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-第四章-オータムクラウド国編-

-第四章八節 紅葉化石洞窟と奇妙な蜂と楓の樹-

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道中邪魔をして来たトレントを退け!…舗装された道を見つけると目的の山脈を

上る!…そしてその山脈の中腹あたりで何やら洞窟を見つけると、入り口は

琥珀色をした岩で出来ており!…マサツグ達はその洞窟の入口付近で…軽く洞窟を

覗いて一時の安全を確認すると、呼吸を整えていた!…何せずっと走りっ放しで

ここまで来た為、TP的にも限界で…そしてその目の前に見えて居る洞窟こそ

マサツグ達の目的の場所で、「紅葉化石洞窟」と言い!…マサツグ達はそんな

洞窟を目の前に!…若干の緊張を覚えつつ呼吸を整えると、いざ一歩前へ!と

踏み出そうとして居た!…


「……この奥に薬草が!…ふうぅ~…

待っててくれよ!!…シロ!!…フィロ!!…」


「気ぃ付けて行くぞ?…さすがに俺もここは初見やさかいに!…

常に警戒を怠るなや?」


「……わぁってるよ!……行くぞ!…」


シロとフィロの無事を祈りつつ自身に気合を入れ!…ライザもそんなマサツグに

気負い過ぎないよう!…かつ注意をする様に声を掛けると、自分でも辺りを

警戒する!…この辺りに詳しいライザでもこの洞窟は初めてらしく!…いつでも

身構えられる様にグローブを握り!…マサツグもマサツグでライザに返事!…

いつにもまして真剣な様子で返事をすると、マサツグとライザは洞窟の中へと

入って行く!…そしてそこで目にしたモノとは!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!?…


「ッ!?…な!?…なんやここは!?…」


「…おいおいマジかよ!……」


  ------------------------------------------------------------------------

           「紅葉化石洞窟・青の紅葉」

  オータムクラウド国の東に位置する山脈…紅葉連山に有る洞窟。

  この洞窟は全てが紅葉連山に自生する紅葉樹の樹液より出来紅

  琥珀で生成されており、その琥珀には紅葉が色褪せる事無く

  封入されてある。天井も壁も赤や黄色と言った彩鮮やかな紅葉が

  見られ、ダンジョンと言うよりは観光名所…ただし当然モンスター

  も居るので注意を必要とする!…その際この洞窟は「青の紅葉」と

  言われて居るのだが、当然何処にも青い紅葉など無く…では何故

  そんな名前が付いたのか?…それはその洞窟を歩く際、その洞窟の

  地面から謎の青い光が!…まるでイルミネーションの様に発光して

  いる事からそう名付けられたらしい…

 
  ------------------------------------------------------------------------


「まさかこんな物が見られるとは!…

…出来ればもっとゆっくり見られる時に来たかったが…」


「…とにかく急ぐぞ!…幸いこの洞窟…

見た感じ然程複雑では無さそうや!…これなら何とか!…」


「ッ!…あぁ、そうだ…」


洞窟に入って約数m…そこで二人が見た光景とは一面琥珀で出来た回廊の様!…

地面も青くイルミネートされた幻想的な風景であった!…それは思わず急いで

いる事すら忘れてしまいそうな位に綺麗なモノで、二人は当然の様に足を

止めては驚いてしまい!…二人が足を止めて居ると目の前にはいつもの様に

名所案内が!…マサツグもその名所案内に気が付き軽く目を通すと、若干の

後悔を覚えてしまう!…しかしそんな後悔をしている時間など当然無い訳で、

ライザが切り替えた様に声を掛け!…そのライザの呼び声にマサツグもハッと

した様子で返事をし!…ライザの呼ぶ声に続けて返事をしようとすると、

そこで妙な物を見つける!…


__カツンッ!……


「ッ!……な?…」


「ッ!…ん?…何や?…

急に歯切れの悪い返事をしてからに?……ッ!…」


__カラン…カラン…カラン………


その妙な物とはマサツグが歩き出そうとした際、気付かず蹴飛ばした物で有り!…

マサツグが蹴飛ばした物はまるで軽い金属の様な音を立てると、カラカラと地面を

転がり…そしてマサツグも何かを蹴飛ばした事で反応すると、視線を下に向けて

その蹴飛ばした物を確認する!…するとそこにはまるで間に合わせで作った様な、

西洋風の軽装兜が地面に転がている光景を目にし!…当然兜が落ちている事に

マサツグも困惑!…マサツグの返事が曖昧だった事でライザも振り返り何があった

のかを確認すると、同じ様に地面を転がる兜を見つける!…さてここで疑問が

出て来る!…何故こんな所に兜が落ちて居るのだろう?…本来装備品はやられた

所で落とす事は無く、こんな風に地面を転がりはしない!…ではなぜ落ちている

のか?…確かにゲームの中だからエフェクトと言えば簡単に説明が付くのだが!…

と考えると、

マサツグ達はその幻想的な風景とは裏腹に!…ハッと現実に引き戻される!…


「……改めて気ぃ引き締めよか…マサ!…」


__コオオオオオォォォ……ッ!…


「……そうだな?…」


幻想的な風景に騙されてはいけない!…何故ならそこはダンジョンなのだから!…

まるでそう警告するよう落ちている兜に視線を向け!…改めてマサツグへ警戒を

強める様に声を掛けると、ライザは奥の方へ視線を向ける!…この時洞窟の奥の方

からは緩やかな風が流れて来ており、誘うようマサツグ達の頬を撫で…マサツグも

そんな洞窟の奥に向かい視線を向け!…真剣な表情でライザに返事をすると、

二人は改めて歩き出す!…その際マサツグは少しでも情報を得る為に感知サーチ

発動すると、洞窟の最奥より妙な反応を感じ取る!…


「……感知サーチ!!…」


__ピィーーン!!!……ヴウン!!…


「ッ!…何だこれ?…ライザァ、これバグかなぁ?…

確かに敵の反応は有るんだが…壁から反応があるんだが?…」


「ッ!…へ?…壁から反応?…

…見た所穴とかは開いて無さそうやけど?…」


マサツグの視界・ミニマップにその感知サーチの反応結果が表示される!…そして

その結果と言うのが如何にも可笑しく!…何の変哲も無い壁の中から敵性反応が

ミニマップ上で確認されると、視界でも壁の中に赤い敵性反応が見られる!…

当然これにはマサツグも困惑!…ライザに何か可笑しいと言い!…そのマサツグの

言葉を聞いてライザも釣られて戸惑い…思わず近くに在った壁にそっと手で触れて

みるも、これと言って特に何も起きる気配を見せないでいた!…しかし警戒するに

越した事は無い!…何故なら!…


「……まさかその蜂が出て来て襲って来るなんて事は無いよな?…」


「ッ!?…止めろやアホ!!…

こんなとこで妙なフラグを建てるな!!」


「ッ!!…けどよぉ?…」


マサツグ達が歩いて来た洞窟内…その琥珀の壁には紅葉の他にモンスターらしき

姿も封入されていた!…それは成人した人間クラスにデカい蜂だったり、よく

分からない動物らしき物だったり!…とにかくカチンコチンに固まってはその姿を

琥珀の中に留めていた!…そしてマサツグの一抹の不安としては、その蜂が壁から

出て来ては襲い掛かって来たり!…するとそのマサツグの言葉にライザが途端に

ツッコミを入れ出し!…若干の嫌悪感を滲ませると同時に文句を言うよう言葉を

続けると、マサツグもその言葉に戸惑いを覚える!…しかしマサツグとしては

その感知サーチの反応からしてそうにしか見えず、ライザのツッコミに対してどうにも

納得出来ず!…その一方でライザは自身の身を抱え!…まるで寒気がしたよう

その身を震わせると、先を急ぐ!…


「ッ~!!……とにかくこの話はここまでや!!……先を急ぐぞ?」


「え?…あっ…あぁ……」


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!…


「…何だこれ?…何でここだけこんなはみ出して?……

とにかくこれじゃ通れないし…迂回して別の道に…」


如何やらその巨大な虫と言うモノに嫌悪感を抱いたらしい…確かにその琥珀の

中に埋まっている蜂も背中から見えて居るのではなく腹部から!…本当に嫌いな

人から見ると耐えられない絵図らで有り!…マサツグも特段虫が駄目と言う

訳では無いのだが…その細かな描写に不気味さを覚えると、先を行くライザの

後を追い駆ける!…さて、程無くして道なりに進んで居るとここで…道を塞ぐ様に

琥珀の薄い壁が張っており、マサツグもそれを見て迂回路を探そうとするのだが…


「龍!…撃!…波あぁ!!!」


__ゴッ!!…ギャアアアァァァス!!!…ドシャアアアアァァァ!!!…


「ッ?!…ちょ!?…ライザさぁ~ん!?!?…ッ!?…」


__ブブブブブブブブブ!!!…


ライザは何を思ったかその琥珀の壁に向かい龍撃破!…あの時のマタンゴ同様

見事粉々に打ち砕き!…しかしそのせいで壁にヒビが入って行き!…結果として

その壁は崩壊し中から先程の巨大な蜂!…恐らく琥珀に封入されて居なかった

モノが姿を現すと、マサツグは途端に慌て始める!…その際ライザの突発的行動

にも驚いたのだが、その人間サイズの蜂が出て来た事にも驚き!…ライザは

ライザでやっちまった!…と龍撃破を放った状態で固まり!…青い顔をしながら

生きている蜂を目の前にすると、途端にマサツグ達はその蜂を相手に身構え

始める!…


「な、何を考えてんだよ!!!…いきなりぶっぱするとか!!!」


「ス、スマン!…この方が手っ取り早いかって…

まさかこんな事になるとは思わんかったし…

それにこれでマサの感知サーチがバグじゃないって事も証明されたな?…

虫だけにバグ!……」


「ンな事言ってる場合か!!…来るぞ!!!」


__ブブブブブブ!!!…ブウウゥゥン!!!…


目の前では耳障りな羽音を大音量で流し!…その巨大な複眼でこちらをジッと

見詰めると、首を傾げて見せる!…それはまるでマサツグ達を品定めする様に

見えて居り!…マサツグもそんな蜂達の様子を見てライザに文句を言うと、

ライザもマサツグに謝り始める!…その際言い訳を口にすると、少しでも

和ませようと思ったのか冗談を!…しかしそんな事を言ってる場合では

当然無く!…蜂達もマサツグ達を敵と認識したのか、フッと飛んでマサツグ達に

突撃し始めると、マサツグは慌てた様子で初手をする!…


「ッ!!…クッ!!…鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

 -----------------------------------------------------------------------

 「キラービー」  

 Lv.45

   HP 5000 ATK 430   DEF 250

      MATK   0  MDEF   0


 SKILL

 即死の針 Lv.5 飛翔奇襲 Lv.13 強化外殻 Lv.4
 -----------------------------------------------------------------------

「ッ!?…即死の針!?…

って、そんなぶっといモンで刺されたらそら死ぬだろうよ!!!

クソ!!…大剣だと場所を取る!!…こうなりゃ!!!…」


__ガション!!!…チャキッ!…スラアァァ!!…


「まとめてかかってこいやあああぁぁぁぁ!!!!」


マサツグの目の前にそのキラービーのステータスが表示される!…そして当然の

如く目に付いたのは「即死」の文字で有り、マサツグがそれを見て慌てると

キラービーの針を確認するのだが!…そのキラービーの臀部に付いて居た針は

まるで鋭く尖った滅茶苦茶長い釣り針の様!…毒を滴らせていた!…そして

そんな釣り針がもし人間の体を貫いたとしたらどうなるか?…言わずもがな

即死で有り!…マサツグもそんなスキルにツッコミを入れつつ!…とにかく

大剣で戦うにはここは狭いと刀に換装スイッチすると、二刀流で構える!…

この時大剣を仕舞う時間すら惜しかったのか、大剣を地面に差し!…向かって来る

蜂達に対して吠えて見せ!…そんなマサツグの様子に構う事無く蜂達も次々に

飛来するよう襲い掛かって行くと、マサツグはそれらを一掃するよう斬撃を

放つ!…


__チャキッ!!…ゴオオォォ!!!…


「蒼閃連斬!!!…弐式!!!」


__ズゥババババ!!!!…ッ!?……バラバラバラバラ……ブウウゥゥン!!…


「ッ!?…どんだけ出てくんだよ!!!」


とにかくキラービーを近付けさせるのは不味い!…そう考えたマサツグは蒼い

斬撃を連続で絶え間なく放ち!…すると狭い通路で一通!…見事に蜂達を

一網打尽に斬り刻んでしまい!…その場で蜂の骸を積み重ねると、圧倒的に

寄せ付けない火力を披露していた!…この時蜂には強化外殻と言う装甲が

堅いと言ったスキルが付いて居るのだが、物ともせず!…しかし蜂達も絶え

間なく穴から姿を現し!…マサツグのTPを徐々に徐々にと奪って行くと、

その本人を焦られていた!…そしてこの時ライザはと言うと、巻き込まれない

ようその様子を観察してはある事を思い付き!…


「……ッ!…マサ!!…

少しの間だけ我慢しててくれ!!!…俺が何とかする!!!」


「ッ!?…な、何とかって如何する!?…ッ!?…」


__……バッ!…スッ…スススススッ!!……クッ!!!…


「はああああああぁぁぁぁ!!!!」


マサツグに耐えるよう声を掛けてはタイミングを見計らって飛び交う斬撃の

中へ!…マサツグも突如ライザに耐えるよう言われた事で戸惑うのだが、

手を止める事はせず!…そしてライザが斬撃の中に入って行った事で次には

驚いた表情を見せて居ると、ライザも手慣れた様子で斬撃を回避しながら

その穴の入口まで辿り着いて見せる!…そして何を思ったのか徐に穴の上部へ

向かって拳を構えると、グッと力を溜め出し!…この時もずっと不規則に

飛んで来るマサツグの斬撃を回避しており!…力を溜め切った様子でライザが

思いっきり拳を突き出して見せると、次にはその蜂が出て来る穴を瓦礫で

埋める!…


__ボッ!!!…ドガアアァァァン!!!…ガラガラガラガラ!!…


「ッ!?…本当に何とかした?…」


「……ふぅ~!…錬気の訓練受けといて良かった~!…

でラストの蜂も!……終わったみたいやな?」


ライザの掛け声と共のその突き出した拳は天井を砕き!…その砕いた際瓦礫が

崩れ落ちると、壁の穴を塞いでしまう!…これによりもうキラービーが姿を

現す事が無くなると、残りはマサツグが殲滅する流れとなり!…マサツグは

マサツグでライザの解決法に驚き戸惑い!…ライザも何とかなった!と言った

様子で安堵しながらマサツグの方へ視線を向けると、今まさに最後の一匹が

始末されていた…そして最終的に戦闘が終わってみると、マサツグやライザの

周りは大量の蜂の死骸が囲まれ!…それはそれで地獄で有り、早く消えて来る

事を願って居ると、マサツグもさすがに疲れた様子でへたり込む!…


__……ズル…ズルズル…ペタンッ!…


「……だあっはあぁ~!!……さすがに疲れたあぁ~!…

ずっと両腕を振り続けるのもしんどい!……」


「お疲れぇ~!!…いやぁ大したモンやで!!

あの数の蜂を全部凌ぎ切ったんやから!!!」


「ッ!…この野郎!!…大体元を正せばお前のせいだろうが!!!…」


事が終わった事で緊張の糸が切れる様に!…背もたれに自身が指した大剣に

寄り掛かると、安堵の溜息を大きく吐き出して見せる!…そしてここまで

ある種警戒しっぱなしだったせいか、ドッと疲労感も押し寄せて来た様子で!…

そんなマサツグに対してライザは飄々と!…凌ぎ切ったマサツグに対して

お道化るよう労り声を掛け出すと、マサツグは当然の様に文句を言う!…

しかしライザとしてもそれを言われた所でのらりくらりと!…笑って誤魔化し!…


「あっはっはっはっはぁ~~…まぁやってしもた事はしゃ~ないやん?…

それにお掛けで…ほれ?…ちゃんと道も出来とる!…恐らく近道出来る筈やぞ?」


「……ハアァ~…本当に都合のいい奴!!…

んでもって確かにこんな所でへばってる場合じゃないわな?…

どれ…よっこいしょ!!…」


__スウゥ…チャキッ!……ザザッ…


「…風はこの向こうからやっぱり流れて来てるな?…

…にしてもまさか洞窟の壁の中に蜂が生息しているとか!…

さすが異世界やで!…」


もはやいつもの事なのか?とにかく結果オーライと!…道も確保出来たと

自身が壊した壁の方を指差し!…マサツグにその道の奥の方の光景を見せると、

マサツグもそんなライザの様子に呆れてしまう!…そしてマサツグ自身も

いつまでも座り込んでいる時間は無い!と口にすると、先に片方だけ刀を

納刀仕舞うと大剣を支えに立ち上り!…ライザはライザでその道から風を感じては

先程の蜂に対しても現実リアルでは考えられない!と!…さすがゲームの中と言って

先にその道の先を歩き出すと、マサツグはもう片方の刀を納刀してから大剣を

回収する!…


__スウゥ…チャキッ!……ジャコンッ!!…


「…やれやれ…これ以上の面倒事が起きない事でも祈るとしますか…

…っと、その前に…」


__ゴソゴソ…ッ!……スッ…キュウゥ!…ポン!!…


大剣を回収して立ち上がり…これまたフラグを建てる様に何も無い事を祈ると、

ふと思い出した様にアイテムポーチからポーションを取り出す。そして失った

分のTPを回復する様にそのポーションを飲みながらライザの後を追い駆けると、

その一方でライザは!…何やら導かれる様にただ風の感じる方へと歩き続け!…

それと同時にちょっとした異変!…ある事に気が付き始めると、途端に警戒を

強める!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!…


「な、何やこの甘い匂いは?…

…匂いは感じ難い筈やからハッキリと分かるって事は…罠か?…

どちらにせよ嫌な予感を……ッ!!…」


__コオオオオオォォォォ!……


「うわぁ!…意味深な場所に着いてもうたで!!…

そんでもって風を感じる事が出来たんはあの天井の穴のお陰って事か!…

時間帯としてはお昼頃!……何か嫌な予感がするなぁ?…」


ライザがこの時感じたモノと言うのは匂い!…風と一緒に流れて来る甘い匂いが

する事で、このゲームで匂いは感じ難い筈だと!…やはり匂いに対して敏感に

なっており、罠では無いのか!と警戒しつつ!…ドンドン先へと進んで居ると、

次にはその甘い匂いに沿って妙に開けたドーム状の場所へと辿り着く!…

さながらその場所はBOSS戦でも有るかの様にそこそこ広く、その場所の中心には

何故か楓の樹が!…見事に色付いては風に揺られてユラユラと揺れて居り!…

一本だけ生えている事にライザも警戒しつつ時間を確認すると、時間は丁度正午…

12時を指して居た。そして風を感じる原因としてはそのドーム状の開けた場所の

天井には穴が開いて居り、そこから日の光が差し込み!…丁度楓の樹を照らす様に

日が差し!…これまた幻想的な風景を見せる反面!…ライザの警戒心を強める

のであった!…さてそうしてライザが警戒をして居ると、後方よりマサツグも

合流する。


「……シモ?…こんな所で何をしてるんだ?…」


「ッ!…やっと来たか!…

…なぁ?…この状態を見て如何思う?…」


「えぇ?…んん~……確かに綺麗な場所だとは思うが?…

それと同時に何か不気味さを…」


その開けた場所への入口付近で警戒するライザを見つけ…辺りを見回して

居る様子にマサツグも不思議そうに声を掛けると、ライザは振り返るなり

待って居た様な反応で返事をする!…そして次にはマサツグに今の状況に

ついて質問をすると、その開けた場所の様子を確認させ!…マサツグも

そんなライザの問い掛けに戸惑いながらも確認!…そこで同じ様に幻想的な

風景!…それと同時に何か嫌な予感も感じ取って返事をすると、ライザも

悩んだ様子で話を聞く!…


「……だよなぁ?……ったく、悩んでてもしゃ~ない!…

とにかく先を急ごう!…この感じやと直感的にこの奥が最深部の筈や!…

何か妙なモンが出る前に物を頂いてトンズラするで!!」


「ッ!?…あぁ!!…おい!!…」


マサツグの話を聞いて同意見だった事に腕を組む!…しかしながらしつこい事に

マサツグ達には時間が無く!…悩んでいる暇も無いと言った様子で刻々と時間が

過ぎて行くと、遂にはライザが腹を決める!…その際悩む時間も惜しいと言った

様子で言葉を口にすると、真正面から堂々と入って行き!…マサツグもそんな

ライザの態度に慌てて追い駆け!…その開けた場所に入って楓の樹の前を通り

過ぎようとすると、次の瞬間風が吹き出す!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ザアアアアァァァァ!!!…


「ッ!?…きゅ、急に風が!!…」


__ザアアアアァァァァ!!!……ズダアアァァァン!!!…ッ!?…


「え?……ッ!?…マジかよ!?…」


まるで行く手を阻む様に突如ドーム内に風が吹き出し!…マサツグ達も咄嗟に

耐えるよう身構え風が落ち着くのを待って居ると、次には何かが降って来る

音を耳にする!…当然そんな音を耳にした事でマサツグ達も戸惑い!…徐々に

風が落ち着いて来た所で恐る恐るその音の正体を確認すると、その眼前に現れた

モノに驚き戸惑う!…何故ならマサツグ達の目の前に居たモノとは!…


__ギシィ……ギシィ……


「ま、まだ生きとったんかいワレェ!?…」


「チッ!!…こんなとこで止まってられるか!!

サッサと片付けて!!!……ッ?…」


__…………。


マサツグ達の前に現れたのは外で始末した筈のトレント!…ただその体には

マタンゴはもう生えて居らず、全部爆発した様子で!…それでも執拗に

マサツグ達の事を追い駆け!…こうして眼前に立って見せるとマサツグ達を

驚かせる!…当然これには鬱陶しい!と言った様子でマサツグが言葉を口に

すると、さっさと倒そうと武器を手にするのだが!…どうにもそのトレントは

先程みたく襲って来る様子は見せて来ず…ただ立ち尽くしてその場から

動かなくなると、その様子に二人は不審がる!…


「……な、何や様子可笑しないか?…」


「お、襲って来ない?…じゃ、じゃあ何でここに?…」


__……ズババババアァン!!!…ボボッ!!


「ッ!?…な!?…」


__…カッ!!…バラバラバラバラ!!…


一向に自分達へ襲って来る気配を見せないトレントに戸惑い!…二人揃って

何かが可笑しい!…と話し合って居ると、次の瞬間それは起きる!…

突如その動かないトレントの体に無数の斬り込みが入ったかと思えば、更に

その斬り込みから突如火が漏れる様にして噴き出し!…そんなトレントの

様子にこれまたマサツグ達は驚き戸惑い!…一体何が起きたのか!?と

見守って居ると、次にはトレントの体は火を吹きながらバラバラに崩れる!…

この時トレントの体は如何やら後ろから斬られたらしく、その体をマサツグ達の

方へ倒れさせては爆散し!…マサツグ達も慌ててそんなトレントに対して

ガードを固め!…トレントを仕留めたモノの正体を確認すると、そこで奇妙な

人影が立って居るのを目撃する!…


__……チャキッ!!…オオオオォォォォ!!!…


「……な、なぁ?…アレ何?…」


「…ンなモン俺が聞きてぇよ!……だがこれだけは言えるぞ?…

コイツ間違いなくBOSS格だって!…」


「ンな事見れば分かるやろうが!!…で、如何する?…

向こうさん一応身構えては居るけどまだ動きはせんようやぞ?…」


マサツグ達の目に映った人影…それは先程の楓の樹を護る様にして立って居り、

その身なりも鍬形兜に鎧甲冑!…まるで戦国の武将の様な出で立ちをしており!…

右手に刀を握っては左手に朱槍!…マサツグ達に対して敵意を見せるよう身構えて

見せると、何やら背後からは異様な気配を見せて居た!…その気配はまるで覇気の

様でもあり妖気の様でもあり、とにかく不気味の一言に尽き!…ライザはライザで

困惑模様でマサツグに尋ね!…マサツグもそんなライザの問い掛けに対して

分からないと返事をすると、見て分かった事だけでも口にする!…するとそんな

マサツグの言葉に対してライザもツッコミ、三人は揃って膠着状態!…何方も迂闊に

動く事が出来ないで居り!…マサツグも機会を伺った様子で大剣からもう一度刀に

換装スイッチすると、鎧武者は機敏に反応する!…


__……スッ……ッ!!…オオオオォォォォ!!!…


「ッ!?…刹那!!!」


__ヴウン!!…ジャコン!!…チャキッ!…スラアァ!!…ギイィィン!!!…


「ッ~~~!!!…あっぶねぇ!!!」


マサツグが刀に換装スイッチしようとした瞬間!…鎧武者はマサツグに向かって

飛び出し!…その左手に持っている朱槍でマサツグを一突きにしようと

すると、マサツグも慌てて刹那を発動し始める!…するとその鎧武者の

動きはいつもの様に遅く見えると、マサツグも超反応で慌てて装備を

換装!…大剣を鞘に仕舞う時間が無いので先程同様地面に刺し!…迷う事

無く春風刀と夏海刀の二振りに手を伸ばすと、抜刀すると同時に朱槍を

受け止めに掛かる!…刹那の時間にしてそれが約30秒程に感じられる

のだが、相手からすると瞬きの一瞬で!…とにかく鎧武者の攻撃を受け

止めた事でマサツグは安堵!…ライザもその出来事に戸惑った様子で声を

掛けると、マサツグはある指示をライザに出す!…


「ッ!?…ちょ!?…マサツグ!!…」


「ライザは先に薬草の確保を頼む!!…」


「ッ!?…はぁ!?…」


「コイツは俺が引き受けるから!!…薬草の確保を最優先してくれ!!!

なぁ~に!!…俺だって簡単に負けるつもりはねぇ!!!」


マサツグがライザに頼んだ事!…それは薬草の確保!…場面としては

俺に構わず先に行け!の死亡フラグなのだが、マサツグは構わず

ライザに指示!…しかしライザとしてはよく知って居る場面なので当然

戸惑ってしまい!…マサツグに正気かどうかを尋ねるよう困惑の声を

挙げると、マサツグは続ける!…その際マサツグは相手と鍔迫り合いを

しながら大丈夫!と不敵に笑うと、徐々に鎧武者を押して見せ!…

そんなマサツグのパワープレイにライザも驚き!…マサツグを信用した

様子で軽く頷いて見せると、言われた通り最奥の薬草の確保に向かう

のであった!…

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事故で死んでしまったら、神様に滅びかけた世界の再生を頼まれました。精霊と、神様っぽくない神様と、頑張ります。 何年も前に書いた物の書き直し…というか、設定だけ使って書いているので、以前の物とは別物です。これでファンタジー大賞に応募しようかなと。 ほんのり恋愛風味(かなり後に)です。

弟のお前は無能だからと勇者な兄にパーティを追い出されました。実は俺のおかげで勇者だったんですけどね

カッパ
ファンタジー
兄は知らない、俺を無能だと馬鹿にしあざ笑う兄は真実を知らない。 本当の無能は兄であることを。実は俺の能力で勇者たりえたことを。 俺の能力は、自分を守ってくれる勇者を生み出すもの。 どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。 だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。 ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。 かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。 当然のようにパーティは壊滅状態。 戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。 俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ! === 【第16回ファンタジー小説大賞】にて一次選考通過の[奨励賞]いただきました

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!

中野莉央
ファンタジー
将来の夢はケーキ屋さん。そんな、どこにでもいるような学生は交通事故で死んだ後、異世界の子爵令嬢セリナとして生まれ変わっていた。学園卒業時に婚約者だった侯爵家の子息から婚約破棄を言い渡され、伯爵令嬢フローラに婚約者を奪われる形となったセリナはその後、諸事情で双子の猫耳メイドとパティスリー経営をはじめる事になり、不動産屋、魔道具屋、熊獣人、銀狼獣人の冒険者などと関わっていく。 ※パティスリーの開店準備が始まるのが71話から。パティスリー開店が122話からになります。また、後宮、寵姫、国王などの要素も出てきます。(以前、書いた『婚約破棄された悪役令嬢は決意する「そうだ、パティシエになろう……!」』というチート系短編小説がきっかけで書きはじめた小説なので若干、かぶってる部分もありますが基本的に設定や展開は違う物になっています)※「小説家になろう」でも投稿しています。

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