…これを!…」


「ッ!…何や?…何に使うんや?…」


「それはハーピィの羽!

町まで一瞬で帰れる便利アイテムなんだが…

でもこれって何処をどう見てもやっぱキメ…」


「ッ!?…言いたい事は分かったけどそれ以上は言うな!!…

言ったらアカン気がする!!!…」


マサツグとしては出来ればお世話になりたくないアイテムで、一つをライザに

手渡し!…ライザはライザでその道具を受け取っては戸惑い始め!…道具類には

疎い様でその手渡されたアイテムについて説明を求めると、マサツグはその

アイテムの説明をする!…この時マサツグがライザに手渡した物と言うのは、

あの「ハーピィの羽」で!…マサツグはライザへ簡単にハーピィの羽の

説明をして見せ!…その際何度見ても某・大作RPGのアイテムに似ている事を

口にしようとすると、ライザが何かを悟った様子でツッコミを入れる!…

さて、ライザからツッコミを受けた所でいざそのハーピィの羽を使用する

のだが!…


__……プルプルプルプルプルプルプルプル!…


「……大丈夫か?…何か冷や汗が豪い事になっとるぞ?…」


「ッ!?…クッ!…これ位!…シロやフィロの事を思えば!!…

ッ~~~!!!…どおぉっせえええぇぇぇぇいい!!!…」


__ブオン!!!…ふわぁ!……ッ!!…


案の定いざ使用するとなるとマサツグは二の足を踏み始める!…その際恐怖で

表情が引き攣ると、冷や汗をダラダラ!…何ならその表情も真っ青になって

おり!…ライザもそんなマサツグの様子を見て大丈夫か?と心配の声を掛けると、

次にはマサツグも吹っ切る様に羽根を投げる!…この時ちゃんとオータムクラウド

国の方へ向けて投げると、マサツグの体は宙に浮き!…ライザもライザでそんな

様子に驚いて見せ!…次にはマサツグがオータムクラウド国に向けて跳んで行く

姿を目撃すると、思わずマサツグが青褪める理由を理解する!…


__バシュン!!!…ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ!………


「……なるほど…確かにお世話にはなりたくないな…

けど一番楽に帰る方法だからなぁ!……ッ!…

てか、投げてから目を瞑れは良いんじゃね?…

……フン!!!」


__ふわぁ!…バシュン!!!…


マサツグがオータムクラウドに向けて飛んで行った瞬間、悲鳴が聞こえる!…

しかしそれも直ぐに遠退いて行くと、辺りは静かになり!…勢い良く飛んで

行ったマサツグにライザも戸惑い!…思わず納得して自身が使う事にも抵抗を

覚えて居ると、ふとある事を思い付く!…それは自身が恐怖を感じない方法で、

単純に目を瞑れば良いじゃないかと!…ライザは早速実践に移し!…マサツグと

同じ様にハーピィの羽をオータムクラウドに向けて投擲すると、目を閉じる!…

すると…


__約5分後……


__ヒュウウゥゥン!!!…ズダン!!……ムック…


「ふぅ~!……着地のタイミングがアレだな?…

分からんのが難点やけど…楽なんは楽やな?…

さてマサツグは……ッ!…」


__ピクッ!…ピクピクッ!…


「……こんな所で寝とったら人の邪魔になるやろ!…早よ行くぞぉ?」


「………相変わらずだな?…」


ライザは無事オータムクラウド国の玄関口に辿り着く!…その際着地が某・殺人

アンドロイドの登場シーンの様になるのだが、ライザは服をちゃんと着ており!…

冷静に使用感を確かめては便利と!…そして先に飛んで来た筈のマサツグの姿を

探して居ると、ヤ○チャをしているマサツグの姿を見つける!…この時マサツグは

まるで殺虫剤を掛けられた虫のよう痙攣しており、ライザは容赦なく急かし!…

マサツグもマサツグで徐々に動き!…何とか立ち直って見せると宿屋へ急ぐ!…

そして!…


__バアァン!!…ハァ!…ハァ!…


「ッ!?…マ、マサツグ!?…それに貴方も!!…て事は!!…」


「あぁ!…見つけて来た!!…これが!!…その例の物だ!!

は、早く!…早くこれを!!…」


「ッ!!…これは!!……後で事情を伺うとして!…

これを使うにはまず乾燥を!!…」


宿屋に戻って来るなり勢い良く扉を開け!…するとそこにはアヤと女将さんが

何やら話を!…しかしマサツグ達が飛び込んで来る様にして入って来たので

注目はマサツグ達に!…アヤはマサツグ達が戻って来た事でハッと悟ったよう

声を掛けると、マサツグはそれに対して息を切らしながら返事をする!…

この時急ぎアイテムポーチからあの癒月葛を取り出すと、マサツグはアヤに

手渡し!…するとその様子を見ていた女将さんも反応!…直ぐに状況を察した

様子でその癒月葛の使用方法について語り出すと、アヤが急ぎ術を使う!…


「ッ!!……《火の精霊よ!…この根に渇きを!…》」


__ククククッ…プシュウウゥゥ!!!……ッ!?…


「……乾燥具合はこれで良い!?」


「ッ!!…え、えぇ…ではそれをこちらに!…直ぐに用意しますで!…」


アヤはお得意の精霊魔法で一気にその根っこを乾燥させ、具合を女将さんに

尋ね!…女将さんもそれを間近で見た事で驚き戸惑い!…アヤの問い掛けに

対してワンクンション戸惑いを挟んで返事をすると、その癒月葛の根を

受け取って厨房に向かう!…その際先にシロ達に居る部屋へ向かうよう言葉を

残すと、パタパタと足早に駆けて行く音だけが聞こえ!…マサツグ達もその

指示に従い!…シロ達の部屋へと急ぎ戻ると、その薬が届くのを待つので

あった!…

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俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
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よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
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 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

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俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
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『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

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